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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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37/2028

三十六話 酒、情報、蝶と花

 もう少しキッシュと歩いて様子を――、


「おい、キッシュ・バクノーダ。その隣の男は誰だ?」


 静観するつもりだったが、話しかけてきたので、声の主を見ようと振り返る。


「はぁ……ラーズか。この人は仲間を助けてくれた恩人だ」


 キッシュは男の姿を見るなり溜め息を吐く。

 美人な顔を歪ませて、嫌悪、ウンザリといった表情を表に出していた。


 背後に感じた魔素はこいつか。

 キッシュと同じ髪質のエルフだが、顔が馬だった。

 骨格が長方形過ぎるんだろうな。


「何? 君の恩人なのか。それはお礼を言わなければいけないな。そこの君、ありがとう。わたしのフィアンセが世話になったようだ」


 フィアンセ?  


「――なっ、もう断ったはずだが? しつこいぞラーズ。君とは同郷だが、わたしは決してフィアンセとは認めないし関わりたくもない。はっきり言って迷惑だ。もうついてこないでくれ……」


 キッシュはハッキリと拒絶していた。

 それにしてもキッシュ、ズバッというね。

 だが、キッシュの辛辣な言葉を受けても、ラーズと呼ばれた男は、太い眉を中央へ寄せてしょうがないなぁといった感じで腕を広げるジェスチャーを取りながら分厚い唇を動かしていた。


「それは心外だなぁ、僕は君のことが好きなのに。君もその黒髪男のことを気に入っている訳じゃないんだろう? ……まさか、惚れてしまったのかい?」


 ラーズは俺を睨んできた……。


「なっ、何を言っているっ」


 こいつ気持ち悪い。

 はっきりと拒絶されてるのに、よくもまぁいけしゃあしゃあと口説けるもんだ……。

 キッシュは動揺したのか長い睫毛を揺らし、瞬きを繰り返すと、俺の顔をチラチラと見て頬を朱に染めていた。

 何故にキッシュさん、そこで赤くなるんだよ……。


 まさかね……。

 しかし、これはメロドラマか?


