第六話 決勝トーナメント始動
第6ブロックに着く。
どうやら丁度戦いが終わっているようだ。
「あれ?コウ?随分と早いね」
「とか言いつつ、お前もかなり早く終わってるじゃないか」
「僕のブロックは魔法合戦だったから早く終わったよ」
「何はともあれ、お互い無事に決勝トーナメントまで残れて良かったよ」
「だね」
「それでは、予選トーナメントに勝ち抜いた28人の方は明日明朝より街にある闘技場までお越し下さい!」
試験官の一言によりその日は解散となる。
「を!お前らちょっと待て」
一人の男に呼び止められる。
「はい?なんでしょう?」
「俺の名前はオズ・ランドだ。お前達が受かれば、俺がお前達の隊長になる予定だ」
どうやら新兵の隊長のようだ。
「隊長殿でしたか。どういったご用件でしょうか?」
「いやなに。そこの二刀流の少年が面白い事をしたのでな、少し気になって声を掛けたって訳だ」
「面白い事?」
その一言に俺は焦る。
ヤバい。ラークに全員脱落させた事をバラされる。
帰ったらラークとレンからのお説教とか嫌すぎる。
「隊長!その話は…」
「まさか弱そうだとバカにされて、切れて全員脱落させるなんて前代未聞だったからな!」
おわたー。
ラークの顔を見るのが怖すぎる…。
「コウ…。帰って詳しく聞く必要があるね」
「待て!ラーク!これには深い事情があるんだ!だからレンにだけは伝えないでくれ!」
レンに言われたら、またプンスカとお説教される。
「はっははは」
オズ隊長が大声で笑い出す。
「やはりお前達は面白いな!是非受かって俺の部下になってもらいたいものだ!」
勘弁してくれ…。
俺は貴方のことちょっと嫌いになりましたよ。
その後激励の言葉をもらい隊長と別れて家に帰る。
当然ラークとレンに怒られたのは言うまでもない。
「オズ隊長…。恨むぞ」
■■■
次の日になり、街の闘技場へ来た。
闘技場のロビーにはトーナメント表が貼り出されていた。
「あら、コウとラークは両端だわ」
「やったな!これでラークとは決勝まで戦わずに済むぜ!」
「そうだね、僕達の勝負は決勝までお預けだね」
正直ラークとは五分五分の力だから途中で当たっていたら厳しかったけど、なんとかなりそうだ。
「二人共頑張ってね!私は観客席で応援してるね!」
本日は一般の客や王族や貴族も見ている。
恐らく私兵に雇ったり、ギルドの冒険者が仲間を探していたりとかでかなり大勢いる。
「じゃあ、俺達は控え室に行こうか」
「そだね」
二人で控え室を目指す。
「よう!お前達!」
控え室に着くと声を掛けられる。オズ隊長だ。
「おはようございます!オズ隊長」
「おう!今日も面白い戦いを期待してるぜ!」
「勘弁してくださいよ…」
「くくくっ。まぁお前達はほぼ合格しているからせいぜい頑張れや」
オズ隊長との挨拶もそこそこに試験が始まる。
「それでは皆さん。会場へとお願いします。」
やはりこういったイベントには華が必要なのか、綺麗なお姉さんに案内され、トーナメント会場へと向かう。
「すげ〜人の数だなぁ」
「そうだね。この人数に見られると、流石に緊張しちゃうね」
会場は2万人位入りそうな程の大きさだ。
この中で戦うのは流石に緊張するなー。
トーナメントのルールが説明される。基本的には予選と同じだが、こちらは全て自分の持ち物での対戦となる。
参ったと言うか、致命傷を負わされたら負けとなる。
真剣だから相手次第では死者も出るみたいだ。
「以上がトーナメントの決まりとなります。それでは第一試合の方以外は控え室か観客席へとお戻り下さい」
他の選手達が出て行く。
俺は第一試合だから残っているけど。
「コウ。僕と決勝で戦うまで負けるなよ」
「当たり前だ!この前負けたからな、ラークに勝つまで負けるつもりはねーよ」
お互いに拳を合わせる。
ラークが笑う。俺も釣られて不適に笑う。
さて、負けられない理由があるからな。いっちょ気合入れて戦いますか。
そして、第一試合が始まる。