裏市場での抗争
「と申す事が起きてな…」
「へーいろいろあったのね」
「それはまずいんじゃないですか?」
「魔王の力でなんとかするか?」
「いやはや、こたびは中乃国に参ろうと思うておる。おそらく
あやつはその国に秘密基地を築いておると思うておるんじゃ。
じゃからこの度は皆の衆にて突入せむと思うておるのでござるが、
如何かな?」
「じゃあいこうよ!早く倒そうよ!」
「行きましょうか」
「魔王の力を見せる時が来たか…」
「この人たちノリいいな」
こうして俺たちは中乃国にあると思われるプログラインの秘密基地
に突入するべく、船でその国に向かった。
中乃国に着いた。航海中、事件は無かったので本当に良かった。
もう一度あんな事が起きたら船に乗れなくなってしまう。まあネルウィ
やユーシャ、アキナは女三人でなんか楽しんでいたが、俺と魔王は黄昏
ていた。
どうやら中乃国の治安は良くないみたいで、偽造品も出回っている
ようだ。なんか中の国のようだ。むしろそれと言った方が良いのか。
「葦!ここが裏市のごとし。皆の衆!二手に分かるるぞ!」
「じゃあ私とアキトが一緒に行こうかな」
「さふせむ!せっしゃ魔王殿と勇者殿と共に参上する」
「じゃあ後でな。ユーシャ、ゼノさん、アキナ」
俺たちは二手に分かれた。なぜ二手に分かれたかと言うと、
大人数で行動している奴らの方が狙われやすいらしい。普通
単独行動してる奴が狙われるだろと思ったが、大人数で行動
している奴は大金を持っていると、ここの犯罪者たちは思い
込んでるらしい。
どうやらアキナの話によれば、秘密基地はこの裏市場の
どこかにある店の店主が番人らしい。今はその人を探して
いる。
「あの、怪しい店の店主とか知りませんか?」
「あの店の店主とか、そうなんじぇねーの」
「ありがとうございます」
「そんな奴の話信じちゃっていいの?罠かもよ」
「行ってみなきゃわからないじゃん」
「まあそうだけど…じゃあユーシャの所にこの店の場所
教えておくね。もし何かあったら助けに来てもらおうよ」
「教えておいてくれ。まあ元々アキナの問題だけど…。
じゃあ行くか!」
「分かった!行こ!」
俺とネルウィはその店に入った。
「よう、兄ちゃんと嬢ちゃん。こんな店にどんな用だい?」
俺は即座にその店員の首に剣を当てた。ネルウィも銃を
向けていた。
「この店の店主を出せ!殺すぞ!」
「分かったよ兄ちゃん!落ち着けや!このボタンを押せば
店主が呼べる…とでも思っていたか!私が店主だ!舐めた真似
しやがってよ!こんな脅し通じるか!俺が殺してやんよ!」
俺は剣を店主に投げられてしまい、銃を首に向けられてしまった。
「その銃を下ろしなさい!撃つよ!」
「へ!下ろすものか!嬢ちゃんもこの兄ちゃんが殺されたくはねぇ
だろ!分かったならお前が下ろせ!」
「くっ」
その途端店主が天井に向けて発砲し、また俺の首に向けた。ネルウィ
はチャンスを逃してしまったからか、厳しい表情をしている。
「分かったらさっさと銃を下ろせ!」
ネルウィは銃を下ろしてしまった。
「仕方ないわ。こうするしかない様ね」
「物分かりが良いじゃねぇか嬢ちゃん。おい黒服!この嬢ちゃんを
連れてけ!たっぷりと遊んでやれ!」
その途端、立ち入り禁止と書かれたドアから黒いフードを被った奴ら
が三人ほど出てきた。ジェノサイドの兵士だ。やはりここは秘密基地
らしい。
「は…離して!」
「連れて行け!」
「了解です。ジェノサイドに栄光あれ!」
「あ…アキト…」
「やめろ!ネルウィを離せ!」
「早くて連れていけ!」
ネルウィはジェノサイドの兵士に扉の向こうに連れて行かれて
しまった。
「くそっ!ネルウィに何をするつもりだ!」
「他人の心配よりも自分の心配をした方が良いんじゃないか?」
「何をするつもりだと聞いているんだ!」
「たっぷりと痛ぶって、たっぷりと可愛がってやるんだよ!
