二千五十六話 魔槍の連撃、六眼の魔将を穿つ
魔導干渉塵が風圧に煽られ、黒い霧のヴェールが急速に千切れていく。
露わになったのは灰色の荒野を埋め尽くさんとする敵の影だ。動揺している四眼四腕の魔族衆の背後から、ひときわ巨大な影が躍り出た。
「怯むな、冷静に、中心にいる黒髪の魔槍使いを仕留めろ!」
野太い声で叫ぶリーダー格の四眼四腕が現れる。
殺氣立った四つの瞳が俺を正確に捉えていた。
二基目の魔神具を守る敵集団の数はどんどんと増えていく。
だが、一つの魔神具、魔導干渉塵の大本を破壊したおかげで、今まで見えなかった戦場と、敵たちは見えている。
四眼四腕の魔傭兵集団は、リーダー格を軸に密集陣形を再構築。
盾を重ねて魔法の障壁を展開している中隊もいる。バイキングを連想する。
今の<魔槍技>、<紅蓮嵐穿>の威力を見ても逃げずに戦うか。当たり前だが、これは戦争なんだよな、しかし勇氣がある。魔界セブドラの戦争を戦う魔傭兵、四眼四腕、ヴァクリゼ族、シクルゼ族、デクルゼ族と似ているが、いずれにしても劣らずの精鋭たちか。
盾の集結と半透明の魔力の障壁で、<紅蓮嵐穿>を防ぐ自信があると見た。
その四眼四腕の数は二基目の魔神具を破壊させまいと、先程から数を増やし続けていた。これは当初の目算を遥かに上回る。
窪地の底から這い上がる黒い津波のように膨れ上がっていくのを見ると、背筋に寒いものを得た。だが、それすらも楽しめる……。
勇氣も得るように見ながら――<月冴>。
加速した感覚の中、右腕の戦闘型デバイスの表面にホログラムのアクセルマギナが明滅する。
『マスター。一基目の消滅を確認しましたが、敵の予備回路が作動。残る二基の魔神具周囲に、物理・魔導の複合障壁を確認。更に、千人長クラスの精鋭個体……五百以上の伏兵、数百の接近を検知。一段上の出力を推奨します』
神槍ガンジスを握り直し、網膜に投影される赤い光点を見据えた。
そこに、天を割るような鋭い三日月状の銀閃が最前線の敵陣を横に薙ぎ払った。
「――弟子、見事な<魔槍技>です。そして、これらの羽虫は、私たちが焼き払おう!」
凜々しい女性の声。
断罪槍のイルヴェーヌ師匠。
銀色の残像を曳きながら右前を駆けていく。
断罪槍の一突きで、四眼四腕の魔族を二人屠っていた。三人目の四眼四腕の魔族と蛾のモンスター兵の体を紙のように貫いていく。
「うん、お弟子ちゃん。右側の一部は私たちが対処するから――」
鈴の音のように可憐でありながら、芯に熱を宿した声の持ち主、雷炎槍流のシュリ師匠も続く。
雷炎槍エフィルマゾルから紅蓮の炎と紫電を撒き散らし、接近する魔蛾兵たちを一瞬で炭化させていった。
「おう――」
骨装具・鬼神二式を着ているトースン師匠が〝魂喰いのイーター〟をぶちかまし、多数の重装の鎧を着た魔蛾兵を倒していく。
巨大な槍を叩きつけて地面ごと敵を粉砕していた 。
「カカッ、若いのには負けておれんの!」
グラド師匠が豪快に笑いながら槍を振るい、血路をこじ開けた。 二基目の魔神具への道は開かれた。
「「ブシャァァァ」」
「「――新手を潰せ」」
蛾の大型モンスターの群れ――。
上空から翅を背に持つ重装を身に纏う厳つい魔蛾兵たちが低空を飛翔しながらやってきた。
盾を構えた中隊規模の魔傭兵たちを越えてくる。
まずは、そいつらに向け――。
左手首を差し向け、掌の地丘を照準に見立て、<鎖の因子>の印から<鎖>を射出した。
更に、五つの――<光条の鎖槍>を連続発動。
ヒュンッ、ドシュッ!
