二千百十五話 イゼハとの激戦
胸の<光の授印>と神槍ガンジスの神魔石が光の魔力で連なる。
心臓と光の渦の魔印の、陰陽太極図のような模様が浮かんで回っていく。
<経脈自在>と<握吸>と<勁力槍>を再発動。両手の握りを強めた。
<生活魔法>の水と<血魔力>の血を足下から周囲に発していく。
イゼハは、神槍ガンジスを凝視し、相対しながら旋回――。
甲冑のような皮膚の溝から大量の漆黒の魔力と青白い魔力を発した。
斜め右上に転移したイゼハは、
「<闇神・眼魔石>――」
魔眼を発動。一瞬、体が固まるが<闇透纏視>と<隻眼修羅>を維持――。
「邪魔だな、その神槍――」
イゼハは螺旋回転しながらツヴァイヘンダーの魔剣を突き出してきた。
周囲に無数の黄色岩と岩の刃が出現。やはり、ライゾウのスタイルと重なった。
切っ先を見るように、後退しながら呼吸を整えつつ両手を合わせ合掌――。
<血想槍>を再発動――。
血の霧のような<血魔力>の中で魔槍グドルル――。
聖槍キミリリス――。
聖槍ラマドシュラー――。
魔星槍フォルアッシュ――。
独鈷魔槍――。
六浄魔槍キリウルカ――。
仙王槍スーウィン――。
などを出現させ、<黒寿ノ深智>と<暁闇ノ幻遊槍>を連続発動――。
それら魔槍、聖槍、神槍が<風研ぎ>、<血刃翔刹穿>などのスキルをイゼハに繰り出していく。
イゼハは、黄色岩と岩の刃を周囲に生み出しながら突進しては、無数の突きと<龍豪閃>などを避けていく。
【幻瞑暗黒回廊】を利用するように転移を繰り返し、<血想槍>の無数の連続攻撃を避け防ぎ、俺に近付いてきた。
だが、俺の周囲には、無数の槍の幻影と水飛沫を発した水神アクレシス様の幻影と黒寿草が絡み付いている小精霊たちの幻影が展開されている。腰に注連縄を巻くデボンチッチがイゼハに突撃し、消えていた。否、俺とそっくりな姿となってイゼハに何度も体当たりをしては――
イゼハは「――幻影野郎!!」と叫びながら、反対側の虚空を突くように攻撃をしていた。
そのイゼハの背後、斜め後方に<仙魔・龍水移>で転移した直後――。
隙あり――と、左手に握る神槍ガンジスで<光穿・雷不>を繰り出した。
突き出た神槍ガンジスから天道虫の幻影が現れ散る。
穂先は振動、イゼハの鎧ごと下腹部を穿つ。
「ぐぇッ」
下腹部の爆ぜ散った一部の血肉と骨がツヴァイヘンダーの魔剣に吸い込まれる。一瞬で、右上空にイゼハ本人が転移するように出現し、腹が再生した。刹那、八支刀の光が連なるランス状の雷不が神槍ガンジスの真上に、イゼハを追跡しながら出現。
神々しい光雷の矛は直進し、イゼハを守るツヴァイヘンダーの魔剣を弾き、そのイゼハの上半身を貫き【幻瞑暗黒回廊】に直進し、大爆発を起こす。【幻瞑暗黒回廊】は無数に斬り裂かれるが、そこから連鎖している奇怪な無数の異次元世界が現れ消えて元の【幻瞑暗黒回廊】に戻った。
<光穿・雷不>は消えている。
刹那、イゼハは雷撃音と共に真上に出現――。
ブレたツヴァイヘンダーの魔剣を振り下ろしてきた。
神槍ガンジスと魔槍杖バルドークを掲げ一度完璧に防ぐが、ブレて分身していたようにも見えたツヴァイヘンダーの魔剣と本体のツヴァイヘンダーの魔剣が重なるとドッとした衝撃波が発生し、全身に刃を喰らう――。
勢いで押された。
当たり前だが、確実にライゾウより、イゼハの力と技、精度は上だな――。
イゼハはフェイクの振り下ろしから、下に転移。
「その受け方――」
と怒りを込め叫び、ツヴァイヘンダーの魔剣を下から振り上げてきた。
その掬う斬撃を魔槍杖バルドークで受け止める。
イゼハは右足の靴の根源から分かれ派生した湾曲した魔刃を伸ばしてきた。
