千六百八十二話 これが魔神の一柱、破壊の王ラシーンズ・レビオダか
魔力消費が激しい《氷命体鋼》を消し、魔草ムラウラカラルとキュラバラル魔酒を出して吸うように少し口に含み噛みつつ――。
<筆頭従者長>バーソロンに、
『――おう、だいぶ魔力を持っていかれたが、古の魔甲大亀グルガンヌが肩代わりしたようで、無事に成功した』
『はい、良かった。明櫂戦仙女ニナ、シュアノと巧手四櫂のズィル、ゾウバチ、イズチ、インミミには、陛下たちの状況を伝えてありますので、とにかく、ご武運を祈ります』
『了解した』
バーソロンの情報通り、骨鰐魔神ベマドーラーから神界側のニナとシュアノを先頭に南華仙院の戦士団とズィル、インミミ、ゾウバチ、イズチと魔犀花流の門下の兵士たちが飛び出ては四枚翼の魔族たちに戦いを仕掛けていく。
悪夢の女神ヴァーミナの軍と合同で敵の空軍を倒しまくる。
現れたばかりの骨鰐魔神ベマドーラーに、どこからともなく、赤黒い炎の塊などが直進したが、骨鰐魔神ベマドーラーは急降下し、それを避けるとステルスモードを発動した。
赤黒い塊を繰り出した存在は、憤怒のゼアか?
骨鰐魔神ベマドーラーは、古の魔甲大亀グルガンヌの近くに移動していた。
憤怒のゼアがいるかも知れない悪夢の女神ヴァーミナ様たちが戦う左辺の空域を見ていると、今まで見たことのない鋼の六枚翼を背に有した大柄魔族を見つけた。
そいつに向け<鎖型・滅印>を発動し、両手首の<鎖の因子>から<鎖>を連続的に射出――。
鋼の六枚翼を背に有した大柄魔族は四腕に持つ魔大剣を軽々と振るい<鎖>を弾き、レベッカの<光魔蒼炎・血霊玉>とユイの<バーヴァイの魔刃>とエヴァのサージロンの球の遠距離攻撃を防ぎまくる。
また名の知らぬ強者か、破壊の王ラシーンズ・レビオダの眷族か、強い――。
それだけ破壊の王ラシーンズ・レビオダや憤怒のゼアが近くにいる証拠だが――。
<生活魔法>の水と<血道第一・開門>の血の<血魔力>を体から放出させる。
更に<血道第四・開門>――。
<霊血の泉>を発動。
宙空にルシヴァルの紋章樹の幻影が現れると、小形のルシヴァルの紋章樹の幻影が周囲に生まれつつ――俺が出している大量の血の<血魔力>が、より輝きを発しながら垂れていく。真下のカッパドキアを彷彿させる岩石遺跡群が血に染まっていった。
※霊血の泉※
※<霊槍血鎖師>及び光魔ルシヴァル血魔力時空属性系<血道第四・開門>により覚えた特殊独自スキル※
※ルシヴァル神殿以外でも、本人の周囲に聖域と化す霊気を帯びた血湖の作成が可能。霊気漂う聖域内は、眷属たちの能力がより活性化。初期段階において既にルシヴァルの紋章樹精霊と連携が可能となる※注※さらなる発展の兆しあり※
※聖域では、あらゆる事象がルシヴァルの眷属たちに有利に運ぶ※
※闇神リヴォグラフのルキヴェロススを屠ったことにより、光魔ルシヴァル宗主と眷属たちが成長し、<霊血の泉>は効果が倍増した※
※近くに眷属たちが多いと独自の<血脈魔闘術>効果となるだろう※
と、「グォォォォォォォォォン」と古の魔甲大亀グルガンヌが鳴く。
その古の魔甲大亀グルガンヌの頭部と尻尾に四肢の孔から出ている魔線は骨鰐魔神ベマドーラーと繋がっていた。
ヴィーネが<光魔銀蝶・武雷血>を発動させながら、鋼の六枚翼の魔族と戦いを始めていた。キサラも<光魔鬼武・鳴華>を発動し、天魔女流の<乱突>をヴィーネの攻撃の合間に繰り出している。
俺も<鎖>と上級:闇属性の《闇環》を繰り出してフォローをしていった。
すると、黒豹が巨大なライオンに近い神獣へと体を巨大化させる。
その凜々しさもある巨大な神獣ロロディーヌが、口を広げた。
