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休息も大切に

「梨のソーダ水といつものパニーニ下さいな、おじさん」

「はいよー、梨のソーダとパニーニ。」


そろそろ暑くなってくる、ソーダが美味しい季節だ。いつもの露店でおじさんから受け取って、近くのベンチに座る。


そうすると大概、ヤツがやってくる。そして栄養バランスがどうだの、もっとしっかり食べろだ何だと小言が飛んでくるのだ。


「折角街に帰ってきたのならもっとちゃんとした昼食を摂られては如何ですか?」


ほーら、噂をすれば。


「帰ってきたからこそよ。これはここでしか食べられないもの。それに夏野菜も沢山入ってるし、貴方の普段と比べたらずっと健康的だと思います」


減らず口は変わらずですね、と失礼なことを仰りながらも隣に腰を下ろしてくる。そんなことを言うそちらさんのランチは何ですかね。


「……もっとちゃんと食べた方がいいと思います」


「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。冒険者なんだから、体力勝負でしょう。私はこれといって身体を使っているわけではありませんので、これで十分です」


「だからって、サラダだけなんてダイエット中の女の子ですか?その体躯で痩せたいとか言ったら世の女性に刺されますよ」


「私は現状維持がベストなので、食生活も今までと変わらない方がいいんですよ」


そう言ってサラダを口に入れる横顔は涼しげで、小憎らしい。年功序列が染み付いた最初の出会いのせいで、未だに敬語が外れない。向こうも使ってくるのはたぶん、職業柄だ。


「そういえば、教会の方はどうです? 神父様が引退されてからは一人なんでしょ?」


「そうですねえ。これと言った事件もありませんし、そこまで戻って来られる方も多くはないので、のんびりやっていますよ」


先月は新郎新婦がこぞって永遠の愛を誓いたがるので毎日のように惚気を聞いていた気分で疲れましたが、と付け加えられる。


そうか、そういえばそんな時期だ。旅の道中はあんまり気にかけることはないけれど、友人たちもみんなそんな年頃だろう。


だが、ひと所に留まることがない冒険者には招待状も届くことはない。それはこの職業の悲しいところだ。

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