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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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2113/2119

二千百十二話 闇神の眼を穿つ光と闇、新スキル<双槍・光血抜穿>

 キッカと【ギルド請負人】たちは一般人に避難を呼びかけながら【幻瞑暗黒回廊】の出入り口を封じている【幻瞑封石室】に魔力を送り続けている。

 クナが、


「皆様と、大魔術師アキエ・エニグマにケイにも、これを――」


〝心魔増強剤・改〟と〝精神活性化薬・改〟を皆に配る。


「ありがとう。これは精神薬や魔力回復ポーション?」

「似た効果に加えて本人の魔法力を上昇させます」

「「ありがとうございます」」


 そして、傷を負った大魔術師たちは回復魔法を掛け合う。

 クナのポーションを飲み、己たちも用意したポーション類を飲むと一瞬で傷を回復させ、戦闘系の防護服を違う防護服に変化させていた。


 一部の大魔術師は血と闇色の魔力を口から吐き出し、体からも<魔闘術>系統を発動させて魔力を噴出させる。ポーションを煽ったケイ・マドールが、咳き込みながらも顔色を取り戻していく。

 

「アキエとケイ、体のほうは大丈夫なんだな?」

「「はい」」

「一応、これを渡しておこう」


 アイテムボックスから高級回復ポーションと高級魔力回復ポーションを取り出して渡した。


「ありがとう、頂きます」

「はい」


 二人はすぐに腕輪のアイテムボックスにポーションを仕舞う。

 大魔術師アキエ・エニグマは、


「……直ぐに戻らないと」

「俺たちも乗り込む」

「あ、はい。ありがとうございます……」


 大魔術師アキエ・エニグマはなんとも言えない表情だ。

 魔法ギルド、【魔術総武会】のプライドなんてもうないだろうとは思うが、一大局面だからな。

 そのアキエに聞きづらいが、聞いておこうか。


「……しかし、【幻瞑暗黒回廊】の中の戦場と、残りの大魔術師たちは?」


 俺の問いに、アキエ・エニグマが悔しげに唇を噛んだ。


「えぇ……古代ドワーフの大魔術師アウグスト様や、ベリル・エルレイ議長たち【九紫院】のトップ層が、大眷属ヴォッファンを足止めするために、回廊の奥でしんがりを務めてくれているのよ。彼らが自らを盾にしてくれなかったら、魔塔ナイトレーンは完全に破壊され、壊れた【幻瞑暗黒回廊】の出入り口のみだったでしょう」


 魔塔ナイトレーンを見上げた。

 傾いて一部が破壊されている。

 なるほど、魔塔ナイトレーンの状況は、かなり酷いが、これでも最善だったということか。


「【九紫院】の議長……面識はないが、その魔法ギルドの偉いさんたちが体を張っているなら、急がなきゃな」


 その時だった。

 キッカやドミタスたちが必死に維持していた結界に(ひび)が入る。

 不気味なピキピキと音が響き、網目状の亀裂が走ると内から凄まじい魔圧が膨れ上がった。

 <闇透纏視>と<隻眼修羅>を発動。

 <血道第三・開門>――。

 <血液加速(ブラッディアクセル)>を発動。

 <水の神使>と<水神の呼び声>を意識し、発動。

 <月冴>も発動、<闘気玄装>を強めた。


「宗主! 限界です!」

「おう、キッカたち退いていい!」

「「「はい!」」」


 キッカたちが後方へ跳躍した瞬間――ドッと重低音と共に【幻瞑封石室】の重厚な封印扉が内からの圧力で吹き飛んで瓦礫が散る。そんな瓦礫の雨と共にシュアァァァァァと蒸発するような音と共に漆黒の魔力が雪崩れ込んできた。


 ヴィーネたちが即座に<血魔力>を周囲に展開。

 <血魔力>と触れた漆黒の魔力は蒸発していく。


 その漆黒の魔力の出本から姿を現したのは異形の軍勢だった。


 先頭に立つのは大柄な体躯で、胸元に六眼の頭部がある。四腕の内、下腕の二腕の下部が溶けているように体液が大量に流れ、腫れ物のような膜が広がっていた。

 

