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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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573/2029

五百七十二話 魂の黄金道

 左の都市を囲う壁。壁が天井と地面と繋がる。

 深成岩をくり抜いた形で、地下都市を構成しているのだろうか。

 元々は岩脈と思うが所々にある穴も多い。

 すると、壁が内側から熱されたように赤くなった。

 穴から夕照のような光が溢れ出ていく。

 内部の都市に中性子星が出すようなパルサーでもあるのか?

 ――外壁の下から右のずっと奥にまで……迷宮を俯瞰するような街並みが続いていた。右側は巨大な洞穴でバーレンティンが語る大動脈層の一部かな丘陵が続いて厚い岩と薄い岩が歪なアーチを作る。

 そんな様々な岩と魔力の吹き溜まりが不均等に並ぶ箇所もあればモンスターの頭蓋骨が形成したような層と、黒と茶の層が積み上がって岩の傾斜になっている洞窟の地形がある。濡れた岩肌と重なる地形ではスライム状のモンスターたちが濡れた岩肌を滑り移動していた。

 その宙空を闇の炎を纏う蜂たちが飛翔していく。他にもガラサスのような蟲の胴体を持つ怪物たちが、その濡れた岩を滑り下りている。しかし、岩肌の割れ目に棲む熊型のモンスターに、その滑り下りる蟲たちは喰われていった。右側は、左の街と環境が違うが、どちらも過酷な環境だな。魔力が漂うせいか。その右のほうの視界は悪い……たぶん、あの右の先も谷間の隘路ばかりと予想。

