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千九百七十六話 ゴーレムの女王と大型の蜘蛛モンスター

「……これは……」


 シャイナスが息を呑む。俺もまた言葉を失っていた。


「驚きだ」


 バフハールも驚いている。

 同意するように、<闇透纏視>と<隻眼修羅>を発動した。

 蜘蛛の糸のような物に絡まっているのは、先程まで死闘を繰り広げていた蛸頭のゴーレムたち。

 魔力の流れが豊富すぎて、目がちかちかする。

 

 ゴーレムたちは繭の中で静かに眠る蛹にも思わせる。

 その数は、数百……否、千は下らないだろう。


「あ、モンスター、蜘蛛の!」


 フーの指摘したように蜘蛛の糸の出本には、巨大な蜘蛛型のモンスターがいた。

 複数の脚と口元に、腹にも、糸を出す大小様々な突起物がある。あれが『糸いぼ』か。

 タランチュラのような多脚は八本以上ある。

 マネキグモとキムラグモにも似ているか。

 毛の模様で天井の星々の絵柄を再現しているようにも見えたが、微動だにしない、目の錯覚か。


「あの蜘蛛、蝋人形?」


 と、思わず呟いた。

 レベッカが、


「本物よ」

「ん」


 エヴァも頷いた。

 大蜘蛛モンスターが内包している魔力量は膨大。かなり強そうに見えるが、動いていない。巨大な口からは、大量の蜘蛛の糸が下に放出されたままで、巨大な蜘蛛型のモンスターは固まっているように見えた。


 その蜘蛛の頭部から放出されている蜘蛛の糸や蜘蛛の巣に引っかかっているゴーレムたちも多いが、他にも強靭そうな金属製のケーブルと鎖と樹の枝のような物が、蜘蛛の巣のような形で多数展開され、そこに囚われたままのゴーレムたちも多かった。


 総じて、無数のマリオネットを思わせる。

 宙吊り状態の人型ゴーレムもいた。

 タロットカードの吊された男を連想させる、ヘブライ語の最終の文字であるTタウの十字をも連想させた。

 とにかく、異様な雰囲気だ。

 

 そして、天井付近にいる大蜘蛛モンスターが小さく見えるほどに、ここは広い。

 先程の円形広間を遥かに凌ぐほどの巨大なドーム状の空間。

 天井と壁には星辰の回廊と同じく本物の夜空と見紛うほどの精緻な星々が描かれ荘厳な光を投げかけている。

 だが、そんな荘厳さとは裏腹に空間を満たしているのは無機質な静寂と、かすかに漂う金属とオイルの匂いだった。


 ここはゴーレムの製造工場? あるいは修復ドックでもあった?

 永劫の時を経て、主の命令を待ち続ける、無機質な軍隊の揺り籠の面を想像させるが、あのモンスター生きているなら、俺たちに反応しそうなんだが、冬眠中?


「……マスター、あの大型以外は、各個体から微弱なエネルギー反応があります。全体的に休眠状態にあるようです。しかし、柱と壁に天井もですが、ゾディアック的な魔法陣、エネルギーを取り込める仕組みが内部にあり、この空間全体が一つの巨大なシステムとして機能しているようです」


 アクセルマギナが冷静に分析結果を報告する。

 彼女の言葉を裏付けるように、クナが月霊樹の大杖をかざしている。


 険しい表情も美しいクナを見て、


「地脈の魔力を、柱と床の魔機械で吸い上げて貯蓄……アクセルマギナの言う通り、巨大なバッテリーでもある、と」


 と聞いた。クナは頷き、


「はい。更に天井の星辰魔術は、この遺跡のほんの一部。宇宙の神々の星座とゾディアックに連動しています。おそらく、イーゾン山そのものが巨大な魔法陣として機能しているのでしょう」

「山全体が魔法陣……?」

「ええ。邪界ヘルローネの黒き環(ザララープ)の破片の影響も考えられますが、関連は不明です。……これは予想ですが、イーゾン山の八つの峰それぞれに、これと似た施設が存在し、すべてが連動して魔力を内外から得ている……そして、その集められた魔力の一部が、あそこへ」


