千五百八十九話 〝闇遊の姫魔鬼メファーラの人差し指と中指〟
<砂漠風皇ゴルディクス・イーフォスの縁>と<煉土皇ゴルディクス・ララァの縁>の加護で恩寵を頂いた際に、羅漠夜叉王ギガシュラの名も出ていたが……。
それに関係しているのが、闇遊の姫魔鬼メファーラ様の人差し指と中指か。
「なにぃ! いきなりの大白金貨五十枚! 」
「強氣な出品者の要望か」
マクフォルも興奮している。
周囲がざわついた。
いきなりの大白金貨五十枚からスタートだからな。
闇遊の姫魔鬼メファーラ様の指を見ていると自然と<メファーラの武闘血>が騒ぐ。
<血魔力>も活性化し、体から<血魔力>が自然と溢れ出た。
俄に<血脈冥想>を使い落ち着かせた。
グリサルダと羅漠夜叉王ギガシュラが関係しているか。
あの指は本物か、キサラも自然と砂漠鴉ノ型を展開させていたが砂漠鴉ノ型を解除。
マスクにもしないで、白絹のような前髪に吸い込ませるように姫魔鬼武装を消していた。額の端の目立たない小さい角に格納したんだろう。
闇遊の姫魔鬼メファーラ様は漆黒竜グリサルダーを配下に持つ。
魔界の【グィリーフィル地方】の戦況に変化があったら、部下たちの名を上げて、その部下たちから報告があると言っていた中に漆黒竜グリサルダーの名があった。
魔界セブドラは常に争いが起きている。
闇遊の姫魔鬼メファーラ様は闇神リヴォグラフとも争いは、当然あるだろう。
【グィリーフィル地方】の当時の最大勢力の悪神ギュラゼルバンが滅亡し、〝悪神打倒のエルレシア・シャキダオス・メファーラ協定〟は終了した。
戦国時代と成ったことで、闇遊の姫魔鬼メファーラ様はこれから更に忙しくなるだろう。
そして、【グィリーフィル地方】最大勢力と成ったシャキダオスの他にも、狩魔の王ボーフーンと傷場を巡って争っているようだからな。
と、次々に値札があがる。
「メル、参加だ。競り落とせ」
「ハッ」
メルは【天凜の月】用の木札を上げる。
司会の女性がサッと俺たちほうに腕を差すと値が上昇。
即座にマクフォルの商会が上乗せしてきた。
キャネラスの商会の者も、札を上げた。
シキのコレクターも別の席だが見送るようだ。
六面六足のエレファント・ゴオダ商会のレザライサは参加。
闇と光の運び手装備を知っていると思うが、ほしくなったようだが、ウィンクをしているから、他の商会に対する牽制か。
【ベファリッツ大商会】の見慣れないエルフの商人も札を上げてきた。
マンダンホルガ大万屋とフラクタル電磁商会の商人も札を上げてくる。
しかし、【ベファリッツ大商会】?
前にも居たのか?