 あんな上下左右に穴やら崖がある地形を進んでいたら方向感覚は狂うだろうな……が、右側の洞窟を巡る冒険の旅も楽しいかもしれない。

 骨の海のようなグランバが湧いていそうな場所は地下にたくさんあるだろうし……。


 答えは分かっているが、バーレンティンに、


「バーレンティン、あの右側の地形は、大動脈層の一部か?」

「そうです」

「無数に分岐する巨大地下道。あの先に他の地下都市があるんだっけ?」

「はい、正確な地下道は把握していませんので、向かうとしたら、まず、迷うことになります。独立都市ビエルサ、その奥に独立都市ラレルダがあるはずです」

「他の地下都市か。幸い、魂の黄金道は独立都市フェーンの中に続く」

「ん、蜂式ノ具はあの岩壁の中?」

「たぶんな、魂の黄金道が、この都市を形成する外壁の外に出ていなきゃ……地底神ロルガ&蜂式ノ具は、この独立都市フェーンの中だということになる」

「都市の中に蜂式ノ具があるのなら、都市の中に侵入するルートは色々と考えられるわね」

「罠ってことも考えられるが……今はまだ偵察を続けよう。ハンカイもいいな?」

「下の奇怪な連中にもバレていない状況だ。シュウヤの判断は間違っていない」

「はい、シュウヤ様、飛翔して壁の様子と街並みを空から見学しましょう」

「現状ですと……まだ遠いのでなんとも把握するのは難しいですが、壁の下の出入り口と、無数にある壁の穴から潜入ができそうですね」

「おう。もう少し近付くか……」


「ンン」


 聞き取りにくい喉声を発した相棒。

 操縦桿としての触手の部位が微かに震えて反応を示す。

『おと』『おと』『たてない』『てき』『ちかく』『おと』『そっと』『ちかく』『がんばる』『あそぶ』


「相棒は静かにしたほうがいい。と、いいたいようだが、下は五月蠅いから声を出しても大丈夫だろう」

「ん、血文字も使う」

「わたしは、ネームス!」

「「了解」」


 一応は、口に人差し指を縦に置きつつ『状況は理解しているな?』とアイコンタクト――。

 ハンカイとモガは頷く。

 ネームスも唇に大きい掌を当てる素振りを見せてくれた。ただ、勢い余って自分の巨大な腕が長方形の顔に衝突して、顔に生えていた植物の枝を削っている。


 可愛いかもしれない。そんな皆を見ながら、


「一応<無影歩>を使う。しかし、飛行中の無影歩は完璧じゃないからな」

「うん」

「はい」

「んじゃ、<導想魔手>で跳びながら付いてく――」


 俺は相棒の後頭部から離れ跳ぶ。

 皆が<隠身(ハイド)>系スキルを実行していくのを把握――。

 飛行中の相棒を見ながら<無影歩>を発動――<導想魔手>を蹴って飛翔していく。

 すると、ロロディーヌが頭部を向けてくれた。

 ピンク色と白っぽい毛穴たちが、ピクピクと動いて可愛い……。


 歯を見せた、がんばろうとする気持ちを伝えてくれたのかな。

 ネコ科といっても肉食獣だから一見は怖いかもしれない。


 だが、触れていなくても相棒の気持ちは十分に伝わってくるから、心がほっこりした。


 そんなロロディーヌを見ながら……。

 ――渡り鳥たちの仲間にでもなった気分で相棒と空を飛んでいく。


 地下都市、独立都市フェーンが近付いてきた。


 飛翔している相棒は触手を収斂。

 頭部の形を変化させた。 

 コンドルか、鷹か、黒豹か。

 といったようにエッジが効いた渋い頭部な形だ。

 一瞬、キサラの姫魔鬼武装を思い出す。


 高速戦闘タイプの兜状に変化するような動きの質で骨とかの造形が変わるから面白かった。


 頭部を渋くしたロロディーヌ。

 胸元も形を変えた。

 両前足の厚みも薄まり幅も小さくなる。


 両翼の形も戦闘機の可変翼がコンパクト化するように巨体と共に縮小した――。

 格好いい。


『ロロ様が進化?』


 ヘルメが指摘。

 確かにそうかも。

 前に、俺が無影歩を混ぜた仙魔術の修業をくり返していたことを、ロロディーヌなりに学んでくれていたようだ。本当に愛しい相棒ちゃんだな。

 だから、相棒なりのステルスモードの飛行形態ってことか。


『俺の修業と連動したのかもしれない』

『閣下の試行錯誤を重ねて研鑽を積む心が、ロロ様にも響いたのですね』

『はは、そうだと嬉しいが、実は、俺の修業は関係なくて、単に、この地下のモンスターたちとの戦闘と食事の結果かもしれない』

『それでしたら、魔国の土地のお土産もあります。未知の魚とザリガニ? でしたっけ』

『あげたあげた。ロロは喜んで食べてくれた』

『あとは、亜神夫婦たちが守る果樹園のフルーツと野菜類!』

『それに、ロロ用に魔力を込めて加工したカソジックとササミ料理もある』


 特別なマグロとササミだ。

 それらロロ用の餌は、アイテムボックスの食材袋の中に小分けしたタッパーの中に入っている。

 蓋にトングが付いた便利なタッパーだ。

 マイ箸もあるから別に要らないが、ヴィーネが用意してくれていたタッパー的な保存箱は便利だ。


『ふふ、あの餌ですね! ロロ様は美味しそうに食べておいででした。あ、ゼレナードの施設にあった黄金のお酒とお菓子類も、普通の食料ではないはず。チーズを大量にレベッカから奪っていましたよ』

『あのチーズかぁ、レベッカたちが興奮していたな』


 左目に棲むヘルメと零コンマ数秒も経てず思念会話を終える。

 すると、ロロディーヌが旋回、独立都市フェーン側へと体を傾けた。

 偵察用に、視界を確保し易くしようと考えての、相棒の動きだ。

 皆は……ぎゅうぎゅう詰めってわけではないが、中央に体を寄せた形となっている。

 そして、偵察をするために下を覗ける位置にあるが……相棒の黒毛たちの形はリクライニングシートと化していた。

 ……そのシートに体を預ける皆。

 黒毛たちに体を沈ませて黒毛たちが皆を包む。

 皆、顔だけが露出している……。

 その表情が、なんとも言えない。アキは変顔だ。

 温泉にでも浸かっているような、砂風呂にまったりと浸かっている感じか?

 満喫顔を繰り出す皆だ。こんちきしょう!