 クナが杖の先で示したのは、広間の最奥。

 他のゴーレムたちとは一線を画す、玉座のような台座の上に鎮座する一体の存在だった。

 巨大な蜘蛛モンスターの口とお尻から出ている大量の蜘蛛の糸が絡んだままか。

 

 そのゴーレムは、女性的な流線型のフォルムを持ちながらも巨躯は他の個体を圧倒している。

 白磁のような滑らかな装甲は星々の光を優雅に反射し、眠れる女王のような氣品を漂わせていた。

 だが、その閉ざされた頭部の奥からは、他のすべてのゴーレムを支配する、強大で冷徹な意志の力が感じられた。


「……あれが、この工場の炉心……マスターユニットとして、モンスターに襲われていた? でもモンスターも動きを止めているし不思議」


 ミスティが、技術者の目で獲物を見定めるかのように呟く。


「はい、今にも動き出しそうです、ですが、数百年は、このままのはず」

「そうですね、油の匂いは……遺跡からでしょうか……」


 ヴィーネとキサラの言葉に、エヴァが「ん、待って」と、静かに制止の声を上げた。


「……床に、圧感式の罠と壁の幾何学模様と繋がっている」

「はい、音響トラップでしょう」


 アクセルマギナの言葉に、ラムーが、


「その罠は、そこの色が黒と赤の壁と床です。数カ所の罠が連動する仕掛けのようです」


 と、言いながら霊魔宝箱鑑定杖を掲げ指摘した。

 そして、ミスティが、


「特定の周波数に反応して、この部屋全体のシステムを起動させる仕組みかも」


 と発言。俺が、


「音か。つまり、下手に動けば、この眠れる軍隊を一斉に叩き起こすことになる?」

「あくまでも仮説……よね?」


 レベッカの言葉に、レザライサが、


「どちらにせよ、先程のように戦うまで」と言うと、「そうじゃな」とグラド師匠が言い前に出た。


 妙神槍流ソー師匠たちが、


「数が多いから先に潰しておくか?」

「あぁ、そうだな」

「動いてからでも俺たちならいけるだろう」


 トースン師匠は悪愚槍を振るいながら右に移動した。

 悪愚槍の穂先を人型ゴーレムに向ける。

 魔人武王ガンジスの弟子から取り戻した悪愚槍の魔槍が、また渋い。


 漆黒が貴重で、銀の髑髏がアクセントか。

 紫の雷魔力を纏っている帯のような布には、魔城ルグファントの印が刻まれていた。


 その穂先に合わせたように獄魔槍の穂先を他のゴーレム集団に向けたグルド師匠が、


「先程のゴーレム集団も、中々の歯ごたえがあった」

「……ここは広い、女帝槍流も派手に使える」

「ふむ、ゴーレムならば、塔魂魔槍の<反魂刃突>は使えそうにないが……」


 と師匠たち語る。


「音、特定の周波数による作動の可能性は高いですわね」

「にゃ~」


 相棒は黒虎に変化する。戦いの氣配を感じているようだ。

 では、俺たちは虎の尾を踏むどころか、その巣穴のど真ん中に足を踏み入れてしまったということかな。


 エトアは、


「では、音響トラップの周波数を特定し、逆位相の音をぶつければ無力化できるかもですよ。あ、床にも罠があるかもですから、慎重に……あの分かりやすい赤茶の床の部分は罠です。あれから解除してみますか?」

「了解した、挑戦してくれ」

「はい、解除を試みます」


 エトアの眼は真剣だ。自信を覗かせる。

 右腕と左腕を構えた。指先は小さいが、甲の防具は大きい。そのドラゴンの鱗が目立つ渋い甲から魔力が溢れて、甲からドラゴンの鱗の飛び出ていく。群れが宙空に出て止まり浮遊し、四方に魔線が展開、丸い魔法陣となった。

 魔法陣から子鬼のような存在が無数に溢れ出て、それら子鬼のような者が、赤茶の床とその周囲に溶け込んでいくと、カチッとした音が連続的に響き、音響が周囲に響く。罠を解除したか。


