四百七話 悪夢の女神ヴァーミナと仲間たち
2022/06/30 悪夢の女神ヴァーミナの黒兎の仮面など追加
「ぷゆ!?」
ぷゆゆの声は無視。
透き通る声が響くと湖面の映像が一瞬、ぼやけて、煌めく。
蜃気楼のような煌めきの中から出現したのは美しい羽衣を身に纏った悪夢の女神ヴァーミナだ。
すると、頭部に黒兎の仮面を出現させた。
腰にも、様々な仮面を出現させると、ぶら下げていく。
白銀色の髪は変わらず、エメラルドと深淵の闇を感じさせる色彩を持った美しい瞳。
白磁器の肌を持つ細面で美しい顔立ちは変わらない。
鼻を両断する闇色の真一文字の火傷痕も残っている。
首にあった傷も同じだ。
首は横にずれて鋭利な刃物が通った痕のような切断面を見せている。
前と違うのは、空に浮かんでいるはずの巨漢の黒兎がいないことか。
混沌の夜の戦いに参加していたから魔界に戻っていないようだ。
あ、頭部の黒兎の仮面とシャイサードは関係がある?
手首は包帯と多数の紐のようなモノが多数巻かれていた。
ネックレスと腹巻きのような和風の装束は少し洗練されている。
肩が露出し、肘を隠す長い和風の袖は、かなりお洒落だ。
その悪夢の女神ヴァーミナを見ながら、
「皆、悪夢の女神は俺たちと敵対する意志はないと思う」
「……そう、なの? 安心した……と言いたいけど無理でしょ。あのミミを誘拐した大本でしょ? 公爵の息子だった魔人ナロミヴァスとクロイツを育てていた悪夢の女神。とてつもない魔力も放っているし……」
レベッカは自らの気持ちを表すように……。
ジャハールの切っ先から伸びている蒼炎刃から呻くような音が木霊した。
「主! オーク語で話してくれないと分からない」
「ソロボ。どう考えても我らの出番ではない。〝ムーとシェイルを守れ〟との言葉に従うのだ」
蒼炎のカーテンと水幕に守られていたクエマとソロボは頷き合う。
虚ろの表情を浮かべているシェイルは「ァァ……」と声を発して魔法防御の水幕の内側に指を当てては自分の体から離れていく赤紫の蝶の動きを不思議そうに追っていた。
「クエマの話すとおりだ。樹槍を投擲しそうなムーを押さえて屋敷の方に避難を頼む」
「あい分かった!」
オーク語で気合いを発するように声を上げたソロボ。
そのまま銀太刀を背中に素早くしまうとムーを脇に抱きかかえて柵の方へと向かう。
「クエマ、そこのふらついているシェイルも頼む」
「は、はい! 主様、お気をつけて!」
礼儀正しい美人オークのクエマがそう述べて頭を下げる。
シェイルの手を掴むとソロボの背後を追った。
汗臭そうなソロボの脇に抱えられたムー。
手に持った樹槍と義手と義足から伸ばしている糸でソロボから離れようと抵抗を示す。
だが、ガチムチのソロボには効かない。
抵抗するムーを落とさないようにしっかりと抱えたソロボは武者の漢を感じさせる力強い走りで軽快な動作で跳躍――柵の四角い頂点を片足の底で踏んでから再び高く跳躍――。
それはアルティメットクリフハンガーを行うような高さだった。
そして、太い両足で着地に成功していた。
ムーは大柄なソロボの軽快な機動に驚いたのか大人しくなっている。
ソロボはそんなムーを優し気な視線で見てから頷くと、俺の屋敷へと向かう。
一方、シェイルを連れたクエマは普通に柵の出入り口から歩き外に出ていた。
「……悪夢の女神ヴァーミナ様……魔界八大湖の一つ【白銀の魔湖ハイ・グラシャラス】を中心とした大領域を持つ偉大なる魔界の女神が一人……」
レベッカや皆とは違う反応を示す魔界騎士シュヘリアの声だ。
声音を震わせて語りながら両膝をゆっくりと地面につけた。
そのまま悪夢の女神ヴァーミナに対して完全に平服をしている。
「ぷゆっぷゆう~」
「槍使い。小動物を飼うとはな」
「いや、飼ってるわけじゃない。しかし、この綺麗な白銀の魔湖は、ハイ・グラシャラスという名前なのか」
「ヴァーミナの領域……」
「ん、名前といい幻想的」
「……そう、なのよね。邪教の、悪夢の女神ヴァーミナがよ? なんでこんな美しい白銀の湖に」
「ん、見たことのない不思議な小人たち。キサラさんの紙人形のように踊っている。変な、ガァーガァーとした動物の音も立ててるし、宙に浮かぶ巨大樹木も不思議。幹の上部から滝のように白銀の液体が流れ落ちてる」
エヴァは白銀の湖面が作る不思議世界が気に入ったようだ。
「……白銀の湖畔。わたしの知る熱砂を帯びた魑魅魍魎の魔界とは別のように感じます」
キサラの知る魔界か。
メファーラと関係がある?