そして、大白金貨五十五枚となったが、さすがに大金だ、動きは鈍い。ヘカトレイル後援会のキーキは札を上げていない。
前回アオマーを買うのに大金を使ったから今回は控える様子。
そのエセル人のアオマーは見かけなかったが、空を活かせる仕事を任せたんだろうか。
そこで、ラムーを見てから、
「ラムー、長丁場に成るかもだが、その間に、鑑定を頼む」
銅色の鋼の兜が渋いラムーは、
「はい、既に見ました。闇遊の姫魔鬼メファーラ様の指は本物で、闇神リヴォグラフとの小規模な戦いの最中に切断された指が地面に落ちる前に闇神リヴォグラフの【闇神異形軍】の一角で特殊部隊扱いの【闇ノ速辣隊】を率いている魔界騎士リーグバトライヤーが入手保存し、許可なく魔界の大商人に売り払ったようですね。そして、入れ物の容器も〝特魔樹ラゲンの指封じの箱〟伝説級、指封じとありますが、様々なアイテムを格納できる箱ですね」
と、くぐもった声で教えてくれた。
霊魔宝箱鑑定杖を掲げている。
「「おぉ」」
「魔界騎士リーグバトライヤーは初耳」
「特殊部隊扱いの【闇ノ速辣隊】もそうね、魔界側の部隊か」
「はい」
「ん、凄い【闇ノ速辣隊】は初耳、秘話をさっそく聞けた」
「うん、ラムちゃん、ありがと」
「ラムー、ありがとう」
「ふふ、はい」
ラムーは照れたような印象の声を発していた。
くぐもっているが、ハスキーヴォイスだが、可愛さもある。
直に顔が見たいが、いつか見ることがかなうんだろうか。
レベッカも、
「イノセントアームズでお宝を得て直ぐに鑑定をラムーに頼めるって大きい!」
「はい」
と、嬉しそうに発言。皆も頷いた。
レベッカは、
「シュウヤ、いつかの迷宮探索が楽しみなんだけど~」
「あぁ、迷宮探索はいつかだな。が、お宝の入手機会はいくらでもある」
「ん、この間のヴァルアの騎魔獣と小隊メンバーの品とか?」
「そうだ。〝魔槍ヴァルア〟 〝風神セードノ戦兜〟 〝ヴァルアの甲武鎧・参式〟 〝ヴァルアの腕甲・暗器刀キルシュナ〟 〝ベジャルの魔剣〟 〝百人殺しの装具〟 〝陽迅弓ヘイズ〟 〝月迅影追矢ビスラの束〟の鑑定も今度頼む」
「はい」
「それより魔界騎士リーグバトライヤーは、皆、知っていたか?」
ザガが皆に聞く。
皆は頭部を左右に振り、
「知らないです」
「シュウヤの記憶にもなかったはずよ」
「わたしも知りません、闇遊の姫魔鬼メファーラ様と邂逅をした時にも、その名は出ていません。闇神リヴォグラフにも多数の優秀な人材が居るということでしょう」
「ん、シュウヤ知ってた?」
「聞いたことがない、魔界騎士だ、【闇神母衣衆】に所属している存在かな」
キサラの言葉の後、ヴィーネが、
「はい、【闇神異形軍】が魔界セブドラの大地に多い軍の総評。その【闇神異形軍】の最上位、闇神リヴォグラフの直下の親衛隊が【闇神母衣衆】でしょう」
その言葉に皆が頷いた。
キュベラスとクナとファーミリアに意見を求めるように、視線を向け「【異形のヴォッファン】は、【幻瞑暗黒回廊】用に近い立場の軍隊ってことか」と話をすると、キュベラスとクナとファーミリアは、
「「「はい」」」
とハモる。キュベラスは、
「【異形のヴォッファン】の隊長クラスは闇神リヴォグラフの魔界騎士と同じく自由に動くこともあり、数名はセラ側の主な連絡役ルキヴェロススと闇神防衛局の副局長シリウスと連絡を取っていた」
闇神防衛局の副局長シリウスか、異界の館で入手した資料の中に、その名があったことは確認ずみ。
「セラ側の主な連絡役がルキヴェロススか。セラ側のすべてを担っていた訳ではないのか?」
「さすがにすべてではないです。闇神の七魔将が有名ですが、闇神防衛局の副局長シリウスのように他にも闇神リヴォグラフの大眷属と眷属はセラに居ます」
