四百六十九話 レジーピックは曇り空※
2020/11/23 10:10 修正
2020/11/23 14:24 修正
出し風とは違う幽けき風が身を撫でる。
ロロの悪戯も俺の身を撫でる。
そのロロディーヌが旋回。
その時、深更の町並みが見えた。
遠のいていくペルネーテの夜景か……。
眠らない新宿、新宿鮫、いや、迷宮都市ペルネーテ。
……綺麗だな。
邪教徒たちが怪しい儀式を行っていた都市とは思えない。
ま、俺たちも……。
その邪教徒たちを潰した。
凄惨な光景を作り出したからな。
人のことは言えないが……。
あの一段と光が強い丸いところは第一の円卓通りか。
すると、竜騎士とグリフォン隊の一隊が飛翔しているところが見えた。
右のハイム川上空からペルネーテに向かう飛行ルートかな。
その時……ふと、聖ギルド連盟のアソルたちから聞いた話を思い出す。
『オセベリア軍の青鉄騎士団と竜魔騎兵団の一部が駐屯している城もあるんですよ』
……秘密裏に竜とグリフォンの研究が行われているという噂も聞いた。
『あくまでも湿地地帯のモンスターたちの流入が多い穀物地帯と貴族たちの領土を守るための城ですが……第三と第四の青鉄騎士団の精鋭が集結し、湿地帯で特別な強襲訓練を行っています。グリフォン部隊の一部に、大騎士序列一位のタングエン卿も、時々竜に乗って不意に訪れることがあるとか』
と、アソルとドルガルから教えてもらった。
そして、ドルガルとの剣勝負は俺の糧となった。
この後チェックする予定の<血外魔道・暁十字剣>を獲得できたことにも、少なからずムラサメブレードを使った実戦経験が寄与したはずだ。
そして、扇子を使いカタツムリと蛞蝓を扱う精霊のリサナも生み出すことができた。
……【ギルティクラウン】に感謝だな。
そんな思いでラ・ケラーダのマークを胸元に作っていると……。
ロロの黒触手が俺の頭部や胸元を催促するように突っついてきた。
「……何だ? くすぐりは飽きたか?」
俺の声を聞いたロロディーヌ。
巨大な後頭部を揺らし、両耳をピクピクと動かした。
長耳を器用に傾けてくる。
ふさふさな長耳で俺の左右の手を握ろうとしているのか、耳を寄せてきた。
「にゃぁ~」
と、少し遅れて鳴く。
長耳で俺の腕をさすりながらも俺に悪戯を繰り返していた触手たちは上方へ向かう。
目的は<導想魔手>に握らせていた月狼環ノ槍か?
月狼環ノ槍は神獣ロロディーヌのオプション兵器のように漂わせている。
「あの月狼環ノ槍が気になるのか――」
そう喋りかけながら<導想魔手>が握る月狼環ノ槍を手元に誘導した。
そのまま黒触手に月狼環ノ槍を渡してあげた。
先端が平たい黒触手の裏側で器用に槍を掴むロロディーヌ。
某有名な猫型ロボットの手のように槍を持つ触手さんだが磁石でも備わっているのか?
といった疑問の心に、
「ンン」
と喉声で返事を寄越すロロディーヌ。
俺は、その間に歪な魔力の手である<導想魔手>を消去。
すると、槍をつかんでいる触手の肉球が少し動く。
可愛い肉球の溝で月狼環ノ槍を挟むように持った。
肉球で、はさむ……。
オモシロイ、が……。
あの挟まれた感覚を体感している槍が羨ましい。
おっぱい桃源郷を超える柔らかさと、心地よさを味わっているに違いない!
