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楓の意外な一面~翠視点~

αとΩの同性の両親をもつΩに見えるαの楓は、幼い頃に助けてくれたヒーローの、αの両親を持つαに見えるβの翠初恋を拗らせていた。


※今回は翠視点での話になります、R15相当の表現が含まれますのでご注意下さい。


※オメガバース作品ですが作者の個人的解釈が含まれています。



走って行く楓に呼び掛けたけれど、振り向く事なく走って行ってしまった……


泣かせてしまった……


体の力が足から抜けていくようにベンチへと腰を下ろすと、楓の泣き顔が頭から離れなかった……

あまり涙を見せることが無い楓の涙に心がえぐられるって、言葉の意味を初めて理解できた。

今、急いで追いかけたなら追い付くかもしれないのに身体が動く事を拒否していた。


楓に付き合いたいと言われた時は夢だと思った、会長の仮面をかぶった俺の事が好きなのかと思っていたから……

楓の真剣な顔を見た時に仮ならokと言った事を俺は後悔するから事になる……

凄く嬉しそうな顔をした楓の顔を、俺は絶対に忘れることは出来ないだろう……


傷が深くなる前に、関係を解消するつもりでデートをする事にしたのに、一緒に居るだけで楽しくて……好きな気持ちが止まらなくて……離れがたくて……離したくなかった……


それと同時に、Ωである事を否定してなかった時の楓の恋人達への劣等感……変えることが出来ない、俺がβという現実を考えると楓の幸せの為には俺は、あまりにも無力すぎる……


それなのに何故、付き合いを白紙にしたいと伝えた時に楓はあんな顔をしたんだ……

見だだけで胸が締め付けられる思いだった。


あんな顔を、させるつもりは無かったんだ……


****


寮に戻り食事と入浴を済ませて部屋に戻ると、大きな溜め息がこぼれ落ちた。


楓が、俺のストーカーまがいな事をしていたなんて知らなかった、普通なら不快に思うのかもしれないけれど、俺は楓の気持ちが俺だけに向いているように感じて、優越感から胸が高鳴っていていた……


楓が見たと言っていた恋人とは比較的、長く続いた3人を言っているんだろうな……

その日だけの快楽だけの関係の人はバレてはいなそうだったけど楓に知られたらと思うと……嫌われるのではと言い様の無い怖さが押し寄せてきた。


もしかしたら嫌われた方が……そんな事が頭を過る。

楓が俺の事を顔を見るのも嫌なほどに嫌ってくれたなら楓は俺の事を忘れて次に行けるのではないか?


ベッドに体を投げ出すと、楓の泣き顔が脳裏に浮かんだ。


僕の片思いを甘くみないで……か……


目を閉じると、いつもはほがらかに笑う楓の顔が浮かぶけれど今日は、ぐずぐずに泣き崩れた顔しか浮かんでこない。

俺が……あんな顔をさせたのか……罪悪感と同時に何故か高揚感をも感じていた……最低だな……


楓に似た声の人との情事じょうじは目を閉じて楓を想像していた事


楓に似ている容姿の人との情事じょうじの時は楓を想像してい行為に及んでいた事を知ったら楓はどう思うのだろうか?


楓に対して歪んだ愛情を持ってると気付いたから、楓から離れたと言ったら信じて貰えるかな?


本当は楓の事が子供の頃から好きだったと言っても伝わるかな?


楓は僕の言葉を信じてと言っていた……俺はあの時αなら誰とでも身体を重ねるΩとの噂を確証もなく信じていた……。

俺がどれだけ楓の事が好きでもαでなければ意味がないと思い込んでいたからこそβの俺はαに対して劣等感を隠すことが出来なかった。

そう認めたら少しだけ気持ちが楽になってきた気がした。


楓はΩではなくαで、βの俺でも関係ない好きだと言っていた……


もっと早くに自分に正直でいられたのなら、こんなにも悩む事はなかったのではないかと思うと自業自得だと思いながらも、本当の気持ちを楓に伝えたくなった。


今さらかもしれない、けれど最後に見た顔が泣き顔なんて嫌すぎる……


ベッドの横に置いてあるナイトテーブルの引き出しから、子供の頃の俺と翠が、祭りでりんご飴を食べている写真を取り出すと、バースの事なんて知らないからこそ屈託の無い笑顔で笑う2人を見ると、戻ることが出来ないとは分かっているけれど、この頃のようにまた楓と一緒に笑い合いたいと思った。


明日、俺が楓のクラスへ迎えに行こう……


そろそろ寝ないと、明日がキツいと思いながらも頭が興奮しているからか、なかなか寝付く事が出来ずに、最低だとは分かりながら、楓を想像しながら自分で自分をなぐさめる行為をしながら、何度も何度も楓の名前を呼んだ……


――っ……楓……楓……楓が……好きだ……


最後まで読んで頂きありがとうございます。


翠、視点になるとR15相当の表現になる事がありますのでよろしくお願いします。楓視点では楓がまだピュアなのでR表現は控えめです。

次回は楓視点に戻りますので次回も読んで貰えると嬉しいです。

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