「七魔将は、魔迷宮自体が巨大な贄場で都市のような物ですので、少し毛色が異なりますわね」
そのクナの言葉にキュベラスとファーミリアは頷いて、
「はい」
クナは、
「七魔将、今は六魔将ですわね、その魔将は、吸血神ルグナド様のセラ側の<筆頭従者長>と認識していますわ、人族で言うなら魔王。魔界セブドラでは魔公爵級、魔元帥級、魔王級、魔神級辺りの存在、セラに根付かせて、人族たちの養分を魔界に送るための将軍格です……魔迷宮で集めた大量の魔素を効率良く魔界セブドラの闇神リヴォグラフに送るシステムが構築されている。その魔迷宮の歴史は暁の帝国の時代よりも古いですわ…………」
クナは少し気まずい様子で話をしていた。
俺を罠にはめたのはクローンのクナだったが、その記憶は共有されている、本物のクナもまた冒険者やハンカイのような者たちを紋章魔法陣、黒の牢獄で捕らえていたからな。
クナはサビードの配下だったからさすがに詳しい。
キュベラスは、
「魔迷宮と七魔将のことならクナさんのほうが知見は高いですわ」
そして、テツ・リンドウが喋った内容を思いだし、【御九星集団】たちを見やる。
「……その七魔将だが、魔法ギルドの裏切り者テツ・リンドウが色々と語ってくれたな」
「はい、七魔将側と手を組んだ国王ルークと宮廷魔術師サーエンマグラム。更に【異形のヴォッファン】を率いる大眷属ヴォッファンが国王ルークと宮廷魔術師サーエンマグラムの下に一番隊隊長ライゾウを送り込んだ」
「あぁ……」
「キーラ側も連動し、クリムも生きているなら、そのクリムも合わせて、地下オークション第二部が終わり次第……俺たちを攻撃の流れか?」
「キュベラスと【闇の教団ハデス】が此方側に付いたことで、その作戦は一部破綻しているはず」
「キーラが手を退く?」
「その可能性はありますね」
「ん」
キサラとエヴァはチラッとキーラたちを見やる。
先程は悔しがっていたが……。
「……宮廷魔術師サーエンマグラムとキーラの繋がりがどの程度かによるか、キュベラス、キーラとはどの程度の付き合いだったんだ」
「主に、ロシュメール古代遺跡や、古都市ムサカと城郭都市レフハーゲンの仕事をくれる程度、レフハーゲンでは、幾つかの豹文文明の歴史碑文と古代遺跡の調査権資源独占付きでした、聖櫃が眠るとされていた」
「ミホザの遊星が残した古代遺跡かな」
「……」
キュベラスは疑問げな表情を浮かべていた。
「ミホザの遊星に住んでいたとされる第一世代の古代宇宙人、ソサリーに似た種族だと思うが、それら古代の知的生命体を第一世代と呼ぶ。第一世代は何億年も前に惑星セラを訪れ、セラに様々な遺物を残したようだな、その遺物のアイテム群が今では聖櫃、アークと称されている」
「……ミホザの遊星に第一世代……聖櫃のアークは神々が遺した宝物だと思われていました」
「確かにその可能性もあるから、断定はできない」
「?」
「様々な可能性を考慮しようか、例えば、荒神大戦が起きた時にも第一世代の宇宙文明が存在し、その宇宙次元とも重なったとかな?」
「……は、はい?」
キュベラスも混乱したような表情も可愛いかもしれない。
「「「……」」」
「ん、シュウヤの話は少し難しいことも加わってそう」
「そうそう、双極性がなんとか、複数の泡が宇宙とか、多元宇宙論とか、波動関数の収縮を想定しないで、すべての解に対応した世界があるとかなんとか、わけわかめのことを時々話しているし! 紐とか縄跳びぐらいしかワラカンってのに!」
レベッカの記憶力も高いと思うが……。
すると、ヴィーネが、