「……レベッカ様、その邪教とはペルネーテの【悪夢の使徒】ですか? 一夜にして消え去ったと聞き及んでいましたが」
レベッカにシュヘリアが尋ねていた。
「そうよ。シュウヤとロロちゃんとイモリザ? が潰したの。シュウヤの知り合いの大騎士とミミが誘拐されたのよ。その邪教にね」
「ん、わたしとレベッカはお留守番」
「うん。ママニたちを襲った邪神の使徒の関係もあったからね。屋敷を守るうえで仕方がなかったし、そのママニたちを襲った使徒がイモリザの元なんだけど……詳しくは、そのイモちゃんに会えば分かるかな? いや、イモちゃんだし……説明が難しい」
確かに、邪神の使徒だったことを含めると、ややこしくなるだけか。
ツアンかピュリンなら理路整然と説明ができるかもしれない。
「そ、そうなのですね」
「はは、イモリザは不思議ちゃんってことで、でも、最近は歌が上手いの」
「ん、リンゴ畑の歌はお気に入り」
レベッカの言葉を聞いてシュヘリアは金色の瞳の光彩を散大させる。
「……そうだったのですね。しかし、一夜の魔人消滅と【悪夢の使徒】の壊滅話には、やはり陛下が関係していたのですね。実際の武術だけでなく、色々な成り上がりの名声話も確実な話でしたか……」
悪夢の女神ヴァーミナは視線を一瞬鋭くする。
だが、指摘はしてこなかった。
「それは闇ギルドのこと?」
「はい。【梟の牙】を壊滅させたうえに闇ギルド【月の残骸】の盟主となり【八輝頭】にまで成り上がりペルネーテの支配権を確実な物にしたと」
「確かに、俺が潰した」
「……それから【血月海星連盟】を結成。天凛堂の戦いでは【影翼旅団】を討ち果たし【血月海星連盟】の名を広めて……月の残骸から名を【天凛の月】と改めたと。さらにはレフテン王国に乗り込み【ノクターの誓い】を潰したのは槍使いとその一味だとも……」
「盗賊ギルドから仕入れた情報か?」
「主にはそうですが、ある大商会のメンバーからも直接話を聞きました」
シュヘリアはデルハウトやもう一人の女魔界騎士と共に地上任務で活動していたからペルネーテの出来事はそれなりに調べていたようだ。
すると、
「ふふふ」
悪夢の女神とは程遠い親しみの感じる声音でヴァーミナは嗤う。
その親しみの声と態度に応えるわけではないが……。
まずは、混沌の夜の戦いに巨漢黒兎シャイザードが俺たちに加勢をしてくれたことについて礼をする。
加勢してくれと頼んではいないが、凄まじい乱戦だったからな……。
地上で戦っていたエヴァの実力は信用できたとはいえ、守るべきサナ&ヒナたちが居る状況下だった最中、非常にありがたい加勢だった。
きっちりと気持ちを込めて頭を下げてから、
「……ヴァーミナ様。先の乱戦に助太刀してくれた大眷属シャイサード殿には、俺たちも助かりました。ありがとうございました」
「気にするな、槍使い。妾との仲ではないか」
仲の発音が強まったところでヴァーミナの視線が強まった。
すぐにピンとくる。首のことだろう。
「……この<夢闇祝>のことですか?」
俺は首を自分の手でトントンと手刀を打ち込みながら語る。
「そうだ。妾の力を取り込んだ証し。妾の力を生かすソナタとの縁。素直に嬉しく思うぞ……亜神殺しの槍使いよ」
「その亜神ゴルゴンチュラは復活するかもしれません」
「復活だと? 奇怪なことをセラでやるのだな……といっても、妾は関知せぬが」
<夢闇祝>があったとしても……。
俺のすべての行動を把握しているわけではないのか?
だとしたら配下の大眷属のシャイサードは、たまたま地上で活動していた?
