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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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1574/1999

千五百七十三話  サケルナートことルキヴェロススとの激闘


 後退するサケルナートは、


「<空間魔造転移>を事前に知っていたか、キュベラスにオマエら――」


 と言いながら風の弾丸のような遠距離攻撃が幾つ射出してきた。

 その風の弾丸のような攻撃を少し見るように――。


 <無方南華>を意識し発動しながら魔槍杖バルドークを握る<握吸>を強めつつ上下左右に魔槍杖バルドークを動かし、柄と紅斧刃と竜魔石の石突で連続的に風の遠距離攻撃を叩くように防ぎ続けた――。


 皆の遠距離攻撃がサケルナートに集中――。

 俺に対しての遠距離攻撃が止まる。

 

 此方を見ながら不適に嗤うサケルナートを見ながら魔槍杖バルドークを消して半身から前のめりになるようにサケルナートを追った。

 

 サケルナートは俺たちを見ながら高速に移動している。

 時折、ブーストが掛かったように加速し速度が上昇していた。


 既に俺は、<闘気玄装>に<滔天神働術>と<滔天仙正理大綱>など複数の<魔闘術>系統を重ねて発動しているが、サケルナートは相当に<魔闘術>系統を重ねているようだ。

 魔点穴が見えないほどの凄まじい魔力の量。

 サケルナートを<闇透纏視>で観察し続けているが、心臓部などは見えない。


 アルケーシスの時のように、サケルナートも消耗すれば……<根源ノ魔泉>に<魔仙神功>や<滔天魔経>に<光魔血仙経>を使った状態で<闇透纏視>を使用したら、サケルナートの本質、理外の理が垣間見えるはずだ。


 漆黒色の魔力は闇神リヴォグラフと似ている。

 最低量の魔力でも魔元帥級のラ・ディウスマントルや十層地獄の王トトグディウスの依代を彷彿とさせるから、確実に闇神リヴォグラフの大眷属ルキヴェロススだと<闇透纏視>で理解できた。


 <血魔力>を体から発するように両足から垂れ流しつつ――。

 <武行氣>を意識しながら低空を飛翔して駆けた。


「速い――」

「うん、けど――」

「――にゃご」

「いきますわよ――」

「はい――」


 皆が言うようにサケルナートは速い。

 そのサケルナートは前方に漆黒色の炎染みた膨大な魔力を撒きながら、足下に紋章魔法を発動させた。


 と、体が前後にブレて残像を生み出した。


 そのサケルナートは左に旋回したかと思いきや、右斜めに跳ぶ機動でレベッカの蒼炎弾とユイの<バーヴァイの魔刃>とファーミリアの<血剣>の遠距離攻撃を避けると仰け反り、相棒の細いビーム条の紅蓮の炎を見るように後転しながら避けては、横に身を捻りながら跳び、ビュシエの<血道・霊動刃(イデオエッジ)>の飛び道具を連続的に避けていた。


 農具が入った小屋が爆発して散る。

 藁こづみも散って中空に藁が舞った。


 と、サケルナートは、風属性と、火属性と、土属性と、雷属性の魔刃のスキルか言語魔法か紋章魔法を無詠唱で繰り出してくる。

 

 魔槍杖バルドークと義遊暗行剣槍で弾きながら――。

 つま先半回転で、避けていく――。

 ――<闇ノ転移>の転移はまだ使わずか?


 ここに転移してきた方法は違う転移方法か。


 転移用の魔札のカードとか、ありそうな予感。

 時魔神パルパディと通じて時空属性の時間外し(タイム・アウト)の言語魔法が使える。

 更に〝異界の館〟を構成している<魔結界主・異界の館>が戦闘に活かせるのなら、ここはサケルナートのテリトリーということだ。先程の不意打ちの際に<紅蓮嵐穿>を使えば、女性ごとサケルナートを倒せたかもしれないが……それはたられば――。


 チャンスを窺う――。


 サケルナートは魔杖レイズを中段に――。

 魔杖ハキアヌスを下段に構えて前に出ながら、


「<魔風ノ極破>――」


 と前方に大規模な風魔法を無詠唱で発生させた。


 ――皆の遠距離攻撃が一斉に上向いたように弾かれる。

 <魔風ノ極破>は衝撃波でもあるようだ。

 

