第九話 決勝戦
ラークが戻ってくる。
「お疲れ!ラーク!」
「お疲れ様!ラーク!」
レンと二人でラークを迎える。
「僕も決勝まで来たよ」
「ああ、決勝が楽しみだ」
「二人共頑張ってね!怪我だけはしないようにね!」
「それでは決勝戦に出場する、ラーク選手・コウ選手は会場へと移動して下さい」
「おっとお呼びだ、行こうぜ!」
「うん。行こう!」
二人で会場へ向かう。
二人が会場に着くと周りからの歓声が最高潮へと昇っていく。
「コウ、僕達の対戦成績は覚えてるかな?」
「勿論だ!498戦249勝249敗で今の所同じだな!」
俺達はずっと競ってきた。
俺はいつだってお前の目標となる為に前を歩みたい。
僕達はずっと互いを高めてきた。
僕はいつだって君達を守れるように君に追い付きたい。
「「今日は俺が(僕が)勝たせてもらう!」」
「それでは!決勝戦…開始です!
「ガキィン!」
会場に剣戟が響く
「また腕を上げたねコウ!」
「まだまだこんなもんじゃないぞ!ラーク!」
お互い一歩も譲らない勝負を演じている。
小さい頃から同じ師、ダリルに修行をつけてもらい、ずっと競い合ってきたからこそ二人はお互いの行動を熟知していた。
周りの観客も二人の戦いをただただ魅入っている。
ラークが上段から斬り下ろす。
コウが二刀を交差し受け止め渾身の力で弾き返す。
今度はコウが左右から剣を振り下ろす。
ラークはそれを長剣で受け止める。
目まぐるしく動く二人の攻防に観客が息を飲む。
「す、すげー」
会場にいる誰もが呟いた。
二人の戦いを見て、まるで極限まで極めた演武のようだと…その光景に魅入っていた。
「コウ!これならどうだい!?ダークブレイド!」
ラークが剣に黒の紋章を付与する。
世にも珍しい闇属性の魔法剣だ。
「俺も負けてられないな!ホーリーソード!」
コウも剣に白の紋章を付与する。
こちらも珍しい聖属性の魔法剣。
再度お互い間合いを詰める。白と黒の剣がぶつかり合い火花を撒き散らす。白と黒の軌跡が火花と合わさり幻想的な空間を演出する。
観客席では誰もが呼吸を忘れたかのように…この戦いを目に焼き付けようと魅入っている。
「ラーク!そろそろ決着をつけようか!」
そう言ってコウは二刀を交差し構える。
「コウ!臨む所だ!」
ラークは上段に剣を構える。
「「ハァーーー!!」」
飛び出すのに合図はいらなかった。
二人は同時に踏み出す。
「キィン」
会場に澄んだ音が響き渡り、空中に剣が舞う。
会場にいる誰もがその剣を目で追う。
「ザン!」
地面に一本の剣が刺さる。
「これで俺の499戦250勝249敗だな」
「そうだね…。僕の負けだよ」
「勝者!コウ選手!」
その言葉に会場が割れんばかりの歓声に包まれる。