 と、ツッコミは入れない。


 (すこぶ)る気持ちがよさそう。

 神獣パワーで、遠赤外線効果とかありそうだ。


『閣下、わたしも、ロロ様の黒毛寝台に浸かりながら偵察を!』

『ヘルメ、今はだめだ』

『……分かっています』


 ネームスとロゼバトフとビアの三人は体格がいい。

 神獣リクライニングシートから、体がはみ出ていた。ビアはそれでも嬉しそうだ。両手を拡げて、「我は、このような気持ちいい偵察を知らない!」と、叫ぶ。

 しかし、ステルスモードに移行したからって……。

 真下は敵だらけな状況だってのに、皆、余裕すぎだ。

 ま、飛行中は上手く作用しないことが多い<無影歩>だが……。

 ユイたちは、ゼレナードの施設で<無影歩>の効果を垣間見ているからな。


 だから俺の気配殺しの技術と、ロロディーヌの絶対的な強さを信頼しているんだろう。

 それに、あんな柔らかい黒毛ちゃんが作る天然リクライニングシートだ。

 あんな気持ちよさげなマッサージ付きの天然椅子に体が包まれちゃあな。

 心が緩んでしまうのも、十分理解できる。


 が、俺は俺の仕事をする。

 これは気楽な相棒との旅ではない。 

 サイデイルで平和に暮らす皆のため、そして、愛しい友のためだ。


 ということで――<導想魔手>を蹴る。相棒の後頭部に戻った。

 触手手綱の操縦桿が俺の眼前に迫る。

 その操縦桿を掴んで<導想魔手>を消しつつ前進を意識。


「――相棒、このまま都市の壁が続く洞窟を旋回しよう」

「ンン」


 喉声を発した神獣ロロディーヌ。

 天井すれすれを飛翔。

 時折、形の変わる風船のような光源が、飛行する俺たちを遮る。


 天井を這うスライムと闇色の魔力を纏う蜂たちの行動に気をつけながら――空中散歩&偵察を実行した。


 魂の黄金道は通り過ぎた。

 依然と左に都市を囲う壁は続いている。

 そして、独立都市フェーンの外側を一周はしていないが、かなり飛翔して進んだはず。

 下は怪物たちが暮らす陋巷(ろうこう)な場所ばかり。

 魂の黄金道は見当たらない。

 独立都市フェーンの中から外に、魂の黄金道は出ていないんだろう。


「やはり、あの壁の中に、地底神ロルガが居る?」

「たぶんな、魂の黄金道は、この独立都市フェーンの中が終着駅ってことだ」

「えき?」

「停留所の最後って感じだ」


 そのフェーンへと巡礼に向かうように魑魅魍魎なモンスターたちが行き交う。

 あの辺は、魔神帝国の勢力だろうと他の都市とそう変わらない。


 そして、飛翔中のロロディーヌでも、下から探知を受けていると思うが……。

 下の壁際から右側の洞窟を、行き交う魑魅魍魎たちは、依然と、俺たちに気付いていない。


 怪物たちが多すぎるからか? 

 それとも、この辺りに充満している魔力が探知を阻害している?

 俺の掌握察は機能しているから違うかな。


 たんに<無影歩>が機能?

 飛行中のロロディーヌが発している魔力が、下からの魔力探知を弾く?

 高度が高いだけか、探知が得意な怪物たちは、わざと俺たちを無視?


 泳がされているだけってのもあるかな?