 急ぎ<超能力精神(サイキックマインド)>――。


 俺とサケルナートの間の中空で、衝撃波のような半透明な<魔風ノ極破>と目される風の攻撃が幾条もの閃光を発し爆発。

 白塵的な煌めきを発生――。

 こちらを見ながら後退しているサケルナートは、


「<闇神式・ボロヌスの怪手>――」


 <導想魔手>と似た、拳状の大きい怪物の手を生み出す。

 それを黒豹(ロロ)に向かわせた。


 黒豹(ロロ)は「ンン――」と鳴いて横に跳び、<闇神式・ボロヌスの怪手>を避けたが拳状の大きい怪物は体から四方八方に爪のような魔刃を伸ばしてきた。


 俄に、<メファーラの武闘血>を発動し――。

 <無方剛柔>を意識、発動――。

 黒豹(ロロ)を守るように前に出て<魔仙萼穿>――。

 右腕ごと突き出た義遊暗行剣槍で数本の魔刃を貫いて破壊。

 手足と胴体で数本の魔刃を弾くまま――下から<杖楽昇堕閃>を繰り出した。


 ――大きい拳の<闇神式・ボロヌスの怪手>を斬り上げて斜め下へと義遊暗行剣槍を振り降ろす魔犀花流の二段斬りが決まる。


 <闇神式・ボロヌスの怪手>の大きい拳は四つに分かれながら散った。

 黒豹(ロロ)は、


「にゃご――」


 と鳴きつつ、俺に礼を言うように右足の脹ら脛に頭部と胴体を当てて前に出る。

 と、尻尾を傘の尾の如く立てながら首と胴体から大量の触手を前方に繰り出していった。

 触手から唸るような音が連続的に響く。

 触手の先端から出た骨剣がサケルナートが放った雷球と炎球を連続的に穿ちサケルナートに向かうが、素早いサケルナートには掠りもしない。

 ファーミリアは「<龕喰篭手>――」頭部が怪物のガントレットの<龕喰篭手>を直進させて、その怪物のガントレットの頭部が口を広げながらサケルナートに近づいたが、サケルナートの体がブレると、避けられた。

 

 そのサケルナートは衝撃波を発生させて<龕喰篭手>の動きを止めると魔杖レイズと魔杖ハキアヌスを消し両手を合わせる。


「<闇の石神ゴウゼツ>」と言うと、幻影の大きい二つの手が出現するや否や二つの手は石の手として現実化――。

 <龕喰篭手>の怪物の頭部は、その大きい二つ石の手に押しつぶされて爆発。


「あら、<龕喰篭手>――」


 と、ファーミリアは何度でも<龕喰篭手>を生み出せるのか。

 サケルナートは、ファーミリアの遠距離攻撃の血剣には衝撃波を喰らわせて寄せ付けない。

 魔人キュベラスは<魔晶力ノ礫>を使う。

 様々な結晶か、魔宝石の欠片のようなを周囲に生み出し、それを飛ばし、爆発させるが サケルナートの<火焔光背>のようなスキルで、それらの<魔晶力ノ礫>は防がれていた。


 サケルナートは上下左右に移動しながら、レベッカの蒼炎弾とベリーズの<絶剛矢>とビュシエの<血道・霊動刃(イデオエッジ)>を避けつつ、雷と炎と土の礫の遠距離攻撃と魔杖レイズのオレンジの魔刃からオレンジの魔刃を飛ばして、皆の遠距離攻撃をそれらの攻撃で相殺し貫いて、ユイたちを足止めすることに成功していた。


 サケルナートは確実に強者だ。


 黒豹(ロロ)は跳ね返されることが多い触手骨剣をサケルナートには向けず――。

 サケルナートが放ってきた雷と炎と土の礫を近くで貫きまくる。


 サケルナートは魔杖レイズに魔力を込めたところで、ベリーズの聖十字金属の魔矢が足に掠めた。少しだけ動きが鈍ったが、回復能力も高い。


 まずは相棒に、


「相棒、さんきゅ、魔雅大剣だ――」


 と肩の竜頭装甲の口のハルホンクから直に生み出し相棒の前方に飛ばした。

 黒豹(ロロ)の前に魔雅大剣が突き刺さった。


「にゃおぉぉ~」


 黒豹(ロロ)は神獣猫仮面を装備し駆けて魔雅大剣を咥える。

 サケルナートは「喰らえ――」とユイの<銀靱・壱>の斬撃と<銀靭・弐>の斬撃を避けつつ、両手の魔杖からオレンジとレッドの三日月の魔刃を連続的に繰り出し始めた。魔雅大剣を持った黒豹(ロロ)は駆けて後退したサケルナートを追う。


