第十六話 コウVSラカン 1
「少年達よお互い一対一でやり合わないか?」
ラカンさんが提案する。
ラークの方を向くとラークが頷いてくる。
俺とラークの紋章魔法は相性が良すぎて凄まじい威力が出てしまって危ない。
ここは別々に戦った方が良いだろう。
「それじゃあケインさん、あちらに行くので着いてきてください」
「いいだろう」
ラークとケインさんが離れて行く。
「行くぞ!少年!」
「ガキィン!」
剣と剣がぶつかり合う音がこだまする。
「流石だな少年、だが…甘い!」
腹に蹴りを入れられ吹き飛ばされる。
「ぐっ」
やはりあの準決勝の時は本気ではなかったんだ。
あの時よりも更に速くて重い。俺も本気を出さなければ勝てないな。
両手に持つ剣に力を入れる。
「ラカンさん…行きます」
次はこちらから仕掛ける。
上段と横から斬撃を加える。
「ぬ!」
上段切りをいなされるが、横斬りは僅かに掠る。
「ふむ、流石だな。ならばこちらも本気でゆくぞ!」
ラカンさんが右手を掲げる。
「我、焔騎士の紋章よ!力を示せ!」
掛け声と共にラカンさんの体が炎に包まれる。
「待たせたな少年よ、第二幕と行こうではないか」
炎を体と大剣に纏っている。
まともに食らえばひとたまりもないだろう。
ラカンさんが突っ込んで来る。
「っく!」
上段からの斬り下ろしをなんとか受け流す。
(不味い…あまりの衝撃に受け流しきれなかった)
気付くと剣にヒビが入っている。
全身炎を纏っている姿はまさに炎鬼。
軍から支給されている剣では攻撃も防御もままならない。
再度ラカンさんが踏み込んでくる。
「うおー!」
応戦をしようとするが…。
「パキン」
澄んだ音とともに、剣が半ばから折れてしまう。
「少年、中々頑張ったがここまでのようだな。ケインも副隊長だが、俺と同等の強さを持っている。あのラークといった少年も次期に君の後を追う事になるだろう」
ラカンさんは残念なような、微妙な顔をしている。
「ラカンさん、流石です。だけど俺もラークもこんな所で死ぬ訳にはいかないんです」
「ほう、ではどうするのかな?」
「こうするんですよ!」
左手を掲げる。
「剣の紋章よ!我に力を!」
左手の紋章が輝く。
「来れ!魔剣ティルヴィング!聖剣フラガラッハ!」
虚空が歪み二つの剣が出てくる。
「ラカンさん、最終幕…行きますよ」
そうして再び激闘は開始されるのであった。