 どちらにせよ攻撃もないからゆっくりと飛翔して見学を続けるか。


 と、下の様子を少し見て……振り向く。


「まだ、バレてないが、偵察を続ける」


 皆にそう発言。相棒に〝静かに飛ぼう〟と気持ちを伝えてから操縦桿の触手手綱を離す。


「天井から襲い掛かってくる気配もないし、作戦会議といこうか」


 皆にそう告げた。


「はい」

「了解した」

「おう! ここも安心はできないがな」


 ハンカイが、天井に這うスライムと、小さい熱気球のような光源を指摘。

 闇の炎を纏う小さい蜂も居る。

 蜂の巣のような熱を発した塊にスライムたちが群がっていた。


 ある種の共生関係か。


「……下のモンスターたちが気付く可能性もあります」


 キサラが心配そうな表情を浮かべて語るが、大丈夫だろう。


「どうだろう。大丈夫だと思うわよ」


 レベッカがそう発言。


 側に居たサザーとビアがキサラに微笑む。

 キサラは、ビアの長い舌を凝視。ヒュルルルと音を立てているからな。そのビアが、


「我を盾に使うといい、シャドウストライクと魔盾が、四天魔女だろうと守る」


 と、語りかけていた。


「でも、天井付近のスライムは不気味よね、ネバネバした液体が垂れてきそう、蒼炎でバリアを張る?」

「ん、目立つからだめ」

「浮いているクラゲのような光源は不気味ですね」

「それよりも、闇の炎を身に纏う蜂たちが気になるわ。偵察の役割とか?」


 ユイの言葉に頷きつつ、闇の炎を纏う蜂を見るが……。


「……警戒はするが、襲う気配はない。近くを飛ぶ蠅を攻撃しているし大丈夫だろう」

「下が喧噪なことは好都合ですな」


 スゥンさんが語る。

 確かに、ハンカイも頷きながら、


「下の喧噪具合を見ると……荒々しくもあるが、地上とそう変わらない」

「確かに、砂漠地方の都市のほうがもっと荒れていますね」


 キサラがそう発言。

 見た目が怪物なだけで、人族や魔族と変わらないか。


「……主は、隠れながら潜入を試みるつもりか」


 キースの言葉だ。

 彼のことを勝手にハイ・ゾンビと形容するが、イケメンなことに変わりない。

 頬から覗く骨が格好いい。


「このまま<無影歩>でな」

「ゼレナードのような大魔術師でさえ通じた隠蔽術ですからね」

「……過信は禁物よ」


 ユイの言葉に頷く。


「人口が多いから露見はするはずだ。さすがに大都市の中をなにごともなくは無理だろう」

「潜入し、バレた場合は、大規模な戦いとなることは必定です」

「下の怪物たちのすべてが、敵となる状況は……」

「はい、危険かと」

「要は壁の外側で暴れたら、目立つってことだろう……だとすれば」


 サルジンが腕から生えた毛の一部を硬化させる。

 レイピアのような赤爪と、その硬くした毛を繋げていた。


 その切っ先は、壁の奥を向いている。

 今は見えない魂の黄金道を指しているつもりなんだろう。ヒャッハーな彼の<血魔力>系のスキルは古代狼族に近い。

 オッペーハイマンの吸血鬼ハンターから逃げたと過去に語るが、ノーラの家族と関係があるんだろうか。


 寝台を共にしたノーラの顔が浮かぶ。

 そこにバーレンティンが反応した。


 あれ、今先ほどまで銀色の髪だったが……。

 今は金色に近い色合いに変化していた。

 そういえば、初見では金色の髪だった。

 服は前と変わらず、紅色を基調とした戦闘服。

 軍服か傭兵かって感じだが。

 表面に防水処理を施したようなラメ革を彷彿とさせるテカりもある。

 襟章のバッジも格好いい。

 真鍮製の金具と〝緑薔薇の蛇模様〟もバーレンティンにぴったりだ。


 渋い彼は俺に向けて、敬礼を行う。


「――主、サルジンの意見に賛成です」


 そう発言しながら側に居るヴィーネにも視線を向けたバーレンティン。

 そのアイコンタクトの意味は『この作戦で、よろしいか?』という意味だろう。


 <筆頭従者長(選ばれし眷属)>のヴィーネの立場を考慮しての視線でもある。

 ヴィーネは首を縦に動かして「……」声に出さずとも了承していた。


 レベッカとユイとエヴァも首を縦に振った。

 ヴィーネの紫色の小さい唇が動く。


「確かに、まだ都市の中を把握していないので、なんとも言えませんが、戦いを仕掛ける以上はリスクを踏まえなければなりません」

「うん、下の怪物たちを見るに、強者は必ず居る。わたしたちも気を引き締めましょう。だからといって小細工は必要ない。正面突破よ。人質はいないんだから」


 ユイは<ベイカラの瞳>で下の連中をマークしていたようだ。

 頼もしいが、赤く縁取った敵ばかりになるのも、視界的にどうなんだろう。


 と、ツッコミは入れない。


「はい。先程の、魂の黄金道が続く壁のほうから素直に突っ込むのですね」


 キサラの言葉に同意するように、皆が頷く。


「そうだな。<無影歩>がバレるにしても、心臓部でバレたほうがいい」

「派手な戦いとなれば、標的の地底神ロルガが、どう出るか」

「素直に敵対行動に出るタイプなら楽ですな」

「……他の場所に転移するか、未知の敵を呼び寄せるか……」


 スゥンさんとバーレンティンは語り合う。


「フェーンの中に続く魂の黄金道も、いつ何時途切れてしまうか分からない」


 と、俺が発言。

 金髪のバーレンティンは頷く。

 鋼の視線だが、端正な顔だから映える。


「なるほど……それは確かに……」

「ハーデルレンデたちの魂の力で続く黄金道。魔力も有限のはず」

「イギルとかキストリン爺さんの力もまだ残っているとは思うが……」

「そう簡単に消えるとは思えないけど、ドミネーターさんも紙片の力で復活したようだし」


 レベッカの言葉にユイが頷きつつ、


「色々な力が加わった結果よね、聖者キストリン、光神ルロディス様と蒼炎神エアリアルに纏わる力」


 そう語るユイは<ベイカラの瞳>を解除しながらレベッカを見つめていく。

 レベッカはポーズを求められたと思ったのか、右手を曲げて、細い二の腕に小さい筋肉の塊を作った。


『ん、あそこなら隠れることは可能』

『下に水が流れていそうね。あそこを拠点に、独立都市フェーンへの潜入ルートもあり?』


 と、血文字が浮かぶ。

 右側の岩場に着地して、徒歩ルートで、都市に潜入するルートか。


 ……潜入できそうな場所は……。

 左側は巨大な岩壁が続いている。

 穴が多い壁だ。


『ご主人様、見たことのない種族の商人たちが居ます』

『あぁ……』


 左の壁の下に近い地下道には……。

 ホームズンの英雄でも居るのか、大柄の達磨系の像たちが並ぶ。

 闇の炎を纏う巨大蜂の像たちが並んでいた。

 歪な猿の頭部を持つ肩が凹んで背中に甲羅を持つ怪物たちに向け、茨の鞭を振り回し攻撃をしている魚系の怪物。怪物も階級がある? 


