表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魏延が行く  作者: あひるさん
第三章 襄陽奪取
15/120

襄陽攻撃

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

張飛は魏延以下直属の将兵を率いて南郡を大きく迂回して襄陽へ向かっている。襄陽に南郡からの応援要請が届いている公算が高く、南下を目論む魏の援軍と鉢合わせになる事を防ぐためである。


「魏延、襄陽攻めの策はあるのか?」


「偽兵を使おうかと考えています。」


「偽兵?」


「我々の兵士に魏軍の格好をさせて襄陽の魏軍を誘き出します。」


魏延は出撃前に関羽から魏軍兵士が使っていた武具を借り受けた。それを身に着けた自軍の兵士を襄陽に向かわせて南郡への援軍が劉備軍に襲撃されているという偽情報を流して襄陽から将兵を誘い出そうと考えていた。


「張飛将軍、襄陽から物見が戻りました。」


「直ぐに連れてきてくれ。」


「承知致しました。」


*****


「襄陽の状況を教えてくれ。」


「襄陽太守の徐晃は南郡苦戦の知らせを受け援軍を率いて南下しております。現在は樊の于禁が襄陽に移り守りを固めております。」


「襄陽の兵力はどれ程だ?」


「およそ2万です。」


偵察隊の報告を受けて魏延は張飛に襄陽攻撃について偽兵を用いる作戦が最善だと提案した。張飛は魏延の提案を了承、作戦行動については魏延に一任した。


「馮習、魏軍兵士に扮して襄陽に応援要請を行え。襄陽に留まれるなら我々の攻撃に合わせて城内に火を放て。」


「張南、街道沿いに兵を潜ませて魏軍の通過に合わせて攻撃せよ。深追いせず襄陽方面に退却、城攻めに加われ。


「張飛将軍は主力を率いて襄陽を攻めて頂きます。」


「私は殿軍として襄江沿岸及び街道を警戒します。」


張飛は魏延の指示が終わると出撃を命じた。幕舎を出た魏延は馮習を呼び止めた。


「馮習、襄陽城に入れない時は自軍に戻ると告げて張南に合流してくれ。」


「承知致しました。」


「襄陽を守る于禁という男、噂によると命令に忠実だが融通が利かないらしい。」


于禁は命令を守る事に固執するあまり想定外の事態が起きた時の対応に難があった。性格上、馮習の誘引に乗ってこない可能性があると魏延は予想していたので馮習には誘引失敗も有り得る事を伝えて不測の事態に備えさせた。


*****


馮習は説得に手間取ったものの于禁の誘引に成功。于禁は守備兵の半数を率いて南郡に向かった。馮習は于禁から城内で休息するよう命じられた事で城内への侵入にも成功した。于禁は街道を南下したが敗走する兵に出くわさないため伝令を疑い始めた。その矢先に張南が左右から于禁を急襲、不意を突かれた于禁は対応しきれず潰走した。張南は追撃せず魏延の指示通り襄陽へ向かった。


張飛は襄陽近郊で于禁の動きを探っていたが南下したことを確認して襄陽城に攻め寄せた。残された守備兵は守りを固めようとしたが馮習による放火で城内は混乱、対応に追われて手薄になった南門を馮習が開門。張飛はそこから城内に侵入し掃討戦を展開して政庁を占拠した。


*****


魏延は張飛に従い襄陽近郊まで進出。張飛が襄陽城に向かうのを見届けた後、襄江沿岸に移動し警戒にあたった。城から煙が上がったのを確認後しばらくすると襄江に向かう一団を発見。近付くと樊へ逃げようとしていた魏軍だったため攻撃を始めた。


「我は劉備軍の魏文長。抵抗を止めて降伏しろ。」


魏軍兵士に降伏を促していると一団の将らしき者が長刀を振り翳して襲い掛かった。魏延も長刀を握り直して応戦した。


「貴様、何者だ。名を名乗れ!」


「魏の胡車児!」


胡車児は徐晃の命令で襄陽の守備を任されていたが張飛に政庁を奪われたためやむなく城を捨てて樊へ逃げようとしていた。その道中で魏延に出くわした。


胡車児は前世と同じく宛で曹操暗殺を企て、それを防いだ典韋を殺害していた。しかし武勇を曹操に認められ曹仁配下として荊州に居た。


魏延と胡車児は数十合打ち合ったが決着がつかず、胡車児が怪力だったため魏延は苦戦していた。そして胡車児が長刀を振り下ろして魏延が受け止めた時に長刀の柄に亀裂が入った。


「これでは話にならん。」


魏延は体勢を立て直すため一旦逃げようとしたが胡車児はそれを許さず追い掛けてきた。魏延は思い切って馬を止めて胡車児へ向き直した。そして弓を構えるとすかさず矢を放った。


「ぐわっ!」


不意を突かれた胡車児は矢を避けきれず肩口に突き刺さり落馬した。後を追ってきた魏延の手勢によって拘束された胡車児は襄陽に連行された。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