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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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1949/2028

千九百四十八話 ゴーストは静かに駒を掃う


 玉座の間での決戦を翌朝に控え、王都ファンハイアは偽りの静寂に包まれていた。だが、その水面下では、複数の駒が盤上から消え、あるいは新たな場所に配置され、血の匂いを纏う複雑な盤面が形成されつつあった。


 王城を見下ろす、最も高い時計塔の尖塔。

 そこに、一つの人影があった。男の名は、ギド・アレス。戦国フロルセイルのあらゆる戦場を渡り歩き、ある時は特殊部隊を率い、ある時は大商会や闇ギルドの刃として暗躍してきた戦闘のプロ。魔界帰りであり、迷宮都市イゾルガンデや邪界ヘルローネでの死線すら潜り抜けてきた、規格外の猛者。


 そんな彼が、今はタータイム王国の将軍ガルドスに雇われている。

 風に揺れる外套の下で、ギドは武器を構えてはいない。ただ、その前方の空間に、静かに囁きかけた。


「――来たれ、〝観測者〟イストリア」


 その呼び声に応え、ギドの目の前の空間が陽炎のように歪む。歪みの中心から、一体の奇妙な精霊が姿を現した。

 それは、生物的なフォルムを持たない、幾何学的な結晶の集合体だった。無数の水晶の羽が、まるで昆虫のそれのように微細に震え、その中心には、星空を閉じ込めたような巨大な単眼が嵌め込まれている。ただ、距離と空間を観測するためだけに存在する、異質な精霊。


 精霊イストリアは、音もなくギドの右腕に止まる。

 すると、その結晶の体が、光の粒子を放ちながら変形を始めた。

 水晶の羽は刀身のように鋭く伸びて銃剣となり、胴体は長く伸びて半透明の銃身を形成する。そして、中心にあった巨大な単眼が、そのまま魔導スコープとして銃身に融合した。

 彼の相棒、魔銃剣フィーススナッチャー。


 ギドは、精霊と一体化したその武器を構える。

 単眼のスコープ――精霊眼を覗き込むと、彼の視界には物理的な風景ではなく、魔力の流れと空間の座標が、無数の光の線として映し出されていた。


 ……ガルドスは、目の前の獲物――国王の護衛にしか目がいっていない愚か者だ。だが、この戦いの真の勝敗を左右するのは、影で観劇を決め込む、あの〝黒髪隊〟かもしれん。


 遥か彼方の屋根の上、〝黒髪隊〟のハセベという名の男の眉間が、座標の中心としてロックされる。


 ――奴らがどの程度の力を持つのか。

 そして我々の作戦に介入する意志があるのか。この一撃で、その両方を見極める。


「――スキル発動、〝空間穿針〟」


 囁きと共に、銃口――精霊の結晶体の先端から放たれたのは、針のように細く、そして色も形も無い、純粋な魔力の塊。それは、飛翔しない。

 放たれた瞬間、ギドの前から消え、時空を跳躍し、標的の眉間寸前の空間に、再出現した。音もなく、予備動作もなく、絶対的な必殺の一撃。


 だが――その魔弾が物質界に再びその姿を現す、まさに刹那。

 〝黒髪隊〟のハセベは、弾丸そのものではなく、狙われた空間の〝歪み〟そのものを感知していた。


「――チッ」


 舌打ちと共に、彼の前に瞬時に黒い亀裂のような障壁が展開され、再出現した魔弾を寸前で受け止める。空間同士が衝突したかのような、音の無い衝撃が走り、障壁に蜘蛛の巣状のヒビが入った。


「強者は確定か」


 ギドは、感心したように口の端を吊り上げる。

 即座にこちらの位置を割り出した〝黒髪隊〟の数名が、屋根を蹴って猛然とこちらへ迫ってくる。ギドは慌てることなく魔銃剣を光の粒子へと還すと、自らも時計塔から飛び降り、闇の中へと消えた。追ってくる〝黒髪隊〟を巧みにいなし、撒き、まるで最初からそこに誰もいなかったかのように、その場を離脱する。