 頭部に蛇人族(ラミア)、分厚い胴体は魔獣に四本の腕。

 下半身が小さい人族で四本の足に分裂した手を持つ異形の怪物も居る。

 更に、人族の女性たちが……生きていることにも驚きだが……。

 おぃおぃ、パコパコの乱交かよ。

 羊の頭と両肩に蜘蛛の脚のような奇妙な器官を有した怪物に抱きついて悶えている。

 完全な邪教の儀式だ……ヴィーネは凝視、エヴァは目をつむる。

 レベッカはユイに目を塞がれていた。バーレンティンは視線を泳がせる。

 サザーは相棒の触手が絡まって双眸が隠れていた。

 うむ。正解だ。皆、その怪しい女性たちが悶えている儀式はスルー。


『像……ロルガの像もあるから、やはり、ここの都市の中に地底神ロルガが居る……』

『魔神帝国の都市……巨大な勢力です』

『多種多様な怪物たちだ』

『戦うなら覚悟が要る』

『そうねぇ、食料となっている方々が見えたけど……怪しい女性たちは、助ける?」

『余裕があったら助けたいが……今はロルガ討伐&聖域奪還を優先だ』

『了解』

『ん、仕方がない。がんばる』


 そして、Uターンし速度を上げて飛行。


 戻りつつ壁の手前の観察を強めた。

 市場と巨大な像か……。


 肝心の魂の黄金道を遠くから再び視認。

 像たちの間から壁の中に続いている。

 ……ちょうど壁の出入り口付近だ。

 その壁の出入り口付近は湾曲した殺人孔のような窪みが連続しつつ、その節に小さい頭蓋骨が嵌まる。

 骸骨たちは意識があるように嗤う。

 更に怪物と女性が合わさったサキュバスの裸体たちが踊るような造形の落とし格子があった。


 そして、雷文と梵字系とヒエログリフ系のような文字が、支配者としての地底神ロルガを形成する。

 半分の頭蓋骨を支えるような位置の表面を飾る彫刻。

 たぶん、あれが地底神ロルガだろう。

 女性らしい造形だ。

 頭部は額に魔法石が嵌まり髪の毛のようなモノが双眸を隠す。

 両腕が異常に長く、両足の横に無数の細長い腕を生やしている。


『この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ』


 門から響く声だ。


 ロルガの声か不明だが、都市の門が生きているのか?

 しかも、俺しか聞こえていないようだ。


 希望は捨てねぇよ! 

 とテレパシー的な念を送ったが、門が聞こえているか不明だ。


 それら彫刻のタペストリーにも見える造形が、透かし彫りのような技術で、骨ブロックを作り、巨大な頭蓋骨の半分を支えていた。

 その巨大な頭蓋骨の半分は、舞台のように平ら。


 実際に、御影石のような素材の怪物たちが、その平らな天辺で、互いに殺し合っている像で構成されていた。


 槍で突き刺されるような眼球の怪物。

 大剣を振り回す骨怪物。

 岩礫を出す骨怪物の魔術師。

 ホームズン兵士の多脚のブレード刃が槍衾を形成し、全身を串刺しにされている骨怪物たちの像。


 そんな巨大門から続くように、右斜め下の壁も特徴的だった。

 外壁と角張ったアルコーブが、槍と鎖のようなモノが支柱となって斜め下に湾曲しながら繋がり、鋼鉄とダイヤモンドのような魔宝石が組み合わさって、これまた蛸の頭と人型の悪魔のような怪物が、その壁と支柱からせり上がる形で描かれてある。


『凄い……』


 ヘルメの思念だ。


『アムたちの独立地下火山都市デビルズマウンテンよりも造形が凝っている』

『はい、意味がありそうな門です』

『地底神ロルガを讃えた文とか? ま、それだけ強いという現れか』

『……はい』


 高度文明を予感させる文字群。

 アムたちと敵対している魔神帝国の都市。

 黒き環(ザララープ)からの来訪者たちが構築した都市でもある。


 巨大な門を通り過ぎ、壁と穴を把握。


『整った岩壁は、さっきの一部分だけか。やはり他の壁は穴だらけだ』


 岩壁のあちこちに巨大な孔と空洞がある。

 採光用の窓の大きさを有に超えているが、都市の中から発せられた赤黒い光が、こちら側を射している。

 その巨大な孔にも、大柄のゴブリンたちと蟻のようなモンスターも棲んでいた。


 壁の中に独自の文化圏を形成している。


『壁は壁で生活空間があるようです。争っている?』

『……巨大な蟻たちがクラゲの頭を持つ魔族を食べていた』

『同士討ちか、あ……闇ギルド風とか?』

『そのようです』

『他の人族たちと同じか。ダークエルフもノームもドワーフも同様に派閥争いがある』

『壁の中で暮らす怪物グループと都市の中で暮らす怪物グループの争い……』


 ヘルメとの念話と同様に、血文字でも同じような話し合いが行われていく。


 とりあえず穴だらけの壁はスルー。

 その大きな穴から、都市内部の様子が見て取れた。

 都市の中は……。


 中央の宙空の位置に、赤黒いエネルギーが集積したような、丸い巨大塊がある。

 丸い巨大塊は、赤黒い太陽を彷彿とさせる。


 縁を駆け巡るプロミネンス風の魔力放射が天井を伝い走っていった。


 神々しさがあるエネルギーだ。


 あの赤黒い太陽の明かりが、都市を照らしている。

 壁を内側から夕照のような明かりで照らしていた源か。


 そして、魂の黄金道は、その赤黒いエネルギーの巨大塊と繋がっている。

 あの赤黒い太陽が、蜂式ノ具なのか?


