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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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二千六十七話 吸血神ルグナドの愛咬と魔神槍・血河


 ザガンを屠った辺りの地面に突き刺さったままだった堕天の十字架の周囲には、血継武装魔霊ペルソナが体現化されたままで、周囲には、闇神側の兵士たちの死骸が積み重なっていた。


 堕天の十字架を<握吸>で引き寄せる。

 と、血継武装魔霊ペルソナも堕天の十字架の内部に吸収されるように消える。

 その堕天の十字架を仕舞った。


 ファーミリアたちと【血の守護騎士団】が集まってくる。

 すると、ラライセの部下たちが前に出て、片膝の頭で地面を突き頭を垂れた。


「シュウヤ様、ありがとうございます! 凄まじいご活躍でした」

「魔界騎士メイアールを倒したことは、非常に大きいです! そして格好良かった!!」

「はい、この<従者>ウォルター、貴方様の武術に惚れ込み申した!」


 ラライセをチラッと見てから頷いて、その喋った三人に近づいて、手を差し出し、


「頭をあげてください、血の守護騎士団の方々がいたからこその勝利です」

「「「おぉ」」」

 



 

「ご主人様、傷場の前に行きましょう」


 ヴィーネの言葉に頷き、「おう」と発言。


「ンン、にゃ~」


 黒豹(ロロ)も返事をしてから、先に駆け出してく。

 皆と傷場と黒豹(ロロ)の後ろ姿を見ながら、駆けだした。


 破壊された建物が多い、強者だったであろう鹿頭を片手で持ち上げ、歓喜の声を発している吸血神ルグナド様の<従者長>クラスがいた。

 ヴァルマスク大街を巡る戦いで勝利した者たちは、皆、歓喜だ。


 そして、俺たちの行動に続くように、中央の傷場に向かい始める吸血鬼(ヴァンパイア)たちも多い――。すると、傷場にいた吸血鬼(ヴァンパイア)たちが、


「おぉ! 光魔ルシヴァルの英雄たちだ!」

「「「おぉ」」」


 歓喜に沸く吸血鬼(ヴァンパイア)たち。

 ヴァルマスク大街の彩りが一氣に変化したように見える。

 そこに、傷場の上空を旋回していた吸血神ルグナド様が急降下し、目の前へと降り立った。


 真紅のドレスと外套がふわりと舞い、その背後にはラライセやレカーといった大眷属たちが恭しく控えている。


 ルグナド様は全身から血飛沫を発した。


「「ルグナド様――」」


 ファーミリアとビュシエが片膝の頭を地面に付け頭を垂れた。

 吸血神ルグナド様は、


「ハッ、ファーミリア、ビュシエ、我に対する礼は嬉しい。しかし、もう、我は、お前たちの主人ではないのだぞ……だが、その氣持ちに、この大戦果だ。そして、……お前たちの武勇を見て、とても嬉しく思うておる。我は、二人がとても誇らしい」

「「はい!」」


 ファーミリアとビュシエは笑顔となった。


「……ハルゼルマ家とパイロン家で散った者も、そして、グレイシアやゼノムスも草の陰から笑っておるだろう」

「ルグナド様……はぃ……」


 ルグナド様の言葉に、ファーミリアは涙を流した。

 <筆頭従者>ホフマン、ルンス、アルナードも涙を流していた。


 ルグナド様は優しげに微笑んで頷く。


 吸血鬼(ヴァンパイア)たちも笑みを浮かべて拍手していく。


 レカーも恐王ノクターの大眷属ヴティガ・ハイケナンも拍手していた。

 

 ルグナド様は鷹揚に頷くと、少し皆を見てから、不意に俺へと視線を定めた。

 瞬間――空間が消失したかのような転移。

 瞬きする間もなく、吐息が掛かるほどの至近距離に彼女は立っていた。

 反射的に身構え、間合いを測ろうとしてしまう。攻撃を受ければただでは済まない――そんな思考が瞬時に駆け巡る。友好的な相手、それも神を前にして、戦人の性が出てしまう俺も俺か。