その湾曲した魔刃を神槍ガンジスの柄で受け止めると、湾曲した魔刃がぐわりと柄に巻き付く。逆に、それを引っ掛けるように神槍ガンジスを強く引くと、イゼハは前のめりになった。そこに魔槍杖バルドークで横から狙うように<妙神・飛閃>を繰り出すが、ツヴァイヘンダーの魔剣を盾に防がれた。
神槍ガンジスに<血魔力>を込めつつ、
「その魔剣がお前の命でもあるということか――」
――神槍ガンジスで<血刃翔刹穿>を放つ。
「さあな――」
イゼハはツヴァイヘンダーの魔剣で双月刃を防ぐが、双月刃から迸っていく血刃は防げていない。
だが、イゼハの体は無数の血刃を受けまくっても血飛沫があまり飛び散らず、傷口と無数の孔が瞬時に回復していく。
回復力が高い――そのまま俺とイゼハは横を移動し、大きい頭部だけの輪入道のようなクリーチャー兵の死体と生きていたクリーチャー兵を吹き飛ばしながら飛翔を続けた。
イゼハは、
「<雷魔無限刃道>の真髄を理解した面をしているが――」
と言いながらツヴァイヘンダーの魔剣から青白い魔力を発した衝撃波を繰り出す。
剣身から発生しているルーン文字のような紋様の魔力も、魔刃として寄越しながら、強引に振り下げてくる――。
ツヴァイヘンダーの魔剣から出た無数の魔刃は避けられず、肩の竜頭装甲の防護服と衝突しまくる。
金属音を何度も響かせながらの、数度の打ち合い――。
そしてツヴァイヘンダーの魔剣を押し込むイゼハは突進。
神槍ガンジスと魔槍杖バルドークの角度を下げ鍔迫り合いと成った。
イゼハは弛緩、力の均衡を崩して、ツヴァイヘンダーの魔剣の鍔と右斜めに前に出ながら、上から下に――。
その振り下げた魔剣を魔槍杖バルドーク紅斧刃で上に弾き、神槍ガンジスで<血刃翔刹穿>――。
イゼハは右斜めに上昇し、突きと双月刃から迸る無数の血刃を避けていく。
と、背後――感覚のまま<仙魔・龍水移>――。
イゼハもまた転移し、左横斜め、右斜め下――ツヴァイヘンダーの魔剣の突きを<血鎖の饗宴>の血鎖で避け、そのまま<血鎖の饗宴>の波頭のような血鎖の群れを差し向けるが、イゼハはツヴァイヘンダーの魔剣をその場に残し、消え、俺の左斜め上空に転移。
<血鎖の饗宴>がツヴァイヘンダーの魔剣を弾き続け、金属音が響きまくる。
イゼハは両腕から、複数の魔刃が連なる蛇腹剣を彷彿させる魔刃を寄越す。
初撃を神槍ガンジスで弾き、<風柳・片切り羽根>で前傾のステップで次の魔刃を避け、<仙魔・暈繝飛動>と<水月血闘法>を意識――。
周囲に<仙魔・暈繝飛動>の霧の魔力がドッと拡がった。
その霧を纏うように<仙魔・桂馬歩法>を使う――。
不規則なステップワークの機動で、連続的に魔刃を避けながら――。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>をあえて、召喚し送る。
大きい駒の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>の背後に転移するように飛翔移動し、<血魔力>が混じった白銀の霧により、イゼハの有視界を潰す。
同時に、<仙玄樹・紅霞月>を飛ばす。
イゼハは、大きい駒の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>と<仙玄樹・紅霞月>の魔刃を避けながら「そこか――」俺の場所を見つけ、体とツヴァイヘンダーの魔剣から無数の魔刃を飛ばしてくるが、それは当たらない。霧を貫くだけ――。
飛来してくる魔刃を見ながら、<霊魔・開目>と<神解・天眼>と<黒呪強瞑>と<魔闘血蛍>と<龍神・魔力纏>と<煌魔葉舞>を発動。