その直後、肉球に握られている月狼環ノ槍が震える。
大刀の棟に備わる金属環たちが泣くような金属音を立てた。
偉大な肉球に挟まれているってのに……。
神獣ロロディーヌに食われると思ったのだろうか。
その震えた月狼環ノ槍を気にせず回転させながら移動させるロロディーヌ。
続けて足場のような台となっている黒毛群の一部を変化させると、俺の真似をするように回転させた月狼環ノ槍の柄頭に黒毛たちが伸びて絡まった。
ロロディーヌは槍掛けを用意してくれたようだ。
神獣らしい獣のデザインが少しカッコいい。
『ありがとな』
と、俺の首に付着している触手から直に相棒へと気持ちを伝える。
「――ンンン、にゃぉぉぉぉぉ~」
神獣ロロディーヌらしく巨大な声を発した。
飛翔する速度が増す。
嬉しそうだ。
俺の『ありがとな』の気持ちに応える前にロロは空を飛ぶことが大好きだからな。
頷くように頭部を上下させたロロディーヌ。
ここからじゃ見えないが……。
鼻孔を広げて巨大な鼻をひくひくと動かしていることだろう。
さっきは鳥獣を蹴散らすように吹き飛ばしていたが、また違う鳥獣でもいたのか?
それとも空に漂うモンスターでも見つけたんだろうか。
両翼の角度が変わる。
ロロディーヌは飛ぶ速度を増した――。
夜だが、不思議と光を帯びた大きな雲と小さい雲を突き抜ける――。
冷たい風が心地いい――。
その瞬間――雲海世界に躍り出た――。
月灯りが雲の絨毯を照らす。
その前方に、ぷかぷかと浮いているように飛翔している巨大な鯨が見えた。
月光を身に浴びてキラキラと光を帯びている巨大な鯨。
「もしかして、あれを喰うのか?」
「にゃ――」
旋回気味な機動を取る神獣ロロディーヌさん。
その巨大な鯨に近づいていった。
巨大な鯨もそれなりの速度で飛翔しているから速いと思うが……。
しかし、その巨大な鯨はなぜか神獣が近づいても逃げなかった。
「――うあぁぁ」
「あわわ」
「何という巨大な……」
「主、我は怖い」
「……随分と、竜と違い大人しいですね……」
「……大きい」
「ハハ、まさかロロちゃん、あの鯨を食べたいの?」
「ん、背びれに鱗がある」
皆、驚いている。
レベッカは頬がひきつっていた。
俺もだが鯨を間近で見たことがなかっただろうからな。
そして、エヴァがいうように背びれに鱗があるから、巨大な鯨にも色々な種類がいるようだ。
潜水艦のようなロターゼとは形が違う。
変な放屁も出していない。
「ンン――」
野太い喉声を発したロロディーヌ。
その巨大な鯨の飛行を邪魔しないように離れた。
離れた時、
「プボボボボボボォォォォォ」
と、巨大な鯨からポポブム系の巨大法螺貝の音が轟いた。
刹那、その巨大な鯨の頭部付近から噴水が湧き出る。
噴水はダイヤモンドダストのような……。
周囲に玉虫色の霧を生み出した。
そして、一瞬で玉虫色の霧は急拡大――。
最終的に虹が連なった巨大な清流のような雲海となった。
きらきら光る川を渡る七福神がいそうな雰囲気だ。
同時に鯨の超絶とした意思を感じ取る。
ロターゼのように会話が可能だったら面白い。
しかし、今は急ぐ。
「「――わぁぁ」」
「主、あれはなんだ!!」
ビアが興奮。
鼻から鼻水のようなものを発していた。
三つのおっぱいも揺れているに違いない。
『なんということでしょう! 素敵な精霊ちゃんたちが集まっています』
左目に棲むヘルメも興奮。
『神様じゃないよな?』
『分かりませんが、一瞬、神性さを感じました』
『水神アクレシス様とは違うだろう?』
『そうですね。水の精霊ちゃんとも違いますが……虹が綺麗です』
玉虫色の霧で、素敵な精霊が集まって神性を帯びているのなら、神界セウロスに関わる鯨ってことかな。
他の空を飛翔する鯨とは違う鯨っぽい。
その虹色の霧は、魔力も強い。
もしかして巨大ポポブム系の声の鯨は……。
神獣の類か?