 吸血神ルグナド様は、俺の反応を楽しむように口端を吊り上げ、


「……見事だ、シュウヤ。其方の武と采配がなければ、これほど鮮やかな奪還は叶わなかったであろう」

「皆の力です。俺はただ、良い武器、槍を振るったに過ぎません」

「謙遜するな。無論、そなたが言う、良い武器の魔槍杖バルドークと神槍ガンジスが合ってこそもあるが、あの神意力を纏ったかのような一撃は見事すぎる。そして我が軍と光魔の眷族を統率する器量……惚れ惚れしたぞ」


 ルグナド様はそう言うと、スタイル抜群な体を見せるように左足を退いて、半身となる。

 プラチナブロンドの髪がマントのように宙を少し泳ぐ。

 ルグナド様は細い腕を、背後の傷場に向け、次元の裂け目を指差した。


「シュウヤよ。このヴァルマスク大街、そして、この傷場の『権利』……すべて其方にやろう」


 周囲がざわめく。ここはただの街ではない。

 次元を跨ぐ要衝の支配権を譲渡するという言葉の重みに、ラライセたちも驚きの表情を隠せないでいる。だが、首を横に振った。


「有難い申し出ですが、受け取れません。この地は、本来あるべき主……」


 ルグナド様と、傍で皆と共に控えているファーミリアを見てから、


「ルグナド様とヴァルマスク家が治めるべきです」


 ファーミリアは頬を朱に染めて、会釈した。

 ルグナド様は、


「ほう? 欲のない男だ」

「正直言えば、俺には管理しきれません。セラの地下も大変ですし、ただ……」

「ただ?」

「この傷場を自由に『利用』する権利だけ、頂ければ十分です。俺たちの拠点は向こう側にもありますから」


 その返答に、ルグナド様はキョトンとした後、コロコロと鈴を転がすように笑い出した。


「くふふふッ! あははははッ! 支配よりも自由を選ぶか! よい、実によいぞ! ますます氣に入った!」


 笑い声を収めると、ルグナド様はスゥッと距離を詰めてきた。

 俺の体に密着し、ハグしてくる。

 甘く、濃厚な血と薔薇の香りが鼻腔をくすぐる。

 

