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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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四百二十七話 ザイムの闇炎とオラオラオラァッ!


 すると、額に十字の切り傷があるダオンさんが、

 

「お前たち――狼半翔! 双月五式の構えを取れ――」


 古代狼族の独自(オリジナル)戦術名を叫ぶ。

 ダオン隊長を前衛に残し、指示を受けた古代狼族の兵士たちはハイグリアの周囲に集結。

 ハイグリアを中心とした円陣を組みながら徐々に後退か。


 前衛として残ったダオンさんの鎧が一瞬で変化。

 胸甲と両肩に幅広の鋼板のような爪が幾重にも積み重なって、最終的にダオンさんの体格と合う軽鎧から重厚そうな鎧に変わる。


 ダマスカス鋼のような色合い。

 肩取縅にも見える。

 ハイグリアの銀爪式獣鎧とは見た目の造形が違う。


 そして、隊長のダオンさんが叫んだ戦術名の作戦通り、集結を始めた古代狼族たちの身に纏う爪鎧もそれぞれに個性があった。

 剣爪の生え際から手の甲と腕に蛇でも絡んでいるかのように伸びた爪。

 それら爪が、古代狼族の誇る剛毛の間を縫うように上半身を包みつつ鎧を形成していく。

 手の爪を元とした素材が、古代狼族らしい見事な造形の軽鎧と化していた。


 反り返っていない剣としての爪は統一感がある。


 姫を守る親衛隊としての意味がありそうな剣爪だ。

 隊長のダオンさんとハイグリアの侍女だと思うリョクラインの爪剣も形が違った。

 ダオンさんの爪剣は幅広なバスタードソードのような作り。


 リョクラインのほうはレイピアが三枚重なったような作りで渋い。

 リョクラインの爪剣は、俺が保管しているレンディルの剣の刃に少し似ていた。


 そんな両手指から剣爪を生やした古代狼族たちが守る形のハイグリア。

 古代狼族に指示を出すハイグリアは英名闊達な雰囲気で的確に指示を出していた。


 そして、好意に満ちた眼差しを寄越しながら、


「――シュウヤ。任せた」


 と、喋りつつ、落ち葉と蠅を自らの銀爪の剣で振るい払いながら後退。

 俺たちと過ごした女の子としてのハイグリアの雰囲気ではない。

 だから、少し寂しさを感じたが、


「おう」


 と、ロロディーヌに騎乗したまま返事をした。


 ダオン隊長の位置は左。

 <光魔の蝶徒>のジョディは右。

 ジョディはボーイッシュな銀髪を揺らしながら大鎌を縦に振るう――。

 彼女の目の前にあった葉と太枝を、巨大な鎌の刃で削り切り、宙を舞う落ち葉と蠅たちを、払わずに斬っていた。


 ――続けて、宙に弧を描くように大鎌を動かす。

 宙に紅い月か血の門でも作るかのように、幾筋もの軌跡を生み出す鎌の刃――。


 勢い良く大鎌を振るっていく。

 細い両手のジョディだが、巨大な鎌を扱う技量と、身体能力の高さが窺える。


 一度獲得した長柄を扱う技術は失わないということの証か?

 しかし、死蝶人の頃のような獰猛さを合わせ持った凄まじい魔力の質は……。


 もう彼女から感じない。

 思えば、アッリとタークを救う時……。

 俺の行動の邪魔をしてくる形で戦った死蝶人シェイルは凄かった。

 空を躍動し蝶のように舞いながら大鎌を振るう技術。

 蝶の鎖系の技を射出し、口から必殺めいた巨大な蝶の化け物を産み落として、自身の身体も無数に分裂させてきた強敵だった。

 しかも、その小さい蝶々のシェイルたちは、各自、意思を持ち喋りかけてきた。


 だが、あのような途方もない能力と魔力は彼女たちにはない。

 俺がそんなことを考えていると、ジョディは巨大な鎌(サージュ)を華麗に扱い、飛行の邪魔をしていた太枝と落ち葉と蠅の群れを払いきった。


 ジョディは扱う巨大な鎌の動きに満足したように、美しい笑みを浮かべる。

 白と黒が織りなす綺麗な虹彩。

 高い鼻梁が高貴な印象を抱かせる。

 

 そのジョディは毅然とした品のある雰囲気を醸し出しつつ……。

 

