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魏延が行く  作者: あひるさん
第五章 益州遠征
35/120

成都降伏

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

雒城を落とした荊州軍は間髪入れず成都へ向かった。法正の話では成都に残っている者で荊州軍に対抗出来るとすれば黄権ぐらいで武芸に秀でた者は居ない。その黄権も劉備と争う事を良しとせず劉璋に批判的な立場を取っているので劉璋の下に人材は残っていなかった。


*****


成都近郊に本陣を構えた荊州軍は攻撃する事無く様子見に終始した。数日後、魏延は龐統から呼び出しを受けた。


「降伏勧告を行えと?」


「そうだよ。法正の話では荊州軍と渡り合える者が居ないからね。」


「分かりました。」


魏延は死に体の益州軍が攻めてくるとは思えないのでこのまま圧力を掛け続ければ自ずと自滅するという考えだった。釈然としないまま命令を聞き終えるとその場から離れようとした。


「お前さん、納得していないようだね。」


「申し訳ありません。」


「正直に言うと時間を掛けたくないんだよ。荊州軍が置かれた状況を考えればね。」


「漢中・南蛮・孫呉でしょうか。」


「少し足りないね。孫呉が曹魏と手を結べば一大事だと思わないかね?お前さんには言っておくけど益州が落ち着いた時点であっしは諸葛亮と交代する話になっているんだよ。」


「軍師殿自ら両方に備えるつもりですか。」


「その通りだね。」


「分かりました。急ぎ準備致します。」


魏延は龐統の話を聞いて自身が常々考えていた事を忘れていたのに気付かされた。龐統が生き残った事で目的は達したと魏延は安堵していた。龐統はそれを見て魏延自身が普段から言っていることを忘れたのかと指摘した。


*****


魏延は軍を率いて成都城に向かった。城の手前に軍を留めると胡車児を伴い城門に近づいた。


「我は荊州軍の魏文長。劉璋殿に降伏を促しに参った。」


「劉璋殿に伝えよ。故あって争ったが同族なので悪いようにはしない。三日待つのでゆっくりと考えるように。」


魏延は守備兵に勧告を行うと直ぐに引き上げた。魏延は自軍に合流すると陣を築いて成都からの返事を待った。荊州軍は普段通りの警戒態勢を布いており端から見れば成都からの攻撃は無いと思わせるものであった。


*****


早朝に成都の城門が開かれ使者と覚しき者が魏延の陣を訪れた。


「益州尚書の黄公衡《黄権》と申します。劉皇叔に取り次ぎをお願いしたい。」


「荊州軍先鋒隊大将の魏文長と申す。用件次第でそれを承るが。」


「益州牧劉季玉より劉皇叔に降伏する旨の書簡を預かっている。」


「それなら本陣へ案内させて頂く。」


魏延は黄権の話を聞くと自ら案内役となって荊州軍本陣へ向かった。本陣に着くと黄権は劉備へ劉璋からの書簡を渡した。内容を確認した劉備は降伏を承認、翌日早朝から魏延を先頭にして成都へ入城する事が決まった。魏延は自陣に戻り入城の準備を急いだ。


*****


翌日魏延を先頭にして荊州軍は成都へ入城した。益州軍からの抵抗は無く、荊州軍も将兵に対して乱暴狼藉の厳禁を伝えていたので一糸乱れず城内を練り歩いた。政庁に入った劉備は劉璋と対面を果たし益州牧の印綬を直接受け取った。劉璋は荊州に移り長沙で客分待遇として暮らす事に決まった。太守の韓玄が世話役に据えられた。


劉璋は決して暗君ではなく世が世ならそれなりに務まる程度の力を持っている。荊州において相談役としての立場を築いている韓玄なら話し相手と監視役に最適だと劉備が判断した。


成都に居た益州関係者は継続して荊州軍に召し抱えられる事になったが諸葛亮の成都到着次第、荊州軍関係者と共に新たな役目が与えられる。魏延は暫定的に成都城警備役として城周囲の警戒に当たる事になった。

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