そう考えたところで、ロロディーヌは加速した。
ユイとカルードの匂いを辿るロロディーヌは凄い――。
<血鎖探訪>の出番はなさそうだ。
「アラハはそろそろ寝たほうがいい」
「は、はい」
「姉さんはルシヴァルじゃないし、休める時は休まないと」
「うん」
サザーの言葉に頷くアラハ。
サザーと寄り添いながらも興奮した様子を隠せていない。
不思議な雲海をまだまだ眺めていたいようだが……。
もうロロディーヌは加速した。
鯨と雲海からは離れている。
アラハは残念そうに耳を下げていた。
そんなアラハだけを優しく包む相棒の黒毛たち。
サザーも羨ましそうに、羽毛のような黒毛に包まれる様子を見ていた。
神獣ロロディーヌの飛翔中におけるGの影響はとくに感じない。
だからアラハをそこまでして守る必要性はないと思うが……。
優しいロロディーヌは入念だ。
今も、自身の体毛で、アラハの身を守ろうと、羽毛布団に包むように撫でている。
頭部だけすっぽりと毛から出ている姿……。
ぬいぐるみが、黒い着ぐるみを着た感じに見えてシュールだった。
そして、今も尚ロロディーヌは尋常じゃない速度で飛翔中。
Gを感じないのは神獣が成長している証しか。
ただ単に放出する魔力の量を増やしているだけかもしれないが。
その僅かな思考の間にも――棚引く雲を幾つも突き抜けランナウェイ――。
ロロディーヌは空を爆発的な速度で飛翔中。
――帝国領の空へ向けてまっしぐらだ。
前方の斜め下の光景があっという間に背後に移動する。
前方に丘と草原が見えたと思ったら、高低差のある崖が出現。
なだらかな道は少ない――。
ヨコバイガラガラヘビが砂丘を進む時にできる跡のような街道もあった。
そんな街道から――。
小道の先にある宿場で争う連中も視認。
更に、古びた砦で、巨大なトリケラトプス風のモンスターとティラノサウルス的なモンスターが争い合っていた。その恐竜モンスターの争いの漁夫の利を狙う優秀な冒険者の集団。
その先の遠くでは馬賊の一団同士が争っている。
ラドフォード帝国とオセベリア王国の兵士だろうか?
それともラドフォード帝国内の貴族に反発する勢力か、レイダー的なヒャッハー集団か?
どの国にもいそうだな。
タケバヤシが所属していた黒髪隊。
転移者か転生者グループの存在も気になる。
――が、地上の争いは無視。
そして、巨大都市らしい城壁が見えてきた。
相棒はその巨大都市には向かわない。
目的の都市ではないらしい。
位置的に緑竜都市ルレクサンドかな。
違うかもしれないが。
初めて見る都市で気になるが……。
ワイバーンを超えた大きさの緑色の竜が多い。
火矢か魔法の弾丸が、そのドラゴン系のモンスターに向かうのが見えた。
だから緑竜の名前が付いたのかな。
そのルレクサンドの都市と周辺のエリアは、あっという間に過ぎた。
そうして……遠くに山脈が見えてくる。
その時、足場の後頭部が持ち上がった。
俺専用の操縦席でも作るように黒毛が立つ。
高くなったお蔭で視界が一気に広がる。
思わず空気を吸うように両手を広げて深呼吸。
透き通るような夜空が気持ちいい――。
もうそろそろ日の出かな。
このまま風を楽しむように夜空を楽しみたいが……。
触手手綱から手を離し、まずはステータス。
名前:シュウヤ・カガリ
年齢:23
称号:覇槍ノ魔雄:血魔道ノ理者new
種族:光魔ルシヴァル
戦闘職業:霊槍血鎖師:白炎の仙手使い:血外魔の魔導師new:血獄道の魔術師new
筋力26.8→27.2敏捷27.8→28.0体力24→24.5魔力28.3→29.5器用25.2→25.4精神29.4→29.5運11.0