「テグマークの分類のお話は興味深かったです。セラも広大で宇宙も広大ですからね、そのご主人様のお話は置いておいて、ルキヴェロススことサケルナートは、その知識も豊富だったようですね」
その発言に皆が頷いた。
キュベラスは、
「はい、ルキヴェロススは時空属性持ちで【幻瞑暗黒回廊】の活用が、だれよりも優れていたのは事実」
少し含みがある言い方だが、ルキヴェロススことサケルナートは超重要人物だった訳だ。
殺すよりも活かして闇の先生に……否、それはさすがにダメだな……。
クナは、
「……時魔神パルパディ様との繋がりも関係があるのでしょう?」「はい」
「ご主人様も時魔神パルパディと繋がりを得ました」
ヴィーネの言葉に皆が俺を見てくる。
ハルホンクの防護服を意識し、胸元に闇に輝く紋章入りの<パディラの証>と心臓と髑髏のマークのバッジとフォド・ワン・プリズムバッジを出現させた。
戦闘機のオービタルファイターを早くみたいが、楽しみはいつかに取っておく。
見つかったら、そのまま操縦を楽しんで惑星セラを一周し、崩壊した月と崩壊していない月とか、実際に見に行くかもしれない。
……楽しみすぎる。
キサラは、
「サケルナートは銀河闇騎士でもあったのですよね」
「あぁ、中立も居るようだが、銀河帝国側だろうな」
皆が神妙な顔付きとなった。
銀河闇騎士でもあったルキヴェロスス。
時魔神パルパディと通じるって相当だろ……。
「時魔神パルパディの眷属ではないが、あの現れ方からしてたらな……」
「はい……【幻瞑暗黒回廊】ごと異界の館を切り裂いていた」
ヴィーネの言葉に頷いた。
では、【幻瞑暗黒回廊】は宇宙に通じている。
【幻瞑暗黒回廊】自体が時空連続体、一定の重力がコントロールされている5次元的な通路で、過去、現在、未来にも繋がっているのなら、それを活かした転移術があるのか?
「そうですね、サケルナートことルキヴェロススは、宇宙にも通じているということです」
皆が頷いた。
どこでもドアのようなモノがあるのなら……。
一つの宇宙次元が狭い世界に成り得る。
……<暗黒魔力>と数十個の闇のクリスタル、紅色のクリスタル、オレンジ色のクリスタルと、闇に輝く紋章入りのバッジの<パディラの証>を使い【幻瞑暗黒回廊】の内部のダークマターや暗黒物質のような力が利用し、時魔神パルパディが支配する他の星系、星雲の惑星か宇宙ステーションに転移ができるかも知れない?
また、それが<時闇ノ魔術>と推測はできる。
そして、銀河騎士マスターとなった銀河戦士だったゼン・ゼアゼロを追跡していた存在が、もしかしたら銀河闇騎士ルキヴェロススだった?
もしくはゼン・ゼアゼロを追跡していた銀河闇騎士とルキヴェロススが接触していた可能性がある。
キュベラスは、
「……はい、サケルナートはセラの空、夜空に現れる神々の形をしている星々の仕組みも理解していました。<占神星術師>のスキルを持ち、<闇ノ転移>よりも高度な転移術が使用していました」
「「へぇ」」
「驚きだ!」
クナが、
「ふふ、サケルナートが<大転移神星術師>の戦闘職業と、関連したスキルを持つのなら、その<神星術>系統のスキルか、時空属性の<言語魔法>か、<紋章魔法>か、<時闇ノ魔術>を使用し、セラ内を転移できていたはずですわ。また、魔力も相当消費しますから極大魔石を利用か、持っていたクリスタル類と<暗黒魔力>を【幻瞑暗黒回廊】に使用し、利用してブーストしていたかも知れませんね」
そんな転移スキルがあるのか。
「「「……」」」
「エンチャント……」
「予想以上に凄い相手がサケルナート……」
「異界の館から得た本の中に占星術師の本があったような氣がする……」
「ん、薄いのと分厚いのも含めて数百冊はあった、魔法の書が殆ど、魔法基本大全が数冊あった」
