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魏延が行く  作者: あひるさん
第十一章 北伐
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思いがけない援軍

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

魏延は法正率いる本隊と別れた後、黄河方面に向かい南岸に到着した。


「法正軍師からは焦らず着実に進めて欲しいと要請されたがどうするべきか。」


魏延は集まった諸将に意見を求めた。


「渡河した後が重要になります。予定通り直接晋陽に向かうか、上党を攻めて後顧の憂いを無くしてから晋陽に向かうかになります。」


「上党へ向かうべきです。我々は少数なので晋陽を攻めている最中に背後を取られると厄介な事になります。それに上党を取れば河北に居る晋軍も兵力を分散させる必要がありますので晋陽も攻めやすくなります。」


馬忠の提案を受けて姜維は上党攻撃を進言した。魏延率いる別働隊の総数が少ない事から慎重に事を運ばなければならない上に魏軍の動向が分からない状況下で憶測で動く事は出来ないという考えからである。


「姜維将軍の案が上策かと思いますが兵の数が足りませんな。上党はともかくとして晋陽にはそれなりの守備兵を置いていると思われますので。」


呉班も姜維と同じ意見だが兵の絶対数が足らないので何らかの手立てを講じる必要があるという考えを示した。


「確かにその通りだ。荊州と漢中に使者を走らせて増援を願い出るか。」


魏延も進軍するには兵の数が足りないと思っていたので使者を出して援軍を乞う方向で動く事を決めた。北伐開始を受けて劉備は南鄭に進駐して仮の本拠としているので使者を送りやすい状況になっていた(成都には諸葛亮が残り献帝の補佐役を任されている)。


魏延が援軍要請の書簡を作ろうとした時、外が騒がしくなった。

しばらくすると兵士長が幕舎に現れた。


「お取り込み中、申し訳ございません。」


「何かあったのか?」


魏延は敵襲ではないと分かっていたので手を止めずに要件を訊ねた。


「魏延将軍、上庸から馬謖様と傅士仁様がお見えになりました。」


「二人が来たのか!私が出迎えよう。」


魏延は一瞬驚いたが筆を置くと直ぐに立ち上がり、笑みを浮かべながら外に出ていった。


◇◇◇◇◇


「二人共良く来てくれた!」


魏延は馬謖と傅士仁に近付くと肩を叩いて二人を労った。


「急に伺いまして申し訳ございません。」


「気遣いは無用だ。二人が来たのは援軍と考えて良いのか?」


「その通りです。劉封様から魏延将軍を助けるようにと命じられました。」


「荊州内の巡視役を命じられていたので太守共々意気消沈しておりました。しかし、劉封様の配慮で将軍の下で暴れられる事になり喜んでおります。」


馬謖は文官職が性に合っていたので太守として頑張っていたが魏延配下の頃のように戦場で働きたいと思っていた。傅士仁も北伐に参戦出来なかった事で悔しい思いをしていた。劉封から思いがけない命令を受けた二人は後任に引継ぎを終えると兵を率いて早々に北上した。


「これで全力で攻める事が出来る。」


魏延は馬謖と傅士仁に軍議の内容を話して上党攻撃の理解を求めた。


「姜維将軍の言う通りに上党を全力で攻め取り軍を二分させて晋陽に向かうべきです。魏の旧臣に我々の動きが伝われば晋陽攻撃の際に助けとなるかもしれません。」


馬謖も姜維と同じ考えだったので魏延は全軍に上党攻撃を指示、同時に渡河の準備を始めた。


◇◇◇◇◇


魏延は張達と范彊を呼んで渡河に必要な船を集めるよう指示を出した。


「舟の準備にどれだけ要する?」


「半月頂ければ間違いなく揃えます。」


張達は呉班に命じられて予め周辺の村落を回って船の数を調べていたので必要な日数を答えた。


「それは長過ぎる。何とかならないか。」


魏延は黄河北岸にこちらの動きが知られる事を危惧して案を認めなかった。


「十日は絶対に必要です。」


張達は資料を見直してこれ以上の譲歩は不可能だと前置きをして数字を出した。


「それで構わない。二人で手分けして半数ずつ集めてくれ。ただし無理だと判断した時は即座に知らせるように。」


魏延は張達の表情を見てこれ以上の要求は難しいと判断して案を了承した。


「張達は文官向きだな。馬忠や馬謖の下で働く方が性に合っているように見える。」


「某に預けて頂けませんか?馬忠殿の役目を任せる者が我々には居ない状況なので。」


馬謖は率いる軍に馬忠のように軍政を任せる事が出来る者が居ないので自ら兼務している状況だった。先程のやり取りを見て適任者が見つかったと思っていたので魏延の発言を上手く利用する形になった。


「それなら渡河が終われば君に預けよう。」


魏延は援軍を出した馬謖の頼みだったので要請を二つ返事で引き受けた。

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