 その赤黒い太陽を彷彿とさせる巨大塊の真下に、闇の炎で縁取られた巨大神殿があった。


『ん、シュウヤ、あの赤黒いお日様と神殿に、地底神ロルガが?』

『そうかもしれない……』


「神殿は大きい……」

「あぁ」


 闇の炎が彩る巨大神殿か。


 その周囲に、闇色の蜂のモニュメントたちが、そびえ立つ。

 闇炎神殿の屋根にある一対の小さい歪な塔から出た魔線が、赤黒い太陽と繋がっていた。


 闇の炎は紫電めいた動きで四方八方へと迸る。

 闇炎神殿で蓄えた魔力エネルギーを、小さい塔から放出しているのか。

 小さい塔から出た闇の炎が、凄まじい勢いで、赤黒い魔力の巨大塊へと衝突している。


 小さい塔は、避雷針のようにも見えた。

 宙に浮かぶ赤黒い魔力はエネルギーを集積している?

 魂の黄金道はそのエネルギーに突き刺さるような形で、下から宙に伸びている。

 そんな中央の闇炎神殿をぐるりと円形に囲う銀色の建物もある……。

 魔法陣か不明だが、円形の出入り口の形に合う放射状に伸びた歪な街道もあった。

 街道に揃う建物も変な形の物ばかり。斜めの剣のような形の石と鉄の建物。

 骸骨とカエルに蜂の形が合成された建物。

 スライム状の粘液と、肉と骨が使われた何かの性器と似た建物。

 小さい黒き環(ザララープ)を模型にしたモニュメント群。

 そこで魔術師系のキュイズナーが無数に並んでいた。

 中央の生贄台に生きたダークエルフとノームたちを乗せて、無残にも殺している。 

 隣の大通りでは、神社の鳥居風の小さい門が幾つも並ぶ。

 その鳥居の下で、多腕に無数の眼球を宿した怪物が、その腕を鳥居に翳す。

 手から魔力を内包した眼球を出し、その眼球から魔力波を百八十度の方向に展開させていた。魔法の効果か。鳥居を囲う半円形の空間を湾曲させている。半円は黒い稲妻のようなモノが放電していた。左側では、歪な赤黒い風神と雷神めいた像、地底神たちの像が並ぶ。闇の炎を灯す蜂をモデルにした建物も幾つかある。

 宗派とかあるんだろうか。


『……あんなおっきい魔神具のような魔力を出している存在を、わたしたち倒せるの?』

『……ん、レベッカ、シュウヤを信じないの?』

『信じる。ただ、少し、怖くなったの』

『……怖いですが、ボクはごしゅさまを信じてます』

『この恐怖こそ、倒すべき相手と強く認識します。あの、赤黒い太陽ごと地底神ロルガを地下らしく沈めましょう。ご主人様には古代魔法がありますから』

「神が棲まう地底都市、独立都市らしい強烈な赤黒い魔力だ……」

「魔力探知がオカシクなる理由か」


 墓掘り人たちの言葉に頷きながら、ヴィーネの血文字に、


『戦略級……あの巨大な神殿ごと、蜂のモニュメントを破壊するのも一つの手だ。しかし、確実性はない。潜入からのタイマンで仕留める。一対一の戦いになるのかは、まだ不明だが……槍でぶち抜く基本は忘れない。この王牌十字槍ヴェクサードの使い手だったオーク怪人もそう望んでいるはずだ』


 そう、俺は槍使いだ。

 相棒の黒猫も居る……。

 ゼレナードのような紋章と化してしまう攻撃があるかもしれない。

 悲観的な予想をしてしまい、萎縮してしまうが……。


 槍使いらしく……。


「よーし、あの巨大な赤黒い太陽ごと、異世界ごと、地底神ロルガを突こうか!」


「ん、シュウヤ、フォローする」

『ご主人様らしい……』

『ふふ、そういうシュウヤの言葉を聞くと心が震えるわ』

『はい……』

『はは、ありがとう。で、詳細だがどうする?』


 皆に問う。


『見つかることを前提に、素早く仕留めたほうがいいわね』

『うん、空からあの壁の穴を利用して、都市の内部に侵入し、速攻で、あの怪しい中心に乗り込みましょう。そして、絶対的戦力のシュウヤをロルガへと直にぶつける作戦を提案する』


 レベッカとユイがそう案を出してきた。


『賛成』

『レベッカ様とユイ様の作戦を支持します』


 ママニが素早く支持に回った。


『ん、ユイらしくない』

『そうね。情報を集めることを最重要視する元暗殺者なら、もっと慎重に動くことがセオリー。でも、標的は魔族や人族ではない。地底と名がつくけど神よ? そして、ここは地上ではない、地下の都市。それがハイリスク。さっきの話にも通じるけど地下都市の中には、地底神と関係のない強者の未知の種族が居る可能性が非常に高い……ゆっくりと潜入した場合、その未知の種族たちと揉めて、地底神どころではなくなるかも? ツラヌキ団とエルザ&アリスのように、味方となる存在も居るかもだけど』