 ヴィーネやキサラがピクリと反応するが、神の威圧の前に動けない。


「シュウヤ……其方は、我のモノにはならぬか?」

「俺は、光魔ルシヴァルです。誰のモノにもなりません」


 と言うと、ルグナド様はハグを止めて、金色から蒼色に変化させている瞳を鋭くさせる。

 キッとした表情を浮かべ、


「そう言うと思ったぞ。だが……印くらいは残させてもらう――」


 言うが早いか、ルグナド様が俺の首筋に顔を寄せた。

 首筋には、悪夢の女神ヴァーミナの<夢闇祝>と、その姉ベラホズマの<夢闇轟轟>の印がある。

ルグナド様は、その反対側――無防備な左の首筋に、熱い唇を押し付けた。


「んっ……」


 チクリとした鋭い痛みと、(とろ)けるような甘美な快感が同時に背筋を走る。

 血が吸われたのではない。神の濃厚な魔力が、血液を通じて(たましい)深淵(しんえん)に、(くさび)のように打ち込まれていく感覚。だが、その直後――。


 ジュッ、と生肉が高熱で焼かれるような、不穏な音が響いた。


「――っ!?」


 ルグナド様が小さく呻き、弾かれたように唇を離す。

 その豊潤な唇からは、白い煙が立ち上っていた。

 光魔ルシヴァルが内包する「光」の力が、吸血神の闇と反発し、彼女自身を灼いたと理解。


「くっ……痛むな……。まさか、愛し子に口づけるだけで、我が身が焼かれるとは」


 ルグナド様は指先で赤く腫れた唇を拭うと、痛みを堪えるように、しかしどこか悦に入ったような熱っぽい瞳で俺を睨め付ける。


「だが、これでよい。この痛みこそが、其方と我が繋がった証し……」


 ※ピコーン※<吸血神・愛咬・血楔(ブラッド・ウェッジ)>※恒久スキル獲得※


 脳裏にメッセージが焼き付く。


 ルグナド様が名残惜しそうに痛みに耐えながら距離を取る。

 ヘルメが、


「閣下、ルグナド様と魔印の契約を……魔印ですが神印と同じ、蝙蝠と鴉と薔薇の綺麗な模様です」

「シュウヤ様……左の首筋から後頭部にかけて、鮮紅色の複雑な紋様が……」

「ん、シュウヤ、大丈夫?」

「シュウヤ、大丈夫? 素敵な模様だけど、ルグナド様の虜になっちゃいそう……」


 皆が俺の近くにより、首を見ながら心配そうに発言してくれた。

 それを見ている吸血神ルグナド様は、


「ハッ、心配せずとも、そこの槍使いシュウヤは、己を保ち続けている。槍使いとしての精神性は我でも崩せないが、我の好意にはまんざらでもないと受け入れている証拠の証し、ふふ」

「「……」」


 ヴィーネたちが一瞬吸血神ルグナド様を睨む。

 吸血神ルグナド様は、


「ふはは、その嫉妬の感情が我をまた強くする。だが、我とシュウヤはもう特別な間柄。名実ともに我の『お気に入り』……魂にくさびは打ったのだからな。同時に、其方の血の力は光魔ルシヴァルだからこそ、我の加護を得て更なる高みへと至るであろう!」


 悪戯っぽく、しかし情熱的な瞳で見つめられる。

 頬に手を添えられ、再びキスをされそうになったが、今度は相棒が「にゃごっ!」と俺の肩に割り込み、ルグナド様の顔を肉球でブロックした。


「むぅ……神獣め、嫉妬深いな」

「ンンン~」


 苦笑するルグナド様は、不満げに鼻を鳴らしつつも身を引く。

 そして、虚空を手で裂き、自らの宝物庫アイテムボックスを開いた。


「さて、更なる褒美だ。其方は<筆頭従者長(選ばれし眷属)>ではないが、特別に我がコレクションから武具をやろう。好きなものを一つずつ、武器と防具を選ぶがよい」

「「おぉ」」


 周囲の吸血神ルグナド様の眷族衆から、様々に声が谺した。

 空間の裂け目から、凄まじい魔力を放つ武具の数々が浮かび上がる。

 どれも神話(ミソロジー)級の逸品ばかりだろう。


 見ていた<従者長>ラムーが寄ってくる。

 ルグナド様は、


「鑑定は自由にしていい」


 その言葉に頷くと、ラムーは、すぐに霊魔宝箱鑑定杖を掲げて鑑定を始める。

 だが、俺は、もう決めた。

 一つは、真紅の槍身に黒い血管のような脈動が走る魔槍。

 もう一つは、闇夜を織り込んだような漆黒のマントと軽鎧が一体化した防具。


 二つとも<血魔力>と相性が良さそうだ。


「この魔槍と鎧にします」

「良い目利きだ。二つとも神話(ミソロジー)級。魔神槍・血河(ブラッド・ストリーム)夜魔の神血鎧ナイト・ブラッドアーマーだ」

「では、いただきます」


 ルグナド様が満足げに頷く。

 魔神槍・血河か。手にしただけで、<血魔力>のパスが通る感覚がある。

 恐らく、魔力を通すだけで自然と<握吸>に似た効果を発揮するだろう。

 <血刃翔刹穿>との相性も抜群だ。


 使い込めば確実に、新たなスキルを得られそうな予感がする。  

 頷き、二つともアイテムボックスに仕舞った。


 そして傷場の方へと向き直った。

 次元の裂け目の向こう――そこにあるのは、惑星セラの南マハハイム地方の十二樹海の地下。

 地上には『サイデイル』がある。


「……ルグナド様。リヴォグラフはここを捨てて逃げましたが、向こう側――樹海の地下に残された奴の軍勢はどうなっていますか?」


 俺の問いに、ルグナド様は冷ややかな視線を傷場へと向ける。


「……主に見捨てられた『蜥蜴の尻尾』か。指揮系統を失い、魔界への退路も断たれた……遠くに闇神リヴォグラフ側が支配する傷場もあるとは思うが、遠いだろう。なればこそ、厄介な生き残るために死に物狂いで暴れ、既存の勢力と衝突し……遠くの闇神リヴォグラフ側が支配する傷場まで撤退戦となろう。その戦火は、連鎖的に広がる。また一枚岩ではなくなる可能性もある。一部は、死に物狂いで地上の光を求めるかも知れぬ」

