六百九十四話 顔が麻呂っている荒鷹ヒューイちゃん
来週予定でしたが、きまぐれです。
自らの<夢闇祝>を指の腹で叩きつつ周囲を見回した。
寝台に戻るかな、と、エヴァたちとアイコンタクトを行いながら机と壁と内装を調べていく。
棚の上に光を帯びた鴉の石像があり、双眸は硝子製でキラキラ輝いて綺麗だった。隣に荒鷹ヒューイがいた。
木の窓から、この宿屋の広間に入ったようだ。
鴉の石像に対してヒューイは「チキチキッ」と音を鳴らす。
ヒューイは、鴉の石像の頭部に、これでもかと自身の顔を近づけて『あぁ!?』と、不機嫌そうに凝視している。
翼を拡げて自分の体を大きくしては威嚇する。
『あなたの心の隙間を埋めます、どーん!』
と言った感か分からないが、荒鷹ヒューイは嘴を開けて「チキチキ、チキチキ、キュゥゥ!」と不機嫌に再び鳴いて鴉の石像相手に一生懸命メンチを切っている。
ぷんぷん顔も可愛いヒューイだ。
鷹らしい表情でカッコイイんだが……。
眉が見事に∴のマークで麻呂ってるだけに面白い。
立派な鴉の像をライバル視?
ただの光源だと思うが、この宿の守り神かもなぁ。
鴉の胸元には光神の意味がありそうなマークもあるし。
キッシュが<筆頭従者長>になった時も、黄金に輝く八咫烏のような存在が舞い降りていた。
荒鷹ヒューイも元々は荒神だ。
だからか?
「ンン、にゃ」
相棒の声だ。
その黒猫を見ると……。
ヴィーネとキサラの傍にある机の端に後脚立ちして、両前足を上下させていた。
なんで餌くれポーズなんだ。
「ロロ様、これはあげられません」
すると、ヴィーネは長い銀色の髪を靡かせるように片腕を伸ばす。
黒猫は釣られて机から落ちそうになったが、四肢の爪で机を押さえるように体を支えると、背中を落としてゴロニャンコ。
テーブルクロスに背中を当てながら転がりつつ机の花瓶に向かう。
素早くキサラが花瓶を持ち上げて、花瓶は倒れずに済んだ。
ヴィーネは金色の糸を腕に絡ませつつ俺の横に来る。
黒猫はその糸で遊びたかったのか。
そして、その糸はユニーク級のアイテムだったかな。
黄金色のゴールドタイタンの糸。
迷宮都市ペルネーテで魔宝地図に挑戦した際に出た宝箱から手に入れたアイテム。
その糸で銀色の髪をポニーテールにすることが多いヴィーネ。
前に三つ編みにしていたこともあった。
そのことを……。
「最近は三つ編みにしないんだな?」
そう聞くと、片方の眉をピクッと動かすヴィーネ。
エヴァとキサラもジロッと俺を注視。
そして、ヴィーネは長い銀色の髪を片手で払い、
「ご主人様がお望みならば、直ぐに変更する!」
「ん、ヴィーネの髪、弄ってあげる」
「ありがとう、エヴァ」
「ふふ」
「あ、わたしも挑戦したいですが、そこまで長くはなかった」
そう語るキサラは白絹のような髪を指先で触る。
すると、エヴァがアイテムボックスから、
「レベッカからもらった、これもある。試す?」
と色々とウィッグを出していた。
魔力を備えたお洒落アイテムを入手していたのか。
続きは来週!
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