夏秋冬春歌
夏。
それは生けるもの全てが成長する季節。
水面はきらめき、波を起こしてはじけ散る。
花は咲き、歌うように恋をする。
動物たちは背丈を伸ばし、西へ東へ闊歩する。
秋。
それは成熟さが潤う季節。
花は実になり、けれど尚も瑞々しく。
葉は彩り、舞い遊び、水面に映える。
次の世代へと、生けるもの皆、準備する。
冬。
眠りの季節。
暫しの静寂。
けれど力を溜め。
静かに、力強く、力を溜め……。
春。
今ぞ、全てが芽吹くとき。
何もかもを乗り越えようと。
まっさらから始めようと。
全てここから始まる。
そして。
また、この日がやって来る。
何もかもが、この一年、どんどん育っていくというのに。
私はいつも河岸に立ち、それを眺めているだけ。
ただ眺めているだけ。
ああ、貴方に逢ったら伝えたいことがある。
私たち、もしも許されるのなら。
もう一度下界に降りて、一生懸命に生きてみたい。
あの輝ける、素晴らしい世界で。
今度はちゃんと、生きてみたい。
貴方と、共に。
貴方は、微笑んで、頷いてくれるかしらーー。
七夕の前夜、ひとり呟いた。
七夕前夜の織姫の独り言でした。






