表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魏延が行く  作者: あひるさん
第四章 襄陽防衛戦
22/120

張郃と相見える

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

襄江を警戒しながら張飛の加勢に向かう魏延の元に偵察兵が現れた。息を切らして険しい表情をしているので何が起きているかは予想がついた。


「魏の援軍が襄江を渡河しようとしています。」


「軍師の予想が当たったか。済まんがこの事を張飛将軍と軍師にも伝えてくれ。魏の増援は一人も通さないので安心してほしいと。」


「承知致しました。」


偵察兵は報告を終えると馬に飛び乗り張飛の下へ向かった。魏延は近くに居た兵士を呼び、先行している将兵に対して張飛将軍の指示に従い動くよう伝えるよう命じた。その後、殿軍として魏延と行動を共にしている将兵を集めた。


「魏の援軍がこちらに向かっていると知らせが来た。ここで迎え撃ち徹底的に叩く。襄陽方面には一人も進ませるな。」


魏延はここで魏軍を押し返せば大手柄になると将兵に檄を飛ばして士気を高めた。


しばらくすると西の方から地響きが始まり砂塵が見えた。魏延は将兵に弓を構えさせた。魏軍の出鼻を挫いて勢いを削ぐ為に先制攻撃を加える考えだ。


「放てっ!」


「第二陣も放てっ!」


魏軍に対して矢が放たれ魏延の思惑通り敵が右往左往して隊形が乱れた。


「行くぞぉ!」


魏延は方天戟を手に自ら先頭に立ち魏軍へ向かった。それを見た自軍の将兵も雄叫びを上げながら後に続いた。魏延は敵兵を蹴散らしながら増援部隊の中心に居ると思われる敵将目掛けて馬を走らせた。すると槍を構えて魏延を見据える者が視界に入った。敵将も馬の腹を蹴って魏延の方へ向かってきた。二人はすれ違い様に打ち合い、一旦距離を置いたが再び近づくと動きを止めた。


「我は魏の張儁乂!」


「私は荊州の魏文長!」


二人は名乗りを上げると一騎打ちを始めた。二人は互角の様相を呈していたが時間が経つにつれ魏延が押し始めた。常日頃から張飛や胡車児のような怪力の持ち主と鍛錬しているだけあって地力が勝っていた。そして自軍も魏軍を徐々に押し返し圧倒し始めた。もう一押しで魏軍は潰走すると思われた時、魏軍の後方から銅鑼の音が聞こえた。


「ちっ、退却の合図か。」


「張郃、逃げるのか」


「軍令には逆らえん。この勝負一旦仕切り直しだ。」


張郃は武器を収めると魏延を一瞥して襄江方面へ退却していった。後方に控えて戦いを見守っていた司馬懿は伝令から魏延に押されていると聞いてこのままでは徐晃率いる本隊と共倒れになりかねないと判断、即時に兵を退いて樊へ退却した。守りが得意の司馬懿らしい冷静な判断であった。


「魏軍の再攻撃に備えてしばらく待機する。」


魏延はあと少しで張郃を仕留めれたと悔しがったが深追いして敵の術中に嵌まれば大変な事になると思い追撃を自重した。しばらくその場に留まり魏軍に警戒していたが再び来ないと判断して襄陽に向かった。


******


魏延が襄陽に戻った時には徐晃率いる魏軍は既に瓦解しており徐晃も張飛との一騎打ちで負傷して姿を消していた。また文聘率いる水軍は張南と馮習が率いる荊州水軍と互角に戦ったが勝敗がつかないまま戦況不利と判断して退却していた。


魏軍は荊州において三度目の大敗を喫し、曹操は樊・宛の守りを固めたうえで南征は当面行わないと宣言して荊州攻略を事実上断念した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