ま、ヴァーミナの言葉だけを鵜呑みにはできないし、魔界も色々と争いがある。
ということにしておこう。
「……それで、今回はどんな用でしょうか」
「そう冷たく言うな。妾の槍使い」
〝妾の槍使い〟か、そんなヴァーミナ専用になった覚えはないが。
そんなことは口に出さず、
「……ヴァーミナ様の出現に、俺の眷属たちが警戒しちゃっていますからね」
四角形の向こう側のヴァーミナは俺たちの様子を確認するように見渡す。
「……それは仕方なかろう。ソナタの力が増し、妾の取り込んだ力もより強まった結果だ」
取り込んだ力というと、
「<夢闇祝>の力が増したと?」
「……妾の悪夢が祝いとは……ムカつくゾ」
強烈な怒気というか白磁器の肌に血管が浮き出ている……。
怖い。
「……フンッ、良い……」
「え?」
「良い、良い、ぐふッ、魔界騎士をも従える存在となった槍使いが、そのような恐怖の感情を魅せてくれるとは、妾を虜にするだけはある!」
「そうですか……」
今度は満面の笑み。
あまり付き合いたくないタイプ。
だが、美人なのは確かだ。
付き合うのも新しい発見があって、いいかもしれない。
悪夢の女神ヴァーミナは微笑む。
単袴の衣の生地は薄いので桃色の肌がくっきりと見えている。
ただ、前と違うのは白濁水を浴びていないので、妖艶さが薄れているぐらいか。
濡れた女もいいが……。
重要な半球形に膨らんでいる桃色乳房さんはしっかりと見えている。
きゅっと尖った櫨豆型の乳首様だ。
おっぱい神の威光は魔界も神界も関係なく俺の心を貫く。
「んっ……」
おっぱいへと注ぐ俺の胡乱とした目に気付いたエヴァ。
「……シュウヤ、女神と仲良い?」
鋭く冷たい口調の声が響く。
彼女がペルネーテで死神と揶揄されていたことを思い出した。
「いや、まったく……」
念のため、ヴァーミナの胸元から視線をそらした。
「エヴァ、あの女神が一方的にシュウヤのことを想っているだけよ」
「そうだな……」
ヴァーミナの乳首さんを凝視していたことは告げずレベッカの言葉に乗っかる。
するとエヴァは俺のことをチラッと見てから悪夢の女神ヴァーミナへと紫の瞳を向けた。
そして、可愛らしくキッと睨んでから、
「シュウヤはわたしたちの恋人だから取っちゃダメ。レベッカのような綺麗なおっぱいだけどダメ!」
はっきりと気持ちを伝えるエヴァさん。
レベッカは「え? わたしの?」と、自分の胸板を見てから、俺を見て、なぜか睨んできた。
ヴァーミナは双眸を拡げて驚いてから、微笑む。
「そうですね。悪夢の女神様とはいえ、シュウヤ様に手を出すのなら……その銀世界ごと消去しましょうか。魔女槍ダモアヌンも血を求めています」
「キサラと同意見だぜぇ。主よー、その空間の中に突っ込んでいいか? 角でかき回してみよう」
「……陛下の眷属様たちが戦うのなら……」
シュヘリアも立ち上がる。
「……まぁ、待て、眷属共。争いは無用ぞ。だいたい争うことは不可能。そこは地上であるぞ?」
「そうだけど、気持ちの問題よ!」
「元気がいい眷属の娘。その蒼炎ごと、嫉妬の感情を直に食したくなる……」
「う、わたしは美味しくないから、胸もないし……」
「……ふ、安心しろ。槍使いの特別なスキルと血と妾の魔法力を合わせたとしても、魔界とセラの狭間の障壁は崩せない。専用の魔神具に膨大な魂があれば別だが」
「だとしてもだ、レベッカをあまり刺激してくれるな」
「ん、空間を消しちゃうことはできる」
「紫の瞳を持つ黒髪の眷属よ。そう早まるな……そして、皆よ。妾の話を聞け――」
その瞬間、悪夢の女神ヴァーミナは細い両手を広げた。
白銀湖面の上で、踊り争い殺し合いをしていた小鬼たちが一斉に動きを止める。
「聞いているぞ」
と、一応用心しながら話をした。
ヴァーミナを強く睨む。
「ふふ、目を細めても……妾から何もでないぞ。しかし、槍使いが妾の傍に来てくれるのならば……」
急に、色っぽい雰囲気を醸し出す悪夢の女神ヴァーミナ。
双眸を煌めかせる。魔眼か?
