第一話 目覚め
「っは!」
辺りを見回す。どうやら夜みたいだ。
「確か…俺は交通事故に遭って…」
一遍に色々な情報が頭に入ってきて頭が痛くなる。
どうやら死んで異世界に転生してしまった様だ。
一つずつ今の現状を思い出す。
俺の名前はコウで、年は14歳。昨年に引き取られてから育てて貰っていた、ダリルが死んでから一つ上の男の子のラークと同い年の女の子レンと三人で暮らしている。
「まさか異世界に転生するなんてなー」
自分に起きた事が信じられない心境だ。
確か高校からの帰りに交通事故に遭って…。
「そのまま死んでしまったんだな…」
普通ならそこで女神やら神が出てくるもんじゃないのか?
異世界転生の定番だとそんな感じになると思うんだが、何故か目覚めたら異世界に転生して一人の男の子になっている。
「まあ考えても仕方ないか」
今は海斗だった時の記憶より、コウの記憶の方が強い。
亡き育ての親ダリルが英雄だった事から、自分も英雄になりたくて、日々修行をしているみたいだ。
「とりあえず明日も早いから今日はもう寝よう」
正直死んだショックとかより、剣と魔法のファンタジー世界に転生した、これからの事を考えると少しワクワクしている自分がいる。
■■■
「コウー!朝だよー!」
女の子の声で目を覚ます。
「ほら!朝ごはんできたから、起きて起きて!」
起こしてくれた子の名前はレン。
栗色の髪を肩まで伸ばしている可愛らしい女の子だ。
「おはよう、レン」
「おはよう!ラークはもう待ってるから早くきてね」
レンはそう言って部屋から出て行く。
俺も行くか。
居間に着くと、テーブルに一人の男が座っている。
「おはようコウ、今日はいつもより遅いね」
彼の名はラーク、一つ年上の男の子だ。
ブラウンの髪で優しそうな印象を受ける。いわゆる爽やかなイケメンだな。
「おはようラーク、昨日はなんだか眠れなくてな」
軽く会話をした後に席に着く。
「「「いただきます」」」
ご飯を食べ出す、レンの作るご飯はめちゃくちゃ美味しい。
ついつい食べ過ぎてお腹がパンパンになってしまう時があるから注意が必要だ。
「コウ、この後鍛錬と狩りに行こうか」
「わかったよ」
毎日ダリルに教わっていた修行も欠かさずに行っていく。
早く軍に行き、立派な兵士になるんだ。
「私も鍛錬は付き合うからね」
女の子のレンもダリルからの教えを受けていた。
「よし!三人でもっともっと強くなろう!」
俺は二人に向けて気合を入れる。
今日も長い1日になりそうだ。