 俺を崇拝するように見つめてきた。

 俺はあえて、堂々と胸を張って、頷く。


 ジョディは、にっこり。


「あなた様の威徳は天地を超えます」


 頷き返してきたジョディ。

 反対の細長い手の内をくびれた腰に当てながら……。

 盛り上がった巨大な根の上に、スッと音を立てずにドリル形状の爪先を突けて着地した。


 ドリル形状の爪先は血が滴っている。

 エヴァの足裏から突き出るターンピックな金属杭とは違う。


 ジョディの足先は先が『とんがりコーン』っぽいドリルの形だ。

 根に付着した血は、蒸発するように血色の蝶として浮かび上がると、儚く消えていく。


 ジョディは巨大な鎌の刃を根の下に置きながら周囲を確認していた。

 そして、右辺の樫のような樹木群を見た時――。

 筆で書いたような細い眉をぴくりと動かす。


 目の前の対峙した三人以外にも……。


 他の人の魔素があることを感じ取ったようだ。

 掌握察のような技術は元々備わっているということだ。

 

 元々は死蝶人だから当たり前だが。

 彼女は、双眸から血色で縁取った白色の美しい蛾たちを散らす。

 

 ……そのまま、樫の木のような樹木群を睨み続けた。

 俺はとりあえず、美しいジョディを見るのを止める。


 和風のジャケットを着た三人に挨拶しよう。

 左の手の内を……。


 銃のスコープに見立てて、前方の対峙している人族たちへと伸ばした。

 サラテンの言葉通り〝不意打ち〟を狙うわけじゃないが……。


 一応、三人を警戒。

 外の三人以外の魔素の動きも気になるが……。

 戦いになった場合に備えて魔槍杖は、まだ、右の掌には出現させない。


『わくわく』


 サラテンの念話が響く。

 期待させといて悪いが、


『……まだ、撃たないからな』

『ぐぬぬ』

『そう不満を漏らすな。俺をだれだと思っている』

『ふん! 妾が認めた〝気まぐれな器〟だ』

『そういうこった』


 サラテンの皮肉が込められた念話を咬みしめるように……。

 再び、三人を注視。


 先頭に立つ長柄武器を持つ女性を含めて、皆、同じジャケット風。


 黒色の衣装。

 

 衰のような撓んだ和風の布を胸に下ろす。

 和風の喪服? いや少し豪華か。


 そして、中心の黒髪女性は……。

 胸元が 大きく膨らんでいる。

 

 おっぱいセンスがいい。

 そのおっぱいの肌と密着しているネックレスとブローチが目立つ。


 飾りには、文字か数字が刻まれている。

 他の二人の胸元にも同じ四角い形の飾りがあり、同じく文字が刻む。


 あのネックレスは軍隊のドッグタグ的なモノかもしれない。


 中国でも標識のような印があったはず。

 胸が大きい方が持つコンビネーションプライヤ風の長柄武器が気になったが……。


 笑顔(アイムフレンドリー)を意識してから唇を動かした。


「……こんにちは。俺の名はシュウヤ、冒険者Bランクです。あなた方はどちら様でしょうか。未開スキル探索団の方ですか?」


 異世界初の知的生命体(ドワーフ)のロアと出会った時と変わらない。

 笑顔には謎の自信がある。

 冒険者と名乗ったし大丈夫だろう。と、思ったが……。


「冒険者だと?」


 長い黒髪の女性は、怪訝そうに眉をひそめる。

 冒険者という免罪符が通じない。

 黒髪の女性は、警戒を強めたようだ。


 黒い虹彩に白色の魔法陣が浮かぶ。


 白といっても<ベイカラの瞳>のユイとはまた違う。

 おごそかな宗教歌が聞こえてくるかのような……。

 

 双眸は特殊な魔眼。

 古式めいた魔法陣が、眼球の表面に投影する形で浮かんでいる。

 

 ユイとは違う魔眼の種類だろう。


 蜘蛛王審眼(ライオガアイズ)とも違う。

 栄光と威風を持った魔眼の双眸で俺たちを睨む。


「怪しい」


 と、呟く黒髪女性。

 蜘蛛系ではないが、魔眼の力で鑑定でもしたか?

 

 神獣ロロディーヌと俺を凝視。


 彼女の瞳に映っている俺の恰好は……。

 暗緑色と白銀色の枝模様が綺麗なハルホンク防護服だ。

 夏服を意識した半袖バージョン。

 服のポケットには……。

 神剣サラテンを止めた巨大なハンマーヘッド群からくり貫いたサラテン曰く『神々の残骸かもしれぬな……』と語っていた丸いこげ茶色の素材が入っている。


 両手首の表面にある梵字系の<鎖の因子>のマークも、素で見えた状態だ。

 注目はするだろう。

 と、思った直後、案の定、俺の両手首を彼女は注視した。

 鎖のマークに加えて、右手首にはアイテムボックスもあるからな。

 

 黒髪女性が警戒する気持ちはよく分かる……。


 が、すぐ視線をそらす黒髪の彼女。


「死蝶人とはな……」


 そう語るように……。

 黒髪の彼女はジョディを注目。


 俺は人族だから普通に見えた?

