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魏延が行く  作者: あひるさん
第九章 荊北攻防戦
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第66話 再び荊州へ

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

魏延は孫劉同盟再締結の知らせを聞いた。当面の間は将兵の鍛錬に努めて来たる北伐に備えるつもりで準備を進めていた。その矢先に張松が上庸を訪れた。


「魏延将軍に再度襄陽を任せたいと我が君が仰せです。」


「襄陽ですか?」


陳到が襄陽に戻り、江夏には趙雲が入って長沙は適当な人物を充てると思っていた魏延は張松に確認し直した。


「陳到将軍が江夏太守として呉を監視する事になりまして、その後を任せるなら経験のある魏延将軍が適任だと我が君が申されました。」


「そういう事情でしたか。急ぎ準備を整え襄陽に向かいます。」


「後は傅士仁将軍に任せよとの事です。険しいとはいえ間道を通じて雍州と境を接しているので警戒は怠らないようにと我が君は仰せです。」


「あ、有難き幸せに御座います。一身を賭して太守の任を全う致します。」


魏延は襄陽太守へ異動となり再び荊州に戻る事が決まった。陳到が江夏太守として呉を監視する事になりその後任に据えられた。上庸での役目を事実上終えた魏延だったが短期間の内に再び対魏最前線へ戻る事になった。後任には傅士仁が選ばれ馬謖が補佐役に就く事が決まった。


「傅士仁、何かあれば馬謖の意見に耳を傾けろ。」


「心得ました。」


「馬謖、自分を過信せず何事も一歩引いた立場で物事を考えて判断するのだ。」


「承知致しました。」


「二人には北伐が始まれば力を借りる事になる。将兵を鍛えつつその時を待っていてくれ。」


魏延は傅士仁と馬謖に手向けの言葉を送り今までの働きを労った。二人は魏延の下で鍛えられて今日の地位を手に入れる事に繋がったので喜びもひとしおだった。魏延は準備を終えると鄧芝を伴い襄陽向かった。


*****


襄陽に着いた魏延は太守代理を務めていた関羽と引き継ぎを行った。樊城の魏軍に動きは無く、睨み合いが続いている状態で、前世と同じく太守曹仁が補佐役に満寵を据えて守りを固めていた。関羽は専守防衛と水軍の強化を依頼して江陵へ戻った。


魏延は襄陽に構えていた屋敷に家族を呼ぶ為、使用人夫婦と共に掃除をしていた。魏延は近衛軍大将在任中に劉備と孫尚香の紹介で後宮に仕えていた女性と結婚して子供(女児)を設けていたが荊州争乱の絡みで顔を一度見ただけだったので魏延は再会を楽しみにしていた。


「魏延様、客人がお見えになられました。」


「名前を名乗っていたか?」


「鮑隆と聞いております。」


鮑隆は桂陽の趙範に仕えていた武将である。劉備による荊南四郡侵攻の際に降伏したが趙範と趙雲の間で揉め事(趙範が身内に居る未亡人を趙雲に嫁がせようとして趙雲の怒りを買った)が起きた時に同輩の陳応と共に趙雲を暗殺しようとしたが失敗に終わり二人共処断された。現世でも趙範に仕えていたがその企みに加わらず桂陽を去って姿を隠していた。魏延は長沙に居た頃、桂陽に虎殺しの凄腕の武将が居ると聞いていたので面識は無かったが名前だけは知っていた。


「襄陽太守、魏文長と申します。」


「鮑隆と申します。お会いして頂き感謝致します。」


「今日はどうされましたか?」


「劉備様にお仕えしたく思い、将軍を訪ねさせて頂きました。」


鮑隆は魏延に理由を語り始めた。趙範は恥を掻いたと趙雲に復讐したいと相談した。陳応が趙雲を饗応してその際に暗殺すれば良いと言い出したので反対した。趙範が恥を掻かされたと云うものの原因は趙範自身にあるので筋違いである上に失敗するのが目に見えていた(陳応が趙雲の足下にも及ばない事を鮑隆は分かっていた)。反対しても言う事を聞かない趙範に愛想を尽かした鮑隆はその日の夜に出奔して桂陽を離れた。その後は襄陽に居た知人を頼って農夫として暮らしていた。


「劉備様は帝を保護され、近く魏を討伐するという噂を聞きましたので某も役に立ちたいと思いまして将軍を訪ねた次第です。」


「虎殺しの貴殿が加わりたい事を聞けば我が君も喜ばれるでしょう。江陵に居る劉封様に知らせを送りますので某の客将と言う身分でお願いしたい。」


「将軍のご配慮に感謝致します。」


後日劉封から返事が来て裨将軍として魏延の配下となった。魏延の下に胡車児と肩を並べる程の猛将が加わり、戦力に厚みを増す事になった。

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