「地下も色々。獄界ゴドローンの地底神連中、魔神帝国、オーク大帝国のオークたち、旧神ゴ・ラードなど旧神勢、そんな連中がひしめく地下社会では、大規模な潰し合いが行われている」

「うむ」

 

 俺たちのサイデイルは地上だが、放っておけない。

 一箇所に留まっていてくれれば殲滅も楽だが、散らばられると後が面倒だ。


「然り。ただでさえ、混沌の樹海。故に、急ぐがよい。家の床下で火種が燻っているようなもの」

「はい」

「そして、南マハハイム地方の十二樹海には、我の、〝血の陰月の大碑〟が残るのだが……」

「あ、そのことはファーミリアから聞いています」

「そうであったか。かつて所有していた土地。〝世界樹ノ根〟を通した移動も、もう南マハハイム地方の十二樹海からは行われていない」

 

 吸血神ルグナド様の言葉にファーミリアが頷いた。

 ファーミリアから昔、古代狼族たちへの対処の願いをされている。


「はい、樹海のハーヴェストの泉、キュルハ様とレブラ様の同盟の血碑、血の陰月の大碑。ですね。そこは古代狼族のヒヨリミ様と話をして、自由に訪問の許可を求めようかと。できたら、土地を譲ってもらおうかとも、考えています」

「……譲るか。甘いな……だが、南マハハイム地方の十二樹海の管理権は、光魔ルシヴァルのシュウヤたちが握っている。とやかくは言うまい」


 ルグナド様が試すように微笑むと、ふと、真剣な眼差しで俺を見つめ直した。

 その視線には、神としての威厳と、次なる覇道を見据える王者の光が宿っている。


「それと、シュウヤよ。セラ側へ戻るならば、西方の情勢についても伝えておく必要がある」

「西方……さきほどのエイジハル血院のことですね」


 ルグナド様は頷き、


「うむ。エイジハル血院のあるエイハブラ平原のさらに西北……【ドンレッド蛮王国】の都市、【バルムスの大街衝】の地下。そこには、我が眷属ドムラピエトー家の傷場が存在し、筆頭従者長バムアが活動しておる」

「……ドムラピエトー家。吸血鬼十二支族の一角、バムアの名も聞き及んでいます」


 俺の言葉に、ファーミリアも静かに頷く。

 かつてヴァルマスク家を統べていた彼女ならば、その名は当然知っている。


「左様。バムアたちは長らく、リヴォグラフの勢力など、地上の各勢力と拮抗し続けておる。更に、此度の戦いでヴァルマスク大街の傷場が落ち、リヴォグラフの勢力が削がれたことで、古都エイジハルを巡る地下の大動脈の戦況も、劇的に変化するだろう。地底神側や旧神、古代ドワーフの軍に、闇神リヴォグラフ側は、敗れているかも知れぬがな? とにかく、バムアたちは機を見るに敏だ」


 頷いた。


「西もエイハブラ平原の地下は広大なのですね」

「うむ。セラと魔界の地下は、別に世界と言えるほどに、地上とは環境が異なる。また、南マハハイム地方の十二樹海とも地下を通して、あらゆるところに通じている」


 だろうな……。

 ヴィーネたちも頷いていた。

 吸血神ルグナド様は、


「バムアたちだが、セラの【ドムラピエトーの傷場】を守る味方は多い。吸血神信仰隊も独立都市ヘルキオスにいる。そこには魔界騎士ヘルキオスと<従者長>モモルもいる。しかし、あの者たちは独自に動く存在だ。シュウヤたちのことは情報を得ていると思うが、連携は難しいかも知れぬ」