 神獣ロロディーヌのことをあまり注視してこなかった。


 古代狼族たちよりジョディのことが気になるようだ。


 黒髪の女性は、穂先がレンチのような形の厳つい金属武器の角度を変えた。

 あれで殴られたら確実に頭蓋骨が陥没する。

 想像したらかなり痛そう……。

 黒髪女性は、そのレンチ系の長柄武器を……。

 

 槍を扱うように、くるりと目の前で回転させた。

 そのまま仲間たちへアイコンタクトで指示を出す。


 そして、再び、俺たちを注視。

 衣装の丈を払うような所作を取る。


 横へとゆっくりとした歩法で歩く。


 と、小さい唇を動かした。


「……死蝶人。十二樹海の伝説的存在……」


 俺たちの間合いを測るように歩き続けた黒髪女性は語る。


「古代狼族たちを含めて、そこの男も、死蝶人が従えているようだな」


 彼女曰く、俺はジョディに従っているらしい。

 無理もないが……。

 彼女は勘違いをした。

 俺は思わず苦笑した。


 そんな黒髪女性の口紅は、特別な化粧なのか光を帯びて綺麗だ。


「何を笑う……」


 眉の片方を下げながら呟く黒髪女性。

 俺の態度を見て、胸中に羞恥と不安を感じたらしい。

 不愉快そうな表情を露骨に出していた。


 その勘違いをしている黒髪女性は、長柄武器の穂先か、後端か、判断が難しいレンチのように二つに分かれた先端部位を俺に差し向ける。

 すると、彼女は魔力を活性化。

 両手から長柄武器に魔力が注がれていく。


 ゼロコンマ数秒も掛からず、柄に魔力の光が宿る。

 その魔力の光は、穂先の巨大レンチの形をした先端にまで瞬く間に走った。


 魔力を得た二つの金属の矛というか、金属のレンチは輝く。

 おっぱいが豊かな胸元の古代文字も光った瞬間――。


 レンチのようなモノが挟めそうな金属の隙間に、魔力が集中し閃光が生まれ出る。

 閃光と同時に、レンチの隙間を埋める形で、丸い魔力塊が出現した。

 エネルギーの塊?