 彼の目的は、暗殺ではない。盤上に存在する最も危険な「変数」の力量を測る、プロフェッショナルとしての「脅威査定……」。そして、その目的は、十二分に達成された。



 ◇◆◇◆


 王都南区画にある、寂れた織物工房の地下。【星の集い】が用意した、臨時の指令室。

 緊急の魔通貝の魔機械が煌めくと、


「アドリアンヌ様、シキ様――」


 と、【星の集い】の最高幹部フズガ・ローからの声が響く。

 

「ガルドスは赤鉱槍団の拡充による結果だと思いますが、凄腕の魔傭の名を得ました。数年前に死んだとされていた通称、『戦場の幽霊』、『ブラックゴースト』をガルドス派が雇ったようです。まだ確実ではないですが……」


 フズガ・ローからの連絡に、アドリアンヌは、


「そうですか、ガルドス派が、裏と表で活発となっていた理由の一つですね」


 シキは頷き、


「はい、ヒッアピアとハイペリオンの潜入者たちの事務所が爆発、連なる闇ギルドの〝掃除〟が進んでいるようですから」


 と発言。アドリアンヌは、


「ガルドスもただの将軍ではなく頭が回る」

「はい」


 アドリアンヌは冷静に盤面を見据え、


「シキ、私のファジアルを出します。あなたのロナド殿も共に、その『ブラックゴースト』の力量を測ってきていただけますか」

「承知した。面白い駒だ、この目で見てみたいと思っていたところ」

「ふふ、頼もしいこと。ですが、深追いは禁物ですわ。相手は〝掃除〟を終えたばかり。最も警戒している頃でしょう」

「ロナドの実力はご存じのはず。……しかし、確かに。ここは王都という名の戦場。万全を期しましょう」

「ええ。倒せれば儲けもの。今は確実な『情報』こそが、我らの武器ですわ」


 シキとアドリアンヌの命令を受け、二つの影が指令室から音もなく消えた。


 ◇◆◇◆


 王都の地下、澱んだ水路の先に存在する闇ギルド〝赤錆の牙〟のアジト。

 そこは今、二百名近い悪党たちの怒号と、安酒と汗が混じった不快な熱氣、そして錆びた鉄と乾かぬ血の匂いで満ち満ちていた。松明の炎が煤けた壁に揺れ、下卑た笑い声が反響している。


「将軍めが、国王ラドバン三世に逆らうとは」

「あぁ、国王陛下に牙を剥きやがったな」

「おう! 明日までだ。陛下から直々の『仕事』だ。街でのさばってる将軍派の犬どもを、根絶やしにしてやろうじゃねえか!」

「うむ! 国王に与してこそだ。将軍派に付いた野郎共を、皆殺しにしてやるぜ!」

「ガルドスめが、調子に乗りすぎなんだよ!」

 