そして、その魔眼から光線を出すように頭部を白銀の湖面へと傾けた瞬間――。
湖面の上で狂ったガチョウのように叫び踊っていた鬼の子供のような存在の一人が全身を気色悪く震わせると、いきなり闇色の子供の鬼は白濁とした液体となって消失した。
いや、消失ではない。
小さい勾玉に変化したらしい。宙に浮遊している。
その浮かんだ勾玉はヴァーミナのもとにすぅっと移動していった。
悪夢の女神ヴァーミナはその勾玉を指で挟むように掴む。
すると、その指に挟まれた勾玉がスライムのような粘着性があるように蠢く。
そして、急激に真っすぐと伸びては変化を起こす。
瞬く間に白銀の湖をイメージさせる魔槍へと変化を遂げた。
魔槍の後端は石突ではない。刀のような刃。
その刃の根本から紐と紐を繋ぐ合わせるようなあやつなぎ状に結ばれている白紐はヴァーミナの握り手に絡みながら長い柄の上へと続く。
魔槍の顔ともいうべき穂先は全体的に分厚い。
その先端は中部の分厚さと違い細く湾曲したスノープラウのような作りだ。
<刺突>系の威力が期待できそうな作り。
穂先の後部は分厚い中部から左右の斜め後方へと翼でも作るような形。
ブーメランの曲面を作る二つ刃で構成されている。
穂先の中部から続く大刀打の位置も分厚い。
大刀打の中心には後端と柄からあやつなぎ状に続いている長い白紐がバケットヒッチ状に結ばれて、左右へ伸びた刃と揃う形となるように紐が二つに分かれていた。
「この妾が持つ……魔槍ハイ・グラシャラスを、槍使いにプレゼントしても良かったのだが……」
「悪夢の女神ヴァーミナ。閣下を支配下にはおけませんよ?」
黙って聞いていたヘルメが一歩前に出ながら語る。
指先から射出した細かな水を、ヴァーミナが映る空間に放っていた。
「……チッ、鋭いな。妾を阻む闇と水の精霊か……生意気だ。が、槍使いの大眷属に値する存在ならば当然か……」
舌打ちで悔し気に語るヴァーミナ。
しかし、槍は正直、エロ云々より、俺の本質を貫く武器だ。
そして、魔鋼都市ホルカーバムの領主、友のマクフォルのようにアイテムのコレクションにしたいわけではないが……魔槍ハイ・グラシャラスが魅力的に見えたのは事実。
聖槍アロステは丘にいずれ刺す予定だから<導想魔手>が握る槍は一応空く。
関羽が愛用した青龍偃月刀風のオレンジの薙刀刃が魅力的な魔槍グドルルちゃんもあるにはあるが、ヴァーミナの持つハイ・グラシャラスの方が威力が期待できそうな感じがする。
雷式ラ・ドオラの短槍はムーへとプレゼントしようと考えているし。
と、いかんいかん。
魔槍ハイ・グラシャラスを手にする姿を想像してしまった。
どうやら悪夢の女神ヴァーミナは、俺を本気で取り込もうとしているらしい。
「……閣下?」
「大丈夫だよ」
「はい、閣下の血魔力が狭間を超えたわけではなさそうです」
精霊眼と自身の放出した水を使い、女神が映る空間を調べていたらしい。
「……その通り」
ヴァーミナは肯定しながら俺たちを見つめ直し白銀の湖面へとまた視線を移す。
すると小鬼たちの一部が白銀の湖面と一体化。
立体的な地図を作る。
穴、森、荒野、火山、山々の窪み、湖、戦場と化した城、活況とした街。
細かくミニチュア化したこの辺りの簡易地図だろうか。
「この地図の説明は時間があれば、あとでしよう。まずは、槍使いに重要なことを告げる」
「何でしょう」
「妾が最初に魔界騎士を槍使いの支配下に置くことを認めたのだぞ。リスクを負ってな?」
「最初に、リスクを……」
魔界の神々が認めないかぎり、魔界騎士として認めないとシュヘリアは話をしていたが。支配下にも条件があったのか。
「そうだ。吸血神ルグナドや魔毒の女神ミセアでも宵闇の女王レブラでもない! 魔界の神々の中で、妾が最初に認めたのである。そして、認めた妾と槍使いの力が互いに作用した結果が……小さいとはいえ、この空間を生み出したのだ……」
そういうことか……だから痛みと派手な結果に……。
この首の傷痕の能力も強まったのか。
だから水神アクレシス様はえらい剣幕で怒っていたんだな。
『汚らわしい烙印を持つ者よ』か……。
神界と敵対していることが常の魔界。
その中でも生きた女性たちを捕らえ生贄に捧げていた邪教の集団を飼っていた悪夢の女神ヴァーミナと俺が契約したようなモノだからこそ……余計に、水神様は気に食わなかったようだ。
しかし、どんなに邪悪な悪夢を魅せる魔界の神だろうと、神は神だ。
そして、魔界の神々の中で、魔界騎士の存在を最初に認めてくれたという言葉が本当なら感謝しておこう。これからは思考の中でも様とつけようか。
「そんなことしらない。でも、シュウヤの言ってたように大丈夫みたい。この空間を縁取っているシュウヤの血が消えかかってるし」
鼻孔をひくひくと拡げ窄めていたレベッカがそう指摘した。
本当だ。
「縁取っていた血が乾くと共に綻びが起きている?」
「当たり前ぞ……このような奇跡は長く続かん」
物理的に接触は不可能か。
たぶん、本当のことだろう。
皆、ヴァーミナ様の表情と、奇跡という言葉に納得したように黙った。
「……シュヘリアを認めて頂き、ありがとうございます」
「ふふ、急に素直になる槍使いよ。もっと邪悪な闇に染まってもいいのだぞ?」
さすがに神なだけあって、笑みが魅力的すぎる。
闇堕ちする魔界騎士は多数居るに違いない。
「ヴァーミナのばばぁ! シュウヤを悪に染めないでよ!」
「蒼炎の小娘、そう騒ぐな。それより……槍使いよ。早く魔界に来るのだ。そして、妾の夫となり、妾を魔公爵ゼンの魔の手から救い出しておくれ。そして、魔界騎士ホルレインの大軍勢から妾を守っておくれ……」
「あぁ! 何が夫よ」
「レベッカ。蒼炎弾の発射を許可します」
ヘルメが勝手に。
「ん、賛成――」
というかエヴァの紫色魔力に包まれた緑色の金属刃群が先に動いていた。
悪夢の女神ヴァーミナ様の空間に突き刺さっている。
だが、空間の先は突入していない。
「――あ、やっぱり通じないか」
巨大な蒼炎弾が衝突し、魔女槍の穂先も突き刺さっていた。
「……嫉妬の感情が素晴らしい。が、ここからでは食えないのが残念ぞ……」
そう話すヴァーミナ様は、裂けていた首から血が溢れて、もう一つの頭部を出していた。
もう一つの頭部も女性だ。
ヴァーミナ様と似ていて美しい。
細いヴァーミナ様の体の中にもう一人別の女性でも棲んでいるのか?