 または、小型の太陽のような丸いモノだ。


 丸い塊は、プロミネンスのような形の魔力を放出している。

 本当にレンチだとしたら、あんな魔力塊を生み出せる金属の隙間に、挟まれたら痛そうだ。

 万力で挟まれる感じだろうか。


「……従えた? 武器を構えている、この人族たちは頭が悪いのですか?」


 大鎌を回転させたジョディは頭部を傾げる。

 ジョディは俺が侮辱を受けたと、感じたようだ。


 しかし、死蝶人の姿を見れば、人族たちが動揺を示すのは当たり前だ。


「ジョディ。様子見だ」

「はい」


 すると、黒髪女性の背後に居た茶色髪の女性が口を動かした。


「……なんという不運。この広い樹海で伝説の死蝶人とピンポイントに遭遇するなんて……ギルド秘鍵書とは関係なさそうだけど……厄介ね」


 と、心持ちが夜といったように暗い雰囲気を出して、話をしていた。

 魔術師だと推測できる茶色髪の女性。

 夜のような瞳だ。

 垢ぬけた渋皮を剥けた女を感じた。


「語っているところ悪いですが、ジョディはもう死蝶人ではないです。俺の部下」


 と、話しかけた。


「部下だと?」

「能天気に語っているが、そんなことを信じられるか!」


 ぴりぴりした雰囲気を出す大柄の男が叫ぶ。

 ま、当然か。ここは樹海だ。

 魔族だけでなく様々な勢力が蠢く。


「真実ですよ? できれば、あなた方の組織名を教えてください」


 と、丁寧に接する。

 大柄の男は、イライラした神経に蛇でも噛み付いたような表情を浮かべる。


 黒髪女性は、そんな男に向けて「ドルガル」と小声で名前を呼ぶ。

 名前だけだが、その言葉の性質には『今は、気を静めろ』といった意思が込められている。


 大柄の男性は黒髪女性の意思を感じ取り、黙って頷いていた。


 黒髪女性は満足そうに頷いてから、顎先で指示を出し、俺を見た。


「……わたしたちは聖ギルド連盟の【ギルティクラウン】」


 黒髪女性は組織名を教えてくれた。

 聖ギルド連盟は聞いたことがある。

 だが、ギルティクラウンの名は初耳だ。

 ダオンさんとハイグリア、ジョディに視線を巡らせるが、皆、知らないようだった。


 当然だが、左目のヘルメも指摘してこないから知らないようだ。

 俺の疑問符を頭上に表すような態度を見た大柄な男は、


「知らないようだな?」


 と、『やはり』と言葉を漏らすように語りながら、目配せをした。

 大柄の男の視線を受けたギルティクラウンの女性たちは、視線を厳しくすると、その大柄の男の言葉に示し合わせたように、一斉に頷く。


 衣装が似合うからか……さり気ない所作に艶を感じさせた。

 そんな女性たちを眺める視線を見た大柄の男は、


「……本当にBランク冒険者なのか? 俺たちの存在を知らないとは……」


 知らないものは知らない。

 冒険者カードを作る際に受付嬢から聞いたことと、ナロミヴァスが語っていた内容を思い出したが、ギルティクラウンの名は知らない。


「秩序の神オリミールが関係しているぐらいしか知らないな……冒険者カードもあるが」


 と、俺は正直に話し、ポケットに入っている冒険者カードを久しぶりに出す。

 カードを見ても、大柄な男は頑なな態度で、


「……俺たちは悪しき冒険者を裁き秩序を保つ――」


 そのまま手で印を作ると、その手は蒼色に輝いた。

 黒髪の女性はその動作を見て、頷くと、茶色髪の女性に向けて、


「聖刻印バスターとして正式に狩りを行う。リーンも準備をしろ」


 その瞬間、女性たちではなく、ドルガルと呼ばれた男の胸元の古代文字が光る。

 ドルガルは、蒼色に輝く手を背中に回し肩口から覗かせていた剣の柄頭に当て柄巻きを握った。

 そして、姿勢を前に傾け背中の鞘から剣を引き抜く――。


 目の前の中空に、弧を描く軌道の蒼い軌跡を生み出していた。

 蒼色の魔力が輝く剣身の業物を青眼の位置に構える。


 茶色髪の女性が、ドルガルが構えた蒼い剣身が目立つ魔剣を見てから、


「……ドルガル。やる気ね。でも、黒髪の冒険者はリストにないわよ? 賞金首とはまったく関係がない魔獣使いの冒険者に見える……無報酬で働く気?」

「手間賃を気にしている時間はない。死蝶人、魔族、黒髪の貴公子、樹怪王の軍団の樹魔妖術師、白の貴婦人が従える怪物たち、地底神の勢力、旧神ゴ・ラード、ロシュメールの亡霊、セブドラ信仰、古代狼族、皆が人族の敵だ。悪しき者を裁くことに変わりはない」


 ドルガルは推測で、俺を悪しき者として語るが、間違っちゃいない。

 正解だ。光魔ルシヴァルは正義の味方じゃないからな。


 悪しき者でもある。

 さらに言えば、ここは魑魅魍魎が棲む樹海。

 そして、樹海以外にも魔族のクシャナーンという姿を変えて人族社会に潜む存在も居る。


 樹怪王の樹魔妖術師の下半身がプラナリアだったモンスターも古代狼族を捕まえていた。

 その古代狼族は縄張りを侵す人族と争っている。


 だからこそ、ドルガルの思考は戦神教のメンバーたち同様に当然だ。

 リーンは仲間のドルガルが喋った言葉を耳にしても、まだ納得してないのか、用心深く俺を見てから、

 

「でも……白き貴婦人の討伐依頼中に、多数の冒険者たちを裏切ったクラン【死の旅人】たち。あの賞金首たちはどうするの?」


 死の旅人という名前からして怪しい賞金首を追っていたらしい。

 ハイグリアも気をつけろと、語っていた〝白き貴婦人〟とは、人族側にも被害を与えているようだ。

 そんな白き貴婦人討伐中に同業者を裏切ったクランか。

 闇ギルドが関係した盗賊に鞍替えか、あるいは……この聖ギルド連盟という集団が追ってきた数からして、樹海で一旗上げようとしている大規模な人族集団かもしれない。


 サイデイル村から距離は離れたが……。

 樹海の西南地方も、地下と地上と色々な勢力が渦巻いている。


「フェウとケマチェンたちは、あとで追跡する……」


 フェウとケマチェンという名前の冒険者たちが、死の旅人のメンバーなのか。


「リーン。迷うな。賞金首は、南のアルゼ街の北に広がる樹海エリアで暴れているんだろう」


 黒髪の女性が喋る。


「アソルのいう通りだ。どちらにせよ。アソルの刻印結界が発動した。敵勢力と認識する――<刻印・青龍剣>」

「――仕方ないわね。刻印の発動か。わたしも聖ギルド連盟の刻印バスターの一人。死蝶人に精神を操られた哀れな人族の冒険者ごと、狼たちを葬るのね」

 