 半ば呆れて、


「痴話喧嘩か? がんばってくれ。じゃあな」


 巻き込まれたくないので、足早に宿がある方向へ歩き出した。


「あっ、シュウヤ、待って――」

「キッシュ、待つんだ。その男も言ってるじゃないか。一緒に痴話――」


 キッシュは抱きつくように近寄るラーズの股間へ蹴りをかます。

 そのまま無視して、俺の隣まで戻ってきた。


「すまないシュウヤ。見苦しいところを見せてしまって」

「いや、俺は構わないけど、いいのか? あの男、置いてきてしまって」

「良い。たまたま同じ一族の出で、同じ村に移住してきただけの仲だ」


 幼なじみか……。

 あの男の気持ちを考えれば悲しいかもしれない。


「……そうか。キッシュがそう言うのであればいいんだけど」


 でもなぁ、後から絶対絡んでくるぞ。

 あのラーズとかいう男……。

 妙なフラグを踏んじまった。


「あぁ、あんな奴のことは忘れてくれ……」


 ラーズのことは考えたくもないのか、寒気を催したように身体を僅かに震わせるキッシュ。

 そして、気を取り直すように、


「それよりちゃんと恩を返したい。ということでシュウヤ、一杯奢らせてくれないか?」


 キッシュは笑顔を浮かべて片手をくいっと動かし、酒を飲む仕草をする。


「……おっ、いいねぇ」


 背の高い美人エルフと酒場デート。

 ……楽しみだ。

 それに酒場なら情報も得られそうだし。

 色々と話を聞こうかな。


「ふふっ、これで借りを返せるよ。そこの横丁を曲がろう」


 そこはこないだ見つけた食事処が連なる小さな通り。

 キッシュはその連なる店の中から、自分の行き付けである酒場へ俺を案内してくれた。

 酒場の名前はレウビ。こじんまりとした作りで、狭いカウンターに机が四つ置かれ、小さい椅子が並んでいる。


 路地裏にある名店の雰囲気。

 客たちがゴブレットを片手に酒を飲み、小魚の摘まみを口へ運んでいる。

 実に楽しそうに会話を繰り広げていた。

 焼き魚の匂いも食欲をそそる。


 これには黒猫(ロロ)もたまらず鼻を動かして反応。

 魚を期待しているのか、客が食べている焼き魚へ紅い瞳を向けると、俺に『食わせてよ』と言わんばかりに紅い瞳を向けてきた。


 魚と俺を交互に見ている。


「あら、キッシュちゃん、いらっしゃーい」


 と話しかけてきたのは酌婦と見られる綺麗なお姉さんだった。

 背はキッシュより低い。茶色のセミロングの髪。

 ナチュラルウェーブの髪型で、瞳は茶色がかった黒。

 頬には少しソバカスがあり、可愛げのある感じ。

 それでいて豊満な胸を持つ。


「チェリ、今日は新しい客を紹介しよう。わたしの友であるシュウヤだ」


 ……友か。

 そんなことを言われたのは何気に異世界へ来て初か?

 嬉しいかも。


「……どうも。シュウヤです」


 そんな小さな感動は表に出さず。

 クールな表情で挨拶した。


「にゃぁ」

「あらぁ、顔は平たいけど良い男に、カワイイ猫ちゃんね。喜んでお酒やお話の相手をするわ」


 俺の顔は日本人顔だからな。


「はは、チェリ、だめだぞ。今日はわたしの奢りだからな? 相手はわたしがするのだ」

「わかってるわ。キッシュがそんなことをするなんて珍しい……」

「いいから、酒と何か食い物を頼む」

「あっ、ロロにも魚をくれるか?」

「はいはーい、待っててね、レウビを焼くから」


 そんなこんなで、黒猫(ロロ)は出された焼き魚に齧りつく。

 むしゃむしゃと夢中になって食べていた。


 俺とキッシュは酒と魚を飲み食いしながら、色々と話し込んでいく。


 最初に、現時点で最大の目的でもある玄樹の光酒珠と智慧の方樹、この二つを彼女に尋ねるが、知らないとのこと。


 残念だが、しかたない。

 そして、途中からチェリも加わり、二人からこの辺りの情勢について詳しく教えてもらった。


 まずは、ここ【城塞都市ヘカトレイル】についてだ。


 この城塞都市は近年【オセベリア王国】によって新しく建てられた都市なんだとか。この地は永らくハイム川とただの平原でしかなく、【レフテン王国】と【サーマリア王国】が争っていた地域でもあったらしい。


 しかし、十数年前に西の大国【オセベリア王国】が東部に進出。

 三つ巴の争いになり、【レフテン王国】と【サーマリア王国】は急遽手を結ぶが、【オセベリア王国】に敗れる。

 こうして、オセベリア有利の三カ国停戦条約が結ばれ、正式にこのヘカトレイル地方は【オセベリア王国】の領地になったらしい。

 その戦いの功績によってここを治めることになったのが、今は亡きゼラル・フォン・アナハイム侯爵であり、現領主はその娘のシャルドネ・フォン・アナハイム侯爵なのだとか。


 へぇっと、あまり興味がないので聞き流していた。


 次に話してくれたのが、この飲食街と中央部にある中央市場に、歓楽街と賭博街、城壁外にある港から続く新街についてだった。


「賭博街、新街、歓楽街にある宿屋や娼館はシュウヤさんも男だから行くかも知れないけど、忠告しとくわ。盗賊ギルドなら大丈夫だけど、闇ギルドと関わりがあるキシリアの鯨宿、梟の嘶き亭、月の骸亭、鈴鳴り亭という名前の店は入っちゃだめだからね」

「へぇ、ありがと、覚えておく」


 これらの名前の宿屋やいかがわしい店には近寄らないほうが良いらしい。

 闇ギルド同士の争いが激しく、一般人も被害に遭うんだとか。

 こういった闇ギルドによる縄張り争いは他の都市でもあるらしい。

 ということは、みかじめ料とか用心棒代とかで、この店も金がかかるのかな。


 ――狭い店内を見渡していく。

 お客の面構えはどいつも悪そうな奴ばかり。

 この中にもそういう関係の人がいたりして……。


 闇ギルドとは、マフィアみたいなもんなんだろうな。

 そんな調子でチェリと話が弾む。

 次の話題はうってかわって【オセベリア王国】の王都であるグロムハイムについてだった。


 ヘカトレイルも大きい都市だが、王都はもっと凄い都市だそうだ。

 何でも白い綺麗なオーセン城は、一度は目にしないと損らしい。


 随分と華やかそうだ。

 次に聞いたのは隣接している国、【レフテン王国】の話だった。


 【レフテン王国】の【王都ファダイク】には、不窟獅子の塔と呼ばれる、古代から存在する天まで続くと云われている塔があり、有名な観光名所でもあるが、その塔の中は迷宮のように入り組んでおり、モンスターがうようよ湧いて宝箱が出現するんだとか。


