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魏延が行く  作者: あひるさん
第九章 荊北攻防戦
74/120

第74話 包囲殲滅策

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

魏延から指揮権を委譲された馬忠は益州生まれで劉備が夷陵で大敗した際に救援部隊を率いて永安に馳せ参じた。その時劉備から能力を買われて諸葛亮の下で補佐役として活躍した。寛大で公正かつ度量があり異民族からも慕われる稀有な人材だった。


現世では劉備の使者として荊州を訪れた際に魏延から請われて配下に加わった。魏延も補佐役としての能力を買っており物資の管理役から副将まで幅広く任せていた。


*****


「魏延、借りを返して貰うぞ!」


「悪いが負ける訳にはいかんのだ!」


夏候覇は猛然と魏延に襲い掛かった。魏延は夏候覇の攻撃を冷静に受け止め、別働隊が包囲する為の時間を稼いだ。


「貴様、手を抜いているのか?」


「手を抜くだと?戦いの最中にそんなふざけた真似など出来るか!」


夏候覇の問い掛けに魏延は内心驚くと共に流石は名将夏候淵の血を引く良将だと感心していた。前回とは異なり魏延は手数を減らして夏候覇に勢いづかせて確実に包囲網の中に引き込もうと企んでいた。夏候覇は魏延の戦い方に違和感を覚えたので不意に問い掛けた。経験が浅い事が災いして魏延の返答を信じてしまった。


*****


夏候覇が優勢に攻めている一騎打ちは数十合に及んだ。魏延は周囲に注意を払いながら戦っていたが夏候覇の勢いが増してきたので一騎打ちに専念しなければ拙い状況になってきた。


「将軍、合図が!」


「夏候覇様、後方に敵軍が現れました!」


馬忠が魏延に合図が見えた事を知らせるのと同時に自軍兵士から夏候覇にも伏兵が現れた事が知らされた。


「しまった!」


「夏候覇、どうする?」


「血路を開いて退くまでだ!」


夏候覇はあっさりと引き下がり兵を纏めると退却し始めた。


「反撃開始だ。包囲網を狭めろ!」


魏延は反転北上を命じると自身も魏軍の後を追い掛けた。


*****


張苞と関興が率いる右翼軍、鮑隆と鄧芝が率いる左翼軍は包囲が完成すると同時にその網を狭めていった。事前に魏延から死中に活を求める者に手を出せば痛い目に遭うと注意されていた事もあり速度は緩やかにしていた。


魏軍総大将の夏候楙は包囲された事に気付いた後も退却せず兵士を先に逃がしつつ夏候覇との合流後に退却しようと考えていたので荊州軍の攻勢を撥ね除けつつ夏候覇の退却を待った。


夏候楙は樊への援軍は出したところで間に合わないと考えており消極的だった。しかし援軍を誰も引き受けようとしない中、夏候覇が手を上げて夏候楙に助力を求めてきた。一族の要請を断るなど道義に反する上に曹操の女婿という立場なので下手に反対して曹丕の顔に泥を塗る真似も出来ない事情があった。


前世の夏候楙は文官で武芸に関してはからっきしだったが現世では夏候淳の血を受け継ぎ武芸にも秀でている。その事から包囲されても真っ先に逃げ出す事なく夏候覇と合流した後は自ら殿軍を務めるつもりでいた。


夏候覇は無事に夏候楙と合流した。夏候楙は夏候覇を先に行かせようとしたが夏候覇は聞き入れず二人で殿軍となり退却を始めた。魏軍は大崩れしていたが二人の士気は非常に高く荊州軍の攻撃を次々と退けた。


鮑隆と鄧芝は魏軍の勢いが尋常ではないと判断して退路を塞がず敢えて逃がす形を取った。そして張苞と関興に対して厳しく追い立てず緩やかな追撃を命じた。両名は指示通り適度な距離を保ちつつ追撃を行い新野近郊に達した所で進軍を止めた。


*****


魏軍は援軍に向かった将兵の大半を失い新野の将兵を加えても籠城するには厳しい状況になった。夏候楙は新野太守の楽進と協議して許昌に救援を請う使者を送り、隣接する宛に対しても同様の使者を送った。


一方の魏延は鮑隆・鄧芝と合流してから新野へ向かい、郊外に陣を築いていた張苞と関興に合流した。兵力的には魏軍を上回っていたが城攻めを自重して龐統・関羽ら主力部隊の到着を待った。

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