ファーミリアも少し驚いていたような表情を浮かべていた。
「はい、パブラマンティ賢者著の〝〝サークル・オブ・エルンストの振動数と魔法の共振の連動性〟もありました」
ヴィーネの本は面白そう。
レベッカは、
「魔法学院ロンベルジュの魔法上級顧問のサケルナートだった訳だしね、魔法ギルドの中枢で、頂点のミスラン塔を本拠にする【輪の真理】の【九紫院】にはさすがに入り込めていなかったようだけど……」
と、レベッカの言葉にキュベラスたちが注目される。
キュベラスは、
「はい」
「へぇ」
「闇遊の姫魔鬼メファーラの指は、今も少しずつ値が上昇しているが、それを奪取できる魔界騎士リーグバトライヤーとは、いずれシュウヤと対決するかも知れぬな」
ザガの言葉に数人が頷いた。
「そうですね」
「今も生きていれば、の話ですね」
「ふむ、そうだな魔界も様々に戦いがある」
ザガの言葉に納得するように頷いていると大白金貨は七十枚で止まって、
「――大白金貨七十枚! 他にありませんね? ……では、〝闇遊の姫魔鬼メファーラの人差し指と中指〟は、黒猫と白猫の大商会の落札です。おめでとうございます!」
よっしゃ――。
シンバル音が鳴り響き、オペラの歌手の方が野太い声で、オメデタイ的な歌唱を行った。
面白いな、アシュラー教団も毎回微妙に演出を変えているのだろうか。
「ふふ」
「やったぁ」
「おぉ!」
「はい!」
「早速のお宝、落札~」
「ナイスです」
メルが司会の女性に応えるように片手を上げていた。
「受け取りに行ってきます」
「おう」
「やりましたわね~」
「幸先が良いですわね、しかし、すべての品の落札を狙うのです?」
ファーミリアの言葉に、
「狙うかは分からない」
メルが〝特魔樹ラゲンの指封じの箱〟入りの、闇遊の姫魔鬼メファーラの人差し指と中指を持ってきた。
「総長、これを」
「おう」
と、仕舞うと、直ぐに、次の品のオークションが始まった。
「続いて〝魔槍カハルナグ〟暴虐の王ボシアドの配下、死海騎士カハルナグが使用していた魔槍カハルナグ。大白金貨五枚からスタート!」
漆黒の炎を有した魔槍で渋いが、闇神ハデス様のステッキもあるからな。
参加せず、キーラの商会が落札していた。
「次の品は、〝豪魔無限の蜂蜜〟伝説級、豪魔プリシウルの女王大蜂と、プリシウル蜂の蜂蜜です。一口舐めるだけで一年寿命が延びるとされている。また肌に付けておけば、ほぼ、どんな毒物も無効化するとされていますし、魔力も上昇、皺も消えて、艶が出ては良い匂いが一日保たれてる。また、美肌効果はぬればぬるほど、数年保たれるとされています。また男性が直に食べると、その日の精力が少し強まるようです。また、豪魔プリシウルの蜂類に、襲撃を受けなくなる。など他の錬金素材にも合う貴重な品ですね、白金貨八十枚からスタートです」
「メル、参加だ」
「はい――」
「ん、楽しみ、女性には神話級!」
「ふふ、錬金素材にも成り得る――」
「「「はい」」」
「エンチャント!」
「ぴゅぅ~」
「にゃぉぉ~」
「ふふ~」
相棒とヒューイは机の上に乗って楽しそうに鳴いていた。
ルビアも楽しそうだ
メルが勢いよく札を上げていく。
キャネラスとマクフォルの商会が食い下がるが、
マクフォルが「く! 黒猫軍団めが!!」と叫び、勢いよく腰を落とす。椅子から転けそうになっていた。すると、キャネラスたちも降りた。他の商会も次々に降りていく。
「――はい、では、黒猫と白猫の大商会が最後となりました。大白金貨三枚で落札決定です。おめでとうございます――」
「やった!」
「ん!」
「ふふ」
「ご主人様、皆のために?」
「あぁ、女性陣のためにも成るし、俺にもいいかな~と」