状態:普通
全体的に上がった。
魔力と精神の上がりが鈍化しているように見えるが……。
これは吸血王サリナスと血賢道のアーヴィンが用意した魂喰らいの儀式を経たせいだろう。
あの儀式は……。
かなりの魔力と血と精神を消費した、いや、得たというか……。
不思議な儀式だった。
さて、まずは理解しているが称号からチェックしようか。
※血魔道ノ理者※
※時空属性と闇属性、光魔ルシヴァルの<光魔の王笏>を持ち、諸法無我を歩む混沌とした者だからこそ外宇宙、他次元出身の吸血鬼の血と強く反応した。その結果、新たな称号を獲得※
※外宇宙の理を持つ第二の称号は、この世界の神々には、異様、混沌、異質さの極みとなって視える。必ずしも良しとはしないだろう※
最後に表示された文からは警告を受けていると感じた。
しかし、そもそもだ。
俺は白い空間に拉致を受けて転生してきた者。
この世界とは違う宇宙の出身。
地球という星に住んでいた者。
混沌の極みは最初から。
そう、だからこそ、違う宇宙出身のソレグレン派の一部の者と波長が合うのは自然の流れ。
魔導師たちも稀人と同じ部類と俺を表していた。
思えばロロディーヌの前身もそうだ。
ローゼスも元々は違う宇宙世界で狩りを自由に楽しんで暮らしていた異界の神獣。
この世界に魔法の事故で召喚されてしまったが……。
来訪者という意味では同じ。
違う宇宙出身だと思うし。
――だから、いつものことだ。
「ん、シュウヤ、笑った?」
「あぁ、なんでもないよ」
可愛いエヴァが指摘してくる。
自然と笑みを浮かべていたようだ。
そこで、古の外魔アーヴィンの杯が気になった。
今も俺の頭上を漂うこの髑髏の杯は特別。
古の血脈を内包している。
主にソレグレン派という吸血鬼たちの血魔道。
俺は<ソレグレン派の系譜>の恒久スキルを得た。
精神世界で、
『地下の祭壇を巡って血を捧げればアガナスの秘鍵書を託す』
と語っていた血の魔導師は、黒き環から来訪したとも話をしてくれた。
アーヴィンの父とか。
そして、俺は時空属性を持つ。
だからこそ、他世界、多次元の理を新たに得られたということだ。
他にも称号を獲得したが覇槍ノ魔雄に取り込まれた。
そうしたことからも、この覇槍ノ魔雄もかなりハイクラスな称号だと思う。
その点、覇槍ノ魔雄に取り込まれないこの〝血魔道ノ理者〟は……。
ステータスの説明にもあったように……。
この惑星セラを含む次元宇宙がある世界から得られる称号とは違うということだろう。
血魔道ノ理者は、黒き環を越えた先に広がる世界の理。
未知の外宇宙、他次元世界の証しだ。
そういえば称号を得る直前……。
周囲に多数の目が出現していたことも関係がある?
と、考えたところで……。
次は戦闘職業の<血外魔の魔導師>をチェック。
※血外魔の魔導師※
※<血外魔・序>を獲得し、<血道使い>から進化した戦闘職業※
※優秀な<血外魔の魔導師>ならば、血の稲穂が実る剣技だけでなく<十二鬼道召喚術>をも覚えられるだろう※
百目血鬼を使役することができたから納得だ。
銭を望んでいたから金貨か銅貨を捧げたらどうなるか楽しみだ。
次は<血獄道の魔術師>を調べる。
※血獄道の魔術師※
※<血獄道・序>を獲得し、血獄道の大魔道師ソトビガが認めた証し※
あの魔道師は精神世界の中で俺を弟子と認めると語っていた。
『地下都市サリナスを再建するもよし』とも語っていた。
まぁ追い追いだな。
次はスキルステータス。
