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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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1556/2033

千五百五十五話 レザライサたちと記憶の共有とレグ・ソールトの能力


 レグとコジロウは顔を見合わせると、


「――ちょっと待った~」

「まった~」

「閣下、見ます~」

「御使い様、右目に戻ります~」

「俺も見させてもらうぜ」

「シュウヤ、魔人レグ・ソールトの能力の確認ね!」


 と、下からゲルダーノ咆哮を持つレベッカと、エヴァに、ヘルメとグィヴァとアドゥムブラリとベリーズと銀灰猫(メト)も正門の屋根上にやってきた。


 ちょっとまった~って、どこで聞いたフレーズだ。

 アドゥムブラリは、キサラとヴェロニカとビュシエとエラリエースたちと会釈してからベネットに、


「主、俺も地下オークションの顛末を知っときたい、そして、ベネットたち、血文字で聞いていたが、宗教街のほうでは特に問題はなさそうだな」


 そのアドゥムブラリがベネットと()()(テン)たちに聞いていた。


 その間に〝知記憶の王樹の器〟に再び<血魔力>を注ぐ。

 器の中に神秘的な液体が満ちた。

 その液体に指を入れて直ぐに記憶を操作していく。


 記憶の操作を直ぐに完了させた。

 ベネットは頷いて、()を見てからハイタッチしてからアドゥムブラリたちを見て、


「うん、()()(テン)たちが警邏した宗教街の反対側、第二と第三の円卓通り側では戦闘が起きたけど、此方側、武術街に近い大通り側は平和だったさ」

「おう、良かった、主たちとゼメタスとアドモスとフィナプルスのお陰か」


 アドゥムブラリの言葉に同意するように()()(テン)たちも頷いた。

 俺も皆に、


【幽魔の門】を襲ったであろう【セブドラ信仰】や【闇の教団ハデス】の魔人たちも、だれかに倒されたかな」


 キサラが、


「そうですね、血星海雷は宿ごと襲われていますし、襲った勢力はすべて撃退されたようですから既に倒れていると考えているほうが自然ですが、隠れ家にセーフハウスに隠れて、【御九星集団】のキーラたちと歩調を合わせている可能性もあります」

「たしかに」

「うん」

「ん、隠れ家はあるはず」

「そうね、一カ所に集まっているかも。そして、わたしたちを見張っていた大騎士スレーに闇炎の串刺し公アルグロモアたちは精鋭のはず。だから此方の動きを追えていないのは地味に痛いと思う。千里眼のような能力があるなら、別だけど」


 とレベッカの言葉に皆に聞いていた。

 メルは、


「キサラとレベッカの言葉の通りだと思うわ、それにレザライサたちがここに居るって、相当の抑止力よ?」

「そうですね、ご主人様が最大だと思いますが」


 と笑いながら語ったヴィーネは俺をチラッと見て微笑む。

 可愛い。アドゥムブラリは、


「隠れ家か、すべての家を見て回るのは無理があるからな」


 頷いた。ベネットは、


「宗教街側の衛兵隊と自警団は一つ一つ家を調べていたよ? だからあの辺りで隠れている魔人集団や帝国兵のスパイの発見は、時間の問題さ、情勢はもう決まったと言える。あ、変装していたらお手上げだけどねぇ」


 あぁ、変装か……そりゃあり得る。

 此方は敵の戦力すべてを知っているわけではない。

 衛兵隊の身なりをしていたら、まず初見では見分けられない。

 <闇透纏視>で強者と弱者の違いは一発で分かるが……。

 

 ()()(テン)たちも俺たちの会話を聞きながら黒猫(ロロ)銀灰猫(メト)たちと遊びつつつ頷いていた。

 さて、アドゥムブラリとビュシエを見ながら、


「アドゥムブラリ、荒神反魂香だが、シキから入手できた――」


 アドゥムブラリの幼馴染みの復活に必要な重要なアイテムを手渡す。

 

「おおぉぉ!」


 あまりの喜びに、アドゥムブラリは小型の座布団に載っていた荒神反魂香の水晶を落としかけた。「げ」と、お手玉をしてからアイテムボックスに仕舞っていた。慌て方が面白い。