上顎と下顎から炎が見える、
「ンン、にゃごぉぉぉぉぉ」
と、盛大に鳴いた。
皆に何かを知らせるようなニュアンスだ。
すると、キッカを乗せていた銀灰虎が「にゃァァァ」と返事をしつつ旋回機動を取る。
続いて、銀白狼が、
「ワォォォン」と鳴いて銀灰虎を追うようにビュシエと共に旋回しながら、四枚の赤黒い肌を持つ魔族兵士に前爪を突き出す。
その胴体を突き刺して頭部を喰らい倒した。
ビュシエは<血道・石棺砦>を用いて、その銀灰虎を氷の刃の魔法で攻撃しようとしていた他の四枚翼の魔族に向かわせ、その腹を潰すように倒す。
ビュシエと銀白狼は仲良く旋回しながら神獣の背後に回る。
ベリーズを乗せている大きい鹿魔獣ハウレッツも「――グモゥゥゥ」と鳴いて、皆に続いた。
「ニャァァァァ」
ハンカイから離れていた黄黒虎も神獣と皆の動きに合わせて旋回。
「ニャオォォォ」
「パキュルルゥゥゥ」
白黒虎と法魔ルピナスたちも鳴きながら相棒の前方から後方宙返りを行うように体を回転させるように右へ左へと離れていく。
続いてベネット、キュベラスと【闇の教団ハデス】の面々にアドゥムブラリ、エラリエース、フィナプルス、メル、フー、ママニ、サザー、レベッカ、闇鯨ロターゼ、ルマルディ、アルルカンの把神書、ミスティ、クナ、ファーミリアたちの、皆が、急旋回を行いながら赤黒い肌の四枚翼の敵魔族たちを倒しつつも旋回機動を取った。
その空中の戦い方は戦闘機の編隊による作戦行動に思える。
阿吽の呼吸を超えたそれは、神獣に道を空けるような戦いだ。
その神獣は、
「ニャゴアアァァァ~」
と、前方に今までで最大火力の漆黒と橙色が混じる紅蓮の炎を吹いた。
俺たちにまで熱波が飛来――。
『きゃ』
空を紅蓮に染める炎か、ヘルメがビビるのも分かる。
紅蓮の炎は、大火山から迸る大量の溶岩にも見えるからな。
それが、空を覆い尽くす勢いで拡がっている。
圧倒的な炎の前に、多くの敵空軍の魔族たちが、呆然としては腕を下げていた。
紅蓮の炎は、それら魔族を容赦なく飲み込む。
と、そのまま前方に広がり、四本の紅色の塔を擁する空中遺跡を守る魔族たちを焼き払う――。
凄すぎる。一気に敵の数が減った。
が、アムシャビスの紅玉環と破壊の王ラシーンズ・レビオダを守るように、周囲から様々な魔族たちが集まってきた。
神獣は半身のまま飛翔し「……にゃご」と渋い鳴き声を発し、俺を見やる。
自然と頷いた。神獣は尻尾を真上に上げると、頷く素振りをしながら振り返り――巨大な体から無数の触手を前方に飛ばした。
無数の触手は、紅光の閃光が支配する【アムシャビスの紅玉環】の世界を、それら漆黒の触手が埋め尽くす勢いで拡がった。
その触手の先端からフランベルジュのような骨の大剣が飛び出る。
と、それら無数の骨の大剣が四枚翼を持つ魔族の体を次々に貫く――。
逃げる者も容赦なく穿つ――吹き飛ばすように倒しまくる。
相棒の凄まじい紅蓮の炎と触手骨剣の攻撃が、空中遺跡の周囲に犇めくようにいた敵空軍に数多くの風孔を空ける。
『おぉ~、数万は倒したでしょうか!! 空中遺跡までの道筋が見えましたよ!』
『はい! 神獣様も本気モードですね』
左目と右目に棲まうヘルメとグィヴァも興奮気味に念話を寄越す。
『あぁ』
相棒は頭部を振るう、眩暈を起こしたようにフラつきながら身を翻す。
大量に魔力を消費したせいか、「ロロ!」と思わず大声を発した。
「ンンン」
神獣は大丈夫と言うように、喉音を響かせる返事の後、豪快なゴロゴロ音を響かせてきた。
姿は大きくて凜々しい神獣のロロディーヌだが、可愛い。
そこに、左端から業火の奔流のような真っ赤な光芒が虚空を裂くように疾走する。