 だが、何の前触れもなく、けたたましい警告音がドーム全体に鳴り響いた。


「なっ!?」

「罠は作動させていないはず!」


 ミスティとエトアが驚愕の声を上げる。

 見れば玉座に座していた女王ゴーレムの胸部が淡い光を放ち、その頭部で閉ざされていた複数の眼が一斉に真紅の光を灯してこちらを捉えていた。大型の蜘蛛モンスターも不気味な音を発し、動き始めたが、女王ゴーレムに向け複眼から魔光線を放っていく。


「――警告。登録外の生体反応を複数確認。カテゴリー、イレギュラー。脅威レベル、最大。これより、侵入者の排除を開始します」


 感情の欠片も無い、合成音声のような声が、直接脳内に響き渡る。

 直後、天井から吊り下げられていた数百体のゴーレムの眼が同じように真紅の光を灯したが、そこに魔光線を喰らってもビクともしない。


 ケーブルが切り離され、一体、また一体と、ゴーレムたちが重々しい音を立てて床へと降り立ってくる。

 四腕二足、六腕六足、蜘蛛型、熊型、キュイズナー型のゴーレムたちの中には、ドワーフ型もいた。

 腕から魔弾を飛ばしてくる。<超能力精神(サイキックマインド)>を使い、魔弾を宙空に止めてから吹き飛ばした。

 即座に大きい駒の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を召喚し、直進させ、魔弾を防ぎながら、近づいたゴーレムたちに衝突させて吹き飛ばした。幾つかのゴーレムは将棋倒しを喰らったように仰け反って倒れた。


「――なんと!」

「エンチャ~」

ザガとボンを守るようにレベッカが<光魔蒼炎・血霊玉>を飛ばし、蜘蛛型ゴーレムを吹き飛ばす。

 カルードが両刃刀の幻鷺と共に駆ける。甲高い金属音を響かせながら、<白炎一ノ太刀>が四腕二足のゴーレムの胴体を抵抗なく両断した。

 

「ザガとボン、さっきと同じく大人しくしてて、前に出ないで――」

「はい、ここは私たちにお任せください」

「ふむ、ザガとボン、我の背後に移動するのだ」


 バフハールは皆の様子を見るように仁王立ちで、ザガたちの前に立つ。

 

 エヴァは白皇鋼(ホワイトタングーン)の刃を飛ばし、ヴィーネも翡翠の蛇弓(バジュラ)から光線の矢を射出し、〝風朧の霊弓〟からも風の矢を飛ばす。


「にゃご――」


 相棒も左のほうに駆けた。


「左のほうが数が多いわね」


 ユイも左のゴーレムたちに直進した。

 皆と戦場を見るように浮上――。

 まずは守りを固めるのが先決。

 

 <夜行ノ槍業・召喚・八咫角>をエトアとボンたちを守る盾として退かせ、返す刀で《闇壁(ダークウォール)》を展開。

 ゴーレムが腕から放つ魔弾の雨を受け止めさせ、その隙に、反撃の起点となるゴーレム集団へ魔槍杖バルドークの穂先を定めた。


 《氷竜列(フリーズドラゴネス)》を発動――。

 紅矛の前方から、上咢と下咢に氷の歯牙を生やす氷の龍頭が発生――。

 《氷竜列(フリーズドラゴネス)》の龍頭は歯牙を立て、後部から氷の尾ひれを作りつつ宙を突き進む。

 龍頭を象った列氷多頭の氷竜となって螺旋し、直進しては、ゴーレム集団と衝突。

 凍るような吹雪となった。ダイヤモンドダストの光景が右奥に広がる。


「――すみません、罠解除に失敗したようです」

「エトア、罠は解除されたから失敗ではないわ、氣にしないで」

「はい。これは、おそらく、最初から組み込まれていた事象」

「そうですね、私たちが入ってきた重厚な扉の上の縁、床を見れば分かります。蝶番のような仕組みから警告が本体に伝わっていたのでしょう」


 クナの指摘に半身になり、振り返る。

 たしかに、俺たちが入ったばかりのところの、床の金属と魔力は、他とは異なる。


「はい、【八峰大墳墓】に最深部に入った我々の存在そのものが起動トリガーとなってしまったようです」

「そうね、わたしたちの鍵を作り、空けたことも関係ある」

 