取得スキル:<投擲>:<脳脊魔速>:<隠身>:<夜目>:<分泌吸の匂手>:<血鎖の饗宴>:<刺突>:<瞑想>:<生活魔法>:<導魔術>:<魔闘術>:<導想魔手>:<仙魔術>:<召喚術>:<古代魔法>:<紋章魔法>:<闇穿>:<闇穿・魔壊槍>:<言語魔法>:<光条の鎖槍>:<豪閃>:<血液加速>:<始まりの夕闇>:<夕闇の杭>:<血鎖探訪>:<闇の次元血鎖>:<霊呪網鎖>:<水車剣>:<闇の千手掌>:<牙衝>:<精霊珠想>:<水穿>:<水月暗穿>:<仙丹法・鯰想>:<水雅・魔連穿>:<白炎仙手>:<紅蓮嵐穿>:<雷水豪閃>:<魔狂吼閃>:<血穿>new:<魔連・神獣槍翔穿>new:<ザイムの闇炎>new:<霊血装・ルシヴァル>new:<血外魔道・暁十字剣>new:<血獄魔道・獄空蝉>new:<血外魔道・石榴吹雪>new:<十二鬼道召喚術>new
恒久スキル:<天賦の魔才>:<吸魂>:<不死能力>:<血魔力>:<魔闘術の心得>:<導魔術の心得>:<槍組手>:<鎖の念導>:<紋章魔造>:<精霊使役>:<神獣止水・翔>:<血道第一・開門>:<血道第二・開門>:<血道第三・開門>:<因子彫増>:<破邪霊樹ノ尾>:<夢闇祝>:<仙魔術・水黄綬の心得>:<封者刻印>:<超脳・朧水月>:<サラテンの秘術>:<武装魔霊・紅玉環>:<水神の呼び声>:<魔雄ノ飛動>:<光魔の王笏>:<血道第四・開門>:<霊血の泉>:<光魔ノ蓮華蝶>:<無影歩>new:<ソレグレン派の系譜>new:<吸血王サリナスの系譜>new:<血の統率>new:<血外魔・序>new:<血獄道・序>new
エクストラスキル:<翻訳即是>:<光の授印>:<鎖の因子>:<脳魔脊髄革命>:<ルシヴァルの紋章樹>:<邪王の樹>
まずは<血穿>か。
※血穿※
※血槍魔流技術系統:上位基礎突き。亜種を含めれば数知れず※
※水槍流技術系統:上位亜種突き※
※<刺突>系に連なる上位槍スキル。水神アクレシスが祝福した水の属性とルシヴァルの血が付加され物理威力&速度が上昇。水場、とくに<霊血の泉>使用中に使用するとさらに威力が上昇し、連撃に用いやすくなるだろう。さらに形質変化を促すこともある※
次は相棒との連携技だな。
※魔連・神獣槍翔穿※
※神獣槍武術系統:上位亜種突き※
※<神獣止水・翔>と<水雅・魔連穿>が必須※
連打した。
すると、
※槍武神の戦神イシュルルが神獣パデルに乗り用いたことがモデル※
※神獣と契約した戦巫女の槍使い、二槍流を会得した者が獲得する可能性がある※
へぇ、職の神レフォトを信奉していた【未開スキル探索教団】のアレイザのような存在かな。
または正義の神シャファの戦巫女イヴァンカ。
彼女たちは剣とか盾だったから獲得は無理か。
ということは二槍流の神獣使いがこの世界に存在するということか。
会ってみたい。
次は、もう分かっているが。
ま、一応、紅玉環の指輪を見ながらタッチ。
※ザイムの闇炎※
※元魔侯爵アドゥムブラリの額に主のシュウヤがAを刻むと現れる効果※
※空の支配者アムシャビス族が、無限地獄の山々の一つ、地獄火山デス・ロウに棲む魔大竜ザイムと契約した証し※
前にアドゥから聞いた通り。
次は<霊血装・ルシヴァル>。
※霊血装・ルシヴァル※
※光魔ルシヴァル宗主専用吸血鬼武装※
※首の防御能力が飛躍的に高まり、音声による威圧効果も高まる※
※血魔力時空属性系<血道第四・開門>により覚えた特殊独自スキル※
※<血鎖の饗宴>と高能力が求められる※
※<霊血の泉>が使えるエリアならば、<霊血装・ルシヴァル>から高濃度のルシヴァルフェロモンを発する※
なんだ? ルシヴァルフェロモンとは。
<分泌吸の匂手>みたいなもんか?