二つの<鎖>は、大型の蛾の群れを掃除するように次々に貫いていく。
光槍は重厚な鎧を豆腐のように貫通し、深く突き刺さった。直後、突き刺さった光槍の後部が螺旋状に蠢き、魚を捕らえるような光の網となって魔族の巨体を覆い尽くし、亀裂のような網傷を全身に走らせる。
「ガァッ!?」
悲鳴は一瞬。
光の網は鎧ごと体の内へ浸透し、深く刻まれていくと賽の目のようにバラバラとなった。
積み木が崩れるように肉片の山となって地面に散らばっていく。
「よし、効く。次だ!」
チャージの時間が必要な<光条の鎖槍>はしばし封印。
両手首の<鎖の因子>を操作し、蛾の大型モンスターから、重装を身に纏う厳つい魔蛾兵たちへと、<鎖>を差し向けた。
二つの<鎖>で二人の足を絡め取る。
重厚な鎧を来た魔蛾兵を強引に引き寄せ――。
魔槍杖バルドークの穂先で<風研ぎ>で出迎えた。「ぐぇぁ――」
と紅矛と紅斧刃が突き抜けた。
やや遅れて<鎖>を片足に絡ませた魔蛾兵を引き寄せ、左手の神槍ガンジスの<光穿>――。
――魔蛾兵の体を突き抜けた双月刃。
魔蛾兵は胸から蒼炎に包まれ消えていく。
溶けた重装の鎧が床に落ちた。
だが、まだまだ敵は多い。
「「グォォ」」
「「しねぇぇ」」
左側から近づいてくる重装鎧に魔蛾兵に<超能力精神>を浴びせ、吹き飛ばす。
<血液加速>を強めて前に出た――。
正面の、蛾の大型モンスターの死骸を乗り越えてきた重装の魔蛾兵との間合いを詰める。
その頭部に――<神聖・光雷衝>。
光の衝撃波を浴びせと兜ごと一瞬で溶けるように上半身が消し飛んだ。
そこで、右側を凝視。
大軍は、九槍卿とバフハールたちのおかげで、次々に倒されていくのが見えた。
二基目の魔神具を守る複合障壁は、敵の大軍で消えたように見えたが、また見えた。
「ん、フォローは任せて」
「うん――」
エヴァとレベッカだ。
金属の足で宙を蹴るように飛翔していく。
サージロンの球を飛ばしながら蛾のモンスター兵を撃ち落としていく。
彼女の放つ念導力の連射が、混乱した敵の指揮系統を正確に穿つ。
「シッ!」
ユイが体勢を崩した敵の首を神鬼・霊風で鮮やかに斬り捨てる。続けて前進し、<銀靱・壱>の袈裟斬りを、次の重装の鎧を着た魔族の胸に浴びせて倒していた。
「援護します!」
ヴィーネも続く。
翡翠の蛇弓から放たれた<速連射>が、奥から飛来した蛾のモンスターの頭部を射貫く。
「にゃご――」
黒豹も紅蓮の炎を吐いて、重装の鎧を着た魔族を焼き払う。
二基目の魔神具がはっきりと見えた。
それを守るべく、四眼四腕の魔傭兵たちがリーダー格の号令の下で密集陣形を再構築していく。
またも盾を隙間なく重ね合わせ、半透明の多層障壁を展開した中隊規模の防陣は、まさに「鉄壁」と呼ぶに相応しい威容を誇っていた。
ファーミリアが俺の前に立ち、
「――シュウヤ様、お待ちを」
「おう、あの盾使いの部隊は硬そうだな」
「はい、光魔ルシヴァルの道を阻むとは、無粋な連中ですわね」
不快そうに鼻を鳴らしたファーミリア。
サンスクリットの血霊剣を左手に、右手にヴァルマスクブレードを持つ。
冷徹な視線で盾の壁を射抜く。
ビュシエが、
「陛下、障壁の魔力循環に揺らぎを確認しました。一氣に崩します」
と、冷静に告げると同時に<血道・石棺砦>を直進させ、障壁に衝突させていく。
カルードも流剣フライソーと幻鷺を振るい回し、障壁を斬っていくが、障壁は回復も速い。
ベネットが〝ラヴァレの魔義眼〟を使い血の弾丸を射出し、障壁に浴びせていく。
