表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
槍使いと、黒猫。  作者: 健康


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1612/2001

千六百十一話 ディアたちと記憶の共有からの王都グロムハイム

 ディアとクシュナーはソファの近くに移動し家族の会話をしていく。

 その会話を見ているだけで何回も感動してくるから、なんか、逆にそわそわしてきた。黒猫(ロロ)が、ディアとクシュナーに頭部を寄せて、抱っこされていた。


 そこでシキたちを見て、


「シキたち、王都グロムハイムに戻る予定だが、〝知記憶の王樹の器〟で皆と記憶を共有するから、少しの間、魔塔ゲルハットの見学をしたいならするといい」


と、発言しつつ頭の近くを回っていた二十四面体(トラペゾヘドロン)を掴んでから戦闘型デイバスのアイテムボックスに仕舞う。


「はい、ペントハウス内を少しだけ見させて頂きます」

「ふふ、私も、少しだけ見学をさせて頂きます、タンダール式のサウナ風呂の部屋と、あの厳ついシャワーヘッドが氣になりますわねぇ~」


 シキは早速か。

 アイテムに関してはやはりコレクターなだけはある。

 アドゥムブラリは、「狂気の王シャキダオスの眷属の印が刻まれているからな」と発言し、笑っていた


「ふぁーちゃんとアドちゃんこっち~♪」

「ふふ、はい~見学させていだきます♪」

「はい」

 

 イモリザがファーミリアとアドリアンヌを渾名で呼ぶとは……。

 イモちゃんらしいが、そのまま転移してきた組の一部を連れてペントハウスを見学していく。


 すると、ペレランドラが、魔酒入りの小形のワイングラスを片手に寄ってきた。


「ふふ、シュウヤ様、キーラと紅のアサシン討伐、【御九星集団】と【髑髏鬼】の壊滅にオセべリア王国の救出、おめでとうございます。そして地下オークションお疲れ様でした。軽めの炭酸の白葡萄酒をご用意しましたので、よかったらですが、お飲みになりますか?」


 氣が効く~。


「喜んで頂きます、ありがとう――」


 ペレランドラから小形のワイングラスを受け取り、微炭酸の白葡萄酒を飲んだ。シュワッとしたシャンパンだな、美味い――。


 ペレランドラもワインをグイッと飲み干す。

 細い喉が魅力的。ドロシーはお盆の載せていたグラスをエヴァとヴィーネにも渡していた。

 そのペレランドラに空のワイングラスを返し、


「ペレランドラも変わりないか? 安全委員会が下界にも拡大するとかしないとかあるようだが」


 グラスを受け取ったペレランドラはドロシーが持つお盆の上に空きグラスを置き、


「はい、上院評議院のセナアプア管理委員会の理事として、活動しています。利権に群がる者たちが増えましたが、蠅を祓うように、<洗脳魔魚・声>などのスキルを使用したので対処は楽でした」


 頷いた。利権に群がる蠅か。

 

 肩書きが変化すれば、それに合わせ税金を活かせる。

 税金に群がる政府よりの特殊法人、血税を給料にするような腐った利権が生まれる構造はどこも変わらない。


 俺の知る地球、日本でも無駄な省庁と省庁に官に近い法人だけが儲かるシステム、人材派遣がピン撥ねに利権を貪る連中がいた。


「……もぐもぐ、……お母様は、もぐもぐ、美味しい! ……もぐもぐ、ぷはぁ! あ、評議宿連盟と冒険者ギルドの聖ギルド連盟、裏仕事人のエミアさんから強く信頼されています!」


 ドロシーが可愛い。

 ドロシーは、レベッカからお菓子とサウススターのセットをもらい、豪魔無限の蜂蜜が付いたサウススターを食べながら発言していた。

 そのドロシーの言葉に頷く。

 ペレランドラは〝オホホホ~〟と笑ってから、


「……それもこれもシュウヤ様とキッカ様、いえ、皆さんのお陰です」

「おう、皆のお陰、感謝だ。だからこそペレランドラたちには苦労をかけることになる」


 ペレランドラにリスペクトしつつ拱手。

 ペレランドラは瞳を潤ませ、


「……ふふ、お任せください、評議員の権力争いは得意ですからネドーが生きていた頃に比べたら、もう天国に近い」


 と、笑顔のペレランドラは<血魔力>を体から発した。


 たしかに、と、頷いて笑顔となった。

 

