第二十二話 傭兵団
「っは!」
目が覚めた。随分と懐かしい夢を見ていたようだ。
「知らない天井だ」
お決まりの台詞をつい呟いてしまう。
「いたっ!」
身体中が痛みで悲鳴を上げている。
辺りを見渡せばどこかの部屋の一室みたいだ。
「そうか、俺はあの時崖から飛び降りて…」
そのまま王国軍に捕まってしまったのでは?
そんなが不安が頭を過ぎる。
「っつ!ラーク!」
辺りを見回しても、ラークの姿はない。
「ラーク!どこだ!」
痛みで悲鳴を上げる身体を無視して声を出す。
「っお!奴さん、ようやく起きたか」
部屋の外から声が聞こえる。
姿を表すと、20代後半位の筋肉質な男が出てくる。
「貴方は?」
コウはルカの安否を気にしつつ、今置かれた現状を把握する為に目の前の男に返事を返す。
「俺の名はウォルフ、同盟国に所属している傭兵団の一人だ、川で打ち上げられたお前さんをここまで運んだ、命の恩人でもある」
ウォルフがそう話す。
(やはり俺は打ち上げられていたのか)
コウがウォルフの言葉を聞き、大体の事情を把握する。
「質問だ、お前は誰で、どーして川から流れ着いた?」
有無を言わさない目が俺に突き刺さってきた。
これは誤魔化しようが無さそうだ。
悪い人では無さそうなので、真実を話すことにしよう。
「ウォルフさん、これから話すことは全て本当の事です」
俺は経緯をウォルフさんに話す。
話していても、自分が話している内容が信じられない事だったので、理解されるか不安だった。
「なるほどねー、何故王国軍の鎧を着た兵士が川から流れ着いたのか、ようやくわかったよ」
ウォルフはなるほどと、腕を組んで納得する。
「カイトお前はどー思う」
ウォルフさんが後ろを振り返り、誰かに話しかける。
「そうだな、嘘を言ってもいるわけではないようだ」
ウォルフさんの隣に、カイトと言う男が姿を見せる。
「俺はカイト、よろしくな」
爽やかな笑みを見せる。
「僕はコウ、よろしくお願いします」
「とりあえずお前は早く怪我を治せよ、あと治ったら仕事をしてもらう、働かざる者食うべからずだからな!」
カイトがそう言う。
「わかりました、よろしくお願いします」
■■■
一週間が経ち、怪我が治った。
「よし!だいぶ治ったな!」
この一週間で今起こっている事が大体わかってきた。
王国はどうやらあの事件を切っ掛けにして、同盟連合国に戦争を起こそうとしているみたいだ。
そしてこの傭兵団の砦が目障りな為、攻めてくる可能性が高いようだ。
「その前にラークを見つけないと」
傭兵団の団長ウォルフさんと副団長のカイトさんにラークの捜索もお願いしている。
なかなか見つからないみたいで、今の所動くに動けない状況だ。
「命の恩人でもあるこの傭兵団でとりあえず仕事をしよう」
そこから更に二週間仕事をしながら情報を集めるのであった。