神獣はそれを避けた。
真っ赤な閃光が通り抜けたところの近くにいた四枚翼の魔族たちは燃焼し墜落していく。
空を飛べる沸騎士の骨兵たちが炭化していた。
クナが皆を守るように<血霊月ノ梔子>を展開し、ミスティのゼクスも防御魔法を張り、皆を守った。
その真っ赤な閃光の出所は、悪夢の女神ヴァーミナ様とシャイサードの方角からだ。
と、その真っ赤な閃光が悪夢の女神ヴァーミナ様と黒兎シャイサードにも向かうと闇の子鬼と黒兎などのヴァーミナ様の空軍の一部が燃焼しながら爆発を繰り返していく。
真っ赤な閃光を放った存在を<闇透纏視>で凝視。
二腕二足の紅い存在。太い両腕は燃えている。
他の存在が塵に思えるほどの魔力量を有している。
憤怒のゼアか、または、その大眷属か。
肩の竜頭装甲を意識し、霊湖水晶の外套を装備した。
「――シュウヤ、あれが憤怒のゼア?」
「たぶんそうだ」
ユイに返事をしながら〝霊湖の水念瓶〟を出し『霊湖の水よ』と念じる。
霊湖の水念瓶の法螺貝的な硝子瓶のいたるところから薄いサファイヤブルーとインディゴブルーとセルリアンブルーの魔力と霧が発生し、鮫の小像の〝レイブルハースの呼び声〟が俺の右手の掌に出現。
続いて<レイブルハースの粘体>と<レイブルハースの呼び声>を意識し発動した。
鮫の小像がサファイヤブルーとインディゴブルーとセルリアンブルーの魔力と霧が大きい水鮫に成長していく。
<生活魔法>の水と大量の血のお陰もあり、無数の水鮫の幻影も発生していた。
その大きい水鮫と幻影を見ながら<水念把>で操作し、悪夢の女神ヴァーミナ様たちが戦う憤怒のゼアと破壊の王ラシーンズ・レビオダの空軍と、憤怒のゼアと目される存在に向かわせる。
霊湖の水念瓶から放たれた水鮫は、虚空を裂くように突進していく。
霊湖の水念瓶から出た液体が、その先を征く大きい水鮫の<レイブルハースの粘体>と融合し、本物のように色付いていった。
戦場の様相が一変した。
本体となる巨大な水鮫は、サファイヤブルーとインディゴブルー、セルリアンブルーの三色が強まり、渦を巻くように輝きを放っては、周囲に無数の幻影が青い霧のように広がっていった。
それは深海から這い上がってきた古の猛獣にも見えるほど、それの大群だ。
敵の空軍は、突如として現れた水鮫の群れに動揺を隠せない。
破壊の王ラシーンズ・レビオダ側の四枚翼の魔族兵士たちは慌てふためいて隊形を乱し、中には恐怖に震えて空中で立ち止まる者もいた。
本体が前方へ突進すると、
「グオォォォォ!」
巨大な水鮫の轟音が戦場に響き渡る。
呼応するように無数の青い光条を引く幻影が四方八方へと疾駆するように散開――。
水鮫の群れは夜空に広がる星々のように戦場全体を覆い尽くしていく。
整然と並んでいた破壊の王ラシーンズ・レビオダと憤怒のゼア側の空軍の陣形が暴風に巻き込まれた落ち葉のように散り散りになった。
憤怒のゼア側の空軍も、予期せぬ攻撃に陣形が総崩れか。
上下左右から襲い来る水鮫の群れに統制の取れた反撃すら打てない状況に追い込まれているように見えた。
本体となる巨大水鮫が敵陣の中心を貫くと周囲の幻影が渦を巻くように収束し、敵兵を包囲網の中へと追い込んでいく。
その混乱に乗じ、悪夢の女神ヴァーミナの軍勢が一斉に反撃の狼煙を上げた。
闇の子鬼たちの歓声が戦場に轟き、その声は勝利を確信した者たちの雄叫びのようだった。
ヴァーミナ軍は、水鮫によって分断された敵陣に怒涛の如く攻め込んでいく。
敵軍は上からの水鮫の突撃と、下からのヴァーミナ軍の挟み撃ちに有効な反撃すら打てていない。整然としていた陣形は完全に崩れ、各個撃破を余儀なくされていった。