ヘルメの氷槍、闇雷精霊グィヴァの<雷雨剣>が障壁に決まる。
ルリゼゼの曲剣が、接合部を斬ると、連鎖的な爆発を引き起こす。
「――我も――」
ルリゼゼが風を纏うような軽やかな足取りで地を蹴った。彼女の振る曲剣の刃が、障壁の揺らぎを突き、盾の隙間から傭兵たちの喉笛を次々と斬り裂いていく。
崩れゆく障壁の隙間へ、魔槍を構えて踏み込む。
「――障壁を崩す」
<ルシヴァル紋章樹ノ纏い>を発動。
速度を増して、障壁が瓦解し始めた中心部へと突っ込んだ。
「ングゥゥィィ!」
肩の竜頭装甲が咆哮し、闇と光の運び手の黒光りが周囲の光を吸い込むように輝く。
「何――ぐぁぁっ!?」
盾を構えていた魔傭兵の一人が突進による風圧だけで吹き飛ぶ――。
そこへ六本の腕を持つ千人長クラスのリーダー格が、三本の魔槍を同時に突き出してきた。
<風柳・異踏>は使わず、<月冴>で軌道を読む。魔槍杖バルドークの螻蛄首で絡め、強引に横へと逸らす。一歩踏み込み、無防備になった胴体へ、左手の神槍ガンジスを突き出す、<血刃翔刹穿>――
千人長が咄嗟に重ねた三本の腕と魔剣を<血魔力>を保つ紅矛が貫き、その体も穿った。
紅矛と紅斧刃の穂先から大量の血刃が迸り、背後にいた魔族たちと衝突し、その体を貫き、鎮座していた二基目の魔神具の核を直撃した。
高音の破砕音が響く。
二基目の魔神具が結晶の塵となって崩壊した。拠り所を失った多層障壁が、ガラスが割れるような音を立てて霧散していく。
窪地を覆っていた隠蔽の幕が剥がれ落ちた。
魔盾使いの連中の一部は、魔盾から魔力障壁を展開しながら後退していく。
後退した先には、三基目、
「――二基目、沈めたぞ。師匠方、一氣に詰めましょう!」
「カカッ、ようやった! 後は空の蛾と三つの目魔神具か――」
グラド師匠が障壁が消えた戦場を滑走し、逃げ遅れた傭兵たちを次々と串刺しにする。
「ん、空の敵も増えた――」
エヴァが骨の足を魔導車椅子のステップに置きつつ上昇。サージロンの球と白皇鋼の刃を操作し、瓦解した魔傭兵の連中を一人一人射貫くように地面に縫わせていく。
空には、まだ蛾のモンスター兵が黒い雲のようにひしめいているが、レベッカが、
「うん、けど――」
と、ペルマドンを操作するように、ユイとルリゼゼの盾として前に展開させながら、幾つ物の蒼炎弾を繰り出す。
更に<光魔蒼炎・血霊玉>も繰り出した。
蒼炎弾と衝突した蛾のモンスター兵の一部は、巨大な頭部から連なっている背骨と翅が溶けていく。
<光魔蒼炎・血霊玉>の蒼炎の勾玉の塊は直進し、触れる直前に蛾のモンスターは溶けていた。
そんな火力を見せたレベッカに、左側から半透明な蛾が無数に飛来――。
即座に、氷縛柩で迎撃、<鎖型・滅印>も発動。
二つの<鎖>で、氷縛柩と衝突し、宙空に跳ねた半透明な蛾モンスターを貫いていく。
続けて、「ガォォ――」と叫ぶナイトオブソブリンが、レベッカの死角を補うように飛び出た。
ナイトオブソブリンは、左斜め上空を守るように飛翔し、漆黒の巨躯から苛烈な雷撃が奔る。
紫電が半透明な蛾モンスターに突き刺さった。
宙空から焦げ付いた魔力の臭気が立ち込めると、その半透明な蛾モンスターは消えていく。
その間にも、前方から重装の鎧の魔蛾兵が寄ってくるが、ヴィーネが、翡翠の蛇弓を鮮やかに引き絞り、
「――勇猛ですが無駄――」
と、放たれた光線の矢が直進し魔蛾兵の眉間を正確に射抜いて倒す。
アドゥムブラリも<魔弓魔霊・レポンヌクス>と<魔矢魔霊・レームル>を使う。
