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魏延が行く  作者: あひるさん
第三章 襄陽奪取
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諸葛亮の変心?

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

張飛は魏延の進言を受けて南郡の諸葛亮に襄陽陥落の知らせを送ると共に襄陽郊外に駐屯地を設けて南郡から退却してくる魏軍に備えた。襄陽が落ちた事で襄江以北への退路が事実上断たれているので魏軍が死兵と化して手痛い反撃を受ける可能性があった。


「魏延、魏軍はここを迂回して襄江に行く事は無いのか?」


「それは考えられますが無視します。」


「お前の言う死兵を相手にするからか。」


「その通りです。」


張飛は退却する魏軍を迎撃しようと考えていたが魏延の説明を聞いて思い留まった。魏延の言うように死兵を相手にして大損害を受けると襄陽を奪い返される危険性が高かった。


*****


「魏軍が襄陽西方を北上しています。」


張飛と魏延が政庁で話をしていると物見から報告を受けた。


「こちらへ来る様子は?」


「襄江を目指しているように見えますので無いと思われます。」


「魏延、南郡は落とせたようだな。」


「おそらくは。将軍、提案が有ります。」


「魏軍は明日には襄江を渡り始めるでしょう。そこを襲い、さらなる損害を与えます。」


「ちょっと待て。少し前は襲うなと言ったじゃないか。」


張飛は魏延が先日とは正反対の事を言ったので怪訝そうに真意を質した。


「確かにその通りです。今回は襄江に辿り着いて渡河が始まれば安心感から気が緩みます。そこを突いて魏軍を襄江に落とします。」


「面白そうだな。その役目は任せて貰うぞ。前回は城攻めではお前ほど暴れていないからな。」


「承知致しました。物見には決められた道を使うように指示を出していますので将軍もそれに沿って襄江に向かって下さい。」


魏延の説明で張飛は納得したので攻撃を了承した。張飛は襄陽攻撃で暴れ足りないと感じていたので自ら攻撃に向かう事を有無を言わさず認めさせた。


*****


「曹仁・徐晃・于禁の三人は渡河を終えた後だったので手応えが無かったな。」


「申し訳ございません。」


「気にするな。長江から南側を確保出来ただけでも成果大だぞ。」


張飛は襄陽西北の長江沿岸で魏軍を発見したので攻撃を行った。捕らえた魏兵を問い詰めたら曹仁らは既に渡河を終えて襄江以北に逃げた後だった。張飛は沿岸に係留されていた軍艦に火を放ち多数沈めて溜飲を下げた。魏軍は一連の戦いで荊州から手を引く事になり、樊・新野を除く荊州の大半が劉備の支配下に置かれる事になった。


*****


劉備は南郡陥落の知らせを受けて江夏から南郡に本拠を移す事を決め、劉琦を江夏太守として自身は主力を率いて南郡に移動した。劉備は南郡に到着後、諸葛亮と相談して地名を江陵に変えて荊州の州都とした。


張飛は魏延に襄陽を任せて江陵に向かった。江陵に着いた張飛は劉備に会う前に関羽と陳到から呼ばれて別室に入った。


「張飛、よくやってくれた。」


「おう。魏延の作戦が見事に嵌まったからな。」


「我が君も喜んでおられます。」


「で、俺に何の用だ?」


関羽と陳到は以前話し合った事(張飛と魏延を劉備の護衛役にする)を張飛に明かした。


「その申し出は有難いが、どちらにせよ戦が始まれば諸葛軍師に指図を受ける事になるからな。」


「確かにそうだが、普段から無理難題を押し付けられるより良いと思うぞ。」


「張飛将軍は荊州軍の柱石です。諸葛軍師と仲違いしていると噂が流れたら魏や呉につけ込まれる心配があります。」


「俺と魏延が諸葛軍師と上手くいっていないのは我が君も承知している事だ。俺や魏延を庇って二人の立場が悪くなれば、それこそ問題だろう。」


張飛は二人の提案に感謝しつつ、諸葛亮の命令次第で何らかの手を考えるので問題ないとして様子を見る方向で話を終わらせた。


*****


「張飛、よくやってくれた。」


「有難うございます。」


「お前には襄陽太守として魏軍の監視を任せたい。体制も変えずそのままとする。降将の胡車児もお前に任せる。」


「承知致しました。」


劉備と話し終えた頃合いを見計らって諸葛亮は張飛に一礼した。張飛は諸葛亮が何か言いたげな様子だったのを見て諸葛亮に近づいた。


「張飛将軍、ご苦労様でした。」


「諸葛軍師、どうされましたか?」


「魏延将軍の事ですが。」


「先に言わせてもらうが、魏延は襄陽を守っており手が離せない状態だ。樊には曹仁以下ここから逃げ延びた連中が虎視眈々と逆襲を狙っている。連中を防ぐには魏延の力が必要不可欠だぞ。」


諸葛亮は襄陽攻撃を成功させた魏延に対して未だ疑いの目を持っていた。しかし頑なな態度を取り続けていれば劉備からの信頼を失う事に繋がる事も理解している。本意では無いが自身の中で妥協する方向に傾いていた。


「将軍の仰る通り襄陽は荊州にとって死命を制する場所になっています。魏軍と対峙するには魏延の力が必要不可欠だと考えております。」


「諸葛軍師も襄陽は現状維持で構わないと考えて良いんだな?」


「それで結構ですが、これ以上の戦線拡大は我々の能力では対応しきれませんので守備に専念して頂きます。」


諸葛亮が素直に賛同したので張飛は訝しがったが余計な事を言って話をややこしくしては拙いと思ったので承知するだけに留めた。魏延からも樊を攻めても確実に落とせる策が無いので襄江以南の支配権を確実にするべきだと言われていた事もあり、諸葛亮の言葉は渡りに船だった。

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