 国王ラドバン三世と宰相メンドーサたちによる「仕事」への期待に胸を膨らませていた、その時だった。

 アジトの唯一の鉄扉が、内側に向かって、ありえないほど静かに吹き飛んだ。


「……なんだぁ?」


 入り口近くにいた数名が、何事かと振り返る。

 闇の中から、外套を纏った一人の男――ギド・アレスが、ゆっくりと歩みを進めてきた。


「てめぇ、何者だ! ここがどこだか分かってんのか!」


 一人が斧を構えて怒鳴る。

 ギドは答えず、右腕に彼の相棒、魔銃剣フィーススナッチャーを形成させる。


「――殺せ!」


 その号令を合図に、近くにいた十数名が、雄叫びを上げて殺到した。

 対するギドは、殺到する悪意の濁流を前に、微動だにしない。

 ただ、魔銃剣の銃口が星の瞬きのように微かに煌めく。それだけだった。

 直後、ギドを取り囲もうとしていたギルド員たちの頭部が、まるで熟れた果実のように、音もなく同時に弾け飛んだ。硝煙の匂いすらない、静かな殺戮。


「なっ……何が……!?」

「ひぃっ!?」


 誰の攻撃なのか、どこから来たのかすら理解できないまま仲間が死んでいく。その不可解な恐怖が、パニックを伝染させた。

 阿鼻叫喚の地獄絵図の中を、ギドはまるで散歩でもするかのように悠然と進む。彼の周囲だけ、時間が歪んでいるかのようだ。振り下ろされる剣は虚空を斬り、突き出される槍はありえない角度に逸れ、放たれる魔弾や刃によって、次々と命が刈り取られていく。


「囲め! 囲んで殺せ!」

「「おおう――」」


 狭い場所に密集するようにギドに集まる剣士たち。

 ギドは「ハッ雑魚らしい動きだが――」と右腕一本に握られた魔銃剣を横に一閃――。

 正面の剣士たちの首から胴が薙ぎ払われた。

 更に、ギドの左手に握られていた複数の紫爆破瓶が、ギルド員の足元に転がって、それが次々に爆ぜ、耳が劈く音も響くとギルド員たちの手足が吹き飛んでいく。


 統制を取り戻したギルドの中から、発狂したような言葉を放った数人の強者が前に出る。

 

 獣人族の巨漢、双剣使いのエルフ、棒手裏剣を投げた魔剣師、そして闇魔術を操る魔術師。彼らは、このギルドが誇る幹部たちだ。


「お前があっ――」


「調子に乗るなよ、亡霊がァッ!」


 幹部の一人、魔剣師ミガラアが跳躍し、憎悪に濡れた魔剣を上段から振り下ろす。

 ギドの頭部が真っ二つになる――かに見えた。しかし、刃が触れたのは陽炎のような残像。

 ギド本体は、いつの間にかミガラアの側面に回り込み、嘲笑うかのように魔銃剣を振るっていた。半透明の刃が、抵抗すら許さず魔剣師の胸と両腕を斜めに両断する。

 

「ミガラアをッ! てめぇ……死ねぇぇぇっ!」


 仲間を斬られ激昂した獣人の巨漢が、床を砕く轟音と共に大斧を振り下ろす。

 ギルド全体が揺れるほどの質量を込めた一撃。だが、ギドはその一撃を、魔銃剣の刀身で、まるで岩にぶつかる川の流れのように、最小限の動きで受け流した。

 獣人の膂力を殺し、逆に体勢を崩させる。信じられない、といった表情を浮かべる獣人のがら空きになった首筋に、銃剣部分が深々と突き刺さった。


「――五合と打ち合うまでもないか」


 ギドは、冷たく呟く。

 これが、彼の戦い方。雑魚は蹂躙し、強者は、雑魚ごと蹂躙する。

 彼は、ギルド員たちを一瞥すると、標的のギルドマスターの元へと、ゆっくりと歩を進めた。


 二人組の双剣使いが<魔闘術>系統を数種類、発動させ、


「マスター!」

「ここで仕留めてみせます――」

 と、左右から斬り掛かる。

 ギドは、「ほぅ――」と最初の斬撃を避けず、魔銃剣を傾け刃を防ぐ。

 右からの斬撃を防いだ、その直後。死角となる左から、稲妻のような連続斬撃がギドを襲う。

 ギドはそれを、魔銃剣の剣刃と柄を巧みに使いこなし、まるで舞うように捌ききる。ただ防ぐだけではない。弾いた刃の軌道を誘導し、牽制の魔力を空へ逃がすことで、双剣使いの連携のリズムを完璧に崩していた。


