第60話 西涼騎馬隊
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登場人物の字が分からない為、作者で独自に付けております。
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呉軍は陸路と水路に別れて荊州に侵入した。陸路を受け持つ呂蒙は所々に設置されている烽火台や砦を落としつつ江陵へ向かった。
「大都督、違和感を感じませんか?」
「違和感?」
呂蒙は朱桓に怪訝そうな表情を見せた。
「上手く行き過ぎているような気がするのです。幾ら同盟しているとはいえ無警戒過ぎませんか?」
朱桓は建業で張松が水軍兵士に無礼を働かれた一件を耳にしていた。張松がその事を劉備や関羽に話していれば何らかの対応を取る筈だと考えていた。しかし国境は普段と変わらず少数の兵しか居らず強いて言うなら烽火台が多数築かれているだけだった。また長沙に居る筈の趙雲が全く動きを見せていない事がそれに拍車を掛けていた。
「そうは思わない。我々を警戒しているのは烽火台や砦を築いていた事が証明している。」
呂蒙は淡々と持論を語ったが朱桓に対して余計な真似をする愚か者だと思うようになった。
「確かにそうですが、釈然としないものがあります。」
「警戒していなければ趙雲も樊攻略に向かっているとは思わないか?あの男を長沙に留めている事がそれを証明している。」
呂蒙は食い下がる朱桓に対して嫌悪感を露わにした。
「申し訳ございません。某が出過ぎた真似を致しました。」
朱桓はこれ以上言えば雰囲気を悪くすると思い、呂蒙に一言詫びると馬を自軍に向けた。
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馬超率いる涼州軍は江陵の東南に位置する小高い丘に陣取り呉の動きを探っていた。
「馬超様、呉軍を発見致しました。街道沿いに江陵へ向かっております。」
「ご苦労だった。引き続き偵察に当たってくれ。」
「はっ。」
義弟の馬岱が偵察に向かう兵士と入れ替わるように近付いてきた。
「兄上、いよいよですね。」
馬岱は何時ものように笑みを浮かべていた。
「そうだな。仲夏(馬岱)よ、我々は呉軍の勢いを削ぐ事が主目的だ。」
「承知しています。張飛将軍が呉軍を押し留める事に成功するまで繰り返し、成功すれば無差別に暴れて構わないでしたね?」
涼州軍は西涼騎馬隊を以て呉軍の横腹を繰り返し突き抜け分断させるよう命じられた。龐統は速さを重要視しており騎馬兵のみで構成されている。よって率いる兵数も二人合わせて五千に留まっていた。
「その通りだ。張飛将軍からは獲物を残してやるから心配するなと言われたがどうだろうな?」
馬超は出発前に起きた張飛との遣り取りを思い出して笑顔を見せた。
「張飛将軍の言葉に期待するしかありませんね。」
その遣り取りを近くで見ていた馬岱も思い出して苦笑した。
「それでは行くぞ!」
馬超は愛馬に跨がり将兵に号令を掛けた。
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ドドド…。
「北の方から何か聞こえないか?」
「確かに聞こえるな。」
呉の中軍を構成している蒋欽軍の兵士は変な音を耳にしていた。
「行軍中の私語は慎め。」
ひそひそ話も人数が多くなれば大きい音になる。それに気づいた蒋欽が近くに居た兵士に注意した。
「申し訳ございません。蒋欽様、北の方から音が聞こえませんか?」
「ん、これは何の音だ…?」
ドドドドドと地響きのような音が急速に近づいて来た。
「何だ?」
暗闇の中から現れたのは馬超率いる西涼騎馬隊だった。
「て、敵襲か?!」
蒋欽は慌てて迎撃態勢を取ろうとしたが間に合わなかった。
「我は西涼の馬孟起!」
蒋欽は恐ろしい速さで自身に近づく先頭に立つ者が叫んだ声を聞いた。
「ば、馬超だと?一体、どうなっているのだ?」
馬超は慌てふためいている蒋欽とすれ違いざまに長槍を叩きつけた。
「ぎゃっ!」
不意を突かれた蒋欽は落馬して全身を打ち付けて動けなくなった。
「このまま南に抜けるぞ!」
馬超は騎馬隊を鼓舞しつつ蒋欽隊を斜めに横切るように突き抜けて南の方角へ走り去った。蒋欽隊は蒋欽自身が負傷し、隊自体も少なくない損害を受けた。しかしこれは漢中軍による呉軍蹂躙の幕開けに過ぎなかった。




