第十一話 家
会場の外に出ると、レンが男三人に声を掛けられている。苦笑いしながらなにやら困っている。
レンをナンパか…ぶっ潰す!
一人の男がレンへと手を伸ばそうとする。
ここはその手を掴んでカッコいい所を見せなければ。
そう思って飛び出そうとした瞬間。
「やめて…下さい!」
掴もうとしていた男をレンが躱して投げる。
「「・・・」」
そうだった…レンはめちゃくちゃ強いんだった。
あの可憐な容姿からは想像もつかない実力を持っているんだった…。
周りの全員が唖然としている中。
「あ!コウ!ラーク!お疲れ様!決勝戦凄かったね!」
天真爛漫に俺達を労ってくる。
違うんだよレン…今はそんな普通に話せる雰囲気じゃないんだよ…。
「て、てめーら!」
ほら、投げ飛ばされた奴が怒ってらっしゃる。
「なーに貴方達、しつこいよ!」
っあ。こりゃあかん。レンも怒ってきた。
「はぁ。悪いんだけど、俺達の連れだから他を当たってくれない?」
「ふ…ふざけんじゃねー!」
四人の男が襲いかかってくる。
まぁチンピラ如きに負けるわけないんだけどね。
「改めて。二人共、お疲れ様!」
何食わぬ顔でレンが言う。先程起こったことは無かった事になっている。
「「あ…ありがとう、レン」」
俺達はその天然な性格にタジタジだ。
気を取り直して演習の話をする。
「そうなんだ…一ヶ月も私一人なんだね…」
演習の話をした時のレンは少し寂しそうに笑っていた。
「今日はお祝いに二人の好きなもの一杯作ってあげる!」
「「やったー!」」
「買物して帰りましょ」
三人で買物をして家に帰る。
家は街から少し離れた丘の上にある。
「少し寄り道して行かないか?」
家の横にある大きな木が生えている場所は街が一望できる。
俺達はここの場所ご大好きだ。
夕陽に当てられて三人で街を見る。
「いよいよ兵士になれるね」
「そうだな、夢への第一歩だ!」
「頑張ってね!応援してる!」
「レンも兵士になれば良かったんじゃないか?」
「んーん、私は大丈夫。二人の帰る場所を守るの方がいいの」
「そっか…。ありがとう」
「よし!俺は師団長までのし上るぞ!」
「僕も負けないよ!」
三人で決意を新たにする。
「さぁ二人共!帰ってお爺様にご挨拶しましょ」
三人で家へと帰る。
家に着き、裏庭に行く。
そこにはひっそりとお墓が建てられている。
「ダリル爺、僕とコウが今日兵士になりました。ダリル爺のような英雄になれるように、精進していきます。いつまでも見守っていて下さい」
「じっちゃん。俺達は元気にやってるよ!いつかじっちゃんを超えるように頑張るぜ」
「お爺様私は二人が無茶しないように見守っていきますね」
三人が三様の挨拶をする。
「さて、じゃあご飯にしましょ!」
レンの一言で三人はまた家の中へと戻っていくのであった。