 黒髪女性の背後に居たリーンという名の茶色髪の女性がそう話す。


『閣下。人族たちは、万死に値する行動を取るようです。懲らしめますか』

『光の授印を見せても戦いになりそうだし、周囲の魔素の数も多いから強気なんだろう。ま、今回は俺とロロが迅速に対処する』

『はい』

『妾は……』

『サラテンも使うつもりはない、あいつを使うかもしれない』

『ぐぬぬ、妾をさしおいて……生意気じゃ』

『しらんがな――』


 ヘルメとサラテンに念話をしていると、茶色髪の女性は背中に回していた両手を晒す。


 その手に持っていたのは短杖だった。

 先端は小さい環の中心に金色に光る魔宝石が嵌まっている。

 さらに、魔宝石の周りには、小さい金属の環がじゃらじゃらと付いていた。


 金色の魔宝石と小さい金属環たちの内部から魔力を感じる。

 同時に音波めいたものを発してきた。


「……リーン。精霊使いとて、油断はするな。相手は伝説の死蝶人だ……」


 隊長クラスと推測できる黒髪女性が、茶色い髪の女性、リーンを注意する。

 そのリーンは頷く。


「はい。蚯蚓風ピクミー。剣霊オー。出番よ」


 リーンは魔力を纏い、短杖を揮う。

 その杖から魔力波が発生し、りんりんわんわんといった不思議な音も強まった。


 その瞬間、半透明の怪物が、彼女の背中からぬっと出現。

 半透明の怪物はリーンより大きい。

 そして、半透明スケルトン気味の怪物の双眸は……気色が悪い。


 一対の触角めいた丸棒の眼球だった。

 飛び出た長細い眼球だ。


 そんな出目金の細長いバージョンを持つ眼球をぎょろぎょろと動かした怪物は、口を広げた。


 その口の内部に生えた歯が、人間染みて、やけに並びがいい。

 半透明だが、リアルな健康の成人男性が持つ歯並びだった。

 それがまた不気味だ。


 胴体の方は、蚯蚓か、毛虫か、蛞蝓か、蛇か、といったように長く太い。


 そんな半透明の蛞蝓のような怪物は、自身の長細い丸棒眼球をきょろきょろと左右に動かした瞬間――にゅるっと音を立てて歯並びがいい口を広げたまま、リーンを頭から丸飲みにした。


 まさに「オマエ、マルカジリ」といったように喰われたリーンだが……。


 半透明な怪物が飲み込んだ茶色髪のリーンは、平然というか笑みを浮かべている。

 まぁ、半透明で使役している存在だ。

 物理属性はないんだろう。


 そう思った直後――。


 半透明な怪物は予想通り、彼女の身体の中へと浸透するように消失。

 そして、怪物を体内に取り込んだ効果か、憑依効果か分からないが、青白い防御膜を衣装の上に形成しながら、重力に逆らうように浮力を得て地面から浮かび上がる。


 あの怪物は風の精霊に属するモノなのか?


