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魏延が行く  作者: あひるさん
第六章 漢中攻略
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法正の策

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

日が暮れるまで一騎打ちを続けた魏延と許褚だったが決着には至らず両軍から引き上げを命じる合図が出された。


「魏延、貴様は運が良かった。このまま一騎打ちが続けば貴様が負けていた。」


「言うのは簡単だが実際にどうなるかは天のみぞ知るだな。自信が過信にならぬよう精々注意する事だな。」


「何だと!」


「君命に逆らう訳にはいかぬ。さらばだ。」


「貴様逃げる気か?」


「言った筈だ。君命には逆らえんとな。」


魏延は憤る許褚を無視するように自陣へ引き揚げた。前世の魏延なら許褚の挑発に乗って一騎打ちを続けていただろう。但し続けたからといって勝てる保障は無く、曹操の罠に嵌まる可能性も考えられた。


*****


両軍とも日暮れと同時に出された合図で戦いを中断して自軍へ引き揚げた。漢中制圧を目前にした益州軍に勢いが有り、劣勢の魏軍は少なくない犠牲を払った。劉備は緒戦の勝利に奢る事無く、軍議において法正以下各将に油断するなと檄を飛ばした。


「兄弟、我が君はいつも以上に慎重だな。」


「我が君はこの一戦が漢中の雌雄を決する重要なものだとお考えだ。益州攻めの私のように感情に任せた独断専行などあってはならんのだ。」


魏延は益州攻めの際に我を忘れて行った独断専行を思いだして今一度戒めていた。その後法正から明日の戦いについて各々指示を与えられて軍議は終了した。


*****


近衛軍は引き続き劉備の警護を命じられていたので魏延と胡車児は将兵の配置について話し合っていた。そこへ法正が訪ねてきた。


「軍師殿、どうされましたか?」


「明日は近衛軍も出撃して頂きます。但し、我が君と私の間で決めましたので諸将には伝わっておりません。」


「ちょっと待ってくれ。我が君の護衛はどうなるのだ?」


出撃出来ると喜んでいた胡車児が血相を変えて法正を質した。


「先程成都から厳顔将軍率いる援軍が到着しました。それを護衛に充てますのでご安心下さい。」


「それなら良いが驚いたぞ。」


「申し訳ない。私の説明不足でしたな。」


法正は直ぐに説明不足の非を詫びて頭を下げた。


「軍師殿、我々はどのように動けば良いのですか?」


「その前に魏延将軍から見て許緒の強さはどれ程でしょうか?」


「某ならほぼ互角ですが、胡車児なら奴を上回るでしょう。」


「胡車児将軍、許緒と面識は有りますか?」


「有るも何も奴から見れば俺は仇だからな。何なら理由を説明しても良いが。」


「差し支えなければお聞かせ頂けませんか。」


胡車児は宛に於ける一連の出来事を法正に説明した。許緒が曹操に仕える切っ掛けを作った典韋を死に追い遣ったので憎んでも憎みきれない存在になっていた。


「怒りに任せた許緒相手に勝てますか?」


「奴の技量は分からんが力勝負になれば負ける事は無い。」


「軍師殿、私も保障する。胡車児は益州軍随一の怪力だ。張飛将軍もそれを認めている。」


「それでは許緒の相手は胡車児将軍にお任せしましょう。」


法正は明日の作戦が成功すると確信したので珍しく笑顔を見せて大きく肯いた。


「魏延将軍には曹操本隊を攻めて頂きます。」


「曹操本隊を?」


「その通りです。明日の一戦で魏軍を袋小路に追い込みます。魏延将軍にはその地で待ち受けて迎撃して頂きます。」


「曹操を必ず討ち取れと仰せですか。」


「我が君からも頼むぞと伝言を預かっております。」


「我が君には必ず成し遂げますとお伝え下さい。」


魏延は前世に続いて曹操を討ち取る絶好の機会を与えられた。前世では曹操に矢を放ち重傷を負わせたものの魏軍に降っていた龐徳に邪魔をされて逃がしてしまった苦い経験があった。今回は法正が曹操を逃げ道の無い所へ追い込むと言ったので討ち漏らしは作戦の失敗を意味する。今度こそ曹操を討ち取ってみせると改めて心に誓った。

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