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それぞれの思惑(4)


わたしをこの世に生み出したのは、原初の混沌だった。

エネルギーが縦横無尽に飛び交っていた時代。

エネルギーとエネルギーがぶつかりあった衝撃で、高エネルギーをもった精霊が数多く生まれていた。

しかし、やがて生物が生まれるようになると、多くの精霊はそれらの生物と対になっていった。

そうした対のつながりは互いを縛る鎖のようなものだった。

世界は固定され、風はぎ、マグマは眠りについた。

もはやこの世界に高エネルギーの精霊が生まれる余地はない。

次々と小さな精霊が生まれ、生物と対になっていったが、わたしの対は現れなかった。

欠けた円を埋める対の存在を求めるのは、精霊の本能だ。

わたしはわたしを安定させる存在を求めた。

しかしわたしは高エネルギーの存在。

動けばそれだけで、世界に影響を与えてしまう。

風が吹き荒れ、炎が燃え上がる。

それは脆弱な生物にとって、命を失うほどの力だった。

わたしは動かないことの決めた。

じっと、ただ静かに待つ。

もしかしたら、こうしている間にも対の存在が世界のどこかにいるかもしれない。

たまにそんなことを考えては居ても立ってもいられなくなり、癇癪を起こした。

しかしその度に失われる小さな命たちに、その中にもし対がいたらと今度はそれが怖くなって、動かなくなる。

その繰り返しだった。


フェイビアンと出会ったのは、そんな時だった。

あの人間は、わたしに声を届けることができた。

他の人間の声は、わたしの意識にひっかかることなく通り過ぎていくというのに。


フェイビアンは言った。

――そんなに苦しいなら、眠っていてもいいよ。

その間、対を探していてあげるから、と。


その約が守られていたのかは分からない。

しかしわたしは出会った。


欠けた環を補う存在に。

わたしの対に。



ティファニーに。




なんか一人次元が違うのがいますね。

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