 ユイの鋭利な刃で突くような的確な意見に、皆が同意するように沈黙が流れた。

 そして、


「俺もレベッカとユイの案に賛成だ。軽率な行動は慎みつつ、よく考え、何事も恐れず、即断実行あるのみってな」


 と、発言。


「ご主人様、ダークエルフの文化を?」

「いや、今、考えた。ヴィーネとバーレンティンから聞いた範囲しかしらないが、そのダークエルフ社会に、何か似たような言葉が?」

「はい、〝戦う前によく考え敵を知る、厳粛に魔毒の女神ミセア様を恐れて敬ってから大事なことを決めろ〟という言葉があります。セイジャ姉様から教えられた言葉です」

「へぇ」

『似たような言葉はサーマリアにもある』

『魔法学院でも先生のだれか、そんな言葉を言っていたような……』

『それより、作戦だ』

『……ん、作戦なら、わたしもユイとレベッカの案に賛成』

『わたしも皆様の作戦案に賛成です。都市ということがハイリスク。この言葉がすべてかと』


 ママニがそう告げてきた。

 ヴィーネも、


『はい、それに沿った戦術行動を取りましょう。潜入ルートもありとは思いますが、やはり手っ取り早く、壁の穴から直接都市の中に進みましょうか』

『心臓部に乗り込み、頭を直に叩くか』

『ん、余裕が出たら、捕まっている人たちを助ける』

『そうね、ロロちゃんの力を借りたほうが迅速に対応が可能だと思う』

『助けて、サイデイルに運ぶ?』

『いや、そこまでの義理はない。助けた方々からの申し出次第か。ま、これは余裕があればの話、なにごとも優先事項は大事だ、火中の栗は拾わない』

『時々、小さなジャスティスが発動するくせに』

『それはそれ、コレはコレだ』

『はい、ご主人様の戦いの邪魔にならないように、わたしたちなりの戦いに集中しましょう』

『そうだな。ネームスたちに加えてリサナに沸騎士たちも居る。建物も複数あるし、橋頭堡はすぐに築けるだろう』


 皆に血文字で伝える。


『はい』

「そして、できればだが二十四面体(トラペゾヘドロン)がある近くで、皆は戦ってほしい」

「シュウヤ様、わたしたちのことを考えてくれるのは嬉しいですが、戦況の予測は難しいですから」


 キサラは遠慮気味に語る。


「そうだな、悪い」


 と、返事を出すと、

 バーレンティンたちも賛成のようだ。頷いている。


『優しいんだから、シュウヤはシュウヤで全力を尽くしてくれればいいの』


 レベッカがそう語る。

 その レベッカが蒼炎を指先に灯しつつ、


『……地底神ロルガ。過去から連綿とした戦いで、他の地底神たちとも戦っている強い存在のようだし、わたしたちも気を付けないと』


 皆も頷いた。


「はい。狭間(ヴェイル)に阻まれている魔界セブドラや神界セウロスの神々とは違い、黒き環(ザララープ)から出現した地底神。やはり、シュウヤ様のお力が必須」

『そうね、それが確実。でもさ、ここも巨大都市。当然、貴重なお宝を売っている店があるはず。討伐&奪還に成功して、もし余裕ができたのなら……都市に潜伏しながら、未知の店で買い物ルートもありじゃない?』

『ん、美味しい素材とかあるかも』

『そうね。というか、スムーズに目的を達成したら、何でもありでしょう』

『はは、レベッカらしい意見だが、そうだな』

『はい』

「……主、流れを斬るようで悪いが、俺が表に出れば、潜入はし易いはず、なんせ、見た目がこれだからな」


 なるほど、キースが小声で伝えてくれた。

 イケメン系だが、痩せて顎骨が露出しているからな。

 地底に棲む種族とそう変わらない見た目だ。


「キース、地底神とまだ戦っていない。気が早いが、その際は頼むかもしれない」


 と、小声で話をすると、キースは頷いた。

 頬から露出している骨から血が溢れる。

 血は蠅のような動きで小粒のまま彼の周囲を漂った。


『ごしゅ様とお姉様がた、魂の黄金道を辿る、大作戦の実行ですね! 任務を成功させて、お土産を買いましょう!』

『うん、サザーちゃん揉み揉みしてあげる!』

『はい、レベッカ蒼炎隊長!』

『うむ!』


 レベッカはサザーを手懐けたようだ。

 よし、纏まったところで……。


「このまま<無影歩>を使った状態で、壁の穴から都市の内部に突入といこうか。上手くいけば、あの赤黒い太陽のようなモノを生み出している神殿にまでは、バレずに進めるだろう。バレたとしても、各自纏まりつつあの神殿を攻めることに変わりない」


 相棒の触手の操縦桿を掴む。

 魂の黄金道を目指す。

 壁の穴から侵入するとして……。


 ――グランドキャニオンのような壁に沿う。

 尖がった岩を避け、魔力の霧を避け、揺らぐ空間を避けての――飛行。


 ヒャッハー気分だ。


 壁に潜む大柄の魔獣たちを視認。それを操る人の頭部に近い種族も確認。

 壁の内部は内と外の文化が違うようだ。

 紫色の肌の魔術師たちが神獣の存在に気付いた。が、これは想定していたこと。


「ペニテンシア、ペニテンシアァァァ」


 言語はスペイン語?

