表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢の品格 -20回目はヒロインでしたが、今回も悪役令嬢を貫きますー【コミカライズ原作】  作者: 幸路 ことは
領地編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/198

4 悪役令嬢を勉強しましょう

 ラウルの授業は分かりやすい。歴史を始め、地理、数学、ラルフレア文学と、その知識は幅広かった。

 並行してダンス、礼儀作法に裁縫が加わった。こちらは、前からお世話になっている老婦人が教えてくれている。

 今までの経験をもとにすれば簡単なもので、老婦人は上達具合に目を丸くしていた。


 そして、慌ただしく一か月が過ぎた頃。エリーナは致命的な欠点に気づいてしまった。それは、退屈しのぎに図書室にあった、子ども向けの小説を読んでいた時だった。

 ストーリーは心優しい少女が、母を亡くし継母や義理の姉に苛められるが、最後は王子様と結ばれるというもの。

 その継母と姉の性格が悪いことと言ったら……お手本にしなくてはいけない。

 主人公に浴びせた罵詈雑言は、子供向けにしては過激で、エリーナは愕然とした。


(私、今までのボキャブラリーを無くしてるわ!)


 今までは淀みなく、使用人にも主人公にも嫌味が言えたのに、今は言葉がつっかえる。今までオートモードだったため、セリフを覚えていないのだ。

 本来であれば、家庭教師であるラウルに嫌がらせをしなくてはならないのだが、授業がおもしろく、遊びにもつきあってくれる彼に、まだこれといった成果をあげられていない。


(これは、勉強しなくてはいけないわね)


 勉強の合間に図書室で見つけたロマンス小説を読み漁る。これらのストーリーには、恋の障壁として悪役令嬢がいることが多いのだ。気に入ったセリフと、シチュエーションはノートに書き留めておく。


 だが、三か月もすると屋敷中のロマンス小説を読みつくしてしまい、祖父や使用人に頼んで買ってきてもらっても、満足のいく内容ではないことが多い。


(やっぱり、本は自分で選ばないと)


 エリーナは、悪役令嬢が主人公をぼろ雑巾のごとく苛め抜く話が読みたいのだ。

 決めたら行動あるのみ。領地の本屋に連れて行ってもらえないか大人に頼む。


「おじい様、町の本屋に行きたいの。だめ?」


 キラキラと純粋な目を祖父に向ける。上目遣いで可愛さを二割り増しにした。


「だめだ。サリーに頼めばいいだろう」


 だが、祖父も、使用人も、ラウルも首を縦に振らなかった。皆口をそろえて危ないから駄目だというのだ。


 それでも粘り強く交渉すること三か月。エリーナが役に入って半年が経った頃、ラウルの授業は経済の話となり、祖父から領地見学を兼ねた外出許可が出た。


「おじい様ありがとう!」


 念願の本屋巡りに、エリーナは祖父に抱き着いて喜んだ。ちゃっかりお小遣いもおねだりし、軍資金を手に入れる。


(これで、悪役令嬢の教科書を買うのよ!)


 そんな意気込みが溢れてしまっているのか、出発の準備を整えたエリーナをラウルは生暖かい目で見ていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

本編終了後の短編集です!

『悪役令嬢の品格ー読者様への感謝を込めた短編集ー』

コミカライズ版です!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