 相手が一瞬たたらを踏んだ隙を突き、続く蹴りと突きを紙一重で躱すと、ギドは流れるように半身を横回転させた。その遠心力を利用し、魔銃剣から魔弾を射出――。

 一人の胸を正確に穿つ。

 同時に、もう一人が驚愕に目を見開いた刹那、空いた左腕に半透明の魔刃を瞬時に形成。迫る双剣ごと、その首を強引に断ち切った。

 シュッ――と生々しい音を立てて、血飛沫が天井に叩きつけられた。


 ギルドマスターは、腰を抜かさんばかりに後ずさる。自慢の幹部たちが、まるで子供のようにあしらわれ、殺されていく。理解を超えた光景に、恐怖で奥歯がガチガチと鳴った。

 だが、その絶望的な状況下で、彼の脳裏に、忘れかけていた古い噂が警鐘のように鳴り響く。

 空間を歪める銃弾。精霊そのものが変形する武器。人族離れした戦闘技術。そして、何よりもあの、戦場を支配する亡霊のような佇まい。点と点が繋がり、一つの忌まわしい名が浮かび上がる。


「その精霊銃……その戦い方……まさか……戦国フロルセイルのあらゆる戦場に現れ、たった一人で戦局を覆すという……あの亡霊……『戦場のゴースト』、ギド・アレスか……!」


 ギルドマスターがその名を叫ぶ。

 ギドは、表情を変えずに答えた。


「俺の名を呼んだな。それが貴様の最後の言葉だ」


 魔銃剣の銃口が、ギルドマスターの眉間に突きつけられる。

 そして、音もなく、一つの命が消えた。

 ギド・アレスは、懐から取り出した魔時計で時間を確認する。


「……予定通り。時間も、誤差の範囲内か」


 彼は、まるで日常の雑務でも終えたかのように呟くと、次の「掃除」場所――ヒッアピアとハイペリオンの潜入者たちが潜むアジトへと、音もなく向かう。


 彼の背後には、二百名近くの亡骸が転がる、静寂の地獄だけが残されていた。


 ◇◇◇◇


 倉庫街の奥、ヒッアピア王国潜入者たちの最後のアジト。

 そこは既に、静かな死の匂いに満ちていた。


 アドリアンヌの配下である半魔の魔槍使いファジアルと、シキが誇る元神格者、霧魔皇ロナドが到着した時、最後の潜入者が、眉間を撃ち抜かれて崩れ落ちるところだった。


 梁の上から、外套の男が静かに飛び降りてくる。

 ファジアルは、


「……お前が、噂の『戦場のゴースト』や『ブラックゴースト』だな」


 ギド・アレスは表情を変えない。

 だが、その視線には、明らかに興味の色が浮かんでいた。


「噂か。しかし、お前たちは誰だ?」

「さぁな?」

「〝鼠〟がっ――」


 ギドは瓶を放る。

 瓶は破裂し、閃光――。


 閃光が闇を塗り潰し、鼓膜を突き刺すような高周波の音が鳴り響く。

 だが、その光が収まりきる前に、ファジアルは殺氣だけを頼りに魔槍を薙ぎ払っていた。半魔の血がもたらす超感覚が、視覚の喪失を補う。

 キィン、と甲高い金属音。手にした魔槍が、闇の中から現れた魔銃剣の刃を確かに捉えていた。


「ほう……」


 感心したような短い声。

 完全に視界が戻った時、外套の男――『ブラックゴースト』は、ファジアルの魔槍を、まるで子供の玩具でもあしらうかのように、片手でいなしていた。


「その余裕はいつまで持つか――」

 

 ファジアルは、魔槍を連続的に突き出す。

 <愚王・四連尖牙>――。

 外套の男――『ブラックゴースト』は、ファジアルの魔槍の連続突きを魔銃剣で弾くと、数回の蹴り上げ、魔槍をごと、ファジアルを蹴り、後方へ跳躍していた。

 

 しかし、その着地点は、既に霧魔皇ロナドの領域。


「……逃がしはしない」


 ロナドの霧の体が、無数の腕となってゴーストに襲い掛かる。物理的な攻撃ではない。魂そのものを掴み、凍らせんとする元神格者の力。

 だが、ゴーストの体からごく微弱な邪悪なオーラが溢れ出すと、それに触れた霧の腕が、焼けるように霧散した。


「なっ……!?」


 ロナドが驚愕に目を見開く。

 馬鹿な! 我が霧が、この男の邪氣に弾かれるだと?

