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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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二千九十二話 第八坑道の封印と深淵の這い寄りし者

 檻のような昇降機が、俺たちの重みを受けて揺れ、昇降機を支える金具と大量のワイヤーが軋み、金属音が響く。横にいるヴィーネの顔色は少し悪くなった。『大丈夫か?』と笑みを向けると、ヴィーネはかすかに頷いて『はい』と綺麗な銀色の瞳を輝かせる。

 と、


「ンン――」


 黒猫(ロロ)は、肩から飛び降り床に着地。

 トコトコと歩いて、レベッカの細い足首の匂いを嗅いでから頭部をすり寄せる。

 レベッカは「ロロちゃん!」と触ろうとしたが、黒猫(ロロ)は「ンン」と喉声を響かせ、頭部を器用に引くと、くるりと舞うようにレベッカの背後に回り、エヴァとキサラの足の間を走り抜けて、昇降機の端に近付くと、跳躍、手摺りの細い天辺に着地。そこから巨大な縦穴を覗き込む。


 長い尻尾が少し下に垂れている。


「相棒、落ちるなよ」

「にゃご」


 少し怒った黒猫(ロロ)の声が可愛い。

 と、尻尾で昇降機の手摺りの下、内壁の半透明な壁を叩いている。

 壁はプラスチックのような素材なのか、鈍い音を響かせた。


 昇降機は四角形、四方の壁の上下の長さは身長の半分ほどで、太いワイヤーと巨大な留め具以外には、何もないから、外の様子はよく見えている。昇降機は、まだ動かず。


 係のドワーフは中央のコロネードに巻き付いているワイヤーに油を掛けている。

 そこで手摺りの細い天辺をトコトコと器用に歩く黒猫(ロロ)を見てから、昇降機の出入り口を見る。


 昇降機の出入り口と大きい縦穴の境目は、くっ付く時と離れる時がある。

 そのまま視線を上げ、巨大な穴周りを見ていく、建物と大通りに路地の幾つかが見える。

 一方、右側は大空洞の情景が広がっていてドワーフの衛兵が守る重厚な出入り口がいくつも口を開けていた。

 

 物理的な装甲門は厳つい。


 これこそがポリンガム、ひいてはラングール帝国の地下都市を守る要か。

 ふと、この地下都市の断面図を思い浮かべる。


 新宿駅や上野駅の地下構造、その案内板の構図で、黒皇魔骸鋼列車が地下駅の一部に並ぶ断面図の光景を想像していく。

 

 そこで、乗り場に残る仲間たちを見て、


「ヴィーネ、ユイ。<無影歩>で俺が待機すれば完璧だが、俺は下に向かう。だから、二人は、俺たちの後を追ってきてもらう。だが、降りる前に氣配を殺し、あの『追跡者』どもの動きを観察しておいてくれ。奴らが昇降機を使ってまで付いてくるのか、あるいはここで引き返すのか……それを見極める必要がある」


 ヴィーネが翡翠の蛇弓(バジュラ)を握る手に力を込め、静かに頷く。


「……承知いたしました、ご主人様。ネズミ一匹、逃さず監視いたします」


 ヴィーネは跳躍し昇降機から離れた。

 巨大な縦穴の左側、崖の天辺に着地。


 ユイも、


「うん、さすがに、付いて来ないとは思うけどね」


 頷く。そのユイは双剣の柄に指をかけ、昇降機から離れ、乗り場の縁際の岩の死角へと身を潜めた。


 そして、この乗り場の近くにも設置されている大型の『魔族探知機』が、俺たち光魔ルシヴァルの持つ闇の側面に反応し、ジリジリと焦げるような音を立てて警告の赤光を明滅させている。