 他は、甲虫の外骨格と魔鋼が融合したような重装騎士。


 どちらも尋常じゃない魔力を放っている。

 隊長クラスか。

 頭部が無い異形の魔族が、


「ギチチチ……魔法の匂いがする。食い尽くせ」


 下腕の紫黒の体液をカーテンのように拡げていく。

 体液が嵐のように散布してきた。漆黒の魔力の上部を越えて俺たちに迫る。


 <導想魔手>と<鬼想魔手>を発動。

 <夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を召喚。

 皆の防御に回すつもりだったが、黒豹(ロロ)が、前に出る。


「にゃごぁ――」


 口から盛大に紅蓮の炎を吐いた。

 大量の体液と漆黒の魔力を一氣に蒸発させ、大柄の六眼頭部が胸元にある魔族と、甲虫の外骨格と魔鋼が融合したような重装騎士を燃焼させ、背後の【幻瞑暗黒回廊】も紅蓮の炎で見えなくなった。


『ロロ様の紅蓮の炎!』


 ヘルメが怖がらずに褒めているのは珍しい。

 

 だが、大柄の六眼頭部が胸元にある魔族は紅蓮の炎を突破。

 体の表面は焼け爛れて溶けているが、復活していく。


 背後の【幻瞑暗黒回廊】も無事だった。

 頭部が無い異形の魔族は、


「ギチチッ、噂に聞く神獣の炎か!」


 再生させた下腕から、またも、大量に体液を放出させてくる。

 そして、甲虫の外骨格と魔鋼が融合したような重装騎士と漆黒の魔力は【幻瞑暗黒回廊】から次々に現れていた。


 <夜行ノ槍業・召喚・八咫角>と雷鳴竜槍ヴォルトブレイカーを握る<導想魔手>と深淵竜槍ヴォーテクスランを握る<鬼想魔手>を向かわせた。

 <夜行ノ槍業・召喚・八咫角>は重装騎士の魔剣を弾き止め、雷鳴竜槍ヴォルトブレイカーと深淵竜槍ヴォーテクスランは、漆黒の魔力を貫き、それぞれに<魔雷ノ風穿>を放ち、重装騎士の体を貫いた。


 クナは、


「光の<血魔力>系統が有効のはず。私たちが守りますので、シュウヤ様、いつものように臨機応変に!」


 と、発言し、月霊樹の大杖を振るう。

 <血霊月ノ梔子>を展開した。


「ん!」


 エヴァは白皇鋼(ホワイトタングーン)の刃を展開し、重装騎士たちに衝突させていく。


 ビュシエは、<血道・石棺砦>を展開し、重装騎士に衝突させて、一部は前衛の盾にした。

 

 クナは、<血魔力>で構成されている巨大な花を操作するように何層にも重ねていく。すると、それは扇のような形となって百八十度に広がる結界となった。

 血に濡れた花びらも、その結界の周囲を舞い、個別に踊るように展開され、扇状の巨大な花の周囲を行き交い、外側と内側を舞うように漂う。


 花びらから、光と闇の<血魔力>の魔線が雄蕊と雌しべのような形で、四方八方に放出されて繋がる。

 それは無数の魔線の網、否、粘菌が広がるように見えた。

 扇状の巨大な花の内と外を行き交う、不思議な魔法は、意識が宿っているように動き、敵が放った体液と漆黒の魔力を光と闇の胞子状の刃が貫きまくる。と、体液と漆黒の魔力だったモノは、蒼い炎に変化しながら蒸発していく。


 クナの高度な魔法防御、結界だ。

 神級といったような威力はないが、光と闇の<血魔力>だけでなく、皇級を完全に超えた魔法技術の極みか。


「――素晴らしい魔法技術! 私たちの魔法を吸収した、あの体液を消していくとは、見事ですよ」

 

 大魔術師アキエ・エニグマがクナを褒めた。

 だが、甲虫の外骨格と魔鋼が融合したような重装騎士が前進してくる。得物は大小様々な魔剣が多い。


 一般市民の守りに大きい駒の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>と、<導想魔手>と<鬼想魔手>が握る雷鳴竜槍ヴォルトブレイカーと深淵竜槍ヴォーテクスランを下げた。