「「ふふ」」

「そりゃね~」


 と、皆も同じような感覚か。

 ペレランドラに、


「複数の浮遊岩に付いての報告があるなら、この際に聞いておこうか」

「はい、災害と呼べるケアンモンスターの起因でもある死蝕天壌の浮遊岩は、大きい島が浮いているような浮遊岩ですからね、パムカレとリツたちとトロコンに【狂騒のカプリッチオ】の二人組など、その皆が居ても、完全に封鎖するのは難しい。クレインが居てくれた時は意気揚々とカリィとレンショウとカットマギーが死蝕天壌の浮遊岩に乗り込み、そこに侵入してきた者たちの狩りを楽しんでいましたが、今はやっていません。現在、死蝕天壌の浮遊岩の周りは各評議院が持つ空魔法士隊と冒険者グループが順番に守る仕組みとなっています」

「冒険者グループか、副ギルドマスター&裏仕事人のエミアたちが手配してくれたかな」

「はい、魔界に行く前にキッカがいくらか計画の絵図を描いていたのをエミアたちが受け継いだようです」

「そっか」

「はい、更に、冒険者クランのランザミックの影響で、冒険者たちへの風当たりが強くなったことも影響があります」

「なるほど、一般人に犠牲者が出たらそうなるか」

「はい」


 無数に存在する浮遊岩は迷宮と化している浮遊岩もあるからな。

 ここで、冒険者生活をして浮遊岩を攻略しまくるのも面白いとは思うが、それはまたいつか。

 

「カリィとレンショウとカットマギーは、クレインたちの代わりに、私の護衛と縄張り維持の活動を優先しています」

「それは聞いている」


 ペレランドラは頷いた。

 そのペレランドラと共にソファの前に移動し、皆で座る。


 そしてペレランドラは、

 

「ですから、死蝕天壌の浮遊岩には、侵入者がいるかもです。【天凛の月】の所有物ですが、犯罪者はいますからね。またランザミックの二の舞がでる可能性が……」

「そうなったら仕方ないな」

「はい、一方、〝泡の浮遊岩〟の塩の精製所は、子飼いの商会に精製させ、下界の私の商会で商売をさせています。〝網の浮遊岩〟の【幻瞑暗黒回廊】を封じている【幻瞑封石室】の封も完璧です。ラ・ディウスマントルの影響で様変わりした骨と血肉の街並みはケルソネス・ネドーが所有する魔法学院の跡地を残し、殆どが取り壊し済みで更地と成っています。下界と上界に行ける小さい浮遊岩が有しているので、立地面から観光地を予定していますが、危険な【幻瞑暗黒回廊】もありますから、どうしたものかと思案中です。魔法学院を造るにもしても、既にルシュパッド魔法学院を有した〝緑風の浮遊岩〟ごと私が権利を得てルシュパッド魔法学院がペレランドラ魔法学院に変化していますからね」

「網の浮遊岩は、お任せだが、聖ギルド連盟に権利を譲るってのもありだ。数万人はいるだろう冒険者たちが【幻瞑暗黒回廊】を有効活用できる。魔法ギルドの権益があるのなら、また別の話になると思うが」

「はい、いいアイディアだと思います。メモっておきますので、今度エミアと魔法ギルドの【魔術総武会】に話をもっていきます。とはいえ、魔法ギルド側は闇神リヴォグラフ側との争いでそれどころではないようですが」

「あぁ、そうなんだ。【幻瞑暗黒回廊】で闇神リヴォグラフの【異形のヴォッファン】と激突中らしい、そのお陰もあってサケルナートことルキヴェロススと、キーラと【御九星集団】と【髑髏鬼】を倒せた。【幻瞑暗黒回廊】と通じている〝異界の館〟と〝灰色の異空間〟も、土地として俺たちは使える。〝異界の館〟の中身は物色したが、そのままセーフハウス化もできるだろう。今だと【異形のヴォッファン】の連中が、その異界の館を利用しに現れる可能性があるから危険だが、そして、キーラが罠を仕込んでいた〝灰色の異空間〟もセーフハウスが建てられる。謎の液体、川も流れていた。その灰色の異空間で、地下オークションで落札した〝魔造家グルカファントム付き〟を使い、魔造家を建てたんだ。キュベラスもセーフハウスの魔造家を建てていた」

「おぉ」

「地下オークションのことは、氣になってました!」

 

