表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/28

第2話 ティムの勘違い


 僕の突然の土下座にギルネ様は慌てて椅子から立ち上がって駆け寄る。


「ちょ、ちょっと待ってくれティムっ! まだ何も言っていないだろう? いったいどうしたんだ!」

「分かっています! 僕が弱っちいから解雇するんですよね!? でも僕はどうしても立派な冒険者になりたいんです!」

「ティムを解雇!? そっ、そんなわけないだろう! な、なんなら生涯(しょうがい)と、と、共にするまであるわっ!」


 ギルネ様は顔を真っ赤にして僕の言葉を否定してくれた。

 声が裏返るくらい、言葉がドモるくらい、必死になって言ってくれた。

 僕というギルドの『障害(しょうがい)』と共に居てくれる……と。

 あまりの優しいお言葉にまた今度は別の涙が出そうになる。


「ティム、落ち着いて聞いてくれ。今回呼んだのは本当に些細な用事なのだ」

「す、すみません……取り乱してしまって……」

「大丈夫だ、落ち着いてからでよい。ほら、お茶を淹れよう、私の椅子に座ってくれ」

「そんな、僕なんて床に座って――飲み物も泥水でいいんです!」


 そんなことを言いつつ僕は床に正座しようとした。

 でもよく考えたらそもそも座ること自体が失礼なのですぐに立ち上がる。


「驚かせて済まなかった、きっとガナッシュが君に何か脅しでもかけたのだろう……あいつめ」

「い、いえっ! ガナッシュ様は僕にとても良くしてくれました!」


 ギルネ様が怖い顔をしてガナッシュ様の名前を呟いたので僕は急いで誤解を解く。

 ガナッシュ様は僕をここに連れてきてくれただけでしたし……。

 というか、剣聖ガナッシュ様と共に歩かせていただいたことが身に余るほどの光栄です。


「えっと……ギルネ様が直々に僕をお呼びになるなんて、いったいどんな御用なのでしょうか?」


 たとえBランクのクエスト依頼ですら幹部たちに一任しているこのギルドでは、ギルド長の呼び出しなどあり得ないような異常事態だ。

 このギルドにおいては戦力にすらなっていない僕にいったいどんな用事なのだろう。

 消えても構わない僕は攻撃魔法の実験台にでもされるのだろうか。

 僕は死すら覚悟するような気持ちで尋ねた。


「いや、本当に些細なことなのだ。ティム、君の最近の様子を聞こうと思ってね」


 ギルネ様は優しく微笑んだ。


※ギルネ様は味方です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓のタイトルをクリックすると他作品のページに飛べます↓
小説家になろう年間1位!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
漫画も発売中!

新作ラブコメ!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『山本君の青春リベンジ~学校でイジメられてた俺が努力して生まれ変わり、戻ってきてからクラスメート達の様子がおかしい件~』
面白かったらブックマーク・☆評価お願いします!

ハイファンタジーの新作を投稿しました!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『英霊使いの劣等生~最強の元英雄は正体を隠して平穏な学園生活を送ります~』
面白かったらブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
    
新刊
『ギルド追放された雑用係の下剋上4巻』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報へとアクセスできます ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報へとアクセスできます ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
[一言] 紫髪の美少女ギルネ様が悪女じゃなくて、ほっ
[良い点] そりゃあ凄まじい冒険者たちの、しかも大ギルド、1000人全員の雑用をこなしてくれる人材がいたらさ、普通、尊敬しちゃうし、逆に憧れちゃうよね。
[良い点] 一家に一人ティム君が欲しい… [気になる点] ギルネ様、ティムのこと前日まで女の子と思ってたのに、当日いきなり惚れちゃった? 名前をどもる時の最初の一声が平仮名なのが気になる… 「て、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