 ドワーフの衛兵たちの視線も険しい。

 シャイズムから預かった通行手形がなければ、今頃一斉に仕掛けられていただろう。


 昇降機に乗っていないラライセたちを見て、


「ラライセたちも見張りを頼む」

「はい」

 ラライセに続いて、皆が、ザッと音を響かせ、「「「ハッ!」」」と返事をしてくれた。


 すると手摺りの上を歩いている黒猫(ロロ)をクレインが捕まえ胸にギュッと抱きしめては、ハンカイたちと中央に移動してきた。

 黒猫(ロロ)はクレインの前腕をぺろぺろと舐めている。


 そこで、レバーを握るドワーフの係員に顎で合図を送った。ドワーフは頷き、


「では皆様、降ろします――」


 ――ドォン、と重厚な金属音が響く。

 係員が操作するレバーによって固定が解かれた。


 昇降機が、ゆっくりと、だが確かな重力に従って下降を始めた。


 シャフトの隙間から、先程までいた乗り場の光景が遠ざかっていく。


 昇降機に乗っていないヴィーネとユイを確認。

 影に溶け込むように追跡者の網を張る姿も美しい二人、その姿は見えなくなった。


 真下の深淵へと意識を向ける。


 下降するにつれ――。

 縦穴の壁面にはいくつもの層が通り過ぎていく。

 各階層には、地下都市ポリンガムの動脈とも呼べる巨大な通路の出入り口が口を開けていた。


 ある階層では、何十人ものドワーフ歩兵が槍を揃えて整列し、不気味に赤く明滅する大型の『魔族探知機』を囲んでいる。またある階層では、厚さ数メートルはあろうかという巨大な防壁門が見えていた。


「……さすがに厳重だな」

「うん」

「はい」


 黒猫(ロロ)も「にゃ~」と鳴いていた。


 そして、ポリンガム自体が地下深層なんだが、この縦穴は、結構深い。昇降機は『地下大動脈層』の深部へと俺たちを運んでいく。


 ガタガタと檻が揺れるたび、地下特有の湿った空氣の中に、魔導回路が発する空氣と深層からの熱い風が衝突したように空氣の流れが変化した。

 

 下からのは地熱で熱せられた空氣か。

 

 通り過ぎていく出入り口の奥からは、時折、ドワーフたちの生活音や巨大な魔導機械が駆動する重低音が響いてくる。その生活音も下降が進むにつれて遠ざかると、静謐な圧迫感があるような重みが空間を支配していった。


 ふと、上層を見上げた。

 ヴィーネたちがいる乗り場は今や豆粒ほどの光の点に過ぎない。

 そこへ、数影が近づくのが見えた。


「……来たか」


 追跡者たちが、俺たちが降りるのを待っていたかのように動き出している。

 だが、あそこにはヴィーネとユイ、そしてラライセたちがいる。

 俺たちを追って昇降機を利用するなら、それなりの覚悟が必要だろうな……。

 やがて、昇降機の速度が落ち始めた。と、岩の層が消えて、巨大な空洞に変化。


 スタジアムのように広大だ――。

 あちこちに縦横無尽に広がる地下坑道の出入り口が口を開けている。


 これまでの階層よりも一段と巨大な、そして不自然なほど静まり返った大空洞のプラットホームだった。



「……ここが、第八坑道への入り口か」


 ガコン、と大きな衝撃と共に昇降機が停止した。


 扉が開くと熱氣と金属の匂い――。

 そしてドワーフたちの荒々しい活氣が皆を包み込む。

 

 そこかしこで、ツルハシを振るい鉱石を集めるドワーフや、巨大な背負い籠を運ぶ工夫たちの姿が見える。  精錬所からは地熱を利用した白煙と共に熱氣が噴き出し、ドワーフの職人たちが真っ赤に焼けた鋼を叩く重低音が、煤けた天井の鍾乳石を震わせるように空洞内へ反響していた。

 

 一方で、平和な採掘現場だけではない。

 空洞の隅、影の濃い場所では、武装したドワーフの小隊が地下から這い出てくる巨大な甲殻虫や土属性のモンスターと激しい戦闘を繰り広げていた。


 幾重にも分岐した地下道からは、常に怒号と魔法の炸裂音が聞こえ、ここが過酷な前線であることを物語っている。


 すると血文字が浮かぶ。

 

