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魏延が行く  作者: あひるさん
第十一章 北伐
110/120

手打ち

ご覧頂きまして有難うございます。

ご意見、ご感想を頂ければ幸いです。

魏延は挨拶を終えると公孫淵を自陣に招いた。

公孫淵も信用して腹心数名だけを伴い魏延に同道した。


「貴殿を蜀軍に招き入れるにあたって条件があるのだ。」

「内容次第だが出来る限りの事はさせてもらう。」

「そう言って貰えると助かる。」


魏延は鉅鹿に居る張郃率いる旧魏軍の事を話した。張郃以下大半の者が公孫淵の裏切りに対して相当な恨みを抱いている。


「確かに司馬懿の指示に従って張郃を挟撃したのは事実だ。こちらにも抜き差しならない事情もあったのだ。」


公孫淵は魏軍苦戦の一報を受け、援軍を率いて河北方面に南下した。

その最中に北方異民族が襄平に攻め込む構えを見せた。

偶々中山付近に司馬孚率いる一軍が居たので司馬懿は襄平に向かわせ異民族を牽制させた。

異民族は早々に退却したが司馬孚は司馬師からある命令を受けていたので襄平に留まった。

その直後に司馬一族が蜂起して各地の魏軍は壊滅的打撃を受けた。

公孫淵は近くに居た張郃を助けようとしたが不意に訪れた司馬師の使者を迎えて聞いた話に驚いた。

襄平に留まっていた司馬孚が公孫淵の一族を拘束して人質に取ったので晋に協力しろと言われた。

一族を人質に取られては下手に動けない事もあり、公孫淵はやむなく晋に降伏して張郃を攻撃した。

張郃撃破の功績で幽州を任されたものの裏切者の汚名を着せられ魏軍の恨みを買った事に対して公孫淵は機会があれば一矢報いたいと思っていた。

公孫淵が隠している牙を研ぐうちに帝を擁する漢中王の劉備から協力を求められたので直ぐに飛びついた。

そして今回魏延率いる北伐別働隊との会合に至ったのが事の顛末である。


「そういう事なら仕方ない。貴殿も苦しい思いをしていたのは十分理解出来る。」


張郃達も公孫淵の事情を聞けば振り上げた拳を下ろすしかないのではと魏延は考えた。


◇◇◇◇◇


魏延は公孫淵を伴い張郃の陣を訪ねた。

張郃率いる旧魏軍は状況把握の為に鉅鹿からの進軍を見合わせていたので鉅鹿の城に居た。


「魏延、貴様は裏切り者の言葉を信じるのか?」

「信じているからここまで連れて来たのだ。」


魏延は挨拶を済ませると公孫淵を伴い訪れた事を話したが、間をおかず張郃は激昂して魏延に喰って掛かった。

魏延も張郃に対して一歩も引かず説得を続けた。


「張郃殿、ここは魏延殿の顔を立てて公孫淵と会うべきだ。」

「魏延将軍の顔を潰すような事になれば我々も信用を無くす事になります。」


魏延と張郃は言い争いを続けていたが、両者の関係が悪化する事を危惧した徐晃と陳羣が間に入って張郃の説得を始めた。

二人に諭された事で張郃も冷静になり魏延の顔を潰すのは拙いと気が付いたので公孫淵との対面を受け入れる事になった。


◇◇◇◇◇


「張郃将軍、私情に流され貴殿らを攻撃した私に非がある。責めは甘んじて受け入れる。」


公孫淵は張郃の顔を見るなり謝罪の言葉を述べると共に平伏した。

張郃は公孫淵の姿を見て強気の姿勢に出れなくなった。


「挟撃されて以降、貴殿に会う機会があれば必ず恨みを晴らしてやろうと思っていた。しかし事情を聞けば恨みつらみを言うのは筋違いだと気付いた。」


張郃は公孫淵を立ち上がらせると頭を下げた。

これまでの事は全て水に流す事で両者は合意して握手を交わした。

魏延は会合を終えると自陣に戻り、劉備と法正に使者を送った。

使者には公孫淵を味方に引き入れたので処断については中止、自分が責任を持って監視するという書状を持たせていた。

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