僕たちのあやまち
αとΩの同性の両親をもつΩに見えるαの楓は、幼い頃に助けてくれたヒーローの、αの両親を持つαに見えるβの翠に初恋を拗らせていた。
※オメガバース作品ですが作者の個人的解釈が含まれています。
※糖度高め版は、アルファポリスさんにて更新しております(年齢注意)
面接が終わったら先生への報告で、1度学校に戻るから一緒に家にくる?
翠くんの提案は嬉しかったのに……
なんだか気持ちが落ち着かなくて……
着替えてから翠くんの家に行くよと伝えてから、どれくらい時間が過ぎただろう。
みんな初めての時って、こんなにも心がざわつくものなのかな。
空くんは、流れに身をまかせれば大丈夫と言った。
光くんも似たような事を言ってたけど、本当に大丈夫なのかな……
何度目かの溜め息が落ちた時に、時計に目を向けるとさすがに翠くんの家に向かわないと遅くなってしまう。
「楓気をつけてね、いってらっしゃい」
後ろから投げ掛けられた遥の言葉に、僕は返事をしたのかも曖昧なくらい、驚くほどに冷静さに欠けていた。
インターホンを鳴らすと返事はなく、そのままドアが開かれた。
「いらっしゃい。」
いつも通りの翠くんを見ると、緊張してるのが僕だけみたいで、いたたまれなかった。
「早くはいれよ暑いだろ?」
僕の考えている事は、きっと翠くんは分かってないんだろうなと思うとなぜか体の力が抜けた。
きっといつも通りで、いいんだ……
「俺の部屋に先に行ってて」
翠くんの部屋に入ると、昔と変わらなくて安心する。
――やっぱり、この香りは翠くんの香りなんだ……
ほのかに香る柑橘系の香りが翠くんの部屋に充満している。
癒される香りが胸を満たしていくのを感じる。
「座ってればいいのに」
そう言いながらお菓子や飲み物をもった翠くんが戻ってきた。
他愛のない話をしたり、昔の話をしたり久しぶりの2人の時間を楽しんでいたけど、いままでと違う空気を感じると同時に翠くんは僕を優しく抱き締めた。
――待たせてゴメン……楓を受け入れる準備はできてるから。
翠くんの言葉に喉がなる……
僕は翠くんから体を離すと翠くんらしくなく不安気に瞳を揺らしている顔をみて、翠くんの頬に手をあて唇を重ねた。
この後の順序なんて分からない……
分からないけど、ただただ翠くんが好きだと言う気持ちで、徐々に体を重ねていく。
何が正解なのかも分からない……
僕が翠くんが好きだと言うのは間違いない。
そして僕の下で僕を見つめる翠くんが僕を好きなのも伝わってくる。
大好き……
大好き……
大好き……
いくら言っても、伝えきれないほどに僕は翠くんが好きだ……
翠くんが僕の名前を呼ぶ声が徐々に掠れていく。
それすら、僕には胸が苦しくなる程に嬉しい。
翠くんが僕によって変わっていく姿が飛び込んでくるたびに高揚感に押し潰されそうだった。
――気付いた時には翠くんの部屋の窓から差し込む光がオレンジ色に変わっていた。
好きだよ翠くん……
僕の腕の中で無防備な寝息をたてている翠くんを見て声が漏れる。
――もう2度と絶対に離さないし離れないから……
◇◇◇
初めて肌を重ねた日を境に、僕たちは会えば箍が外れたようにお互いを求めずにはいられなかった。
僕は翠くんに認められた安心感から……思ってはいけない感情が芽生えたことに気付かないふりをしていた。
翠くんを幸せに出きるのは僕だけ……
僕だけの翠くんでいればいいのに……
翠くんを僕だけの世界に閉じ込めたい……
――翠くんが僕だけのΩだったらいいのに……
翠くんのバースは関係ないと思っていたのに、体を重ねれば重ねるほどに、僕だけを見て欲しくなる。
翠くんがΩなら、絶対に僕の番に間違いないのに……
現実がそれを否定する……
翠くんはβ変えようのない事実。
あの日は、いつもより翠くんを僕だけのものにしたいと願ってしまった。
翠くんがΩなら、僕の全てをかけて全力で守ると思ってしまった。
翠くん、好き好き大好き……
翠くんのその瞳に僕以外を映さないでほしい。
翠くんも僕の気持ちと同じくらい、僕の事を好きでいてくれる?
そう訊ねたいけど、いつも怖いんだ……
それでも、何故か今日は言葉にすることに恐れがなかった。
「ねぇ翠くん……僕の事……好き?」
僕の目を捕らえた翠くんは、乱れた呼吸のそのまま、掠れた声で答える。
「すっげぇ好き……」
その時に、今までとは比べる事が出来ないほどに強く香る甘い甘い柑橘系の香りに僕は本能のままに、翠くんを後から抱き締めると桃色に染まっている翠くんのうなじに躊躇なく、おもいきり歯をたてた。
翠くんが、僕だけのΩならいいのに……
――僕だけのΩになっちゃえよ……
最後まで読んで頂きありがとうございます。
今回は少し短くなってしまった為、朝&夜の2回更新です。