『ご主人様……追跡者たちですが、動きを止めました。昇降機を使って追ってこようとする氣配はないようです』

『シュウヤ、追跡者だけど、当然、隠れたわたしたちに氣付いていた』


 ヴィーネとユイの血文字に、


『了解した。そのまま、次の便でこちらへ降りてきてくれ、ラライセたちと共に』


 と、血文字を返すと、


『はい』

『了解』


 追跡者はあからさまなことはしないか。

 それとも、別のルートから回り込むつもりか。


 しばらく待つと後続の昇降機が到着した。

 ヴィーネ、ユイとラライセ率いる【血の守護騎士団】と共に降りてくる。


「皆、揃ったな。……ラライセ、お前たち吸血鬼(ヴァンパイア)の部隊は、このプラットホームで待機してくれ。昇降機で、後から降りてくるかも知れない追跡者への牽制と、退路の確保を頼みたい」

「はっ! 閣下の仰せのままに」


 ラライセが一礼する。

 その彼女に、


「第八坑道の奥にあるとされている、光属性の封印を強化しに行くことだが、相談せず進めてしまった。今更だが、大丈夫かな」

「はい、お氣遣い痛み入ります。大丈夫。私たち【血の守護騎士団】の忠誠はシュウヤ様と共にあります」


 頷いた。


「だが、吸血神ルグナドの眷族であるお前にとって、光の封印は忌むべきものだろう?」


 ラライセは力強く頷き、迷いのない瞳で俺を見返した。


「光の封印……たしかに。毒にも等しいもの……しかし、その破り方や弱点も、闇を生きる我らこそが最も熟知しております。封印を強固にする際、逆説的に『何が弱点か』を教えることも可能です。それがシュウヤ様のお役に立つのであれば、ルグナド様もお喜びになるでしょう。先のシャイズムを含めたドワーフたちが、光魔ルシヴァルの敵になれば、私たちの敵になり、友好のままなら、吸血神ルグナド様も、友好となるでしょう」


 迷いのない言葉。

 そして、強い信頼の証し。

 光の封印を破るための数種類の技法についても、事も無げに語ってくれた。


「分かった。では、ここを頼む」

「「「「はい!」」」」


 俺たちはラライセたちをプラットホームに残し、第八坑道の奥へと足を進めた。


 中心部から離れるにつれ――。

 ドワーフたちの活氣のある音は遠ざかる。


 代わりに冷たく、鋭い静寂が漂い始めた。


 道中には過去に行われた封印工事の跡か、光属性の魔力を帯びた魔導具の残骸や、砕け散った聖銀の鎖が幾つも転がっていた。封鎖門のいくつかは光の粒子が瘡蓋のように煤けて剥落し、術式の回路が断裂している。


 その亀裂から闇の渦が大量に噴出。

 と、亀裂と闇の渦からドロリと、腐敗したヘドロ状のスライム系クリーチャーが現れた。

 ジュルジュルと不快な音を立てて増殖し、こちらに近付いてくる。


 悪臭が凄そうだ。


「にゃご――」

「掃除しながら進むとしよう。相棒、そして皆、<血鎖の饗宴>を使うから、俺には近付くなよ――」

「ンンン――」


 体から<血魔力>を放出し、相棒と共に駆けた。

 黒猫(ロロ)は黒豹に変化――。

 

 口から紅蓮の炎を吐いて、スライム状のクリーチャーの一部を蒸発させる。


 俺は<血鎖の饗宴>を発動――。

 下半身から大量の血鎖を、前の扇状の方角に展開させた。

 血鎖の群れが、地面の一部をくり抜くように、漆黒のスライムを突き抜け溶かすように倒しまくる。


 そして、壁や天井と床には、かつての封印の名残の魔道具が散乱していた。


 本来なら邪悪を寄せ付けぬ聖なる輝きを放つはずの魔法陣が、沈んだ灰色に変色していた。


 進むほどに空氣は重くなり、前方の通路が不自然に青白く発光しているのが見える。


 スライム状のモンスターの湧きは止まる。


「にゃごぉ~」


 相棒は洞窟の奥に向け紅蓮の炎を吐いているが、振り返り、


「……一先ずは大丈夫かな。では、クナたち、魔法陣と魔道具だが修復できるなら修復を頼む」


 クナは拱手。


「はい、シュウヤ様。本来の機能を繋ぎ直してみせます。そして、一見だけで、シュウヤ様の光と私たちの光魔ルシヴァルの<血魔力>が必要な箇所は、数カ所あると分かります。更に、<血魔力>の光と闇の魔力でも十分修復はできる、前の光側だけの封印とは異なる形に変化すると思いますが――」


