コント「訪問販売」
販売員「(ピンポーン)」
女「はーい」
販売員「こんにちは!ニコニコ販売でーす」
女「はい?なんですって?」
販売員「ニコニコ販売でーーす!」
女「訪問販売?今時、珍しいわね。でも、間に合ってるから」
販売員「いえいえ、そうおっしゃらず。うちの商品は他では手に入らない素晴らしい製品ばかりです。損はさせませんから」
女「いや、だから、忙しいから帰って頂戴」
販売員「そんなこと言わずに、ね、一つ位紹介させてくださいって、ね、ね」
女「もう!めんどくさいわね。じゃあ一つだけよ」
販売員「ありがとございます」
女「で、なにがあるの?」
販売員「もう、なんでもあります。何なりと」
女「なんでもって、そーいうのが一番困るのよねー」
販売員「(くんくん)はー、なにか良い匂いがしますね」
女「今、お昼作ってるところだから」
販売員「なるほど。では、これなんかどうですか。
超安全包丁磨ぎ!
超簡単、超安全に包丁を磨ぐ事ができます」
女「へー、そう言えば、包丁の切れ味が悪くなってるかしらね」
販売員「丁度良いですね。実演しましょう。
包丁お貸し願えますか」
女「ああ、はいどうぞ」
販売員「はい、ありがとうございます。
で、この包丁をですね、この包丁磨ぎに、こう……、あれ、うんと、こうだったかな……
この、あれ、あれ」
女「全然簡単そうに見えないんだけど」
販売員「いえ、大丈夫。簡単ですから……
えっと、ちょっと待ってくださいね」
女「ちょ、ちょっと、なによそれ?
その辞書みたいな分厚い本は、なに?」
販売員「えっ?ああ、これは包丁磨ぎの取説です」
女「取説?!千ページ位ありそうじゃない」
販売員「うんと、千五百ページですね」
女「千五百ページって、たかが包丁磨ぎにどんだけ説明してるのよ。全然簡単そうじゃないわ!」
販売員「ざっと読めば、簡単なんですよ」
女「そんなのざっと読める人はなんだって簡単にできちゃうわよ」
販売員「(女を無視して)あー、こことここを押しながらね。なるほど……
こことここと……あいた、あいたたた!
(慌てふためく)手、切れた。血が、血が。手ぇ、切れた!」
女「どこが安全なのよ!血まみれじゃない!」
販売員「絆創膏!すみません。絆創膏下さい」
女「絆創膏?持ってないの?」
販売員「持ってません」
女「あなた、さっきなんでも扱ってるって言ってたじゃない」
販売員「絆創膏だけは扱ってないんです!」
女「本当かしら?
もう、はい、これ!使いなさい」
販売員「ありがとうございます。
ふーーー(落ち着く)
と言うことで超安全包丁磨ぎ、いかがですか?」
女「いらないわよ!」
販売員「今なら、包丁が無料で付いてきます!」
女「その包丁、うちのじゃない!
返しなさい。勝手にがめてんじゃないわよ!
もう、帰って頂戴」
販売員「えーー、そんなこと言わずに。
そうだ、化粧品なんてどうですか?
うちの得意商品なんですよ。
特におすすめは、この香水です!
天然素材100パーセント使用」
女「ふんふん、天然素材なら安全そうね」
販売員「機械に頼らず、一つ一つその道、何十年のベテランがですね」
女「専門の職人さんの手作りなのね」
販売員「こう、別れろ、別れろ、リア充爆発しろって念を込めてるんです!」
女「呪ってどうするのよ!そんなの怖くて使えないでしょ!」
販売員「いえ、恋のライバルにプレゼントするという利用方法もあります」
女「しないわよ!」
販売員「効果が無ければ、この包丁でぐさり!」
女「だから、それはうちの包丁よ。いい加減に返しなさいって!」
販売員「失礼しました(包丁を返す)」
女「(包丁を受けとる)本当にもう油断も隙もない。うん、なに?」
販売員「包丁お買いあげ、ありがとうございます。
今なら、この超安全包丁磨ぎが無料でついてきます!!」
女「いい加減にしなさい」
2019/10/05 初稿