<黒呪強瞑>の一部の血管が千切れたように黒色の血刃が体中から放出され、血の魔力が蛍のように明滅しながら体外へ滲み出す。
龍神の魔力が<経脈自在>で変化した全身の経脈と魔点穴を喰らう如く、魔力径路を行き交った。
更に<煌魔葉舞>と<紫月>と<月冴>と<月読><月光の導き>を発動――。
周囲に舞う魔力の葉に月の紋様が混じりながら大氣に浸透するように明滅。
視界の端に幽玄な光を放つ『月読』『月冴』の文字が浮かび上がった。
<生活魔法>の水と<血魔力>から放出されていく水滴が急浮上し、<紫月>の紫に輝く月のような紋様と血の蛍も周囲に浮かぶ。
仕上げに<魔技三種・理>と<仙血真髄>を発動すると、丹田を軸にあらゆる魔力が体内で複雑に絡み合い、凄まじい奔流となって渦を巻くが、<経脈自在>によって血と魔力の巡る速度は最適化され、荒れ狂う奔流は一つの完成された流れへと昇華されていく。
コントロール下に置かれた膨大なエネルギーが指先の末端まで満ち渡るのを感じた。
大きい駒の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を差し向ける。
「チッ――」
イゼハは<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を弾く。
転移する前に<雷炎縮地>でイゼハとの間合いを潰し、<水極・魔疾連穿>の連続突き――。
イゼハはツヴァイヘンダーの魔剣を盾に連続突きを防ぐ。
「……ぐっ」
ツヴァイヘンダーの魔剣の剣身の左右から蒼いルーンが横に飛び出て、それがドラゴンの頭部に変化。
そのドラゴンは口を開いて雷を帯びた漆黒が混じる紅蓮の炎を吐いてくる。
<無方剛柔>を意識し、<火焔光背>を発動。
<火焔光背>で吸収、<無方剛柔>で紅蓮の炎を完璧に防いだ瞬間、神槍ガンジスで<闇雷・一穿>――。
イゼハはツヴァイヘンダーの魔剣と転移剣術を使い<闇雷・一穿>を防ぐ。
続けて、魔槍杖バルドークで<獄魔破豪>を繰り出した。
血の渦を宙に作りながら突貫する<獄魔破豪>だったが、イゼハは転移して避けた刹那――。
腰溜めモーションを取ったゼロコンマ数秒――。
<隻眼修羅>よりも感覚で位置を読むように、振り向きざまの魔槍杖バルドークの<魔狂吼閃>――。
「な!?」
振り抜かれゆく魔槍杖バルドークからゴオォォッと咆哮が轟く――。
紅矛と紅斧刃から魔竜王バルドークの頭部を模った魔力が飛び出ると――。
周囲に無数の紋章魔法陣が現れ、邪獣セギログン、邪神シテアトップの一部と黄金の骨、冠を被る武者ドワーフ、魍魎状態の無数のクリムとライゾウと似た者、次々に魑魅魍魎の魂たちの幻影が吹き荒れるように現れ、突進し、イゼハはツヴァイヘンダーの魔剣を盾に何度も防ぐが、防げず「げぇ――」と吹き飛びながら転移、しかし、魑魅魍魎の幻影類が魔竜王バルドークの頭部の魔力と紋章魔法陣を喰らい逆に喰らわれながら銀色の光を発しつつイゼハに向かい、転移したばかりのイゼハと衝突、イゼハの体が真っ二つ――その真っ二つにされた体が爆発して散るが、赤い目を周囲に生みイゼハは再生する。それすらも<魔狂吼閃>に喰らわれそうになり、転移して避けていくイゼハだったが、<魔狂吼閃>の魑魅魍魎は止まらず【幻瞑暗黒回廊】の魔力を喰らうように上下左右を行き交い、イゼハと何度も衝突した。「ひぃぇぁぁ」とイゼハが悲鳴を上げる。イゼハを喰らう<魔狂吼閃>が、イゼハを何度もぶち抜く。
大量の血煙と共に無数のイゼハだった肉塊と血飛沫が飛散した。
否、一部は【幻瞑暗黒回廊】に消える。魔法の蝶の幻影を発生していた。
亜空間と亜空間が衝突し、連鎖的に魔法の扉が生成されていた。