 そのサケルナートはレベッカの蒼炎弾と城隍神レムランのドラゴンたちの小さい炎とファーミリアの<血弾>の遠距離攻撃を巧みな動きで避けては、火炎状の炎の魔布を纏い防ぐ――が、ベリーズの聖十字金属の魔矢はそれを貫いた――。


 ベリーズが<速連射>で聖十字金属の魔矢を連続的に放つ。


 サケルナートは「闇に強い聖十字金属か――」と言いながら魔杖レイズの魔刃で、聖十字金属の矢を防ぎながら後退――逃げ場を失ったかに見えたサケルナートの横を、魔雅大剣を咥えた黒豹ロロディーヌが走り抜ける。


 サケルナートは、


「神獣が魔界の大剣を――」


 と呟きながら魔杖レイズと魔槍を前に突き出し、相棒の魔雅大剣の一閃を防ぎ、横にステップを踏んで位置を変えて前に残像を生みながら加速し、斜め前に出つつ魔杖レイズと魔杖ハキアヌスを振るい、三日月形の魔刃を放つ。


 サケルナートの斜め前方に居るユイは、白銀の魔力を纏った神鬼・霊風を<投擲>。

 神鬼・霊風は白銀のオーラを放ちながらサケルナートが放った三日月の魔刃を次々と貫いて直進する。

 サケルナートは小さく舌打ちをしながら横に移動し、神鬼・霊風を避けたその時、レベッカが放った蒼炎弾がサケルナートに衝突し、と、サケルナートは霧状の盾で蒼炎弾を防いだ。


「その霧の盾を溶かしあげる!」

「ふふ、蒼炎の女神様と言いたくなるわ――」


 サケルナートは追撃の蒼炎弾とファーミリアの<血弾>を避けながら、反撃の衝撃波を繰り出している。


「ファーミリアに言われると照れる――」

「ふふ――」


 ファーミリアとレベッカはお揃いの動きで左右に跳ぶ。

 プラチナブロンドの髪だし、目の色も似ているから、金髪の姉妹に見えた。


 サケルナートに魔雅大剣を咥えた黒豹ロロディーヌが直進し、咥えている柄巻を口の中で回転させるフェイクを繰り出してから、魔雅大剣を突き出す。


「げぇ、神獣めが大剣使いだと!?」


 驚いたサケルナートは魔杖レイズと魔槍を掲げ、相棒の魔雅大剣による連続的な突きから一閃を防ぐが、後退。

 そのサケルナートに「にゃごァ――」と細い紅蓮の炎が直進。

 サケルナートは「ハッ」と言いながら浮上し、直線上の紅蓮の炎を避けると、宙空から身を捻りつつ左右の魔杖から魔刃を繰り出す――。


 俺にも魔刃が飛来――。

 <鎖>の反撃を繰り出すが、サケルナートには当たらない。


 黒豹(ロロ)を追うサケルナートは魔杖レイズと魔杖ハキアヌスを振るう。

 相棒は、「にゃご――」と剣豪のように応える。

 