 ドロシーの言葉に頷いた。ペレランドラも頷いている。


「はい、氣になりますが、〝知記憶の王樹の器〟から記憶を得られますから、次の〝烈戒の浮遊岩〟の報告に移ります」

「了解、頼む」


 ペレランドラは頷いて、


「琥珀の鉱脈は、順調に様々な琥珀を切り離し、買収した宝石商と細工商に魔石商を一つに纏めて、その皆に精査させています。戦闘用に使える魔宝琥珀は私のところにきますし、商用に使える美しい琥珀は地元には流通させず、貿易の品として下界の倉庫に詰め込んで、主に船を使い、他国に輸出しています。転移陣を使った商売は市場が混乱しない程度に此方が完全に儲かる場合のみ流通させています。ですから値の暴落は起きず、一度の貿易で大白金貨数枚は儲かる仕組みです。遺跡と他の鉱脈もありますが、いまのところは、除外しております」


 頷いた。もう分かっているが、ペレランドラが塔烈中立都市セナアプアに居れば安泰だ。

 俺たちが地下オークションで大盤振る舞いできた理由の一つだな。


 副長メルとペルネーテ支部長ペレランドラが【天凛の月】に居れば、内政は完璧に近い。

 

 俺は矛としての役割を真っ当できる。

 

「……了解した、そのままペルネーテの支部長として、ここは任せよう」

「はい! あ、【幻瞑暗黒回廊】に多い【異形のヴォッファン】への参戦予定はありますか?」

「【異形のヴォッファン】の一番隊隊長ライゾウを倒したから、ちょっかいを出されるかも知れないが、今のところは【幻瞑暗黒回廊】にはタッチしない。【魔術総武会】から援軍の希望がきたら向かうとは思うが、各魔法学院に、各魔法ギルド支部の人員と、本会議に、懲罰委員会の連中も出張っているようだし、ミスラン塔を本拠とする輪の真理に、八賢者ペンタゴン辺りも出陣しているとなれば……」

「……はい、私たちが邪魔になる可能性もあると」

「そうだ、【幻瞑暗黒回廊】で永年に亘り、闇神リヴォグラフなど諸勢力と戦い続けている大魔術師たちも、プライドがあるだろうからな……」

「それはたしかに。大魔術師アキエ・エニグマが、この魔塔ゲルハットを私たちに譲った経緯からして、その援軍目当てもあったとは思います。内紛が殆どだとは思いますが」

「なるほど、それはあるな」

「ん」

「はい」

「そうですね……」


 エヴァとヴィーネとキサラも発言した。

 キサラは大魔術師アキエ・エニグマとは因縁があるが、今ではホフマンと同じように戦いは起きていない。


「【幻瞑暗黒回廊】の件はおいといて、塔烈中立都市セナアプアの戦闘に関してだが、数日間では、さほど変わりはないか」

「はい、依然と変わらず。小規模な争いのみ」


 頷き、魔煙草を取り出す。

 と、ヴィーネが俺の膝に手を当てながら魔煙草に火を付けてくれた。ヴィーネの項と鎖骨が綺麗だ、かすかにバニラと石鹸の香りが漂う、良い。腕におっぱいさんの感触も得て嬉しかった。


 顔に出ていると思うが、ソファに座っている皆に、レベッカのジト目は放置して、


「……ルマルディやクレインにハンカイやユイにヴィーネにエヴァとレベッカが抜けると一気に戦力が落ちるからな」

「はい、その辺りはカリィとカットマギーたちがいるので、心配はしていませんが、運用の仕方は大分異なります」


 この場に居る皆が頷いた。

 

「そして、狂言教の殺し屋と、【闇の八巨星】の【ラゼルフェン革命派】と【血印の使徒】と【五重塔ヴォルチノネガ】に【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の残党と十二大海賊団に、無名の闇ギルドの者による、下界の港街と倉庫街と【血銀昆虫の街】の事務所への襲撃があるぐらいでしょうか、数日前と変わらないです」

「了解した。ちょっかいを出しているくる連中は、サーマリア王国の公爵の配下の【ロゼンの戒】や公爵筋と、その軍産複合体との繋がりがありそうかな」

「数名を尋問したようですが、依頼者は、報酬の受け取りを第三者にやらせているようで、足取りは掴めていません」

「なるほど、ありきたりだな」


 すると、下からエレベーター代わりの浮遊岩が上昇してきた。

 結構な数の魔素だ、事前に血文字をしていたから俺たちがくると思っていたようだな、前の扉が左右に開くと、

 