刹那、散った血肉とツヴァイヘンダーの魔剣が意思があるように動き、剣身とリカッソと柄から発生した無数の刃状のうねりが、触手のように飛来してきた――。
<双豪閃>――で迎え斬る。
刃状の触手を何度も斬り上げながら回転前進――。
ツヴァイヘンダーの魔剣をも弾く、ツヴァイヘンダーの魔剣を握るイゼハの片腕が再生するのを視界に捉えながら、魔槍杖バルドークで<血龍仙閃>――続けざまに神槍ガンジスで<龍豪閃>ツヴァイヘンダーの魔剣を斬るように衝突させ、再生したイゼハの片腕をぶった斬る。
ツヴァイヘンダーの魔剣だけが――自動的に袈裟斬りを繰り出してきた。
ツヴァイヘンダーの魔剣からイゼハの発狂した音波と幻影と分身も飛来――。
神槍ガンジスで戦神流<攻燕赫穿>――。
袈裟斬りを防ぎ、赫く燕の形をした魔力が双月刃から迸り、燕の炎が爆発し、音波と幻影と分身の幾つを吹き飛ばす。
更に、魔槍杖バルドークで<血龍仙閃>――。
イゼハのツヴァイヘンダーの魔剣の剣身と衝突した紅斧刃、魔剣を跳ね上げた。
すると、【幻瞑暗黒回廊】から現れたイゼハ本体がツヴァイヘンダーの魔剣の柄巻を掴み、振るいつつ分身を造り、
「<雷魔無限刃道・極地>――」
を繰り出してくる。
即座に、<脳脊魔速>を発動。
斜め右上に跳ぶように<仙魔・桂馬歩法>を実行し、イゼハの分身が持つ魔刀と雷状の魔刃の群れの攻撃を避けまくった。
と、わざと速度を落とし――体を弛緩させながらイゼハを見やる。
イゼハは<魔闘術>系統を何度も発動。
「誘う動きか、生ぬるい――」
と、俺の誘いを見抜く――。
ツヴァイヘンダーの魔剣の剣身から飛び出た無数の青白い魔刃を寄越す。
それらの飛び道具をすべて、<隻眼修羅>で捉え避けた。
イゼハは「<厳命魔突刀>――」とツヴァイヘンダーの魔剣を突き出してきた。
<義遊ノ移身>を発動させ、<風柳・異踏>を発動。横に移動した。
イゼハは分身を発生させ、本体は、俺の本体を追う。
イゼハの分身が放つ<厳命魔突刀>のツヴァイヘンダーの魔剣が、俺の分身を貫くのを見ながら――目の前のイゼハ本体の魔剣を<月読>で読み切り、紙一重で避ける。
イゼハは「光魔がァ――」と叫び、ツヴァイヘンダーの魔剣を振るう。
ツヴァイヘンダーの魔剣の周囲の空間から湾曲した刃があちこちから飛び出てくる。
神槍ガンジスに<血魔力>を込めながら後退し、魔槍杖バルドークと交差させて<風柳・上段受け>を行い、初撃を防ぐが――。
死角の空間から歪み出た刃が、左腕を斬り飛ばした。
鮮血が噴き出し、神槍ガンジスを握ったままの腕が宙を舞う。
激痛を強靭な精神でねじ伏せ、即座に<血鎖の饗宴>の血鎖を展開。
飛散する血ごと宙の左腕に絡みつかせ、強引に切断面へと引き戻す。
<仙血真髄>と<血魔力>の力で骨と経脈を瞬時に繋ぎ合わせ、完全再生――。
左手に神槍ガンジスの重みが戻る。
そのまま<風柳・中段受け>へ繋ぎ――次々に飛来してくる斬撃と湾曲した刃の猛攻を凌ぎ切った刹那――。
神槍ガンジスの神魔石から黄金の光と深紅の闇が混じり合った閃光が迸る。
その光はイゼハが周囲に展開していた青白と漆黒の魔力による『空間の歪み』を陽光が朝靄を晴らすかのように照らし出し、固定化していく。
「……吸血鬼擬き……しかし、空間の波紋が、魔力で縫い止められただと? ん、双月刃、その神槍……どこかで見覚えが……」
イゼハの四眼が驚愕に細められる。
「名は神槍ガンジス――」
<雷炎縮地>を発動――。
「!? げぇ――」
神槍ガンジスの重みを感じながら、一瞬で間合いを潰す。
右手の魔槍杖バルドークで<風研ぎ>のフェイクを入れ、本命である左の神槍ガンジスで<光穿>を放つ。