 浮いたリーンが履くスカートのような長い丈がふわりと風を孕んだように捲れている。

 細い素足が綺麗だ。

 皆と御揃いの黒色の靴を履いていた。


 そんな浮いている茶色髪のリーンの背後には、半透明の剣が幾つも浮かぶ。


『……ヘルメ。あれも精霊か?』

『そのような存在です。精霊ちゃんだと思いますが……』


 ヘルメとは違うか。

 レベッカが案内してくれたペルネーテの魔法街にあったクリシュナ魔道具店でも、不思議な精霊がビーカーの中に入った状態で売られていた。


『……精霊は精霊でも色々とあるが、ヘルメは特別ということか』

『はい! わたしは閣下の水です!』


 視界の左端に登場した小型のヘルメは嬉しそうだ。

 ヘルメは宙を飛んでいる虫へ向けて、片手に持った注射器の針から水を飛ばしている。


『戦うと予想して、さっきも伝えたが、今回は<精霊珠想>はいい。少し考えがある』

『分かりました』


 すると、先頭に立つレンチの武器を持つ黒髪女性が、


「ドルガルも気をつけろ。いずれ、周囲の仲間も気付く。聖ギルド連盟としての〝狩り〟といこうか――」


 アソルという黒髪女性が、宣言した。

 俺を狩るだと? 舐められたもんだ。


 黒髪女性は俺に指し向けていた長柄武器の穂先を頭上に向けた。

 両手持ちの武器だと思うが、彼女は軽々と片手で持ち上げて、レンチの穂先を頭上に掲げると、その二つの金属の間に発生していた丸い魔力塊を空へと撃ち出す――。


 樹海の空で、その丸い魔力塊が花火のように弾け散った。

 信号弾の役割か。

 彼女が扱う長柄武器は、穂先がレンチの鈍器にも使える魔道具の杖ということか。


「承知した、前衛は任せろ」


 蒼い魔剣を構えるドルガル。

 その瞬間、隣のリーンが、蛞蝓の精霊を操作。

 歯並びのいい蛞蝓の口から、複数の液体の矢を俺たちに向けて射出してきた。


「――ロロ、やるぞ」

「にゃッ」


 二つの触手から手を離した。

 いつものように平たい先端は俺の首に付着した状態。

 <神獣止水・翔>のスキル効果であるロロディーヌとの感覚共有だ。


 黒馬の姿に近い神獣ロロディーヌは、俺の意思を汲み取る。

 速歩(トロット)のペースで前進。

 ゼロコンマ数秒も掛けず魔闘術を全身に纏う。


 続いて、右手の手の内に魔槍杖を召喚、左の掌に神槍を召喚した。


 魔槍杖バルドークと神槍ガンジスを握りしめては、上下左右に二振りの槍を揮い――身に迫る液体の矢群を撃ち落としていった。


 感覚を共有したロロディーヌも胴体からタイミング良く、数本の黒触手を射出。

 迅速に宙へと伸びる黒触手は、見事な精度で俺たちに迫る液体の矢と衝突していく。


 黒触手の動きは、正確無比な迎撃用の地対空ミサイルのようだ。

 続けて、アソルというリーダー格が扱うレンチ型の長柄魔導武器の先端から、魔力の塊が飛び出してきた。


 俺たちに飛翔してくる塊は、先端が細いライフル弾の形に変形している。


 俺の首に付着している二つの平たい触手と繋がっているロロとの感覚共有を生かす――。

 俺を乗せたロロディーヌは樹海の木々を利用した。

 樹木の幹を蹴りで、打ち倒すように、縦横無尽に樹木の間を跳ねながら空を翔けた。

 そんな俺たちに、液体の矢群と魔弾は追尾してくる――。

 追尾なら俺たちが直接、斬っちゃえばいい――。

 二振りの槍を揮い、矢と魔弾を斬る。

 ロロディーヌも胴体から生やした黒触手で液体の矢と魔弾を撃ち落としてくれた。


 ロロディーヌの黒触手は黒翼にも見える。

 すべての遠距離攻撃を正確に迎撃していく光景は圧巻だ。


「人族が! わたしの大切な番のシュウヤを攻撃したな! 許せん、神狼ハーレイアの恩恵を忘れた者たちめ!」


 ハイグリアの怒りの声が耳朶を震わせる。

 そんなハイグリアの声の間にも、降り掛かった液体の矢を撃ち落としていった。


「あなた様、周囲の敵が近づいてきます」

「ジョディとハイグリアたちは周囲を警戒しろ――」


 そう喋りながら、茶色髪のリーンが僅かに隙を見せた。

 半透明な剣による遠隔攻撃に切り替える刹那。


 その刹那を利用――。

 左手の神槍ガンジスと右手の魔槍杖バルドークの角度を変える。

 キラリと光るガンジスの方天戟が振動を起こす。

 魔槍杖バルドークの嵐雲戟がカラカラと嗤う。


「にゃごぁ――」


 黒馬のロロディーヌは瞬間的に俺の意思を汲み取る。

 回避機動から突然な反転だ――。

 末脚の後脚の蹴りを生かした爆発的な機動の前進――。

 距離が離れていたが、リーンとドルガルとアソルとの間合いを詰めていく。


 同時に<霊血の泉>と<水神の呼び声>を意識。


「――ルシヴァルの紋章樹!」

「シュウヤと神獣様の頭上に、血を照らし輝く杖と女神様? の絵がある?」


 背後から歓声のような質の声が響く。

 俺からは見えない。

 <光魔の王笏>の効果が出たか分からないが――。