タッチすると、出ない……。
上下左右に連打してからBAを押すイメージで押すと、新たな半透明のウィンドウが出た。
細かいが面白い。隠しコマンドだ。
さすがは<脳魔脊髄革命>を持つ脳。
と、感心。
その新しく出た薄緑色のウィンドウには、
※<ルシヴァルの紋章樹>と<光魔の王笏>が作用した血の因子を含む魔粒子※
※眷属たちの力が増す※
※妖精樹ルッシーが紋章樹から離れてからの活動時間を延ばす効果もある※
と表示されている。
感覚で<霊血の泉>が必須と思っていたが、この<霊血装・ルシヴァル>は違うようだ。
続いて<血外魔道・暁十字剣>をタッチ。
さっき使ったばかりだから知っている。
※血外魔道・暁十字剣※
※血外魔道・血魔剣術技術系統:下位斬り。基礎、上位、亜種を含めれば数知れず※
※剣の熟練度がある程度求められる剣の基本スキルの<水車剣>と時空属性が必須※
基礎ではなく下位なのか。
次はこれだ。
遠距離攻撃だとは分かっているが……。
<血獄魔道・獄空蝉>をタッチ。
※血獄魔道・獄空蝉※
※血獄道技術系統・独自遠距離魔術※
※闇属性必須※
指でウィンドウの表面を擦るように十六連射を行うが、出ない。
隠しコマンドも無しか。
血獄道系の技だから、大魔道師ソトビガさんには悪いが、血外魔と少し違うことしかまだ分からない。
俺と相性は良いみたいだから、一回使えば分かるかな。
続いて<血外魔道・石榴吹雪>をタッチ。
※血外魔道・石榴吹雪※
※血外魔道技術系統・自在強魔術※
※水属性と時空属性が必須※
※アガナスとアーヴィンから手ほどきを受けた、若き血外魔の魔導師エイバムが開発に成功し、数々の異名を地下に残した伝説の近距離から遠距離をこなす自在攻撃※
※銀髪のベルハドラも嫉妬したという曰くがある※
※血魔剣を装備し使用した場合変化する※
中々強力な血外魔道の魔術のようだ。
次は<十二鬼道召喚術>だ。
これも分かっている。
※十二鬼道召喚術※
※血外魔道技術系統・召喚術※
※時空属性が必須。相性の良い封じられた十二鬼道の魑魅魍魎を使役し召喚できる※
※使い手に深い闇の精神と精神抵抗高能力が求められる。抵抗値が低い場合十二鬼道世界に吸い込まれ、取り込まれて永遠の鬼道世界を味わうことになる(十二鬼道の一人が扱う技にある)※
最後は怖いので見なかったことにしよう。
次は恒久スキルだな。
<無影歩>をチェック。
※無影歩※
※隠蔽性能を高めてどんな状態でも<隠身>の効果を保つ※
※<隠身>の経験が要。暗闇の環境に適応した経験と熟練した<隠身>技能が必須※
※伝説のアサシンクリード一家の長、マクスオブフェルトが開発したとされる※
マクスオブフェルトさん、ナイス。
というか、あんただれだよ。
連打したら出た。
※マクスオブフェルト※
ていうか名前だけかい。
ボケを覚えるとは……まぁ、元々は……。
転生してきた時にポケットにあったように……。
□■□■
最後に小さな特典があります。
ステータスやスキルステータスと言葉を発するか念じるだけで、自分自身の能力がある程度の目安となって見えて簡易説明がつく特典です。
簡単なスキル等の説明がされますが、これはスキルではないので、あくまでも簡単な説明のみとなります。
それら簡易ステータス表示のスクリーンは他人には全く見えませんので、ご安心を。
貴方の脳が分かりやすく簡易ステータス表記として貴方に見せているだけですので。
それでは、良き人生を。
因みにこの紙は最後の字を読みますと、自動的に――
□■□■
とか、あったからな。
昔を思い出しながら次をチェック。
<ソレグレン派の系譜>をタッチ。
※ソレグレン派の系譜※
※宇宙外のイモータルな吸血鬼たちの総称※
連打してもでない。
「ん、シュウヤ、体操してるの?」
「らじお体操ならヴィーネに教えてたけど」
エヴァがレベッカを膝の上に乗せながら、俺の高台の操縦席に来ていた。
「あぁ、気にするな。指を連続で押して、こうやって……おっぱいマッサージの練習をがんばらないとな?」
「……シュウヤ、人前でそれはやらないようにね?」
「ん、わたしだけ」
「エヴァ! もう、ずるいんだから!」
「安心しろ、二人には特別なマッサージを用意してある」
と、指でステータスを弄っていると――。
ウィンドウが出た。
※次元軸が崩壊するほどの無限回起に巻き込まれることから、黒き環を使い多次元を放浪することで生き残った※
へぇ……。
ソレグレン派の宇宙は収縮したということか?