 クナとアクセルマギナとミスティの分析に、エヴァも「ん、たしかに」と同意していた。

 ヘルメとグィヴァが左右にから十八番の《氷槍(アイシクル・ランサー)》と<雷雨剣>を繰り出していく。

 だが、ゴーレムは有に千を超える。その鋼の軍勢が確実にこちらを包囲していく。


「――望むところじゃ、皆に交ざろう、弟子よ、広範囲魔法は、もう射たないで良いからの!」

「おう、右に出る! 所詮は鉄屑!」


 飛怪槍流グラド師匠と獄魔槍流のグルド師匠が、右に突進。

 飛怪槍を振るい、獄魔槍を突き出し、ゴーレムを破壊していく。

 他の師匠たちも、眷族たちも、即座に臨戦態勢に入った。

 もう戦いが始まっているが、


「――目標は中央の大型の蜘蛛モンスターとマスターユニットだ。あの女王ゴーレムを叩けば、雑魚の動きも止まるはずだ!」

「「われら、魔界八槍卿の武、その目に焼き付けよ!」」


 八つの伝説が、八つの破壊の奔流となってゴーレムの軍勢へと突撃する。

 グルド師匠の<獄魔破豪>が敵の最前列をまとめて薙ぎ払い、グラド師匠の<影導魔・星影>から放たれる無数の魔槍が、第二陣を串刺しにする。シュリ師匠の雷炎が舞い、ソー師匠の双槍が敵陣を切り裂く。

 だが、敵の数はあまりにも多い。一体倒せば、二体がその穴を埋める。


「キサラ、ユイ、カルードは師匠たちの側面を固めろ! ヴィーネ、レベッカ、エヴァは後方から支援射撃! シャイナス、バフハールは俺と共に中央を突破する!」

「「「御意!」」」

「言われるまでもない!」

「カカカッ、任せろ!」


 神槍ガンジスと魔槍杖バルドークを握りしめ、地を蹴る。

 左右を固めるのは、魔界でも最強クラスの戦士二人。これほど頼もしい布陣はない。


「<魔皇・猟鬼斬>!」

「<幻魔・一天星穿>!」


 シャイナスの黒銀の曲大剣が漆黒の軌跡を描き、バフハールの幻魔千滅槍が一点突破の破壊を穿つ。俺もまた、<双豪閃>で道をこじ開け、マスターユニットへと突き進む。


 だが、女王はただ座して見ているだけではなかった。


「――防衛シークエンス、フェーズ2へ移行。地形制御、起動」


 声と共に、足下の床が突如として隆起し、鋭い槍となって大型の蜘蛛モンスターを吹き飛ばす。

 大型の蜘蛛モンスターは宙空で跳ねる動きのまま、俺たちの真上から急降下――。


 それを見るように大型の蜘蛛モンスター目掛け<雷光跳躍>――。

 魔槍杖バルドークで大型の蜘蛛モンスターの腹辺りに<闇雷・一穿>を繰り出すが、「フシャァァ」と音を響かせながらの無数の多脚が迅速に動いて盾となった。<闇雷・一穿>を防ぎ、硬質な音が響く。


 大型の蜘蛛モンスターは俺から離れ、右の壁に足爪を突き刺し固定。

 複眼で俺と、女王ゴーレムを睨み付けると、師匠たちを含めて、周囲のゴーレム集団にも魔光線を放ち始める。

 