 そこから左右の手に握る神槍と魔槍杖を捻り出す<水雅・魔連穿>を発動――。

 リーンとドルガルは驚きの表情を浮かべて反応――するが、遅い。

 血の螺旋を纏う神槍ガンジスと魔槍杖バルドークの<水穿>による連撃が、数本の半透明な剣と蒼色の魔剣の切っ先を溶かすように破壊。

 さらに、神馬一体となった俺とロロディーヌの勢いは留まらない。


「――ガルルルゥ」

「――ぬぉらぁぁぁ」


 吶喊した俺とロロディーヌの全身を、一陣の風どころか、血を帯びた魔風が纏う。

 俺とロロディーヌの魔力が合わさったそれは激烈な勢いのランスチャージと化す。

 神獣一体の攻撃は両手に持つ二槍へとしっかりと伝わった。

 凄まじい速度の二槍連突が、リーンの蛞蝓精霊を貫き――。

 歪な剣たちを弾き飛ばし、短杖をぐちゃっと鈍い音を響かせるように潰し――。

 ドルガルの魔剣をも破壊――。


 最後に、二人の胸を同時に穿った血濡れた神槍と魔槍杖の矛。

 蛞蝓精霊と歪な剣精霊たちは俺の血を浴びる形となった。


「ぐあぁぁ」

「げぇぁぁ」


 御揃いの衣装が破れた二人は血飛沫を上げながら吹き飛ぶ。

 衰のような喪服系の衣装も切れていた。

 勿論、血飛沫は頂く、<血道第一・開門>を意識――その血を吸い取った。

 そこに、黒髪のアソルがレンチの魔道具を揮い下げてくるのを、視界の端に捉える。


 俺は急ぎロロディーヌから飛び降りた――。

 ロロディーヌは右に跳び跳ねる機動で、回避。

 俺は左に前転だ――。

 神槍ガンジスの矛を地に突き刺す。

 その勢いを突けて、横回転しながら着地するのと同時に両手から神槍と魔槍杖を消去。


 間合いを詰めてきたアソルのレンチの一閃を、さっと避けたところで、


 ※ピコーン※<血穿>スキル獲得※

 ※ピコーン※<魔連・神獣槍翔穿>スキル獲得※


 脳裏に音が響くと、スキル獲得の赤文字が視界に浮かぶ。

 感覚でも同時に理解しながら、ハルホンクを意識すると同時に魔力を二の腕に送る。

 半袖だった袖が一瞬で、環状に膨らんだ白銀の枝から粉塵を撒くように光を発する。


「目くらましか!?」


 レンチの穂先を俺に差し向けたまま、距離を取ったアソル。

 そのアソルは武器を斜めにさげると、回復ポーションのようなものを吹き飛んだ二人に投げている。


 俺は周囲を確認。

 聖ギルドメンバーだと思う連中と仲間たちはもう戦っていた。

 ジョディが遊撃に回り、次々と大鎌と華麗な蝶のように舞いながらの体術で和風然とした専門的な衣装を着る者たちを吹き飛ばす。

 ハイグリアとダオンにリョクラインも連携。

 古代狼族の兵士たちはだれ一人として欠けずに、防御陣を崩さず戦っていた。


 俺はゼロコンマ数秒も掛からず、白銀模様と斑色が混ざる環状の防具を展開した。

 手首から二の腕辺りまで環が連なった筒状のハルホンク腕防具。


 元はブーさんがくれた光輪。


 さらに、距離を取ったアソルが、レンチの長柄魔道具に魔力を込めた瞬間――。


 俺が尊敬する格闘師範でもあるキサラを模型。

 魔闘術系亜種でもある<魔手太陰肺経>を意識した。

 丹田から一気に魔闘術が再活性化する――。

 紅玉環を指で触り「力を貸せ――」と、言葉を発しながら腕を覆うイメージを瞬時に描きながら魔力を注ぐ。

 いつものように、指に嵌まっている紅玉環の表面が、ぷっくりと膨れた。


「主!」


 肉団子風武装魔霊アドゥムブラリが生まれ出た。

 通称ピコ助だ。

 ヘルメとエヴァはもっと沢山の綽名をつけていたが、ピコ助でいいか。


『魔界付与師のアーゼンに作ってもらったのだ!』

 と、魔侯爵としての蘊蓄を語りながら伊達を気取り自慢していた仔牛紙色の高級感あるミニチュアの貴族服も変わらず。

 半透明なユキノシタ模様の記章と三日月型のワッペンも胸元に並ぶ。

 あのワッペンは卓球のときに潰れたが、すぐに復活した〝偽魔皇の擬三日月〟。

 ブーメランの武器になるという代物。

 背中には小さい一対の翼を生やしている。


 瞼の動きは変わらず。眼球の表面を滑りながら閉じたり開いたりするさまは面白い。

 そして、そのアドゥムブラリの球体の額にAを刻む。


 武装魔霊アドゥムブラリを発動させると同時に両手をクロス。

 俺はエブエが変身する前と同じポーズを取る。

 壺ヤナグイのマークに紅色の翼のある紅玉環越しにアソルを睨む。


「主ィィィ、俺は幻魔ライゼンを超えて魅せるぅぅ――」


 テンション高い単眼球は背中の翼をバタつかせると急激に凹凸を繰り返し、蠢く。

 指に嵌まっている紅玉環に、突如、闇の炎が迸る――。

 その闇炎が誕生した刹那、紅玉環が、竜に、闇炎の竜の頭部に変化した。


 ピコーン※<ザイムの闇炎>スキル獲得※


「おぉぉ――」

『凄い……』

『妾……は……ぐぬぬ』


 思わず、声を上げて反応したが、ヘルメが感心し、サラテンが唸るのも無理はない。

 俺の両拳には闇の炎で形成した魔大竜ザイムの頭部が宿っていた。