分かるだろ?」
「そんな事するな!」
「あんな舐めてもらった事されちゃ…なぁ…あの嬢ちゃんの体で
支払ってもらうしかないなぁ」
「くそ!お前ら!そんな事してただじゃすまないぞ!」
「今頃、あの嬢ちゃんは汚されてるだろうな」
「くっ!」
「じゃあそろそろ死んでもらおうか!俺もあの嬢ちゃんの体を味わ
いたのでね!」
(ネルウィ…すまない…こんな事になってしまって)
その時、外が急に騒がしくなった。なんか銃を持った人たちが
走っていた。そして何かを迎撃する体制になっていた。
ーーーーー
ーーー
ー
「ゼノさん!敵が迎撃態勢になってるけどどうします?」
「大丈夫だ心配ない。侍は常にアキトの元に急がせてるし、俺たちが
こいつらを蹴散らせばいいんだろ?無双ゲームみたいにな」
「でも危険じゃないですか?」
「大丈夫だユーシャ。お前がサポートしてくれればいいんだからな!」
「了解です!ゼノさん!」
「じゃあ行くぞ!超越魔走突撃!」
「なんか化け物が来たぞ!皆撃てー!」
魔王の元に銃弾が飛び交う。だが魔王には意味がない。魔王は
闇の手を使い、敵を蹴散らし、ものすごいスピードで走っている。
「ゼノさん!十時の方向に砲兵です!」
「おうよ!オラァ!」
周囲に爆発が起きる。銃を持った兵士たちが宙に舞う。まだ
銃弾が飛び交う。だが魔王の攻撃も止まない。遂に銃弾が飛び
交わなくなった。
「よし!これでいい!」
「やりましたねゼノさん!」
ーーーーー
ーーー
ー
「やう!店主!死みてもらおうぞ!」
「ゴワァ!」
「かにてよきな」
「あ、アキナ!ネルウィが…」
「分かった。拙者が行って参る!気付かるぬごとくネルウィ殿
を連れ戻してくる」
「た…頼むぞ!ネルウィは今頃…」
「ネルウィ殿なら心配御無用であると思うておるで候」
「にては行って参る!」
「いや!俺も行く!」
「其れにては隠密には済まござらぬなるぞ」
「いや、元々あいつも殺す予定だろ」
「そうでござるね!いざ参らん!」
「よし!」
「魔王殿と勇者殿もまふすぐ来る算段さながらじゃ!
先に攻略するでござるぞ!」
「おう!」
俺とアキナは扉を蹴破り、秘密基地に潜入した。敵がこちらに
発砲してくる。俺とアキナは、避けながら奴らを斬り殺していった。
「アキトはネルウィ殿を助けるんじゃ!拙者はあやつと
決着をつけてくる!」
「分かった!」
俺はネルウィを助けるために全力で走った。
「よーし!たっぷり痛ぶったことだし、やっちゃうか!」
「そうだな!」
「よーしよーし!」
「うぅ…覚えてろ…」
「ネルウィ!」
「お!なんだてめぇ!殺されてぇのか!」
俺は即座に斬った。斬りまくった。
「おい…なにしやが…」
もう一人、斬り殺した。俺の怒りは爆発していた。
「おい!動けばこいつを殺す!」
「あ…アキト…」
ネルウィを見た時は、服がボロボロになっていて、皮膚にも
傷がたくさんついていた。ネルウィのこんな事をする奴は絶対
殺してやる。
「解放風剣!」
突然後ろからアキナが現れて、ネルウィから奴を離し殺した。
俺はとっさにネルウィの方へ走った。
「大丈夫か?」
「ま…まあ…大丈夫…」
「でも全身傷だらけじゃないか」
「だ…って…大丈夫?て言われたら…大丈夫…って返すのが…
お決まり…じゃないの?…」
「そ、そうかもしれないけど」
「そうなんだ…」
「え?」
「?」
「へ?」
「まあ一件落着なのか?」
「そうね…」
「そういえばアキナ、あいつは?」
「まふとっくに逃げらるておりき。魔王殿と勇者殿が外にて
ひい暴れしたでござるから危険であると思とは逃げたらしき」
「そうか」
「作戦は…失敗…ってわけね…」
「まあさふやもしれぬなれど。とはいえ決着をつける日が来る
のはさふ遠くはなささふで候。とりあえずネルウィ殿がかなりの
刃傷を負ったから帰らふか」
「ゼノさんとユーシャはどこにいるんだ?」
「魔王殿と勇者殿はここの残党兵を片づけてる所業さながら
じゃから、とりあえず拙者たちは先に帰とはもよきらしきで候。
ネルウィ殿が心配じゃし」
「分かった。先に帰らせてもらうとするか」
「そう…ね」
俺はネルウィを抱えながら、予約してある宿屋へと向かった。