 クナは月霊樹の大杖を宙空高く浮かせ、名匠マハ・ティカルの魔机を召喚。

 

「了解した。任せよう」

「――はい、では、ルシェル、私も光魔ルシヴァルで光側ですが、光の大本は貴女のほうが強いはず、協力してもらいますよ」

「はい、師匠、がんばります!」


 二人は通路の奥、巨大な封鎖門の前に向かう。

 俺たちもそこに移動した。


 壁と天井には、かつて、完璧な幾何学模様を描いていたであろう魔法陣の名残りがあった。

 だが、何者かに掻き毟られたように歪み、剥離している。


 断裂した術式から漏れ出す光属性の魔力がパチパチと周囲の壁を焦がしていた。

 クナは、


「酷い状態です。魔法陣の基底部が物理的に損壊しています。これでは光属性の供給が遮断され、封印としての機能は1割も維持できていません。少し時間が掛かります――」


 クナは、指先に光り輝く<血魔力>を放出し、繋ぎの部分に<血魔力>の光側がだけを集中させる。


 ルシェルもスクロールを周囲に設置して壁に貼り付けていた。同時に指先で<血魔力>の魔導文字を書いては、左手に丸い魔力の塊と魔道具を出している。


 レベッカが真っ赤な魔力を指先に灯し、


「クナ、私も手伝う」

「はい、では、この名匠マハ・ティカルの魔机の真上に展開した『連結点』に集中させてください。壁際と宙空に浮いた魔法陣など、細かな部分の術式の編み直しは私たちがやりますので!」

「了解~」


 レベッカたちも手伝い始めていく。

 

「魔法陣の組み上げの際と、この壁際の点滅しているところね――」

「はい――」


 レベッカの蒼炎が混じる<血魔力>がクナの展開した魔法陣に吸い込まれていく。

 キサラたちも、<血魔力>を、クナの魔机に送る。

 それら膨大な<血魔力>が変換され、光属性の触媒へと変わった。


「ほぉ……」


 ザガは感心するように見上げ、ハンカイたちも<血魔力>を出しているが、あまり<血魔力>は送っていない。


 クナとルシェル、二人の指先から放たれる<血魔力>の輝きが、断裂していた術式の回路を物理的に「縫い合わせる」ように繋いでいく。


「ンン――」

「エンチャ~」


 ボンも修復を手伝っていく。

 パチパチと弾けていた不規則な放電が収まり、代わりに通路全体を浄化するような、穏やかで透徹した白光が溢れ出した。


 剥離していた魔法陣が壁に吸い付くように再構築され、幾何学模様が本来の規則正しい明滅を取り戻していく。


「……ふぅ。これで基底部の連結は完了です。ですが、まだ奥からの『圧力』が強い……」


 クナが額の汗を拭い、大杖を握り直した。

 彼女の視線の先――第八坑道の奥、闇が深まっている場所から地鳴りのような低い振動が伝わってきた。


 突如、闇の底から鼓膜を震わせる咆哮が響く。


 複数の影が、修復されたばかりの光の壁を嫌うように、通路の天井や壁を這いながら猛スピードでこちらへ接近してきた。


 ――岩肌を削る鋭い爪の音。

 姿を現したのは、光属性の封印が弱まった隙に深層から這い上がってきたであろう、全身が黒い結晶に覆われた多脚のモンスター。


「漆黒の鋼にも見える胴体で、多脚は魔獣?」

「あれは、『深淵の這い寄りし者』の群れ、先程のスライム状のモンスターと似ていますが、硬度が高い!」

「では、飛んで火に入る夏の虫、ですね――」


 ヴィーネとキサラの<バーヴァイの魔刃>が、その『深淵の這い寄りし者』の固体と衝突し、潰すように倒していく。胴のような部分だけを見れば、魔獣系にも見えるが、表現しがたいクリーチャーだ。