 日夜冒険者たちが最上階目指して挑戦しているらしい。

 そういえば、ファダイクに近くを通った際に、塔らしき物が見えたなぁ。


 だから「ああ、あの塔か」と軽く相槌を打っておいた。


 そんな【レフテン王国】だが、最近では誘拐事件が多発して大変らしい。何でもつい最近の話だと、国のお姫様も誘拐されたとか。


 この話を聞いたときは、一瞬反応してしまった。

 すぐにあれだと分かったが、スルーして会話を続ける。


 次に話題にのぼったのは【サーマリア王国】の話だった。

 王都の名前はハルフォニア、ローデリア海に面した都市。

 そこには巨大なセピトーン大灯台があり、灯す光は海の果てまで届くと言われているらしい。


 伝説では大灯台の光には海神の恩恵が宿っていると云われ、海竜サーペントや水竜ネビュロスも近寄ってこない。とか言われてるらしい。

 チェリの話からりっぱな海洋都市をイメージした。

 水の都ヴェネチアを思い浮かべるが、異世界だと違うんだろうな。


 だが、そんな良いイメージで聞いていた時、その都市では人魚狩りが盛んに行われていることを聞いて少しげんなりした。エゲツナイ話だ。


 顔には出さなかったけど。

 人魚の肉は若さを取り戻すとか鱗が秘薬の材料とか、噂通りならわたしも欲しいわ~とチェリは呟いていた。


 そんなサーマリアとレフテンとオセベリアの三ヶ国に挟まれた【塔烈中立都市セナアプア】の話も話題に上った。

 セナアプアは【迷宮都市ペルネーテ】や【魔法都市エルンスト】に並ぶ魔法技術に優れた都市らしく、魔法学院や宙に浮く岩があちこちにあり、空中に尖塔が建ち並んでいる一角があるんだとか。


 その中立都市には別名があり、犯罪都市と呼ばれているらしい。


 地勢的にハイム川の三角州という絶妙な場所に存在していて、三ヶ国に属さない中立都市として評議員たちを中心に繁栄しているとか。

 しかし、内情はどろどろの権力争いがあり、闇ギルドが暗躍する魔境、魔窟で、犯罪が多発するどうしようもない都市らしい。

 それと、【オセベリア王国】は西方に位置する隣の【ラドフォード帝国】と永らく戦争中で、現時点ではオセベリアが優勢、一年前に起きたララザック交戦と呼ばれる戦いで勝利を収め、【オセベリア王国】がララザックを奪い返したんだとか。


 そうして小一時間酒を飲みながら話し込んでいると、いつの間にか周りの客がいなくなっていた。美人酌婦を独占している状態だからな。

 そして、【バルドーク山】の話題になると……。


「あのバルドーク山には竜が住むとか」


 俺の言葉を聞くと、キッシュは目付きが変わる。

 口調が怒ったように変化した。


「ああそうだ。にっくき魔竜王バルドーク、わが故郷を焼き払った竜の筆頭だな」


 ぬおっ、地雷を踏んでしまったか。


「そんなことが……済まない。喋りたくなければ……」

「キッシュがこうなったら止まらないわ」

「そうだぞぉ、話すぞぉ。あの竜はなぁ、でかくて紫で狂暴で、とにかく強い。Sランクのモンスターで災害クラスとも言われている……古よりバルドーク山はあの竜のせいで未探索地域に指定されているしな。とにかく近辺を荒らしまくってるんだ……それに魔竜王バルドーク以外にも竜種が多いのが厄介なんだァ、ワイバーンの群れやドレイクの群れとかな……ごくごく、むふ」