……怖い。
「ふふ――」
首の傷痕の中に血が収斂していくと、その美しい頭部もシュパッと何かを切る音を立てて消えていた。
「……あまり怒らせない方がいい?」
「ん、そうかもしれない」
「わたしは気に入りません。閣下の上に立とうするとする輩は、神だろうと、死あるのみ……水玉螺旋鉄砲を喰らわせたい」
常闇の水精霊ヘルメさん。
闇色のオーラを綺麗な水衣を侵食するように発している……。
悪夢の女神ヴァーミナ様の濃厚な闇に影響を受け取るがな。
まだ、空間は維持されているし、気を直すように、間を繋ごう……。
「……魔公爵ゼンとは、神と敵対できるほどの力を?」
と、笑みを意識しながら聞く。
「数は力ぞ。諸侯も魔神の力を食い吸収できる様々とした力を持つのだ」
「魔蛾王ゼバルもその中の一人でしょうか」
「ゼバルか。呪神の力や荒神の秘宝を巧みに取り込んだようだな。傷場の一つを占領したと聞く」
「はい。その繋がりで死霊系のモンスターがひしめく【ロシュメール古代遺跡】の探索任務がありました」
シュヘリアが補足。
「そういった諸侯の背後の中には、妾の子供を欲しがる欲望の王ザンスインも居るだろう……十層地獄に封印されている魔神たちの復活も始まっている。あいも変わらず悪神デサロビアの眷属の襲来が続くうえに……淫魔の王女も力を取り戻している。そして、吸血神ルグナドと恐王ノクターの争い、アスタロトも妾と契りを結びたいようだからな。様々な争いの余波が、妾の周りにあるのだ……」
ホルレインは沸騎士たちとも争っていた相手か。
そいつと戦うことになるのなら共闘はできるか?
しかし、だれが敵で、だれが味方となるか、現時点では不明だ。
ヴィーネを気に入った魔毒の女神ミセアもいる。
傷場から魔界に向かう際は慎重に動いた方が良さそうだ。
シュヘリアが、このセラに乗り込む際に潜った傷場は、魔蛾王ゼバルの領域。
情報源があるシュヘリアを利用すれば、アーカムネリス聖王国の東の傷場から魔界側に向かうより、ゼバルが治める魔界側に直結する分、魔界での活動は楽になるかもしれない。
だが、どちらにせよ傷場から侵入するには条件がある。
魔王の楽譜とマバオンの角笛。
タイミングとか、色々とあるようだ。
ま、シュヘリアはこのサイデイル村の防衛戦力として雇った。
そして、ツアンとの約束もあるから魔界に向かうとしたら、ゴルディクス大砂漠経由だな。
「……妾と共にゼンを討ち、煩い悪神デサロビアをも討ち払おうぞ!」
白銀の髪が揺らしながら、力強く語る悪夢の女神ヴァーミナ様。
「そして、他の神々や諸侯の領域を切り取り……魔界の天魔帝を目指そうではないか」
濃厚なエメラルドと深淵の闇を持つ双眸が煌めく。
それは、瞳の表面にメタリックパウダーでも掛かったような……。
異質なぬめりを持つ煌めき……。
光彩の光芒と形容できない輝き……。
まさに、悪夢の女神だから可能なスペシャルな魔眼が発動されたと分かる。
一瞬、たじろぐ。が、幸いここは地上。
気にせず、
「……そんなことには興味がない。まだ先ほどの槍のほうが興味がある」
「なら、妾のおっ、いや、もうソナタの眷属たちを刺激するのは止しておこう」
その瞬間、空間を縁取っていた俺の血が乾き始める。
急にヴァーミナ様を含む白銀の湖を映す光景が、ぼやけ始めた。
「……残念ぞ。そろそろ時間かえ。地図のことは今度としよう。去らばだ愛しき槍使い……」
悪夢の女神ヴァーミナ様の寂し気な声を発した。
不思議と声が木霊するが、白銀世界を映していた空間は点も残さず、きれいさっぱりと消失。
俺の首筋から深淵からの呼び声のような不気味なエコー音が響いていたが……。
その音も完全に止まる。
魔力を含めてヴァーミナ様の気配は完全に消えた。
「あ、消えちゃった」
「消え方はあっさり」
「シュウヤを口説こうと必死だから、怒っちゃったけど……わたしたち、魔界の神様と会話したのよね……」
「ん、生まれて初めて?」
「わたしは闇遊の姫魔鬼メファーラ様に続いて二人目です」
キサラは魔女槍ダモアヌンに関係しているメファーラ様とのやり取りがあるようだ。
「キサラ様はメファーラ様との繋がりを持つのですね」
俺の魔界騎士こと、血双魔騎士となったシュヘリアは上空を見る。
