第三話 開花
あれから一ヶ月が過ぎた日の夜にラークが提案してきた。
「コウ!レン!お金もだいぶ貯まったし、明日は三人で街の紋章屋に行こう」
この世界では紋章屋に行き、紋章を授かる事ができるのだ。
人によってどの紋章がどこに刻まれるかはわからないけど…。
「やっと俺達にも魔法が使えるようになるんだな…」
魔法とは無縁だった俺からしたら魔法が使えるようになると思うと感慨深い。
「なぁにコウ、そんなに魔法が楽しみなの?」
「勿論だよレン!」
「でも、魔法や紋章が与えられるか、わからないのよ?」
そうなのである。
この世界には色々な紋章がある。身体強化系の紋章やら、生活系の紋章やら役職系の紋章まで様々だ。
俺の引き次第では魔法が使えない可能性がある。
「まぁなるようになるだろ!」
「もぉー!コウはお気楽なんだからー」
レンがぶーたれている。
「まぁまぁ、とりあえず明日は三人で街に行こう」
■■■
翌日になり街に着いた。いつみてもデカい!
まぁここはガルド王国の本拠地だから城なんかもある。
城には入ったことはないけど、見た目はめちゃくちゃデカい。
来年には入隊試験を受けて、この国の兵士になる予定だ。
「紋章屋はあっちだよ」
三人で紋章屋に向かう。
「ん?紋章屋だけやけに人が多いなぁ」
紋章屋の周りに人が集まっている。
「すみません。今日はなにかあったんですか?」
「なんでも王子と王女が紋章開花の儀に来ているらしいよ」
なるほど、王族が来ているからこんなにも人が多いのか。
「この様子だと時間掛かりそうだけど、二人共どうする?」
「私は二人に任せるよ」
「俺は王族がどんな紋章を授かるから見てみたい」
「わかったよ、僕も興味が無いわけじゃないからね」
遠巻きに中の様子を伺う。
「あの二人が王子と王女か…」
キツい目の男の子と、少し物静かな可憐な女の子。
流石は王族、周囲と雰囲気が全然違う。
「ルカ様、ジーナ様それでは始めます」
紋章士が右腕を掲げると紋章士の紋章が光りだす。
その光と呼応する様に王子と王女が光に包まれる。
なるほど、これが紋章開花の儀か。
「どうですか?良き紋章に巡り会えましたか?」
紋章士が二人に聞いている。
「あれ?その場で発表とかされないのか?」
「自分の紋章でわからない事があれば、鑑定屋に行って詳細を聞くことが出来るみけど、この場では本人しか内容はわからないよ」
紋章開花の儀はあくまでも紋章を開花させるだけで、その後は独学で紋章の特性を把握するか、鑑定屋に行って大まかな内容を把握する必要があるのか。
「まあ、王子も王女も城にお抱えの鑑定士がいると思うから、僕らにはどんな紋章か分からないけどね」
ラークのその言葉により野次馬根性が無駄に終わった……無念。
「さて、それじゃあ一通り見終わったから、僕らは紋章屋が落ち着くまで昼食でも食べようか」
「「さんせーい」」
昼食を食べて再度教会に向かう。
先程と違い紋章屋の周りは人が少ない。
「これなら大丈夫そうだな!」
紋章屋に入り、金貨を三枚支払う。
お金の価値は日本に換算すると、銅貨一枚が百円・銀貨一枚が千円・金貨一枚が一万円・聖金貨一枚が10万円の価値があるらしい。
日本と違い物価の価値はそこまで高くないようだ。
「それではお三方共、心の準備はよろしいですか?」
俺達はうなずく。
紋章士が右腕を掲げて俺達の体が光りだす。
少しすると光が収まり、右手と左手に紋章が現れる。
「ん?二つ?」
紋章を見てもなんの紋章かわからない。
「凄いよコウ!二個も付与されるなんて聞いたこともない!」
ラークが興奮気味に言ってくる。
「本当ね!それに私達三人とも見たことがない紋章だわ」
レンも興奮気味だ。
「お三方共良き紋章に巡り会えたようですね」
紋章士のお姉さんにお礼を言い、紋章屋を後にする。
「うーん、僕達の紋章がなんなのかまるで検討が付かないね」
「そうね…」
二人も自分の紋章がどんなのかあまりわかってないようだ。
「じゃあ鑑定屋に行って、鑑定してもらおう!」
そう言って鑑定屋に向かうのであった。