「はは、落とすなよ」

「あぁ、これはシキだな?」

「そうだ、命を救われた礼には、ほど遠いと言っていたが」

「おう、ちょい下に降りて」

「待った、アドゥムブラリとビュシエ、これを――」

「あ、記憶の共有か、了解したが、ビュシエが先に飲んでおけ」

「はい、では、お先に――」


 アドゥムブラリは正門の屋根から飛翔していく。

 下に居るシキたちの下に近付いていた。


 と、〝知記憶の王樹の器〟を受け取ったビシュエは俺の記憶入りの液体を飲んだ。

 恍惚の表情を浮かべてから「あぁ……」と倒れかかる。


 直ぐにビュシエの体を支えた。

 ビュシエは<血魔力>製のドレス系の装束だが、少し薄着だったこともあり、ダイレクトにやっこい片乳のぽよよん感を得られた最高~と、〝知記憶の王樹の器〟を掴む。


 ビュシエは背に両手を回し顔を胸に押し当てて抱きついてからギュッと何回もハグをして首筋にキスをしてくれた。

 犬歯は立てていないが可愛いから俺もギュッとお返しのハグをすると、ビュシエは、


「ぁん」


 と腰がビクッと前後に揺れて感じてしまっていた。

 背を指で撫でるとビュシエは「……ぁ」と吐息を漏らしながら体が弛緩し数回、体を揺らしている。


 そのビュシエは、


「……ふふ……レグ・ソールトとコジロウは頼もしい味方となりそうです。皆と同じくエルフの見た目のハティア・バーミリオン魔導生命体が気になります」

「あぁ」


 直後、周囲から澱んだ空気感が出る。

 その最たる空気感を醸し出したのは、


「……抱き合うのはどうかと思うが、記憶の共有が可能とは凄まじいなァ? 槍使い」


 と、レザライサだった。そして、


「ふふ」


 とファーミリアも微笑して反応していた。

 体から濃密な<血魔力>を発した。

 その<血魔力>が自然と獰猛な野獣の頭部を無数に模っていた。


 すると、


「ふふ、ファーミリア? なんのつもりの<血魔力>かしら?」

 と、ビュシエが全身から凍えたような<血魔力>を放出しつつ語っていた。

 ファーミリアは<血魔力>を仕舞い


「あ、これは自然現象ですの、ふふ、気になさらず」


 と顔では笑って目は笑っていない。

 ビュシエも女の顔で対応していた。


 更に、レザライサも何か体から銀色の魔力を放出している。

 ユイとヴィーネも続けて体から濃厚な<血魔力>を放出させ始めた。

 

 正門の屋根回りと周囲の空間が振動を始めていく。


「ふふ、皆さん、閣下の想いは分かりましたから、静粛に」

「「「はい」」」


 と、一瞬で、魔力の放出し合いが終わる。

 しかし、魔力の放出での争いも濃密だ……。

 ヘルメに感謝しつつ、レザライサたちに、


「おうよ、記憶共有可能な〝知記憶の王樹の器〟だが、魔界セブドラで入手した」

「……やはり、素晴らしいですわ、シュウヤ様、今度……あ、光魔ルシヴァルの血……もあるのですね……」


 ファーミリアが唇を少し噛む。

 光属性の血を飲めば火傷では済まないだろうからな。


 レザライサは


「魔界王子テーバロンテ討伐は聞いているが、知記憶の王樹キュルハ様とも関係があるってことだな」

「あぁ、ある」

「御使い様は、魔界セブドラの民たちを救いましたから、当然の秘宝入手ですよ」


 闇雷精霊グィヴァの言葉にファーミリアとレザライサが頷いた。


「神々からの報酬か……凄まじい、魔界セブドラでどれほどの……」

「激動だった。強者ばかりとの戦いも多かった。魔軍夜行ノ槍業の関係も深まったな」

『お弟子ちゃんの成長は想像を超えていくから』

『うむ』

『カカカッ』

「ふふ、レザライサとファーミリア、閣下は神聖ルシヴァル大帝国を魔界のバーヴァイ地方に造りあげました」


 とヘルメの発言に、


「うふふ、素晴らしいですわ、魔界の神や諸侯と渡り合える立場……」

「バーソロンからは聞いている。しかし大帝国か……常闇の水精霊ヘルメ様の言葉だけに真実なのだと分かる」


 ファーミリアとレザライサの言葉に皆が頷いた。


「では、レザライサも、俺の記憶の共有をしとこうか」

「いいのか? 対価となりえるものはない……あ、それとも私を眷族にしてくれるのか?」

「いいぜ、レザライサを迎え入れたらどんなに強力な存在と成るか。が、ナロミヴァスやエラリエースなどの後からだな。そして【白鯨の血長耳】の他のメンバーにも話を聞いておいたほうがいいと思う」