キサラが持つ魔女槍の柄から放射状に伸び行くフィラメントに巨大な闇鯨ロターゼを見てから……。
エヴァとレベッカにも視線を巡らせていく。
金色の瞳には尊敬の意志が込められているのは分かる。
「陛下の<筆頭従者長>のレベッカ様とエヴァ様。他の方々は……」
「ん、ヴィーネとミスティは魔霧の渦森」
「ヴェロニカ先輩はペルネーテで、聖女アメリさんの活動の見守りと【天凛の月】の手伝いで、シュヘリアの剣術と少し似ているユイはカルードと鴉さんと一緒に西の帝国領を横断中よ」
「ん、【象神都市レジーピック】と聞いた」
象神都市レジーピックか。
ラザフォード帝国の巨大都市の一つ。
【星の集い】の盟主、アドリアンヌ・リーカンソーの本拠地。
「【血星海月連盟】の活動もついでに兼ねているようね。【星の集い】とは商売関係とか、血長耳は、幹部が殺された復讐の手伝いの下見とか。【星の集い】と敵対する闇ギルド戦争とか、人工迷宮とか、色々とあるみたい」
「ユイは<銀靭>が進化したと血文字でアピールしていたし、戦いの連続で成長が著しいようだ……カルードも旅というか冒険者活動を隠れ蓑とした闇の仕事でかなり稼いでいるようだしな、闇ギルドの設立に向けた動きは順調だ」
「そうね。場所はもっと西のフロルセイルだから、先は長そうだけど。それと、ユイから聞いていると思うけどカルードさんは吸血鬼として有名になりそうよ。ヴァルマスク家以外の十二支族たちと争いにならなきゃいいのだけど」
と、悪夢の女神ヴァーミナ様と遭遇の反動からか、まったりと皆で話し合いをしていく。
普通の人が聞いたらまったり会話ではないが、気にする奴はここにはいない。
「……ね、シュヘリアさんとの戦いの時、一瞬で消えちゃったけど、衣を羽織った女性の幻影が見えた。あれが話に聞いていた魔槍杖バルドークだけの新必殺技?」
「いや違うよ」
「わたしも見た。ぼあぼあの湯気突きから、不思議な神々しい女性」
「うん。なんかシュウヤと顔が似ていた?」
「ん」
「あれは<水神の呼び声>だよ。パンティが綺麗なんだ」
俺の余計な一言でパンティ合戦の話に展開。
そんな調子で、えっちい話をしながら訓練場をあとにした。
ひとまず、イグルードの樹木に触るのはあとにして、訓練場の近くにある家に戻る。
その際、家の屋根上に移動していたぷゆゆを発見。
また蜂を追いかけていた。ラシュさんも近くで飛翔している。
何か、ぷゆゆが持つ杖は、透けているラシュさんのことを指しているようにも見えるんだよなぁ。
ぷゆゆは、蜂蜜が好きなのかもしれない。
魔界の女神ヴァーミナ様をスルーして、蜂を追いかける辺り、きっとそうなんだろう。
そんなことを考えながら玄関を潜る。
居間で、黒の甘露水をかぶのみしているシェイルとムーの無事を確認。
「よし、大丈夫だな。ひとまず、キッシュたちもここに呼んでくる」
皆を家に残し、キッシュたちを呼びに俺は家を飛び出した。
◇◇◇◇
家に皆を連れてきて、談話&会議的なことを開始した。
村長のキッシュに従うことを伝えたシュヘリアは最初は納得しなかったが、説得。
続いて、紅虎の嵐に加えて……ハイグリアとモガ&ネームスとドミドーン博士と助手のミエさんから、質問攻めが始まった。
そこから長々と質問に答えながら……。
悪夢の女神ヴァーミナ様が、俺の魔界騎士を最初に魔界で認めたことと、俺の首にある<夢闇祝>を使って接触してきたことから獲得した<光魔の王笏>について知る範囲のことを話す。
<筆頭従者長>と<従者長>の数が増えたことは感覚で理解できている。
勿論、ネームスの質問は「わたしは、ネームス」ばかりなので応えることはできなかった。
「だからかぁ、蒼炎の発動が速くなった。魔力操作だけじゃなくて、魔力の高まりもお腹の中から感じた。だから、こう、嫉妬したときの気持ちの昂りを抑えるのに苦労した」
レベッカは語尾のタイミングで、笑いながら小さい唇から舌をペロッと出している。
「ん、何もしてないのに<血魔力>の扱いがスムーズになった気がする」
レベッカとエヴァは納得したような表情を浮かべて話していた。
あとで、ステータスをチェックしてから、調べるとしよう。
◇◇◇◇
眷属化についての部分で、紅虎の嵐たちやハイグリアが入りたいと喧嘩が始まり「わたし、は、ネームス」と、ネームスもいつもより大声で叫ぶが、なんとか説明を終えた。