「クナはそのまま防御を頼む、ヴィーネ、キサラ、カルード、エヴァ、ミスティ、ユイ、ハンカイ、ファーミリア、共に連携をしようか」

「「「――はい」」」

「ん!」

「「承知――」」


 大量の甲虫の外骨格と魔鋼が融合したような重装騎士は、魔剣から魔刃を飛ばしてきた。


 前に出ながら飛来した魔刃を魔槍杖バルドークの柄で弾きつつ、左手に召喚した神槍ガンジスで<光穿>――。

 光を帯びた方天画戟と似た穂先が、甲冑の隙間、胸元の繊維質を深々と貫く。

 その重装騎士の片足ごと魔槍杖バルドークの<雷払雲>で薙ぎ払い吹き飛ばした。


 右斜め前方からユイが、神鬼・霊風とイギル・ヴァイスナーの双剣を抜き放ち、<銀靱・壱>の神速で、体液の雨を掻き潜る。


 カルードも流剣フライソーを振るい、ユイと交差するように敵陣へと肉薄する。超高速の剣閃が、魔法を無効化するはずの体液ごと異形の上腕を切断、脇腹から胸を細断していった。


 二人の間をルリゼゼとファーミリアが駆け、蟲型にも見える重装騎士を両断――。ハンカイも<戦浮・大巻斧斬>を使うのが見えた。

 


「ん、押し潰す」


 エヴァが魔導車椅子からふわりと浮上した。

 <霊血導超念力>を全開にし、崩れた魔塔の巨大な瓦礫と白皇鋼(ホワイトタングーン)の刃を宙空に浮遊させる。

 それを蟲型にも見える重装騎士の群れ目掛けて、隕石のように叩き落とした。

 鏡のような甲殻が衝撃を減衰させようとするが、物理的な質量の前には無意味。


 重低音と共に、敵の陣形が完全にひしゃげる。


「燃やし尽くす!」


 レベッカは複数の蒼炎弾と<光魔蒼炎・血霊玉>を一度に放つ。

 蒼炎弾を浴びた重装騎士は個体差があるが耐えるのもいたが、<光魔蒼炎・血霊玉>の勾玉に耐えられず、吹き飛ぶ。


 更にレベッカが城隍神レムランの竜杖を掲げる。

 小型のペルマドンとナイトオブソブリンを一瞬で巨大なドラゴンに変化し、雷状のブレスと火炎のブレスを吐いて、漆黒の重装騎士を吹き飛ばすように倒していく。


 彼女の放つ蒼炎は純粋な魔力ではなく神性を帯びている。

 相棒から逃げた大柄の頭部が胸にある異形の魔族が繰り出す体液を燃やし尽くす。


「させません――<光魔銀蝶・武雷血>!」


 ヴィーネが翡翠の蛇弓(バジュラ)から古代邪竜ガドリセスと戦迅異剣コトナギに切り換え、雷状の<血魔力>を纏い、銀の残像を残して敵陣を駆け抜ける。雷撃が敵の動きを麻痺させ、双剣が的確に急所を穿つ。


「にゃごぉぉぉ!!」


 相棒ロロディーヌが巨大な神獣へと姿を変え、触手骨剣で敵を串刺しにしながら蹂躙していく。


 頼もしい眷族たちに背中を預け、俺も前衛へ。

 そこへ、回復した大魔術師アキエたちが魔術による後方支援を重ねてきた。アキエの<ルガルゥの魔拳>が巨兵を殴り飛ばし、キュイジーヌの<氷結魔皇レファールソードの大爪>が敵の足を止める。


「シュウヤさん、私たちも負けてられないわ!」

「ニャァ」


 魔猫アラも口から小さい炎を吐いた。


「あぁ、助かる!」


 戦況はこちらに傾きかけたかと思われた、その時。

 吹き飛んだ扉の奥、【幻瞑暗黒回廊】の深淵から、圧倒的な武威と重圧が這い出してきた。


 四本の太い腕を持ち、強靭な武甲を纏った魔族。

 その顔には四つの瞳が並び、それぞれに理不尽な殺意が宿っている。


「……ほう。アキエとやらを逃がしたと思えば、随分と活きのいいのが待ち構えていたものだ。魔人武王ガンジス以来の、骨のある相手と見た、ん? 光と闇の<血魔力>か。ハッ、あの光魔ルシヴァルだな!」


