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魏延が行く  作者: あひるさん
第十二章 決戦
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前哨戦

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

濮陽城を完全に包囲した四軍は敵が打って出るのを待ち構えていたが夜になっても出て来ず夜が明けてしまった。

相変わらず城の内部は静まり返っており、いつ飛び出してくるか予想出来ない不気味な雰囲気になっていた。

龐統は警戒を緩める事なく各軍団を三隊ずつに分けた上で一定時間毎に交代させる体制を取り入れ事態の急変に備えさせた。


「将軍、敵襲です!」

「状況は?」

「張郃隊と馬謖隊が交代する時でしたの両隊で対応しております。」

「分かった。二人には無理をせず敵を突破させるなとだけ伝えてくれ。」

「承知致しました。」


翌日の夜更けに河北軍は晋軍の急襲を受けた。

偶然にも張郃と馬謖が引き継ぎを行おうとしていたので多数の将兵が即座に戦闘態勢に入り、晋軍の迎撃に当たった。

魏延も知らせを聞いて直ぐに将兵を集めて自陣の前方に馬を走らせた。


「張郃と馬謖に任せておけば突破される事は起こらない筈だ。ここは思い切って敵の側面を突いてやるか。」


魏延は張郃と馬謖が敵の突破を完全に防いでいるのを受けて側面を突いて動揺させてやろうと考えて後方から大きく迂回した。

偵察させて状況を確認したところ、敵の意識は前方に向いており側面については無警戒との報告を受けた。


「敵陣を真っ直ぐ進んで食い破る。前方に突破する事だけに専念せよ。行くぞ!」


魏延は方天戟を掲げると敵方向に振り下ろした。

魏延隊は敵側面目掛けて殺到した。


「な、何だ?」

「邪魔だ、どけっ!」

「ぐわっ。」


晋の武将らしき男は魏延の姿を見た直後、方天戟で首を斬られて一瞬にして命を落とした。

魏延率いる部隊は漢中軍の猛者を引き抜いた形で編成されているので籠城で士気を下げていた晋軍は相手にならず悉く蹂躙された。


「功を焦って脇に逸れるなよ!」

「当たり前だ。魏延将軍のお陰で暴れる事が出来るからな!」

「将軍は俺たちが気分良く動ける場を作ってくれた。恩を仇で返すわけにはいかねえ!」


魏延隊の兵士はお互い激励し合いながら魏延の後に続いて晋軍を蹴散らしていった。

晋軍を縦断した魏延は引き返さずそのまま暗闇の中に消えていった。


中心部を切り裂かれた形の晋軍は指揮系統を喪失した様相を見せ、瞬く間に総崩れ状態になった。

張郃と馬謖は敵の動揺を見逃さず攻勢に転じて城方面へ一気に押し返した。

晋軍は這々の体で城内に退却していった。


◇◇◇◇◇


「攻撃されたのは我々だけらしいな。」

「各軍に知らせを送ったがそのようだ。」

「我々の力量を測ろうとしたのか、他の軍に比べて兵力の劣る我々なら勝てると思ってなのか…。」

「敵の意図が読めない以上、警戒を緩めるわけにはいかん。」

「引き続き三隊の体制で警戒に当たれば良いのだな?」

「そうしてくれ。」


戦闘が終わり諸将が引き上げてきて幕舎に集まった。

今回の戦闘を振り返ったが敵の意図が全く読めないので軍師役の馬謖と馬忠も困惑していた。

魏延は張郃の意見を取り入れて警戒に当たる事にして張郃と馬謖に指示を出した。


◇◇◇◇◇


司馬昭は敵中突破に失敗して魏延に殺された将軍を愚者と断じて一族郎党を捕えて皆殺しにしようとした。

命令を下す段において司馬懿から阻止されたので未遂に終わったが、諸将からも呆れられた。

暗部がどこで見聞きしているか分からない為、口に出せない状況だが人心は確実に司馬昭から離れていった。

司馬昭は度重なる敗戦で正気を失っており、自身の策が敗れるのは偶然であって必然でないので焦る必要は全く無いと思い込んでいた。

逆に司馬懿の方は現状を良く把握しており近い内に体制が崩壊すると読んでいた。

司馬懿は魏への罪滅ぼしではないが淡々と迫り来る運命に身を任せ、死を甘んじて受けいるしかないと思っていた。

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