 触手骨剣と魔雅大剣と前足を振るい、サケルナートと数合打ち合った。

 黒豹(ロロ)は後退――。


 サケルナートは後退した黒豹(ロロ)を追わず、レベッカの蒼炎状の槍を体を半身にずらして避けていた。


「ハーフエルフの光魔ルシヴァルは蒼炎神の血筋だな――」


 と、言いながら振り返りつつレベッカたちに三日月の魔刃を飛ばし始める。


 ユイが白銀の魔力を帯びている神鬼・霊風を<投擲>。

 神鬼・霊風は白銀のオーラのような魔力を周囲に放ちながら、サケルナートが繰り出していた複数の三日月の魔刃を貫き直進――。

 サケルナートは「チッ」と、舌打ちをしながら横移動し、神鬼・霊風を避けた。

 そこに、レベッカが放っていた蒼炎弾がサケルナートに衝突したが、サケルナートは霧状の盾で防ぐ。


 霧状の盾は霧散し、サケルナートの右腕の防具が蒼炎に掛かり溶けていた。


「く、我の<霊霧盾>が――」


 少し怯んだサケルナートに<鎖型・滅印>の両手から<鎖>を放つ。

 サケルナートは前進し僅かに体を屈めて二つの<鎖>を避ける。

 構わず<鎖>を操作したが、その<鎖>を左右に移動しつつ衝撃波を放ち上手く避けていた。

 ユイは<銀靭>と<黒呪強瞑>を使用し、前進。

 <鎖>を消す。ユイは、サケルナートとの間合いを零とした直後、咥えた神鬼・霊風と両手に握るアゼロス&ヴァサージを交互に振るった。


 サケルナートも魔杖ハキアヌスと魔杖レイズを振るう。

 両者の扱う刃と刃が何度も衝突し、火花が散る。

 剣線を刹那の間に無数に発生していく。

 ユイは<黒呪仙炎剣>と<黒呪仙剣突>を繰り出しているが、サケルナートは背から幻影の手を生み出し、魔槍を召喚。

 その魔槍で<刃翔鐘撃>のような重そうな突きスキルを繰り出していた。その突きをアゼロスで下に払ったユイは体を斜めに移動させながら神鬼・霊風を横に振るうフェイク。


 と、同時に左右の魔刀を突き出すダブルの<刺突>のような突きスキルを繰り出した。


「速い剣術だが――」


 サケルナートの幻影の手が持つ魔槍で防がれた。

 <召喚魔槍・フネラトス>か。

 ユイは「ふっ」と笑みを見せると前転し、左右の腕を引き、二つの剣線を宙に描く。口に咥えた神鬼・霊風でも一閃。

 両腕をクロスするような振り下ろしと振り上げの斬撃から横回転を行う――回転斬りをサケルナートは押されながらも防いだ。

 すかさず、ファーミリアがサンスクリットの血霊剣を突き出す。

 サケルナートは<霊霧盾>で、サンスクリットの血霊剣を防いだに見えたが、ファーミリアの血霊剣は<霊霧盾>を突き抜け、サケルナートの腕を突き抜け腹に到達。

 初めてまともな血飛沫がサケルナートから出た。


「げぇ――」


 と、痛がる声を発しながら衝撃波を発生させ、ユイとファーミリアを押しのけたサケルナート。

 が、少し疲労したか? 

 前進しながらサケルナートとの間合いを詰める。

 右足の踏み込みから左手の義遊暗行剣槍で<血刃翔刹穿>――。

 サケルナートは魔杖ハキアヌスと魔杖レイズの魔刃と魔槍を防御に回して後退――。


 ――血魔力<血道第三・開門>。

 <血液加速(ブラッディアクセル)>。


 後退したサケルナートを追い、魔槍杖バルドークで<血刃翔刹穿>――。


「ぐあぁ――」


 サケルナートは魔槍を盾に紅矛を受けるが、穂先から迸る無数の血刃は喰らっている。傷だらけの体を見せながら後退した。


 そこに、ベリーズの聖十字金属の魔矢とレベッカの蒼炎弾がサケルナートに直撃したかに見えたがサケルナートは魔杖レイズのオレンジの魔刃を太くして二人の遠距離攻撃を防いでいた。

 その横から、アゼロスとヴァサージの魔刀と神鬼・霊風を咥えていたユイが前進し、アゼロスとヴァサージの魔刀を振るう。

 

 サケルナートは、魔杖ハキアヌスと魔杖レイズを振るう。

 両者の剣戟で無数の火花が散った直後――。

 