「盟主! やはりチキチキバンバンさ!」


 カットマギーの口癖が懐かしい。


「盟主、お帰りなさいー」

「盟主♪」

「主ダ!」

「シュウヤ!」

「シュウヤお兄ちゃんだ!」

「盟主様! このビロユアン、感動ですぞ! 茶トラのリックン、ラン、トマーも居ます!」

「にゃ~」

「にゃおぉ」

「ンン」


 三匹の看板猫ちゃんたちだ、嬉しい。


 <従者長>カットマギーとカリィが足下を滑らせるように横に来て止まる。

「盟主、血文字で戦果は聞いていたが、〝知記憶の王樹の器〟の液体を飲んで、記憶を体感できるのは、楽しみさ!」

「イヒ♪ 僕もさ~とくに戦闘体験は、た・ま・ら・な・い」

「カリィ兄ちゃん、興奮しちゃだめでしょ!」

「ふふ、シウちゃんの人形作りを手伝うから許してヨ」

「えぇ、しょうがない、許す!」

「がはは、ほら、二人ともシュウヤたちのところに向かうぞ」

「うん」

「行こう♪」


 カリィとシウが、前よりも仲良くなっている。

 レンショウとナミとミナルザンとリツとザフバンとフクマリとペグワースも一緒だ。


 すると、隣の浮遊岩も上昇し、扉が開く。

 そこから元【髪結い床・幽銀門】のパムカレたち、【剣団ガルオム】のルシエンヌたちも現れた。

 イフアンと黒い獣トギアも居る。

 ナミ以外の、ゲンガサ、ペイジ、サーモ、マベベ、パトクの元【夢取りタンモール】組はいない。

 まだ地下探索を続けているようだ。

 

 皆を見ながらソファから立ち上がって居間を歩く。


「――よ、カリィに、ミナルザン、ペグワースにザフバンたち、色々とご苦労さん~」

「「はい」」

「――おう! 『すべての戦神たち』の製作は順調だぞ、地下オークションに、第二王子ファルス殿下たちと王都グロムハイムに行った件が知りたいぞ! あぁ【御九星集団】のキーラたちとの戦いもだ!」


 ペグワースは腰にぶら下げた鑿類と大工道具を揺らしながら寄ってくる。シウも楽しそうにステップを踏んできたが、黒猫(ロロ)が寄って、「あぁ! ロロちゃん!!」と黒猫(ロロ)を小さい手で抱き上げて頭部にキスしまくっていた。


 黒猫(ロロ)はされるがまま、きっとゴロゴロと音を響かせているに違いない。


 レンショウが、


「盟主、狂言教の連中は上界と下界どちらを攻めようか迷っている印象ですが、そのすべてを返り討ちです」

「返り討ちサ~♪」

「ちきちきばんばんってねぇ!」


 <従者長>レンショウとカリィとカットマギーの言葉に頷いた。


「了解した。皆、ディアの兄のクシュナーを救ったことで、急いでここに戻ってきたところだ。では、皆に、その事象の記憶を共有してもらう――」

「ひゅ~♪」

「了解しました」

「「「はい!」」」


 皆の言葉を聞きながら〝知記憶の王樹の器〟を取り出して早速に、その器に<血魔力>を注ぐ。

 と、一瞬で神秘的な液体が〝知記憶の王樹の器〟に満ちた。


 指を入れて己の記憶を操作してから、ディアとクシュナーにも、


「ディアとクシュナーも、オセべリア王国編と呼べる、俺の最後の記憶を得たら、どんな状況だったのか、すべてが分かる、まずはペレランドラ、前見た記憶はスキップできるように改良を施してあるから、一瞬だ」


 立ち上がり傍に来ていたペレランドラに〝知記憶の王樹の器〟を手渡した。


「はい――」


 ペレランドラは直ぐに〝知記憶の王樹の器〟を持ち上げて縁に口を付けるとゴクッと神秘的な液体を飲む。


「――あぁ……」

 

 前と同じだが、ペレランドラの体を支えてあげた。

 ペレランドラも期待していたように俺の背に両手を回して胸を抱きついてきた。


「……ふふ……すべてが素敵です。バフラ・マフディとの戦いに、キュベラスとアルケーシスの戦いに、キュベラスの<異界の門>といい、【闇の教団ハデス】の組み入れる辺りは痺れましたわ……最後のクリムは自業自得。ただ、体の再生具合は高祖吸血鬼(ヴァンパイア)よりも速く見えました」


 ペレランドラの語りに頷きつつ肘と二の腕を持ちながらソファの下にペレランドラを運んでから、ゆっくりとソファーに降ろしてあげた。

「……ぁ、ん……シュウヤ様……」


 ペレランドラの吐息と熱いの眼差しで、どんな氣分は分かった。

 直ぐに頬にキスをし、ハグをして「ぁん」と喘ぎ声を楽しんでから離れた。


 そのまま、近くにきたクシュナーに〝知記憶の王樹の器〟を渡して、器に満ちている神秘的な液体を飲んでもらった。

 