その間、トン爺も話を聞きながら色々と料理を提供してくれた。
時々、哲学的な難しい言葉を呟くが気にしない。
モガは「べらんめぇ!」と料理に嵌まり込みネームスはいつもの「わたしは、ネームス」を繰り返す。
ドココさんも「大変だったのね。シュウヤさんに守ってばかりだから、貢献しないと」と、話をしながらレベッカのお菓子を食べてはムーに対して「新しい服を見繕ってあげますからね」と微笑んでいた。
そして、ハイグリアは俺の方を向いて、
「シュウヤ、悪夢の女神の誘いを断ったのだな! 次はわたしの故郷だな。姫の仕事に戻るのはいやだが、シュウヤとの儀式は楽しみだ!」
尾をふりふりさせながら語るハイグリア。
俺との番を期待しているようだ。
「イグルードの樹木を調べたりするから、そのあとだな」
「むむ、仕方ないが、待つ!」
シュヘリアは古代狼族のハイグリアを興味深そうに見ていた。
続いて、落ち着いた雰囲気のあるマグリグ&スー夫婦さんと、ハイグリアが番について話し合う。
スーさん夫婦の営みの話を聞いて、鼻を膨らませたハイグリアは、俺を欲情した目で見つめてきた。
期待しすぎだ……。
さらに、ドワーフのドナガン。
パル爺とリデルたち。
そして、光邪の使徒とアピールするイモリザが、皆の話に加わると……。
完全に収拾が付かなくなった。
銀色の髪を色々な形に変化させながら「きゅぴーん」と喋ってはドナガンの野菜は美味しいとか、ハイグリアたちが採取してきた特別な野菜について楽し気に会話を続けていたイモリザだったが……。
途中で、サナさん&ヒナさんが発している日本語の声に興味を持ったのかドナガンたちと離れサナさんの近くに移動していた。
共通語を彼女なりに教えようと一生懸命に身振り手振りでジェスチャーを行う。
しかし「ツアン、ピュリンー、今は黙ってて!」と、会話の最中にいきなりそんなことを叫ぶイモリザ。
寄り目となった状態のイモリザを見たサナさんとヒナさんはおびえてしまう。
そこでシュヘリアとキッシュの話が耳に入る。
「改めてよろしく頼む。シュヘリア殿」
「はい。陛下のご命令ならば、サイデイル村の守りに協力します」
「ありがとう。魔界と地上を知る血双魔騎士シュヘリア殿の加入は非常に大きい。わたしが外に出れるようになる……」
「よかったな。これで交渉の幅が広がるだろう」
「ありがとう、シュウヤ」
「おう。礼はたっぷりとあとで頂くさ。それと眷属化のことだが」
礼の部分で、女性陣が一斉に振り向いてきた。
そこはスルー。
「……分かっている。イグルードの樹木を調べたあとでいいか? ハイグリアの故郷に向かう前に頼むとする」
「シュウヤ、キッシュさんを迎える気に……」
「わたしも眷属化を……」
「連続はさすがにきつい。キサラの眷属化は、当分、先でいいかな?」
「はい……」
そんなこんなで、居間はどんちゃん騒ぎと化す。
そんな共通語から日本語とオーク語が行き交う居間でソファと椅子に腰かけながらお菓子を食べ紅茶を飲んでいる皆と談話を続けていった。
サナさんとヒナさんにも魔界騎士とは何ぞやのことを説明。
血双魔騎士は、俺もよく分かっていない部分もある。
だから少し苦労したが、サナさんとヒナさんは納得してくれたようだ。
時折、俺の説明に補足する形でヘルメにキサラと魔界騎士に詳しいシュヘリアが協力してくれた。
だが、日本語は話せないので俺が説明する流れは変わらない。
オークたちはもっと分からないだろう。
共通語と日本語が交ざったところにオーク語も加わる。
「わたしはネームス」
も、合間、合間に入ったので、少し混乱した。
すると、ヘルメとキサラにシュヘリアの女性陣と紅虎のブッチ氏にペンギンにそっくりなモガが俺たちから離れて小さいサイドテーブルに集まる。
そのテーブルを囲いながら魔人武術の件で盛り上がりを見せていった。
途中でミエさんとドミドーン博士も武術の話に興味を持ったのか資料片手に加わっていく。
俺も、キサラに習い途中の魔手太陰肺経を披露。
エヴァとレベッカの方は、ムーとシェイルを見ながらサナさん&ヒナさんとヌコ人形の件ですっかりと仲良くなっていく。
ルシェルとサラにベリーズも加わっていた。