「――<絶剣・神威鏡格>」
イゼハがツヴァイヘンダーの魔剣を横に振るう。
イゼハの体が青白い残像と共に幾重にもブレたかと思うと、そのすべての残像から、実体を伴った巨大な剣閃が迫ってきた。
逃げ場を塞ぐ、全方位からの空間斬撃。<水月血闘法・水仙>を即座に発動。
無数の水鴉と血の分身を周囲に展開させ、イゼハの斬撃を囮の分身で受け流しつつ、本体は<仙魔・桂馬歩法>で斜め上空へと逃れる。
だが、イゼハは空間の波紋を蹴り、重力を無視した軌道で俺を追撃してきた。
「――上だと思ったか!」
真下から突き上げられるツヴァイヘンダーの魔剣の切っ先。
その穂先から螺旋を描く青白い魔力がドリルとなって伸びてくる。
そのツヴァイヘンダーの魔剣からドラゴンと大魔獣の幻影、否、大魔獣は本体が現れ、突進してきた。
<滔天魔経>を発動。
<魔闘術>奥義の一つ<滔天魔経>の効果で、全身の細胞と筋肉が共鳴し、高密度に水魔力が体から溢れ出て蒸発し、渦を巻きながら上昇して周囲を深紅に染め上げる。
<導想魔手>と<鬼想魔手>をわざと見せるように発動――。
<無方剛柔>で防御を固め、魔槍杖バルドークの柄を寝かせてそれを受け止めた。
――ガギィィンッ!
激しい金属音と共に、両腕に凄まじい衝撃が走った。
ライゾウの<魔角突>よりも遥かに重く、そして鋭い。
大魔獣の頭部も迫り、拡げた口の中に入ったが、<血鎖の饗宴>で、その無数の牙と舌に、上顎と下顎をぶち抜いて破壊。
<血鎖の饗宴>が青白い魔力のドリルを削るが、一部が溶けたから消す。
迫るツヴァイヘンダーの魔剣には、「ングゥゥィィ!」と肩の竜頭装甲が咆哮を上げ、俺の防御を魔力で補強する。
ツヴァイヘンダーの魔剣の衝撃を<魔手回し>の要領で逃がし、宙空で体を独楽のように回転させ、すべての<魔闘術>系統をわざと終わらせ、遠心力を乗せた神槍ガンジスの石突で、イゼハの側頭部を狙う。
「ハッ」
イゼハは左手のガントレットから青白い魔刃を突出させ、神槍の石突を的確に弾いた。
そのまま、俺の胴を薙ぎ払うべく魔剣を引き戻そうとするが――。
再び、すべての<魔闘術>系統を再発動――。
<雷光瞬槍>――。
<導想魔手>と<鬼想魔手>に氣を取られたイゼハの横っ腹を魔槍杖バルドークの<魔皇・無閃>が捉えた。
「げっ」
イゼハを両断。
再生はさせない。
「――終わりだ」
冷徹に告げ、両手の槍を構える。
<破壊神ゲルセルクの心得>を意識、発動。
<隻眼修羅>でイゼハの魔線とツヴァイヘンダーの魔剣を凝視し、神槍ガンジスの双月刃が振動の極致になるまで<血魔力>を込めた。
――<双槍・光血抜穿>。
神槍ガンジスと魔槍杖バルドークを突き出し直進――。
双槍と俺の体から噴き出る光と闇の螺旋――。
双槍はイゼハとツヴァイヘンダーの魔剣の柄と剣身をぶち抜き、消し飛ばした。
光と闇の奔流が突き抜け、背後の【幻瞑暗黒回廊】の異次元空間の壁すらも粉砕し、他の異世界の巨大な魔魚ごと貫く。
イゼハとツヴァイヘンダーの魔剣は断末魔を上げることもなく、光の粒子となって霧散した。同時に、俺は膨大な魔力を得た。
と、無数のツヴァイヘンダーの魔剣の破片が、【幻瞑暗黒回廊】の壁か不明な不可解な虹色の巨大な岩場に吸い込まれるように、突き刺さっていく。その岩場には、見覚えのある魔槍も刺さっている。柄頭は鏃の形……赤黒い魔力が柄と柄頭から放射状に展開されている。
あれは……魔槍エッジガルバか?
続きは明日、HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1巻-20巻」発売中。
コミック版1巻-3巻発売中。