と言いながらヴィーネの手をギュッと握ってあげた。
「ふふ、ご主人様……」
ヴィーネの熱い眼差しを受けるとレベッカが、「ふーん!」と、左手を奪いながら体を寄せてきた。先程の続きしたいと顔に書いてあるように唇が少し濡れている。
と、ユイが、「ちょっと~?」と右肩付近に体を寄せてくれた。
エヴァが「ん、ここではダメ」と言いながら寄ると皆が少し退いては、エヴァが抱きついてきた。エヴァの温もりを得て嬉しかったから――。
左腕をエヴァの腰に回して、腰を「ぁぅ」と押すように左の太股の上に乗ってもらった。
「ん、シュウヤ……」とエヴァは俺の首下にキスしてくれた。
そこにキサラが、「――ふふ、先程の続きですか?」と言うと、エヴァが顔を真っ赤にしながら離れてキサラと位置を交換。
そのままキサラの腰に手を回しつつキサラの髪の匂いを味わう。
すると、ヴェロニカが<血魔力>を発しつつ「――総長、ここで押っ始めるのはダメよ~」と言いながらも寄ってきたからキサラが離れる。
と、ヴェロニカは、「ふふ、皆分かってる~」と言いながら、身軽な動作で、ストンと腰を、俺の股間のところにダイレクトに落としてきた。背を反らすように体重を俺に預けてきたヴェロニカは、「ふふ~、ぎゅっとして~」とお願いされたからギュッと抱きしめてあげた「きゃ」とヴェロニカは小声を発して喜ぶと少し体が硬直している。
続いて、ベリーズとサラが寄ってきた。
「次は私たち~」と言ってヴェロニカを爆乳で退かすようにヴェロニカを抱きしめる。
「ちょ、ベリーズのおっぱいでかすぎ! パフパフをするならシュウヤでしょ!」
と横に退いていた。ベリーズは直ぐに爆乳を寄せてきたから、パフパフを堪能~。
「ベリーズ、はい交代~」
と、サラが右腕と腰の間に飛び込んできた。
そのままサラの紅色の髪の質感と、猫耳の軟らかさを堪能~。
そこにフーが「シュウヤ様……」と遠慮がちにも発言しつつ傍に寄ってきたから、ベリーズとサラが「ふふ、少し早いけどフーちゃんに交代~」と言って退いていた。
フーをハグしつつ右の太股に乗せてあげた。
「……」
キュベラスのジト目が何かそそる。
エトアとルビアはサザーに目が塞がれていた。
「総長! 〝豪魔無限の蜂蜜〟をもってきましたから、さっさと仕舞ってください!」
と、少し嫉妬しているメル副長が可愛い。
その〝豪魔無限の蜂蜜〟を戦闘型デイバスのアイテムボックスにしまった。
「続きまして、アロトシュの偽聖杯です。伝説級、北方、ロロリッザ王国の遺跡から発見されたとされている。偽ですが、アロトシュの祝福が少し掛かっているようです。詳しくは鑑定が弾かれました。白金貨四十枚からスタート!」
と、次々に商会の者が札を上げる。
キャネラスとマクフォルの争いとなって、キャラネラスの商会が勝利。
俺たちは参加せず。
「失われたアデルバランの魔機械――」
六面六足のエレファント・ゴオダ商会のレザライサたちが落札していた。
「心魔の異形石、階級は不明~」
次の品は、アドリアンヌの大商会が獲得していた。
「神剣ライムカイム、神話級!」
はギュルブンの商会が獲得。
「銀蜜溶胃無の幼生、ユニーク級~」
気になったがスルー。
ヘカトレイル後援会がキーラとマクフォルの商会を押さえて白金貨九十枚で競り勝つ。
シャルドネは小さくガッツポーズ。
「――続いての品は〝桃源ノ魔狐レイズナーの珠剋筆〟伝説級、入手先は不明。魔造虎や異界の軍事貴族とも異なるようですが、筆に、桃源ノ魔狐レイズナーが封印されているようです、大白金貨一枚からスタート!」
気になる。
「メル、参加だ!」
続きは明日。HJノベルス様「槍使いと、黒猫。1~20」発売中。
コミックス1巻~3巻発売中。