 ユイはマグトリアの指輪を使用した。

 《怒崩象歯群(リグランドブレガン)》を至近距離で喰らったサケルナートは「げっ」と声を発したまま体が一瞬でミンチ状に潰れながら上空に舞った。


 サケルナートの装備類も周囲に飛ぶ。


 しかし、サケルナートのミンチ状の血肉から大量の漆黒色の魔力が放出されると、ルキヴェロススの本当の姿を一瞬晒す。

 赤い大鬼のような見た目でアシンメトリーの角が渋かった。


 血肉は無数のサケルナートの体に変化。

 一瞬で、数百以上の分身を作り出している。


 魔杖レイズと魔杖ハキアヌスと似た装備も装備していた。


「「「「「「「「オマエタチごと、オマエたちをヤロウ!!!」」」」」」」」


 分身たちがハモり声が気色悪い。


「「「え?」」」

「なんてこと!」

「にゃご――」

『驚きです!』


 サケルナートこと、別名ルキヴェロススが吠える。

 そのルキヴェロススの体は再生を始めながら、心臓と思しき部分に、体中から出ている魔線が何十にも絡みついている漆黒の塊が鈍く光っていた。


 右手の武器を神魔光邪杖アザビュースへと変更。

 そのまま神魔光邪杖アザビュースで<神魔無言>を発動させた途端、ルキヴェロススの体が怪しく煌めいて小規模な爆発が起きる、連鎖したように細かな魔法陣が、ルキヴェロススの体から現れて消えると、体の再生が停止した。


 皆、驚きを隠せない、闇雷精霊グィヴァの思念に、


『グィヴァ、掃討戦だ。出ろ』

「了解です!」


 右目から跳び出た雷状の闇雷精霊グィヴァは、一瞬で精霊として女体化し、腕先から、無数の雷状の剣を作り、サケルナートの分身たちに<雷雨剣>を浴びせていく。その光景を眺めつつ、左手の義遊暗行剣槍と右手の魔槍杖バルドークを戦闘型デイバスに戻し、両手を合わせ、阿弥陀仏――と祈るように、血想槍を意識しながら<武行氣>で急浮上――。

 

 空中にも多数存在するサケルナートの分身たちに向けて、


 血を纏った夜王の傘セイヴァルトで、闇雷・一穿を放つ。

 血を纏った聖槍ラマドシュラーで、攻燕赫穿を放つ。

 血を纏った魔槍ラーガマウダーで、鳳凰ノ炎翔穿を放つ。

 血を纏った霊槍ハヴィスで、血刃翔刹穿を放つ。

 血を纏った聖槍キミリリスで、龍異仙穿を放つ。

 血を纏った聖槍アロステで、血刃翔刹穿を放つ。


 一瞬で空中のサケルナートたちの分身を討ち取った。


 黒豹(ロロ)は魔雅大剣を咥えながら突進し、地上のサケルナートの分身たちを次々と斬り倒す。


 地上のサケルナートことルキヴェロススの分身体は多いが、レベッカの蒼炎弾、ユイの三刀流の斬撃、グーフォンの魔杖から放たれる火柱、ファーミリアのサンスクリットの血霊剣、魔人キュベラスの魔杖による斬撃、ベリーズの環双絶命弓から放たれる聖十字金属の魔矢、そしてグィヴァの雷雨剣による攻撃などが次々に決まる。

 

 サケルナートの分身は一気に倒された。


 <血想槍>を解除し、左手に義遊暗行剣槍、右手に魔槍杖バルドークを再び召喚し、着地――。


 サケルナートの分身は皆の攻撃で次々に死んでいたが魔力が増えている分身も居る。

 あの魔力が増えている分身は、本物か? ユイが神鬼・霊風で袈裟懸けで数体のサケルナートことルキヴェロススの分身を斬る。魔力を増えていた分身は<黒呪強瞑>と似た能力を使用し、魔力の刃を体から周囲に飛ばしながら大きくなっていた。第三形態か? そのまま斜め後方へと後退し、ユイの斬撃を避け続けると、その胸に胸ベルトが現れる。

 

 やはり、あれがルキヴェロススの本体だろうか?

 

 そのサケルナートことルキヴェロススの体に、レベッカが放った蒼炎弾が衝突したように見えたが、蒼炎弾は地面と激突し、サケルナートことルキヴェロススには当たらず、本体のサケルナートは加速力を上げながら左右の手に持っていた魔杖を魔槍に変えて、その魔槍を振るい、魔槍から赤黒い魔刃を繰り出してきた。

 

 俺たちに飛来してきた魔刃を避けながら――サケルナートに直進――。


 すると、サケルナートことルキヴェロススの体の胸ベルトが、大きい虎をモチーフとした魔獣の頭部に変化し、その魔獣が「ガルルルゥ」と鳴き声を発しつつサケルナートは上半身が喰われた直後、サケルナートは、肩に肩の竜頭装甲(ハルホンク)が居るような漆黒の甲冑に変化を遂げる。