戦場の主導権はこちらに移ったか。
※レイブルハースの粘体※
※霊湖水晶流<水念把>系統:極位操作※
※水晶皇鮫流音波操縦技術系統:奥義※
※霊湖宮殿流<水力真闘氣>系統:上位※
※<水晶魔術>技術系統:上位※
※レイブルハースと似た大きい鮫を〝霊湖の水念瓶〟の超脳魔レイブル液と神鮫油ペマリラース液が混じった液体から作り出せる※
※水場の環境なら強度が跳ね上がり、粘体の分身体を自動的に増やし、使い手の指示でも増やすことが可能、音波の攻撃力が上昇※
※思念で操作が可能で自律的に移動もする※
※レイブルハースの呼び声※
※※霊湖水晶流<水念把>系統:極位操作※
※水晶皇鮫流音波操縦技術系統:奥義※
※<水晶魔術>技術系統:上位※
※レイブルハースの粘体の強度が増した姿※
※水場の環境での強化はされるが、<レイブルハースの粘体>ほどではない※
※思念で操作が可能で自律的に移動も可能※
が、紅い閃光が、大きい水鮫の<レイブルハースの粘体>の本体と幻影の幾つかを貫きながら俺たちにも飛来してきた――。
『閣下!』
『おう』
膜、衝撃波のような攻撃か、俄にユイを守るように前に出て、
「――ユイ、ヘルメも<精霊珠想・改>に<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>も出す――」
『はい!』
「あ、うん――」
ユイの細い腰に手を回し、咄嗟に守るように抱き寄せる。
同時に<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を前方に展開させ、左目から溢れ出た液体状のヘルメが俺たちを蒼い膜の液体で包み込んでくれた。
「シュウヤ……」
ユイの小さな声が耳元で震える中、右手に夜王の傘セイヴァルトを召喚。
開いた傘が放つ漆黒の輝きが、前方からの脅威に対する最後の防壁となる。
と、核爆発を思わせる轟音と共に衝撃波が押し寄せてきた――。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>が紅い閃光を受け止めるも、その威力は絶大で、夜王の傘セイヴァルトまで到達――。
衝突した瞬間、跳ね返された<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>から膨大な魔力が解き放たれる。
その刹那、アムシャビスの紅玉環の塔が並ぶ空中遺跡から破壊の王ラシーンズ・レビオダの巨体が出現。一瞬の転移で俺たちの眼前へ――。
「ユイ――」
身を翻すように、大切な存在を後方へ庇い、必死に押し退ける。
押し出される形でユイが後退する瞬間、左目に液体のヘルメが戻り、迫り来る脅威と向き合う覚悟を決めた。
ユイは、俺に向かう破壊の王ラシーンズ・レビオダに神鬼・霊風とアゼロスとヴァサージの魔刀の突きスキルを繰り出すが「えっ――」と衝撃波を喰らい吹き飛ぶ。
そのユイの挙動を見ていない破壊の王ラシーンズ・レビオダは、腕か翼のような物を振り降ろしてくる。<メファーラの武闘血>と<沸ノ根源グルガンヌ>と<滔天魔経>を意識、発動しながら夜王の傘セイヴァルトの傘で、その腕拳の攻撃を受けた。
衝撃は殺せず吹き飛ばされた――。
霊湖の水念瓶を仕舞う――。
「ぐお――」
「――きゃっ」
ユイはまたも衝撃波を喰らったか、そのユイは破壊の王ラシーンズ・レビオダの反対側に飛翔していくのが見えた。<ベイカラの瞳>を発動している。
破壊の王ラシーンズ・レビオダは、ユイを追わず俺に――。
また拳のような攻撃を続けてきた。
夜王の傘セイヴァルトの傘で、大きい翼の塊にも見える拳の攻撃を防ぐ――。