無数の赤い魔矢が、音もなく空を渡り、魔蛾兵たちの防御を透過するように胸へと吸い込まれていく。内から魂を食らい尽くすように爆発。
ミスティの操る魔導人形のゼクスが、機械的な精密さで追撃を加える。
展開された魔導兵装の銃身が火を噴き、混乱に陥った敵兵を穴だらけに処す。
重機関銃のような掃射で一掃していく様は圧巻だ。死体も飛び散ったが、死体は塵になることが多い。そして大量の血飛沫と魔力は、皆の栄養となるように吸収している。
相棒は少し離れた場所で、ハンカイたちが突撃していた側面に向け、紅蓮の炎を吐いていた。
『ご主人様、ロロ様が助けてくれました!』
『ご主人様、いまそちらに――』
サザーとママニの血文字だ。
その二人は、荒ぶる巨大な黒虎ロロディーヌの横を駆けている。
すると、俺たちの右奥、最後の魔神具の一基を守っている部隊の一部が陣形を変化させた。
そこから六眼六腕の魔族が現れる。
指示を飛ばし、魔盾を活かした部隊と合流し、重厚な盾を連ねていく。
更に、魔導障壁を幾重にも重ねる鉄壁を敷く。
「盾の部隊の一部と合流か。あの連中を、先程と同じく撃破しよう」
「「はい」」
「では、先に、ゼメキスとアドモスたちに先陣はもう譲りません――」
ファーミリアが突出。
「ぬぬ!」
「我らは――」
左を直進していた光魔魔沸骸骨騎王のゼメタスとアドモスは、吸血神ルグナド様の<筆頭従者長>レカーが苦戦していた敵将と相対して、倒していたところだった。
ファーミリアは、右に出ては、サンスクリットの血霊剣を振るい、障壁と魔盾の一つを斬る。即座に右腕の<龕喰篭手>を突き出し、強固な魔力の壁を無理やり喰い破る。
その抉じ開けられたわずかな亀裂へと、ユイとルリゼゼが同時に踏み込んだ。
ユイの神鬼・霊風が盾の隙間から傭兵の首を跳ね、ルリゼゼの曲剣が障壁の歪みを突いて連鎖爆発を引き起こす――。
動揺が広がる陣の中央へ、キサラのダモアヌンの魔槍が直進した。
<補陀落>だろう。
ダモアヌンの魔槍は障壁を紙のように突き抜け、盾を構えた数人を一度に屠る。
仕上げとばかりに、ヘルメの放つ《氷槍》が頭上から降り注ぎ、足を止めた敵兵を氷の柱へと変えていった。
そこへ、ビュシエが巨大な質量を叩きつける。 <血道・石棺砦>によって顕現した石棺が、障壁を維持していた魔盾部隊の一部を、その重圧で頭から粉砕していった。
石棺による質量攻撃が盾の陣を粉砕する中、ビュシエが俺へと鋭い視線を向け、右手を高く掲げた。
「陛下、道を造ります! 跳んでください!」
彼女が掌を地面に叩きつけると同時、瓦礫の山から巨大な石棺が猛然とせり上がった。
それは幾重にも重なり、敵将へと続く天への階段、あるいは高台のような足場を瞬時に形成していく――迷わず地を蹴った。
<血液加速>を限界まで引き上げ、形成されたばかりの石棺の天面を踏みしめる。一歩ごとに石を砕くほどの勢いで跳躍し、密集する魔蛾兵や盾持ちたちの頭上を、弾丸のごとき速度で通り抜けていった。
そこへ、上空から巨大な影が音もなく降りてくる。
「にゃごぉぉーー!」
相棒の黒虎ロロディーヌだ。
宙空を滑走するように近づいた神獣は、その体から幾本もの触手を鞭のようにしならせ、俺を追撃しようと色めき立つ敵部隊を上空から急襲した。
鋭い触手の先端が魔蛾兵の鎧を貫き、横なぎの衝撃が四眼四腕の傭兵たちを木の葉のように吹き飛ばしていく。相棒が切り開いた空白地帯。
その先に、最後の一基を背に守る六眼六腕の敵将がいた。宙空で身を捻り、魔槍杖バルドークを右手に引き絞り<勁力槍>と<握吸>を改めて再発動――。