 キッシュは相当竜を恨んでいるようで、声を荒らげている。

 最後には直接酒瓶を口へ運び、喉から音が聞こえるぐらいに勢いよく酒を飲み始めた。


「すると……キッシュが連れていたあの冒険者たちの出身であるヒノ村もあの山の近くの森だよな……危ないんじゃ?」


 キッシュは俺の言葉を聞くと、酒を持つ片手がピクッとして止まり、うんうんと頷きながらも綺麗な目はどことなく泳いでいたが、酒瓶を机に置いて、真剣に語り出した。


「だからヘカトレイルまで避難している人が多い。この都市に居るなら、一度は城壁外の現状を見ただろう?」

「あぁ」


 確かに、この都市に入る時に見た。


「そうだ。とにかく新街近辺の貧民街は本当に酷い。あの子たちはそんなヘカトレイルには来たくないらしい。それで、自分たちの村を守るために危険を冒して残っているのだ。わたしもヘカトレイルの現状を見ると、その気持ちが分かるのでな?」


 食物を争う様子が目に浮かぶ。納得だ。


「……わたしの故郷であるエルフの里は魔竜王と竜の群れによって灰塵と化した。その際に生き残った我々エルフの一部を受け入れてくれたのがヒノ村だったのだ。だから、わたしもできるだけヒノ村に協力したいと思っている」


 故郷を追われた人々か。


「そういうことか……蠱宮に加えてドラゴンもいるんじゃ、あの辺りは大変だろうな」


 キッシュは顔を真っ赤に染め上げて、


「全くもってそうなのだ。ヒック、シュウヤ、お前も飲めッ」


 と促され、酒を注がれたので飲み干した。


「ほら、飲んでるよ。旨いねぇ、コレ」


 日本酒をとろりと濃くした濁酒に近いか……。

 材料はなんだろ。米じゃないだろうし、芋とかかな?


「そうでしょ? ささ、シュウヤさん、わたしからも一献」

「おっ、ありがと」


 チェリは酒壷からお椀のコップになみなみと酒をついだ。

 さすが、この酒場の酌婦であるチェリは酒の注ぎ方が巧い。

 酒の効果か知らないが、元々良い女が更におっぱいが大きく見えて良い女に見えてくる。

 案外、ソバカスもカワイイな。

 酒は効かないと思ったが、少しは気分が良くなるのかもなぁ。


「……チェリぃ、わたしがシュウヤにあげていたのだぞぉ」


 俺がエロイ視線でおっぱいを見ていたのが気に食わないのか、キッシュは口を尖らせていた。


「あは、だってぇ、わたしの仕事だも~ん」

「むぅ……」


 キッシュは唸りながらもゴクゴクと酒を飲んでいる。


「ところでシュウヤさん、ドラゴンに興味があるんですか?」

「ん、いや、興味というか、この辺の事情を聞いておこうかなと」

「この辺の事情ですかぁ? 今いっぱい話をしたじゃないですかぁ」

「そりゃそうだけどさ。良い酒に良い女ときたら、良い話もいっぱい聞きたいじゃないか」

「あら、良い女だなんてぇ、口が上手いですね」

「シュウヤッ、それはわたしもかぁ~」


 ――酒くさっ、キッシュの顔が真っ赤だ……。


「わっ、キッシュ、そんなに顔を近付けるなよ。そんなに近付けるとキスしちゃうぞ?」

「おぉ、していいぞ、ほらっ」


 キッシュは小さい唇を突き出してくる。


「ええ、キッシュだけぇ? わたしもー、ちゅううう」


 チェリも頬を紅く染めながら口を窄めて顔を近付けてくる。

 酔っているが、美女二人からの接吻タイムだ。

 周りには客が誰もいない。

 ゼロコンマ何秒の間におっぱい研究会のライバルのキス愛好会が発動――。

 一気に、空気の音が漏れる勢いでふたりの小さい唇を奪う。

 最初は強引に……そして、徐々に優しく唇を重ね合わせていった。

 二人の口内に舌を入れて、歯茎をなぞる。

 糸を引くようにイヤラシク互いの唾を絡ませていった。

 俺はキッシュとチェリの蜜を吸いあげるように……交互にディープキスを繰り返す。


「――ぱっ」

「あんっ」


 二人とキスを終えると、キッシュとチェリは目を僅かに充血させて俺を見る。


「……キスが上手いな」

「うん、シュウヤさん、えっちですね、うふ」


 キッシュとチェリは少し酔いが覚めたのか、そんなことを言いながらも、期待するように俺のテントが張っている股間を見つめてくる。


「店の奥に行くか?」

「いくぅ、酒場閉めちゃうね」

「いくぞぉ」


 互いに笑顔を交えながら素早く装備品と衣服を脱いでいった。

 おっぱいさんとおっぱいさんが……。

 

 ロケットおっぱいバンザイ!