「えっちな宗主様から逃げないと!」
「ん――」
エヴァはレベッカを乗せたまま下がっていく。
黒触手の数本が俺の頭を撫でてきたが、
「ロロ、気にせず空を楽しめ」
と、告げると、
「ンン、にゃ」
と、鳴いてから翼の角度を変えていく。
向かった先は大型の翼竜。
あまり派手な機動は下の背中でアラハが寝ているから止してほしいが……。
触手から俺の気持ちが伝わったのかロロディーヌはゆっくりとした機動で方向を変えてくれた。
俺は『ありがとう』の意思を込めて触手手綱をにぎにぎしながら優しくマッサージ。
「にゃ~」
と、触手の群れがお返しに俺を包んできたが、
「――ロロ、気持ちは分かったから運転に集中してくれ」
「にゃ?」
と、触手を引っ込めてくれたロロディーヌ。
さて、次も調べよう。
<吸血王サリナスの系譜>だ。
※吸血王サリナスの系譜※
※吸血王サリナスの血脈を受け継いだ証し※
※獲得にすべての高能力と<光魔の王笏>が必須※
※<ソレグレン派の系譜>を利用する形だが、血賢道の魔導師アーヴィンが作った髑髏杯を利用すれば、新しい吸血王の螺旋に吸血鬼たちを組み込める※
※ソレグレン派の武闘派筆頭と呼ばれた存在、吸血王として地底世界で活躍した※
次の<血の統率>も分かっているがチェック。
※血の統率※
※吸血王としての戦闘、政治、魅力、あらゆる個としての素養が高いヴァンパイアとしての証明※
※血の欲望を持つ吸血鬼たちの、<血の統率>を持つ主に対する忠誠心が飛躍的に高まる※
次は<血外魔・序>と<血獄道・序>だ。
※血外魔・序※
※血外魔系の基礎スキル※
まんまだ。
※血獄道・序※
※血獄道系の基礎スキル※
ステータスの確認を終わらせたところで……。
巨大な象のような動物たちが並ぶ石像群が見えてきた。
街道もその石像群に向かって続いている。
今、大きな宿場街を通り抜けた。
「にゃぉぉぉぉ」
石像群は都市の壁か。
ロロが鳴いているようにもうすぐ到着か。
象の像が多いし、あそこか。
ユイたちが一時的に活動していた象神都市レジーピックだろう。
ん、雲が不自然に動いた?
都市の左と右の空に魔力が集結した雲。
妙だ。雲に魔力が? 不自然すぎる。
レジーピックは雲の空か。
雲も気になるが、今は無視だな。
と、待ち合わせ場所に急ごうかと思ったが、象神都市の向こう側が見えた。
遠い遠い……場所だが山の一部が微かに見える。
その刹那、腰元の八怪卿たちが魔力を発してきた。
魔軍夜行ノ槍業に棲んでいる槍の師匠たちが、俺への接触を望んでいる。
あの山脈に反応しているのかな。
まさかあれが八怪卿たちが封じられた【八峰大墳墓】が存在するイーゾン山脈だろうか。
手前にエメラルドを溶かしたような森林地帯もある。
いまいち距離感がつかめない。
だがしかし、あの山脈には向かわない。
今は槍修行より優先することがある。
待ち合わせの古びた教会に向かうとしよう。
……アラハは寝ている……起こすべきだろうか……。
可愛い寝顔だ。
続きは来週です。
「槍使いと、黒猫。」1巻~17巻発売中!
小説版11巻が2020年6月発売予定。
小説版17巻が2022年6月17日発売します。
漫画1~3巻発売中。