 ◇◇◇◇


 クシュナーからディアに、続いてナミとリツ――。

 ナミとリツとも体を支えてあげてからハグとキス――。

 その流れからキサラとヴィーネとレベッカとユイとも魔煙草をプレゼントして皆で健康に良い魔煙草を吸い合いながら、キスを楽しんだ。

 続いて、


 【剣団ガルオム】のルシエンヌとメンバーたち――。

 〝知記憶の王樹の器〟を落としそうになったルシエンヌの体もギュッと抱きしめて支えてあげた。

 

 ザフバンとフクランの夫婦。

 おっさんのザフバンも仕方なく支えてあげた。


 イフアン、ラタ・ナリとエルフのラピス・セヤルカ・テラメイ、クトアン・アブラセル、元【髪結い床・幽銀門】のパムカレ、アジン、ジョー、ウビナンに飲んでもらった。

 ウビナンも仕方なく支えてあげると、


「おぉ~優しい盟主!」


 と、元氣そうだから直ぐに離れた。

 ウビナンは、


「<髪式・筋肉百倍>の効果が倍増した感がある! そして、盟主たちはオセべリア王国の救世主ではないか!」


 と、筋肉をアピールしながら大声で叫ぶ


「「「あぁ!」」」

「凄すぎる、【闇の教団ハデス】を助けたことも同じ!」

「あぁ、地下オークション後の罠もまさか【幻瞑暗黒回廊】の灰色世界に転移とは思わなかった」

「キーラは強かったな……盟主たちと皆と戦っていた」

「<魔闘術>も得意そうに見えたが、無数のアイテムを使っての反応の良さも驚きさ」

「それよりもサケルナートことルキヴェロススを倒したことが、今回のオセべリア王国編の胆だったと分析するぜ」

「「あぁ、たしかに」」

「【幻瞑暗黒回廊】を通じていた闇神リヴォグラフ側の連携も、極端に鈍ったように思えるしな」

「あぁ、キーラもあそこで戦いを仕掛けてきたのは闇神リヴォグラフ側との意思疎通が上手く取れていなかったことも起因するかもだ」

「ルーク国王の怪物具合も驚きだ」

「たしかに、女性の体を取り込みすぎだろ、気色悪かった……一方で、宮廷魔術師サーエンマグラムは、魔界騎士風で渋かったな」

「あぁ、それより、シャナさんの歌声は美しすぎる……」

「見た目もね」

「そうそう、シャナさんの歌声が、魔界セブドラの連中にも効いたってのが驚き」


 と、皆で感想合戦となったところで、ファーミリアたちがキッチンから戻ってきた。


「相棒、キサラ、ヴィーネ、エヴァ、レベッカ、ユイ、キュベラスに、ファーミリアとシキにアドリアンヌたち、そろそろ王都グロムハイムに戻ろうか、ファーミリアにはそのまま【大墳墓の血法院】に案内してもらう」

「にゃお~」

「「「「はい」」」」

「「ハッ」」

「ん、行こう~」


 キュベラスは、


「では、ここは天井も高いですが、念の為、外の屋上に植物園の隣に<異界の門>を展開します」

「了解した。クシュナーとディア、王都グロムハイムに向かうが一緒にくるか?」

「あ、お願いします、ディアも良いか?」

「はい、準備は整えてます」


 と、ディアは小さい鞄とセンティアの手を見せていた。

 クシュナーはディアの手のことは記憶を得て知っている。俺をジッと見てからなんとも言えない表情となった。

 少し緊張するが、クシュナーは優しく微笑んでくれた。良かった……。

 クシュナーの内心は想像できてしまうが、想像しないようにしよう。

 そこでペレランドラたちを見て、


「では、皆、また今度、王都グロムハイムから【大墳墓の血法院】などにお邪魔をしてくる。ペレランドラ、何かあったら血文字でカットマギーとカリィとレンショウは、皆を頼むぞ」

「「「はい!」」」

「当然♪」


 クシュナーたちと一緒に、屋上に出たところでキュベラスが<異界の門>を発動。


 皆で、<異界の門>を潜った。

 王都グロムハイムに戻ってきた。グロムハイム城と堀が見える場所だ。

「エンチャント~」

 とボンのはしゃぐ声が響く。


続きは明日。

HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。」1巻~20巻発売中。

コミックス1巻~3巻発売中。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
メルやペレランドラ等内政任せれる人材が居ると、シュウヤが好きに動ける。感謝しなければ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