 魔族は四本の腕にそれぞれ異なる形状の魔槍と魔剣を構え、


「……貴様らの命、リヴォグラフ様に捧げさせてもらう」


 魔族は全身から、どす黒い魔力が噴出した。


「お前は、何番隊かの隊長か? 名は?」

「……名は、武甲のメラド・カシマ。【異形のヴォッファン】が誇る特任の遊撃員」


 と呟くと、背後や周囲の虚空が不自然に裂け、そこから燃え盛る裂け目のような巨大な赤黒い目」が複数出現した。


「……闇神の祝福か」


 宙空に浮かぶ無数の赤目。

 悪神デサロビア系の眷族が得意としている邪眼のような物理的な光線は放たない。


 だが、<隻眼修羅>を通して見ればわかる。

 その視線が交差する領域に足を踏み入れると、肌に泥を塗られたような重力を感じるはずだ。


 精神と魔力の法則そのものを縛るような呪縛の眼のはず。


「行くぞ!」


 メラド・カシマが地を蹴り、四本の武器を振るって迫る。

 迎撃するため、全身から<血魔力>を放出し、<血想槍>を発動した。


 魔槍杖バルドーク、神槍ガンジス、霊槍ハヴィス、仙王槍スーウィン、白蛇竜小神ゲン様の短槍を宙に浮かせ、自律的に躍動させる。


 五本の槍が、メラド・カシマに向かう。

 だが――。


「無駄だ!」


 メラド・カシマの周囲に浮かぶ赤目が、<血想槍>の槍の群をギロリと睨みつけた。


 瞬間、槍の軌道がぐにゃりと歪み、纏っていた<血魔力>が削られていく。沼に沈んだかのように速度を失った魔槍と神槍の群は、メラド・カシマの四本の武器によって弾き落とされた。


「視線で魔力のパスを断ち切るか」

「俺の監視領域に入った魔はすべて淀む。大人しく首を差し出せ!」


 弾き落とされた槍を回収する間もなく、メラド・カシマの四刀流の斬撃と刺突が襲いかかる。

 <風柳・異踏>と<雷飛>を駆使し、すべてを<闇透纏視>と<隻眼修羅>で視ながら紙一重で回避を続ける。

 しかし――赤目の視線が常に俺を追う――。

 ――<滔天魔瞳術>を試すが効かない。

 動きを阻害しようと絡みついてくる。

 そこで、両手を開き、アイテムボックスから――。

 右手に吸血神ルグナド様から賜った魔神槍・血河を召喚。

 漆黒と真紅の魔槍から<血魔力>が溢れ出る。

 左手に――陽槍ルメルカンド。

 神狼の導きで得た太陽の如き黄金の槍から光の魔力が溢れ出た。

 メラド・カシマの四眼が驚愕に見開かれ、魔刃を寄越しながらバックステップし、


「――何だ、その相反する魔力は!?」


 と聞いてきた。

 応えず、右腕を上げた。

 魔神槍・血河からは極限の闇と血の脈動が噴出。

 左の陽槍ルメルカンドからはすべてを浄化するだろう太陽の神威が迸る。黄金の鴉の幻影が生まれては散る。


 赤目の呪縛が俺を捉えようとするが、魔神槍・血河の放つ圧倒的な闇がそれを強引に侵食し相殺する。更に、陽槍ルメルカンドの光が、視線そのものを焼き潰していった。


「呪縛の領域が……破られただと!?」

「ただの赤目が、俺を縛れると思うなよ!」


 <魔技三種・理>を意識し、<仙血真髄>を極限まで引き上げる。

 魔神槍・血河と陽槍ルメルカンドで、敵の前衛部隊を一掃しながらメラド・カシマへと踏み込んだ。


 四本の武器で防御陣を敷く敵に対し、陽槍ルメルカンドで<光穿>を放つ。

 強烈な光の突きが二本の魔剣を弾く。


 続けて、腰を落とし<雷炎縮地>。

 腰を捻り、全身のバネを解き放つように〝一の槍〟の<風槍・理元一突>を繰り出した。

 風の理を乗せた魔神槍・血河が、集積した赤目を貫き、敵の防御網を抉じ開け、陽槍ルメルカンドの光に反発するように闇の疾風が衝撃波としてメラドと衝突、「げぁ!?」と動きを封じた。