――衝撃で真下に吹き飛ばされた。
古びた石塔のような石材と衝突を繰り返す。
痛すぎるが、すぐに回復する。
夜王の傘セイヴァルトの傘を戦闘型デバイスのアイテムボックスに仕舞う――。
右手に魔槍杖バルドークを召喚――。
左手に神槍ガンジスを召喚――。
両腕を広げながら、紅斧刃と双月刃の穂先を、瓦礫にぶつけながら衝撃を殺す。
と、いつの間にか、古代の遺跡群を思わせる石柱が立ち並ぶ地下空間に到達した。
幾つもの太い石柱が天井を支え、壁面からは清冽な地下水が滝のように流れ落ちている。
その流れは幾筋もの光の帯となって空間を照らし、水音が神秘的な響きとなって空洞に満ちていた。
そして、掌握察で把握するまでもなく真上に破壊の王ラシーンズ・レビオダの巨大な魔素が近付いていることは把握済み――<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を真上に召喚――。
「『邪魔だ! <破神拳>――』」
ドッとした衝撃音、<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>ごと押し潰されるように真下に飛ばされた。
虚空が歪むように転移してきた破壊の王ラシーンズ・レビオダの蹴りが、空気を切り裂く音と共に迫ってきた。
その蹴りを魔槍杖バルドークと神槍ガンジスの柄で防ぐ――。
「ぐぁ――」
が、また吹き飛ばされ、地下の地面に激突――。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を消すと意識するが、痛すぎる――。
岩盤が粉砕される轟音と共に体が埋もれていく。凄まじい痛みが全身を走りつつも<血魔力>の血が傷を癒やしていった。
血を吐きながらも意識を集中させ<血道第三・開門>――。
<血液加速>を発動。
<水月血闘法>と<水月血闘法・鴉読>を連続発動させた――。
※水月血闘法※
※独自闘気霊装:開祖※
※光魔ルシヴァル独自の闘気霊装に分類※
※<脳魔脊髄革命>と<魔雄ノ飛動>と魔技三種に<超脳・朧水月>、<水神の呼び声>、<月狼ノ刻印者>が必須※
※霊水体水鴉と双月神、神狼、水神、が祝福する場だからこそ<水月血闘法>を獲得できた※
※血を活かした<魔闘術>系技術の闘気霊装が<水月血闘法>※
ゼロコンマ数秒の間に絨毯のような血の<血魔力>が足下に拡がり複数の水鴉が飛び立つ。
神速の域で繰り出されていく破壊の王ラシーンズ・レビオダの翼状の拳を見ながら、それを避けた。
破壊の王ラシーンズ・レビオダは四眼四腕に二足。
破壊の王ラシーンズ・レビオダは四眼四腕の巨体に獣人のような特徴を持つ。
背から生える六枚の翼は、戦闘時には鋼鉄の拳へと変幻自在に姿を変えられるのか――。
古の魔神の力を思わせる存在感だった。
破壊の王ラシーンズ・レビオダは俺がいたところを、強烈な拳で粉砕し、地下水脈をぶち抜いたように水飛沫を浴びている。その破壊の王ラシーンズ・レビオダは、振り返りつつ、
「『ほぉ……<血魔力>の加速に、主を守る鴉の幻影か……傷を受けても即座に回復する――まるで吸血神ルグナドと相対しているかのようだ……』」
と、発言しつつ、破壊の王ラシーンズ・レビオダは構える。
体から凄まじい質の魔力が噴き上がる。
闇と白銀の渦が交錯し、その隙間を朱と紅の光条が貫くように走る。
魔力の奔流は空間そのものを歪ませ、周囲の空気を震わせていく。
……これが魔神の一柱、破壊の王ラシーンズ・レビオダか。
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