 神性を捨てたとはいえ、この力は並の魔では干渉できんはず!


 ゴーストは、驚愕するロナドを一瞥すると、楽しむように口の端を吊り上げた。


「……その霧、面白いな。だが、実体がない相手は得意でな」


 彼は、ロナドの力の正体を知っているわけではない。ただ、目の前の現象に対し、自らの力が有効であると、戦闘の中で瞬時に判断したのだ。

 霧を弾くオーラを維持したまま、ファジアルとの超高速の攻防に移行する。


 その、あまりにも人族離れした戦闘技術と、彼が使う精霊の異質さに、ファジアルの脳裏に、かつて戦場で聞いた、ある伝説の傭兵の噂が蘇る。


「お前、戦国フロルセイルのあらゆる戦場で活躍したと言う……たった一人で戦局を覆すという亡霊! 『戦場のゴースト』、ギド・アレスか!」


 ファジアルがその名を叫んだ瞬間、これまでどこか遊ぶようだったギドの空氣が、一変した。


「……俺の名を知る者は、生かしてはおけん――」


 それまでとは比較にならない速度と、肌を突き刺す純粋な殺意。

 ギドの魔銃剣が真の力を解放し、青白い燐光を纏う。

 ――何が起きた?

 ファジアルには、自慢の魔槍が、まるでガラス細工のように砕け散ったことしか認識できなかった。

 ロナドには、神格の名残を持つはずの我が霧の体が幻であったかのように抉り取られたことしか理解できなかった。二人は為す術もなく吹き飛ばされ、轟音と共に壁を突き抜け、往来の喧騒が満ちる大通りに無様に転がされた。


 ギドは、道ばたに集まった群衆を見て、一瞥すると、静かに魔銃剣を光の粒子へと還した。


「……運がいい」


 その言葉を残し、ギド・アレスは煙のように闇の中へと姿を消した。後に残されたのは、破壊されたアジトと、伝説の「ゴースト」の実力をその身に刻み込まれた、二人の強者だけだった。


 ◇◆◇◆


 将軍ガルドスの私邸。

 彼が苛立ち交じりに待っていると、部屋の闇の中から、音もなくギド・アレスが姿を現した。


「……終わらせてきた」


 ギドは、ヒッアピア、ハイペリオン、そして闇ギルド〝赤錆の牙〟、それぞれの紋章が刻まれたプレートを数枚、ガルドスの前の机に投げ出した。


「ほう……仕事が早いな。褒めて遣わす。して、〝黒髪隊〟はどうだった?」

「……あれは〝別格〟だ。俺の仕事は、あくまでも貴様の計画の障害を排除すること。奴らは、まだ貴様の障害ではない」

「……フン、不遜な物言いを」


 ガルドスは、その態度に眉をひそめつつも、彼の圧倒的な実力を前に口をつぐむ。自らが呼び出した駒が、もはや自分の手に余る存在であることを、彼はまだ認めようとはしなかった。


「明日は、契約通り、玉座の間で国王の護衛を始末する。それでいいな?」

「……うむ。頼んだぞ。成功の暁には、望むものをくれてやる」


 ギドは再び闇に消え、一人残されたガルドスは、駒の得体の知れなさに、わずかな寒氣を感じつつも、それを勝利への確信で塗りつ潰す。

 すべての障害は、消えた。玉座は、もはや目前。

 そう、信じて疑わなかった。


続きは明日、HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。」1巻~20巻発売中。

コミック版発売中。

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