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僕たちのあやまちside翠

αとΩの同性の両親をもつΩに見えるαの楓は、幼い頃に助けてくれたヒーローの、αの両親を持つαに見えるβの翠に初恋を拗らせていた。


※オメガバース作品ですが作者の個人的解釈が含まれています。


※糖度高め版は、アルファポリスさんにて更新しております(年齢注意)


楓と初めて肌を合わせた後からは、自分でも怖いほどに楓を求めることを止めることが出来なかった。


楓に求められると自分は特別なんじゃないかと、思えた。


嫌なことは絶対にしない……

それでも楓は優しいだけではない。



楓が求めているようで、俺のほうが確実に楓を求めていた。


彼氏がα……俺が演じていた偽物のαとは違う。


父さんや母さん、緑兄とは違うと感じるほどに俺に対して楓は驚くほどに甘い。


そんな完璧な楓の近くにいると、やっぱり不安にならないと言ったら嘘になる。


あの日、俺の中に小さな不安が生まれた。


もし……楓に番が現れたら……


俺に向けられていた全ての感情を奪われてしまう……


そんなのは考えるだけで嫌だ。


楓のあの瞳に俺ではない人を映し、あの手で触れるなんて考えたくもない。


俺はなんでβなんだ……


どれだけ考えても、現実を変えることが出来ないことなんて分かってはいる……分かってはいるけど納得はしていない。


楓の全てを誰かに奪われるかもしれないと考えるだけで鼻の奥に痛みを感じる。


なんで俺はΩじゃないんだよ……


そんなのは事を考えていられたのは初めだけ……


楓によって自分らしくない声を幾度となく上げている俺を見る楓も余裕がなさそうげだった。


カスカスな声しかでなくなった俺に不意打ちの質問が飛んでくる。


「ねぇ翠くん、僕の事……好き?」


これでもかと甘さを含んだ熱っぽい声に、考えるよりも俺の口は言葉を落とす。


「すっげぇ好き……」


なぁ楓……俺なんでΩじゃないんだろうな……


こんなに楓の事が好きなのに……


好きだからこそ、いつかΩが現れて俺から楓を奪っていくんじゃないかと不安になるんだ。


なれるものなら、楓のΩになりたい……


楓だけのΩになりたい……


そんな事を口に出せるはずもなく、ただ楓を見つめていると後から抱き締められていた。

楓に抱き締められると、不安だった気持ちが徐々に解消される。


乱れた行為なのかもしれない。


それでもαの楓とβの俺とでは子どもが出きる心配はないからこそ、本能の赴くまま。


俺は楓の全てを受け止めてきた。


まだ受験の結果が出ていないのに、俺は貪欲にも願ってしまうんだ。


楓のΩになりたい。


楓と、この先もずっと一緒にいたい。


楓だけの特別になりたい。


――Ωなって楓と番になりたい……


そんな事を切に願った時、俺のうなじが経験したことがない鋭利な痛みを感じた。


痛い痛い痛い……

熱い熱い熱い……


俺の身体が、感じたことがない、おかしいな感覚に教われながらも不思議なことに嫌ではなかった。


痛さと熱さが治まってくると今度は甘さを含んだ感覚に全身が包まれているようだった。

楓の手が腹に回されると、俺の肩へと頭を預けた楓がぼそりと呟く。


「翠くん……僕だけのΩになってよ……」


その言葉になぜだか勝手にこぼれ落ちる涙を止めることが出来なかった。


「なれるなら、楓のΩになりたいよ……」


この時、俺たちはまだ自分達が起こしたあやまちに、まだ気付いてはいなかった。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

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