石棺の最上段から――。
敵将の脳天を目がけてジャンピング――。
――<魔雷ノ風穿>。
魔槍杖バルドークの穂先から激しい紫電が迸り、圧縮された風の渦が螺旋を描いて敵将へと殺到する。
六眼六腕の将は、
「ぬぅぅ!? これしきの――!」
三本の魔槍を交差させ、全力で俺の一撃を受け止めにかかった。
凄まじい衝撃波が周囲に広がり、足元の地面が同心円状に陥没していく。
だが、俺の重力と速度を乗せた一撃は、将の予想を遥かに上回っていたはず――。
<魔雷ノ風穿>の生み出す圧倒的な力と勢いに、敵将の強靭な六本の腕が悲鳴を上げるように撓む。
「グ、ガァァッ!?」
将は四つの脚を踏ん張ろうとするが、バルドークから放たれる風雷の圧力に抗いきれず、ズルズルと後退していく。その足跡は深く地面を削り、彼が背負う魔神具との距離が絶望的に縮まった刹那――。
六眼を見るように<仙羅・幻網>を発動――。
ゼロコンマ数秒遅れて、<隻眼修羅>と<滔天魔瞳術>を発動。
「!?」
一瞬で決める――。
<脳脊魔速>と<仙血真髄>を発動。
素の<導想魔手>の拳を六眼六腕の将の頭部に向かわせた。ほど同時に、左手の白蛇竜小神ゲン様の短槍を召喚し、それで、<白蛇竜異穿>を繰り出した。
短槍から無数の白蛇竜が前方に迸り、将の腹を突き抜けた。その勢いのまま、三基目の魔神具をも白蛇竜が貫通し、核を粉砕した。
「グェェ――」
衝撃で吹き飛び仰け反った六眼の将から、氷の粒のような血飛沫が迸る、それを魔力を<火焔光背>で吸い寄せ、魔力を得ながら前進した一弾指――。
魔槍杖バルドークで槍圏内に入りつつ魔人の首を凝視し、首目掛け<魔皇・無閃>を繰り出した。
将は体を傾け反応したが、遅い。
紅斧刃が首を捉え、頭部の顎を潰すように処した。
――<霊仙酒槍術>。
――<戦神グンダルンの昂揚>。
――<霊仙八式槍舞>を繰り出す。
息つく暇も与えず魔槍杖バルドークで頭部を再生させていく将の胸を再度突く――。
右手の白蛇竜小神ゲン様の短槍で、その胸の奥にあるコアらしき弱点を突く――。
瞬間的な二連<刺突>系から横回転を行う――。
流れるような足捌きと連動するように、魔槍杖バルドークの峰を左に傾けながら引きつつ、紅矛で将の胸を斬り――。
右手の白蛇竜小神ゲン様の短槍を右側へ動かしながら引き、杭刃で将の腰から太股を斬る。
魔槍杖バルドークの柄が将の腰と衝突――。
ドッという衝撃音が響く。震動を白蛇竜小神ゲン様の短槍の柄越しに得た。
そして、横回転後――。
白蛇竜小神ゲン様の短槍の打撃と、穂先の撫で斬りが――将の体に再度決まる。
突かれ斬られの八連続攻撃を喰らった将だった体は全身から霜を発しながら消えていく。
同時に、戦場を覆っていた重苦しい魔導干渉塵が急速に薄れていく。
周囲の霧は完全に消え、露わになったのは、俺たちに動揺を示すように唖然としている敵軍の姿だった。
そこに黒い影、否、ロロディーヌが舞う――。
「にゃごぁぁ」
無数の触手から伸びる。
前方にいた蛾系の六眼四腕の魔族たちの体に触手骨剣が突き刺さっていく。
「――閣下、お見事! 敵は光魔ルシヴァルの威光に戦慄しています!!」
ヘルメが体の一部を水状態にして、俺の右半身と重なった。
続きは明日、HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1巻-20巻」発売中。
コミック版は1巻-3巻発売中。