サラは人形を見て、
「わぁぁぁぁかわいい~~。ふとし君より断然、こっちの人形の方がいい! いいなぁぁ!」
「猫型の人形、凄く精巧ですね。ヌコというのですか」
「見て、ここ、タマもちゃんとついているのがあるわ」
「もう、ベリーズったら、指で突かないの……」
「ふふ、かわいいんだもん」
この辺りの女子力というか、俺にはない部分だ。
ムーもヒナさんが持っていたヌコシリーズを見て、大興奮。
ヒナさんから人形を貰うと、糸を絡ませた人形ごっこで遊んでいた。
呆けているシェイルにムーは糸で掴んだ人形を差し出して、『一緒にあそぼう』と意志を示すが、シェイルは「ァァ、ジョディ?」と切なく語るだけだった。
俺はそんなシェイルの頭を撫でながら、側に抱き寄せてあげた。
黒い甘露水もあげていくと、シェイルは微笑んで美味しそうに飲んでいた。
ムーは金玉がついた雄ヌコ人形を家長にして、小さいヌコたちと一緒に食事を食べている場面を想定しているようだ。
だれがモデルなのか、いまいち理解できないが、楽しそうに遊ぶムー。
すると、
「ンン、にゃお~」
「ニャ」
「ニャオ」
本物のヌコ、もとい、黒猫軍団が屋根上から降りてきた。
いつの間にか帰ってきていたらしい。
キャットウォークを伝いながら降りてくると、俺の肩上に乗っかってくる黒猫。
黄黒猫と白黒猫は、ヌコ人形を見て、衝撃を受けたのか。
そわそわと毛を逆立てて、横歩きをしてムーと距離を取る。
ムーもその行動がおかしかったらしく腹を抱えて笑っていた。
そして、黄黒猫と白黒猫は小さい陶器の人形に戻っていた。
ひょっとして、ヌコ人形たちと抵抗するつもりなのか?
これには思わず俺も笑った。
オークたちもヌコ人形たちを見て、独特の笑みを浮かべていた。
クエマは美形なので、映えるが、ソロボは視線をそらしたくなる笑みだ。
そして、笑うムーが可愛かったのか、エヴァがムーを抱きしめていた。
ムーも抵抗せず、抱き返す。互いに絵になる笑顔を浮かべている。
ムーはサイデイル村にきた当初からは想像できないぐらいに表情が豊かになっていた。
良かったと、助けられて本当に良かったと思える瞬間がまた増えた。
俺がこの世界に来た意味が、こういう時間なのかなとか、柄にもないことを考える。
すると、レベッカもお手玉はしないの? とエヴァに話しかけては、ムーがフリーになったところで、ヌコ人形を使い、ムーとおままごとを始めていく。
背が小さいだけに似合うレベッカ。
と、そこで、頬に黒猫の鼻息を感じ取る。
「ロロ、何してたんだ?」
「ン、にゃ」
俺の頬をペロッと舐めてくる黒猫さん。
生魚の匂いがぷあーんと匂ってきた。臭い……
「ロロ、狩りか? 子供たちと遊んでから西の森に狩りに出たのかな?」
「ンン」
黒猫は喉声のみ。
そのまま肩の上でくるっと反転していた黒猫。
ハルホンクの竜頭のでっぱりに首を預けるように頭を乗せて休みだした。
「川魚で美味しいのが居たんだな」
黒猫は、俺の言葉に、長い尻尾で応える。
俺の頬と胸元を尻尾で撫でるように叩いてきた。
声を出すのもめんどくさいらしい。
アンニュイさというより、眠りたいようだ。
んじゃ、ここで俺も少しまったりと休むとするか――。
と、魔煙草を取り出す。
シェイルは甘露水を気に入りゴブレットごと飲み込む勢いで飲み干していた。
彼女の精神もできるなら……治療してあげたい。
ま、今日はこのまま宴会ムードだし明日かな。
亜神の復活はリスクがある。
キゼレグの銀箱も運ばないと。
そういえば外れ吸血鬼の黒の貴公子も銀箱を狙っていたような感じだった。
お宝を狙っただけかもしれないが……。
どちらにせよ、エヴァにイグルードの樹木に触ってもらってからとなるだろう。
カジュマル樹木のようなイグルードの樹木。
その巨大幹の中心に存在する手形のマークからして……。
俺の魔力を望んでいることは確実なイグルード。
訓練場に聳え立つ樹木の中にはイグルードの精神か心でも入っているのだろうか……。
魔煙草を口に咥えながら……。
そんなことを考えては、シュミハザーと邪霊槍イグルードとの激闘も思い出していく。
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