 ほどよい大きさの乳房もいい!


 暫し、閉められた酒場の奥にて……悩ましい声が耳朶を叩いた。

 黒猫ロロディーヌも呆れるだろうな。

 

 そのような営みの声が響いた数時間後。


「……二人とも、良い感じだ」

「んっ、あぅ、もうぅ、声だけで感じちゃう」

「あんっ、……わたしもだ……」


 むあんと濃厚なメスの匂いを漂わせる二人。

 幸い、この惑星は夜が長い。

 二人の色っぽい激しいあえぎ声が、横丁街に響いていく。



 あまり攻めると二人の身体が心配なので、深夜を過ぎた辺りで休憩を取った。

 また酒を飲みながら、悩ましい格好の二人と話をしていく。


「なぁ、ゾルという男を知らないか? たぶん魔法使い系で、昔事件を起こしたっぽい」


 チェリは知っているらしく、汗と体液でべとついている長髪をDはある巨乳に付着させながらその巨乳を揺らして何回も頷いていた。


「――知ってますよぉ。ゾル・ギュスターブ、有名な犯罪者ですね。ヘカトレイルの魔法ギルドのメンバーを全員虐殺し、追跡した青鉄騎士団のメンバーや冒険者たちをもばったばったと殺して、最後には姿を消したとか。お陰で、今でもヘカトレイルでは魔法ギルドが無いままと聞きましたよ? ゾルって人、人間ではなく魔族じゃないかって噂が立つぐらい物凄い魔術師らしいですね。冒険者ギルドでもAランクの討伐依頼がずっと残ってるとか」


 ほぉ、掲示板は見たけど、見逃したかな……。

 それにAランクの討伐依頼か。どうりで中々強かったわけだ。


「へぇ、他にもそういう犯罪者って居るの?」

「居ますよ。ヘカトレイルではないですけど、国に追われてるぐらいの存在が【影翼旅団】、通称影翼という集団で、超有名ですね。団員の人数は十人未満と少ないらしいんですけど、誰もが凶悪狂暴で凄腕の集団らしいです。噂では最強の闇ギルド候補の一つではないか? と言われています」


 なんつうか、国として……どうなんだ?

 そんなのがのさばっている状態とは……あっ、戦争中だったか。

 国として余裕がないのかな。


「……名前からして強そうだ」


 キッシュもCカップはあるロケットおっぱいを揺らしながら酌婦たるチェリの情報に頷き、ぐいっと酒を飲みながら答えた。


「……あぁ、わたしもそいつらの名は聞いたことがある。【バルドーク山】の南西にある【鉱山都市タンダール】を中心に、【オセベリア王国】の南の領土で暴れまわっているとか。武芸者が多いのかもなぁ」


 居酒屋のエッチな談義はこうして盛り上がっていき、途中で気分が良くなったのか、下ネタを交えた会話でもはっちゃけたように笑い合いながら、酒を飲んで話をしていく。


「ひっく、しゅ、しゅうや、酒もあそこも、つよすぎ……」

「俺はこういう体質だからな。二人は大丈夫か?」

「だいじゅうぐぅ、あはっははっ」


 噛み噛みでろれつが……酌婦が酒に飲まれてどうするよ……。


「わた、ひも、飲めん~~、しゅうやのなら、のむぅ、ひっく」


 キッシュは酔っ払い、変なことを言っていた。

 形の良いおっぱいを机の端に押し付け、裸のまま机の上に頭を乗せていた。

 そんな悩ましい姿を見ながら装備品を身に着けていく。


「そろそろ宿に戻るか……ロロ、戻るぞ」

「にゃ」


 黒猫(ロロ)は男女の濃い匂い(フェロモン)を嗅ぎ取ったのか、鼻を若干ふくらませている。

 フレーメン反応……か。すまんなロロさん。


「げ、げんかい。ねむい。ここでねるぅ」

「キッシュぅぅ、寝ちゃだめにゃにぅ」


 キッシュは眠ろうとしている。

 激しいエッチと酒により完全にダウンだ。


「んじゃ、俺は帰るぞ。チェリ、キッシュは任せた」

「まかされたー」


 チェリも危ういが、彼女に任せて酒場を後にした。

 外はもう朝方に近い。

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