「了解です」


 俺の言葉の後、ラライセが希望を見出したように顔を上げ、


「――ご安心を、私たちがいる。それに、バムア殿が動けるのであれば、妹のヒミィレイス救出にも、強力な援軍が期待できます!」


 続いてファーミリアが、


「吸血神信仰隊の十三長老の一人コドリスとは、かつて、共闘した間柄です」

「あの、これもあります。〝血の魔札エイジハル〟です」


 キサラが吸血神ルグナド様たちに見せる。

 更に、ファーミリアが、


「はい、ルグナド様、この〝ルグナドと宵闇の灯火王冠〟もあります。これがあれば、〝永劫の血石〟などの深刻であれ……ヒミィレイスならば……【血の源泉の間】も健在ならば……」


 と、発言した。復活も完全には無理そうな言い方だ。

 吸血神ルグナド様は一瞬涙ぐむながら、俺を見て、「うむ……運命の羅針盤だったな……」と何かを言いたげに見つめてきた。ラライセは、その短い言葉に体を震わせて泣き始める。


 ルグナド様も涙を流してから、


「……我が見た光と闇の狭間……救う鍵……新しい縁を結び、未来を繋げ……」


 と小声で呟き、遠い目をなった。

 

「……ヒミィレイスさんのことなら挑戦しますよ、サイデイルの地下の安全を得てからですが」

「「おぉ」」


 ルグナド様の眷族衆が歓声を発した。

 ルグナド様はラライセと【血の守護騎士団】を見てから、唇が震え、「光魔ルシヴァル、シュウヤなら、ヒミィレイスを託せる……ラライセ、エイジハル家の皆も良いか?」


 ラライセと【血の守護騎士団】の方々は一斉に吸血神ルグナド様を凝視。

 そして、「「「ハッ」」」と返事をしていた。

 ラライセも、吸血神ルグナド様と俺を見て、


「はい、命があれば、それで良いです。お願いいたしますシュウヤ様……」


 その言い方からして、ヒミィレイスさんが、復活できたとしても、吸血神ルグナド様の眷族ではないぐらいの立場になるってことだろうか。


 まだ、それぐらいしか理解していないが……。


「はい、まだ先ですが。更に言えば、闇神リヴォグラフ側は、セラを含めて、まだまだ戦力を保ち続けていますからね」

「……たしかに。あやつに取っては、所有する傷場の一つを失った程度の認識だろう。【闇神異形軍】や【暗夜十三の執行者】も、【幻瞑暗黒回廊】からの【異形のヴォッファン】軍など、数が多い」


 ルグナド様の言葉に力強く頷いた。

 そのルグナド様は、


「では、ラライセたち。援軍として<筆頭従者長>ラミドスラ、<従者長>カトガを、この傷場の完全な占拠に向け、セラ側に、向かわせる」


 傍に来た大眷属の吸血鬼(ヴァンパイア)の二人が、頭を下げ、「「はい、お任せを」」と発言。

 ラライセたちも、


「「了解」」

「「承知!」」

「うむ、セラの地下側に乗り込み、その場にいる闇神リヴォグラフ側を踏み潰せ、傷場を完全に我が物にせよ」

「「「「おう!」」」」


 吸血鬼(ヴァンパイア)たちの勇ましい声が響く。

 サイデイルの防衛、残党狩り、そして西方のヒミィレイスとドムラピエトー家。

 やるべきこと、進むべき道は明確だ。

 魔槍杖バルドークを担ぎ直し、決意を込めて傷場を見据えた。

 ヴィーネが、


「行きましょう、ご主人様。私たちの『家』を脅かす者は排除し、新たな道も切り拓きましょう」


 ヴィーネの言葉に頷いた。

 決意に満ちた瞳で俺を見る。

 ユイ、キサラ、そしてすべての眷族たちが頷く。


「あぁ。掃除の続きだ。セラ側の闇も、綺麗さっぱり片付けるとしよう」

「ンン、にゃ~」


 相棒は黒豹のまま傷場に近づく。

 

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