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魏延が行く  作者: あひるさん
第九章 荊北攻防戦
70/120

第70話 魏延北上

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

龐統と関羽の援軍が到着したのを受けて鮑隆と鄧芝は樊城攻撃を開始した。龐統が指揮を執っている事もあり荊州軍は勢いがあり、魏軍は反撃の機会すら与えられず防戦一方だった。


「軍師、新野からの敵援軍が来れば魏延だけでは支えきれないのではないか?」


「それは重々分かっているよ。かと言って誰かを応援に差し向けたら此処を落とせないからね。」


「早々に片を付けたいが満寵相手では事が上手く運ばない。」


樊を守っている満寵は武芸については人並みだが戦の駆け引きについては魏軍において一目置かれる程である。覆す事が困難な状況の中で守備隊を巧みに操り荊州軍の攻撃をいなしていた。


「関羽将軍、心配しなさんな。劉封様を通じて手は打ってあるよ。」


「それなら心置きなく戦える。」


「あっしらは樊を落とす事に集中すれば良いよ。」


関羽は懸念していた事が龐統の答えで解消されたので督戦する掛け声にも一層力が入った。


*****


「龐統軍師と関羽将軍率いる援軍が樊に到着、鮑隆将軍の主力部隊と合流致しました。」


「時間は掛かるだろうが樊は落とせるだろう。」


「早々に落とせると思いましたが。」


「満寵は文官であるにもかかわらず要衝である樊を任されている。相当な切れ者なのは間違いない。龐統軍師と関羽将軍でも攻め倦ねるだろう。」


「結果的に于禁が居なくなった事で防衛に専念出来る状況になったというわけですね。」


「我々は後方を気にせず新野からの敵援軍を食い止める事に専念するだけだ。」


魏延は状況報告に訪れた兵士に自身の考えを語った。二人の考えは何れも的を得ていた。兵士には語らなかったが新野に居る魏軍の数が掴めていないので率いている数で食い止める事が出来るかどうかは分からず顔には出さなかったが魏延は懸念していた。


*****


江陵で荊州を統括している劉封は龐統からの要請を受けて補佐役の韓玄を招いて対応を協議する事にした。


「韓玄殿、龐統軍師から魏延に援軍を出して欲しいと要請があった。」


「樊を守る満寵に苦戦すると踏んでの事ですな。」


「私自ら援軍に向かいたいがそれは無理だろうな。」


劉封は劉備の一族である事情もあって交州侵攻以来前線に出る事が無くなっていた。劉封の武勇は関羽や張飛ら前世における五虎大将軍には劣るものの魏延や関平等と互角だと言われていた。それ故自身が助けに行けない事に対して嘆いていた。


「劉封様が動かれる時は魏との決戦の時です。自重して頂かなければなりませんぞ。」


「分かっている。しかし魏延を失えば荊州軍は鼎の支えを失うのと同じだ。」


魏延は途中から劉備陣営に加わった事と前世において劉封が周囲から時折軽んじられていた事を知っていたので何かにつけて劉封の事を気に掛けており上将として立てていた。劉封もその事を恩義に感じており何とかして手助けをしたかった。


「劉封様の懸念はご尤もです。早急に援軍を編成して魏延将軍の助けと致しましょう。某が我が君より預かっていた者に一軍を与えて魏延将軍の下へ向かわせます。」


「援軍の件は韓玄殿に一任する。宜しくお願いする。」


「承知致しました。」


その翌日、韓玄が援軍を任せる為に連れて来た者を見た劉封はニヤリと笑った後、一軍を預けて荊北に送り出した。

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