 謎だが――無視だ。

 バレた以上は<無影歩>も解除。


 魂の黄金道に近づく。

 都市の中心と繋がっている魂の黄金道!


 依然と、独立都市フェーンの壁の中に伸びている。

 壁にある巨大な穴から突入だ。


 その直後、魂の黄金道が輝きを増しながら、俺たちが入ろうとする穴の側に拡大してきた。


「皆、速度を出すぞ――」

「「了解」」

「わたし、は、ネーーーーームーーース!」


 ネームスの声が響く。

 耳を塞ぐ皆。モガが、怒ってネームスを叩いていたが、俺たちは下のモンスターたちにバレていない。


 行こうか、相棒――。

 触手手綱の操縦桿の握りを強める。


「ンン、にゃぉぉ」


 相棒の声が響く。

 壁の穴に入る直前――。


 同時に魂の黄金道から十字架の光が出現した。 


『素晴らしい希望を得た(ユーレカ)! 讃えよう、この光の聖歌を――』

『人族に力を貸した我ら、キストリン三度の自由の奇跡は、正しかった――』

『聖者の過去の言葉は正しかった。光の聖歌を讃えよう――』

『讃えよう、英雄を聖者の再来を――』

『聖者の存在は、我らの魂をハーデルレンデの聖域へ誘う――』

『英雄の存在は、我らの魂をハーデルレンデの神殿へ誘う――』


 荘厳な地鳴りのような歌声が響く。

 その十字架の光は俺たちごとロロディーヌを包んだ。


 一瞬、閃光のミレイヴァルのような鎧を思い出す。

 光の鎧を纏った神獣ロロディーヌは速度を加速――。


 神獣らしい光の鎧を纏ったロロディーヌは突貫。

 壁の中で争う種族たちを、吹き飛ばし、巨大な壁の中から、独立都市フェーンの内部に突入――。


 同時に薄い闇炎を纏う不気味な膜が出現。

 襲い掛かってきた。


『閣下――』


 ヘルメが反応したが「にゃおおおおおお」と鳴いたロロディーヌは闇炎の膜をぶち破る。

 立派な光の鎧を纏う神獣ロロディーヌが、闇の結界のようなものを引き裂いたか、すると、神殿の奥の宙に浮かぶ赤黒い太陽のような巨大な塊が光を増す。闇炎の膜と連鎖機能でもあったのか? 闇炎の膜を破壊した代わりか、魂の黄金道の光が薄く細まった。

 神殿と巨大塊を終着点とする魂の黄金道が……。

 俺たちを独立都市にまで、誘導してくれた……この魂の黄金道の光が消える?

 すると、幽霊のラシュさんが出現。そのキッシュの妹さんがお辞儀をして、何かを喋ると魂の黄金道ごと消失するように魂の黄金道の中へ吸収されて儚く消えてしまった。

 魂の黄金道も消えそうだと、思った瞬間――相棒が身に着けていた光の鎧が、パンッと音を立て崩壊。光の粒となった。光の粒たちは、魂の黄金道へと吸い込まれるように戻っていく。

 魂の黄金道は点滅をくり返すが、辛うじて残っている形だろうか。

 その代わりロロディーヌが纏っていた光の鎧は消える。刹那、膨大な魔素が神殿から溢れ出た。その神殿と周囲の空間から闇の炎を纏う蜂の群れと餓鬼たちが湧いてくる。

 更に漆黒獣らしいグリフォンたちも下から飛翔してきた。あれは漆黒獣セヴィスケルか?


 ガルロが使役していた魔獣たち!

 一方闇の炎を纏う蜂たちは黒い魔力を生み出すと目の前の空間を歪めて闇の炎を増殖させるように神殿の真上へと蜂たちは集結していった。


「ンン――」

 俺たちを乗せた相棒は、その神殿に直進していく。闇の炎を纏う蜂たちは女の姿を象る。

 いきなりの地底神ロルガか!

 右手の王牌十字槍ヴェクサードを握った。


「レドームが居た!」


 ドミネーターが右下を指す。頭部が肉の触手だが口やら眼球もある。

 四本の腕が握るのは魔剣、俺たちを見つめていた。と、急激な魔素の気配を感知した。左右からの不意打ち、歪な巨大腕の触手が加速している神獣ロロディーヌに迫る、異常に速い、触手から飛び出た眼球群から気味悪い魔力波が出ていた――。

 避けられないか!?


「ニャゴァァ」

続きは明日と、言いたいですが、まだ不明です。


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コミックファイア様から漫画版「槍使いと、黒猫。」1巻が発売中。

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