「相棒と皆、続け――」

「にゃごぁ――」


 黒豹の相棒はまたも口から紅蓮の炎を吐く。

 紅蓮の炎はあまり広がらず、正確に、『深淵の這い寄りし者』の個体を追うように捉えると一瞬で炭化させた。


「皆は、クナたちの背後は守れ。ここからは一歩も通すな!」

「「はい!」」


 皆の返事を聞く前に、<光条の鎖槍シャインチェーンランス>――。

 五つの<光条の鎖槍シャインチェーンランス>が、漆黒の『深淵の這い寄りし者』の背とおぼしき鋼の部分を貫き、爆発。


 その間にもヴィーネの<血魔力>を有した光線の矢が、その魔物の眼球のようなモノを正確に射抜くと、蒼白い炎を発して炸裂。


 風を切る音と共に、光り輝く矢が次々と放たれていく。


 ユイは双剣を逆手に持ち替え、身を低く沈めた刹那、

爆発的な踏み込みで、足下から銀色の火花が散った瞬間、魔物の群れの中心に移動したユイが見える。


 彼女の前方で銀色の閃光が幾重にも交差した。

 敵の強固な外殻を紙のように易々と切り裂いていく。

 

 遅れて響く切断音――。

 ユイの右奥、複数の闇から次々と湧き出たような氣配を感じ取り――<仙魔・龍水移>――。

 即座に、漆黒の『深淵の這い寄りし者』に近づき<神聖・光雷衝>――。

 掌から光雷の衝撃波が電気を帯びたスプライトのように広がって一瞬で、蒼炎のエフェクトを残し、漆黒のクリーチャーを消し飛ばす。

 修復された魔法陣の輝きを強めるように、周囲が、光雷の衝撃に包まれた。


 漆黒の『深淵の這い寄りし者』は俺を中心に、逃げるように広がって逃げていく。


 第八坑道は一氣に戦場へと変貌した。


 一方、クナは俺たちの戦闘に動じることなく、ルシェルと共に更なる術式の強化に没頭していた。


「――ルシェル、もっと光を! 門の奥にある『芯』を叩きます!」

「はい、師匠! <血魔力>、最大出力――行きます!」


 ルシェルの掲げた左手から、太陽を凝縮したような眩い光弾が放たれ、更に《光の戒(スペクトル・レスト)》が展開。


 床に巨大な魔法陣が一瞬で展開。

 その魔法陣に侵入した漆黒の『深淵の這い寄りし者』は動けなくなる前に蒼白い炎と化して消えていく。


 そうして、次々に漆黒の『深淵の這い寄りし者』を倒しきるが、奥から湯水の如く湧いてくる。

 しかも、造形が、氣色悪く変化していた。

 

 次々に造形が変化。

 げ、人族、ドワーフ、ノーム、ダークエルフ、キュイズナー、岩石百足、魔獣死人、などの手足、臓器が融合した漆黒のクリーチャーか。

 

 ――全身<血鎖の饗宴>による鎧を展開させ、それらを仕留めては、魔槍杖バルドークによる<血刃翔刹穿>――。


 紅矛と紅斧刃が、氣色悪い漆黒の『深淵の這い寄りし者』の胴を貫くと同時に<血鎖の饗宴>の無数の血鎖が、漆黒の『深淵の這い寄りし者』の他の体を貫きまくり、処分していく。

 そうして、奥に向かい、

「――相棒と皆、少し後退していい――」


 突っ込み神槍ガンジスを左手に召喚。


 近付いた『深淵の這い寄りし者』を<光穿>で仕留める。次は<血想槍>を展開し一氣に消し飛ばすかと考えていると、


「シュウヤ様、この部分に<血魔力>をお願いいたします」


 クナの声と共に、ヴィーネたちが俺を飛び越え前衛変わりとなった。俄に<血鎖の饗宴>の出力を抑え、ヴィーネたちとアイコンタクト――。


「了解した――」


 と、クナたちの下に急ぐ――。


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