 続けて体勢を崩したメラド・カシマの懐へ、神速の踏み込み。

 両手の槍を交差させるように<光穿・雷不>――。

 メラドを守ろうとした赤目を<光穿>が貫き、魔剣を完全に弾き飛ばしながら振動した双月刃が直進し、メラドの胸甲を貫く。

 

 柄から血の龍と天道虫の幻影が大量に発生。

 更に、その陽槍ルメルカンドの真上に、雷不の八支刀の形を成した<光穿・雷不>が出現。その八支刀の光雷が、周囲の赤目を完全に消し飛ばし、光神ルロディスの涙が紡ぐ天命の糸となってメラド・カシマに突き刺さった。


 次の瞬間、突き刺さった周りのメラドの体の一部が消し飛ぶ。

 闇神リヴォグラフの幻影が周囲に生まれるが、それらは、光神ルロディスの涙が紡ぐ天命の糸と衝突し、消える。

 まだ残っているメラドの一部が、


「グオオオオオオオッ!?」


 と、奇怪な声を上げた。途端に陽槍ルメルカンドと魔神槍・血河が煌めき光魔の<血魔力>を噴出、何かが起きる予感――。

 

 <水極・魔疾連穿>――。

 連続的に陽槍ルメルカンドと魔神槍・血河を突き出した。

 血河の闇とルメルカンドの連続突きが、残っているメラド・カシマの武甲を紙細工のように貫いた。

 <隻眼修羅>で見えていた弱点のコアも完全に破壊した。直後、メラド・カシマの体と瓜二つの半透明なモノが、破壊したコアと体が存在した位置からブレるように現れ、絶望の表情、底抜けた悪意をもった悪霊のようなモノとして俺に、


『「オマエ――」』


 と発狂するように爪のようなモノを突き出し、近付いたが、血河の闇とルメルカンドから放射される光が一つに重なり、反発し合いながら一陣の風となって、その半透明なモノを穿ち抜いた。分身体らしきものを跡形もなく消し飛ばす。


 ピコーン※<双槍・光血抜穿>※スキル獲得※


 おぉスキルを得た。


「……ふぅ」


 両手の槍を構えたまま残心をとる。

 周囲を見渡せば、メラド・カシマの消滅によって指揮系統を失った敵は、ヴィーネや相棒たちによって完全に一掃されていた。


「シュウヤさん、凄まじい一撃ね……」


 アキエが息を呑みながら歩み寄る。


「あぁ。だが、まだ終わってない。【幻瞑暗黒回廊】には、まだ【魔術総武会】の一部が残っているんだろ?」

「はい、お願い……アウグスト様たち助けてください」

「「はい、お願いいたします!」」


 他の大魔術師たちの言葉に頷いた。

 開いたままの【幻瞑暗黒回廊】の出入り口を見据える。


 漆黒の魔力は勿論だが、黒き環(ザララープ)や傷場のゲートと同じ勢いで無数の魔力が渦を巻いている。


 センティアの手は使わずに、眷族たちを見て、


「――皆、セナアプアの上界の守りは頼む! ヴィーネ、エヴァ、ユイ、レベッカ、キサラ、そして相棒! 一緒に回廊の奥へ飛ぶぞ!」

「「「はい!」」」

「にゃおぉん!」


 アキエたちに魔塔の防衛を託し、躊躇うことなく【幻瞑暗黒回廊】の深淵へと飛び込んだ。


 【幻瞑暗黒回廊】――。

 次元の境目が無数に折り重なっている異次元空間とも言える。


 そこで、巨大な九つの知恵の輪を操る古代ドワーフの大魔術師と、赤い閃光となって戦場を駆ける大魔術師か不明な魔剣師が、【異形のヴォッファン】の精力と戦っていた。

 

 闇神リヴォグラフの大眷属らしき者が複数。

 圧倒的な絶望の渦に立ち向かい続けている。

 まさに、死闘の連続か。

続きは明日、HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1巻-20巻」発売中。

コミック版1巻~3巻発売中。

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