 カオスすぎる状況となった。

 更に、俺たちを串刺しにせんと、天井からは巨大な岩塊が落下してきた。


「――小賢しい!」


 バフハールが幻魔百鬼刀の一振りで岩塊を粉砕し、シャイナスが床から突き出す槍を紙一重で躱していく。

 両手首の<鎖の因子>から<鎖>を射出し、岩塊を貫く。

 更に、<雷炎縮地>を発動、宙空を素早く移動しながら<血龍仙閃>――。

 複数の岩塊と共にゴーレムを真っ二つ――。

 <武行氣>を使い飛翔しながら、岩塊を蹴り跳ばし、潜り抜けては、マスターユニットの目前まで迫った。

 渾身の<血龍仙閃>を叩き込もうとした刹那。

 女王の前に、空間そのものが歪んでできたかのような半透明の障壁が出現し、紅斧刃の一撃を寸前で受け止めた。


「――空間歪曲シールド、展開。物理攻撃、無効化を確認。反撃を開始します」


 女王の六本のアームが、滑らかに、しかし恐ろしい速度で動き出す。その先端から放たれたのは、網目状に空間を灼くビーム状の光線だった。

 回避は、直感に任せるしかない。

 <火焔光背>を展開。即座に<雷光瞬槍>で左へ跳ぶ。

 熱線が頬を掠めて、痛みを味わった。

 光属性もあったようで魔力を吸収できたが、それは一部だけ――。

 直後、またも死角から光が殺到する。

 <仙魔・暈繝飛動(うんげんひどう)>、<雷炎縮地>、<暁闇ノ歩法>。持てる加速力を活かしたスキルを総動員するように連発し、光の檻の中を舞うように、ただひたすらに避け続ける。


 ――女王ゴーレムが凄まじい加速力で、俺についてきた。

 体と手足から伸びた黄金の刃――咄嗟に<血鎖の饗宴>を展開し、身を守る。

 血鎖と黄金の刃が衝突し、鼓膜を劈くような激しい金属音と共に、眩い火花が暗闇を散る。衝撃が腕を伝い、相手の尋常ならざるパワーを物語っていた。黄金の刃を溶かすように破壊したが、女王ゴーレムは<血鎖の饗宴>から逃れるように素早く後退――。

 そこに、大型の蜘蛛モンスターから破壊光線が、俺に――。

 半身となってその破壊光線を見るように避け、大型の蜘蛛モンスターに右手首の<鎖の因子>から<鎖>を射出する。

 <鎖>は弾かれ、壁に刺さったのを消す。逃げた大型の蜘蛛モンスターには、師匠たちが攻撃していく。


 再度半身になりながら、女王ゴーレムの後を追った。

 女王ゴーレムは天井に足を付け、ただ静かに、冷徹な真紅の瞳で見下ろしている。


 まるで、神が盤上の駒の動きを眺めるかのように。


 これは、単なる戦闘ではない。

 この遺跡の『意志』そのものとの、理不尽なまでの戦いだ。

 エトアにザガたちの動きを再度見てから、左横の床にいて、ビュシエの<血道・石棺砦>の石棺砦の立っているヴィーネとアイコンタクト。


「――ヴィーネ、付き合え」

「はい――」


 <武行氣>を意識し、飛翔しながらゴーレムに向け両手首の<鎖の因子>から<鎖>を射出し、頭部をヘッドショットで動けなくしつつ、ヴィーネと合流、「女王潰しですね」「おう」と共に真上に向かう。


 ヴィーネは俺の背後に敵が居るのを見て、翡翠の蛇弓(バジュラ)から光線の矢を素早く射出。

 振り返りながらヴィーネの背を守るように魔槍杖バルドークを<投擲>した。

 <投擲>された魔槍杖バルドークは複数のゴーレムの腹をぶち抜いて破壊し、壁に突き刺さって止まる。

 それを<握吸>で引き寄せながらヴィーネと背を合わせた。


「――ゴーレム集団はキサラとレザライサたち、大型の蜘蛛モンスターは師匠たちに任せましょう」

「あぁ、そうだな」

 ヴィーネの言葉に自然とそう返事をしてから、そのヴィーネと共に上昇し、得物を白蛇竜小神ゲン様の短槍に変更。

 ヴィーネも古代邪竜ガドリセスと戦迅異剣コトナギに変更している。


 あの女王ゴーレムは絶対的な強者の予感がある。

 その予感が、魂の底から戦意を向上させた。

 そして、頼もしいヴィーネもいる――。

 この永劫の眠りから覚めし古の意志、俺たちの手で、再び眠りについてもらおうか――。

続きは明日、HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1巻~20巻」発売中。

コミック版発売中。

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