 赤い体に鬼のような造形がルキヴェロススの本当の姿か

 更にルキヴェロススは「我をここまで……」と言いながら、右肩から右胸の一部を溶かしながら膨大な漆黒色の魔力を目の前に生み出すと、その中心に赤い双眸を生み出した。先程と同じ闇神リヴォグラフの双眸の能力だろう。


 赤い目が鈍く光る闇神リヴォグラフと似た、その赤い目から冷たい波動のような攻撃が放たれた。

 目に見えない電磁波の攻撃を浴びているような<闇神ノ赤眼>の強化版のようだ。


 一瞬、視界が揺れた。


時間外し(タイム・アウト)...」


「げぇ」


 気がつけば、体に赤い刃が突き刺さっていた。

 ルキヴェロススが消えて、ルキヴェロススが生み出したと思われる無数の赤い刃が至る所に現れている。


 時間外し(タイム・アウト)で時間を止めたのか――。

 そして、他の皆も赤い刃に...


「……」


 皆も<闇神ノ赤眼>の効果で動けない。

 ファーミリアも同様か。

 すると、赤い刃の一部が宙空で螺旋を描きながら渦を作る。

 その渦が内側の窪むと内に吸い込まれるように赤い刃が消えていくと、そこからルキヴェロススが現れた――ルキヴェロススは息を切らし、倒れそうになりながらも、片足を前に出し、己の体格を支えるように持ちこたえている。

 かなり消費したようだ――。

 <闇透纏視>でルキヴェロススことサケルナートを凝視。

 ルキヴェロススの溶けかけた体の一部に鈍く光る点が見える。 その点は点滅しながらルキヴェロススの体内を移動し、最終敵の心臓部と思しき漆黒の魔力の塊に集まっていた。

 魔力の塊が、またも鈍く輝いた瞬間、ルキヴェロススは赤い体から無数の赤い刃を周囲に生み出し、足元からも赤い刃を大量に生み出して突進してきた。


 先程時間を止めて喰らったのはこれか。


「にゃご――」

「「きゃっ」」

「痛ッ」


 相棒を含めたサケルナート戦に集中していた仲間たちは、無数の赤い刃の攻撃を受けてしまう。


 グィヴァとヘルメと女性は大丈夫か。


「ウハハハハ、ぬかったな! 闇神リヴォグラフにオマエたちを捧げる!!」


 またも、サケルナートこと、別名ルキヴェロススが吠える。そのルキヴェロススの体は先程より鈍い色合いの魔力を発しながらも、体を徐々に再生させていく。

 心臓に魔線のようなモノが何十にも絡みつく速度も遅い、漆黒の塊は蠢きながらどんよりとした明かりを放つのみ。


 右手の武器を神魔光邪杖アザビュースへと変更。

 先程と同じように神魔光邪杖アザビュースで<神魔無言>を発動させた途端――。

 ルキヴェロススの体が怪しく煌めき小規模な爆発が連鎖し起きる、細かな魔法陣が、ルキヴェロススの体から現れて消えると、体の再生が停止したが、大技で止めをさしておく――。


 右手の武器を神槍ガンジスに戻した。


 <根源ノ魔泉>――。

 <光魔血仙経>――。

 <魔仙神功>――。

 <脳脊魔速(切り札)>――。

 

 そのまま前傾姿勢でルキヴェロススに近づいた。

 <闇透纏視>で漆黒の塊目掛けて――。

 左足の踏み込みから神槍ガンジスで<戦神震戈・零>――


 体から神意力を有した膨大な魔力が湧き上がり、酒の匂いが漂うと、煌びやかな戈が出現した。世界の一部が、その光の戈となったかの如く、そのまま神槍ガンジスと重なって前進、煌びやかな戈と方天画戟と似た双月刃の穂先が融合しながらルキヴェロススのすべてを穿ち抜いた。


 よっしゃ――。


 右に居たルキヴェロススの子飼い、闇神防衛局の補佐たち。

 トリガマスたちの魔素も消えている。


「閣下! お見事、サケルナートは死にました!」

「ご主人、おめでとうございます!」

「ん! 大勝利!」




続きは明日。

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サケルナートこと、別名ルキヴェロススが吠える。 そのルキヴェロススの体は再生を始めながら、心臓と思しき部分に、体中から出ている魔線が何十にも絡みついている漆黒の塊が鈍く光っていた。 右手の武器を神魔…
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