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魏延が行く  作者: あひるさん
第六章 漢中攻略
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馬超恭順

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

西涼の馬超を訪ねていた張松は漢中を支配する魏軍の監視網をすり抜けて成都に戻ってきた。


「西涼軍は曹操率いる魏軍主力に足止めされて漢中へ援軍を出せなかったようです。」


「漢中は少数精鋭で攻め落とされたと考えて良いでしょう。西涼軍と漢中軍の実力が違い過ぎる点を利用されましたと思われます。」


張松の報告を聞いて法正が推論を述べたがその通りだった。魏軍が二正面作戦で西涼と漢中に対して同規模の軍を出していたため漢中軍は守りに徹して西涼軍が攻撃を行う事で魏軍を上手く撃退していた。


今回に限って曹操は西涼に主力を率いて自ら侵攻して西涼軍の攻撃を抑え込んだ。その間に夏候淵・夏候尚・韓浩の三人が率いる精鋭が南鄭を急襲した。張魯は配下の裏切りで防御網を破られて為す術無く梓潼に落ち延びた。


「配下の楊松が裏切り、偽命令で軍の配置を変えて守りを手薄にして城門を開いたのが致命傷になりました。」


「その楊松という奴はどうなったんだ?」


別件で成都に滞在していた張飛が怒り心頭の表情で張松に尋ねた。


「夏候淵は功績大として召し抱えようとしましたが韓浩に止められ斬首されました。」


張魯の腹心だった楊松は漢中において要職に就いていたにもかかわらず待遇に不満を持っておりそれを知った曹操に籠絡された。南鄭の防御網を崩壊させ城門を開いた功績で夏候淵は楊松を太守補佐役として召し抱えようとした。


しかし軍監を務める韓浩が反対した。楊松は大恩ある張魯をあっさりと裏切ったので劉備軍の侵攻があれば再び裏切る可能性が高いとして断固たる処置を行うべきだとして招集を認めることは出来ないと理由を述べた。


夏候淵はお目付役である韓浩から止められたので強行するわけにもいかず招集を断念、楊松を張魯を裏切り南鄭を陥落させた不忠者として斬首した。


「韓浩という奴は中々やるじゃねえか。」


張飛は敵将だが常識的判断をした韓浩を褒めた。


「韓玄刺史と同族だという話を耳にした事があります。」


「私も韓玄からその話を聞いた事があるぞ。」


「刺史と同様に頭が切れる人物のようです。」


諸葛亮と劉備は荊州に居た頃に韓玄から韓浩の素姓を聞いていた。無論魏延もそれを知っていたので小さく肯いていた。


韓浩は韓玄の従兄弟であり、以前は長沙で暮らしており韓玄の補佐をしていた。曹操による荊州侵攻の際に出仕を求められた韓浩はそれに応えて許昌に移住したので長沙に残った韓玄とは袂を分かつことになった。曹操に仕えた韓浩は実直な性格と堅実な仕事ぶりで着実に地位を築いて現在に至っている。


「夏候淵相手なら一息に潰せると思ったが駄目らしいな。」


「張飛、今は足下を固めることが重要だ。軽挙妄動は慎んでくれ。」


「分かっていますよ。我が君の命令に逆らってまで攻めようとは思っていません。」


体制固めに追われている状況下に攻め寄せるという言い分には一理あったが劉備に窘められたので張飛はあっさりと引き下がった。


「我が君、馬超は我が君の臣下に加わりたいと申し出ております。」


「我々にとっては有難い話だが急にどうしたというのだ?」


「漢中が落ちたことで弱気になっている様子でした。加えて後見役の韓遂から説得されているようです。」


質問に張松は答えながら馬超と韓遂が連名で記した書簡を劉備に渡した。馬超は劉備軍に加わりたいと張松に申し出た。張松は馬超を劉備と共闘させる目的で西涼を訪れたので望外の結果を得る事になった。馬超も漢中が落ちた事で連携が取れなくなり窮地に立たされるとして叔父である韓遂の説得に従い専守防衛に方針を転換した。


「単独で曹魏に挑むのは無理だと悟ったようだな。改めて皆に伝えるが、我々も漢中に注意を払い兵馬を鍛えて曹魏との対決に備えなければならない。」


劉備は書簡を読み終わると漢中方面に対する警戒をより一層強めるよう諸将に命じた。

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