 アドゥムブラリが語った幻魔ライゼンを超えるという言葉に嘘はないらしい。


 そして、両手に宿る魔大竜の黒炎が腕の表面を上っていく。

 腕環の防具が峻険な山稜に見えてくる。

 その腕防具の山々を闇の炎の竜たちが這って登っていくようにも見えた。


 攻撃の機会を窺っているアソル。

 彼女は、俺の闇の炎が包む両腕のことを凝視している。


 そのアソルは明らかに狼狽。


「……人族……ではないのだな……」


 彼女は焦りを覚えたように額に汗を噴き出す。

 いまさらか、アソルの文言には答えず。


 活性化した魔闘術をさらに生かす。

 <血道第一・開門>を意識。

 俺は丹田から沸騰する勢いの濃密な魔力と<光魔の王笏>としての血を融合させる。

 そのまま首の下の皮膚が魔血に侵食を受けるように血を纏わせていった。

 カルードの<血狂>を意識するわけじゃないが……。


 同時に<始まりの夕闇(ビギニング・ダスク)>と<血鎖の饗宴>を発動――。

 足下を一気に闇が侵食。

 周囲を暗くするように夕闇世界が広がる。

 古代狼族たちには夕闇がいかないように注意した。


 そして、自らの首から顎にかけてを、細かな血鎖たちが這うように移動する。

 血鎖たちは、血の小さい蛇にでもなったかのように蠢きながら首の前部を覆った。


 その小さい血蛇の鎖たちは俺のイメージ通りに、首から顎にかけてを完全に覆い尽くすと、輝きを持った防具と化した。

 そう、それは光魔の血の面頬となる。

 イメージは血が滴るヴァンパイアらしいガスマスク系の防具だ。


 痛みも覚える――。

 どうやらソロボを馬鹿にできないようだ。

 細かい造形をイメージしたせいか、凝り過ぎたか……。

 顎と首の下の皮膚に、先端が鋭い蜘蛛の腕のようなモノ(防具の一部)が食い込んでいる作りとなっていた。

 血鎖による痛みの芯が、脳を刺す感覚を受け続けるが……。


 これもヴァンパイアらしくて、いいじゃないか!

 口から牙が飛び出る吸血機構も用意したからなぁ!


 ※ピコーン※<霊血装・ルシヴァル>※スキル獲得。


 スキルを獲得したが、無視だ。


「……ひぃ」


 アソルは俺の変化に小さい悲鳴を上げた。


 テラー効果があるらしい。

 単に、<始まりの夕闇(ビギニング・ダスク)>の侵食を受けているだけかもしれないがな。

 というか、俺を見ていた皆が、後退る。


「あ、あなた様……背中に黒き翼が……」


 ジョディまで怯えている。

 フハハハッ、構わず……アソルの可愛い血でも頂こうか。

 両手から迸る闇炎が、血を蒸発させるような勢いで、ハルホンクの光輪を燃やしていくのを感じながら……左足を前に出して体勢を屈める。


 闇を燃やす左手を下に、闇を溶かす右手を上に――。

 陰陽太極図を手で描くように動かす――。

 キサラから習った「魔漁掌刃」を独自に発展させた構えを取った。

 双眸も怪しく光っていることだろう。夕闇世界は俺のホームだ。

 それゆえ、血の渇望を感じる。全身の細胞が血を求める――。

 血の飢えを理性が抑えながら風槍流『片折り棒』のステップを踏むことを意識。


 ――ヒャッハー!

 瞬時にアソルとの間合いを零とした。

 驚愕めいた表情のアソルだが、レンチ型の長柄魔導武器を突き出してきた。

 だが、そんな攻撃は通じない――。

 柳の枝を受け流すように、闇炎が宿る左手で往なし、流す。

 そして、闇炎を纏う右手で、疾風迅雷のごとく、「翻子拳」のごとく、「双拳の密なること雨の如し、脆快なること一掛鞭の如し」を意識――。


 要するに、「オラオラオラオラオラァァッ!」だ。

 彼女の全身に打撃を喰らわせた。


「ぐえぁぁ」


 血を吐くアソル。

 俺は、倒れ掛かる彼女の着ている隊長クラスたちのお揃い和風なジャケット衣装を溶かすように擒拿の技術で布の際を掴み、肩を取った。

 

 そのまま――。

 強引に光魔ルシヴァルの力で彼女の身体を回し、手前に引き寄せながら、彼女の背中を取った。


 そして、<始まりの夕闇(ビギニング・ダスク)>を消去。

 ガスマスクを意識したが、造形は分からない口元を隠す<霊血装・ルシヴァル>はそのまま維持した。

 もしかたら、凶悪な面頬系となっているのかもしれない。


 まぁいい……喉に魔力を込めるように、


「おい!! アソルは、まだ生きている! 大将の首が取られたくなくば、戦いを止めて、動きを止めろ! 皆、戦いを止めろ!」

 

 聖ギルド連盟のメンバーたちの動きは少し鈍ったが……。

 まだ戦っている。


 脅しをかねて、アソルを掴んだまま<導想魔手>を使い跳躍。

 戦場の端に向けて、<闇の千手掌>を繰り出した――。

 闇杭の集結した巨大な掌が、樹海の根を粉砕して大地を掌型に凹ませたところで、やっと戦場は静まり返った。

明日も文量は少ない予定ですが、更新予定です。

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