「無論、順番は最後で良い! ふふ、嬉しいぞ、軍曹も反対はしないだろう?」

「はい、【血月布武】の名があるようように既に【天凛の月】と【白鯨の血長耳】は一つに近い。レドンドの依頼のこともあります」

「……あぁ、そうだな……帝都を見られることが現実になる日も近いか」

「はい、エメンタル大帝の血脈を有したクレイン殿も光魔ルシヴァルの<筆頭従者長(選ばれし眷属)>ですからね」

「あぁ、【ベファリッツ大帝国】の復活も可能。だからこそ、私も、シュウヤの血の家族となれば、【血月布武】も絶対的な繋がりになる……」

「はい、クリドススもシュウヤ様にお願いしそうではありますが……」

「……ふむ、それは槍使いが決めること、ファスも強いし、いい女だぞ?」

 と、レザライサが聞いてくるが、

「……あぁ、まだ先のことだ」

 すると、レベッカたちが、


「レザライサもいつか入るんではないかと思ってたけど、ついにかぁ~」

「賛成です。【白鯨の血長耳】の状況も血文字で知れるのは非常に大きい。ただし、女としては反対です、ふふ、あ、眷族となったら宜しくですレザライサ」

「ん、【血星海月雷吸宵・大連盟】がより強固になるから賛成、女としては勿論、反対」

「はい、賛成は賛成ですが、女としては微妙ですね、レザライサは強い女ですから」

 レザライサは「……あ、あぁ……眷族と成ったら、改めてよろしく頼む」と発言。

 

「「はい」」

「ふふ、はい」

「ん、レザライサ、安心して、皆、本当は歓迎しているから」

「……うむ」


 〝知記憶の王樹の器〟に<血魔力>を込める。

 そして、神秘的な液体に指を入れて、神秘的な液体の中に俺の記憶を操作して、


「では、この液体を飲んでくれ、そしたら、俺の記憶を得られる」

「分かった――」


 レザライサは飲むと呆けた表情を浮かべてから恍惚的な表情に変化。

 目を瞑ってから倒れかかる。〝知記憶の王樹の器〟を仕舞う。


 そのレザライサを支えた。


「あ、シュウヤ……槍使い……地下世界で、二年も放浪とは……が、師匠か。地上も濃密だ、魔界のか……魔界王子テーバロンテの討伐は、バーソロンたちから重に聞いていたが、ふふふ、すべて理解したぞ、そして、優しい漢なのだな……」


 と、語ると背に腕を回して、俺を抱きしめてきた。

 耳にレザライサの唇が触れる、吐息を感じた。

 

 そのレザライサにハグを返してから、


「これからも【天凛の月】も頼むぞ」

「ぁん……耳元に感じやすい……そんなことは分かっている……」


 と、レザライサの感じている声を聞けて嬉しくなった。

 片手で大柄のレザライサの体を支えつつ、


「歩けるか?」

「あぁ、大丈夫だ……」


 レザライサの乳房を感じながら離れた。

 アドゥムブラリが下から戻ってくる。


「レザライサも記憶共有か、【白鯨の血長耳】との連携には必要だな」

「あぁ」


 と、アドゥムブラリからベネットに視線を向け、


「――ベネット、ゼメタスとアドモスは?」

「あぁ、まだ、宗教街さ。正義の神のシャファ神殿の前の通りを守っている。ただ……」

「ただ?」


 ベネットは頷いて、


「あぁ、ゼメタスとアドモスたちは無数の老若男女たちに囲まれてえらい騒ぎと成っていた」

「えらい騒ぎか、光魔沸夜叉将軍のゴツいし、魔界騎士らしい見た目が悪くでたか?」


 ベネットは「ふふっ」と楽しそうに笑うと、頭部を左右に振って、


「……いやいや、逆さ、体を触られまくって触られるたびに、赤と黒の魔力を体からぼあぼあと噴出させるからか、皆が〝神界の髑髏騎士様の煙だべぇ〟〝おぉぉ、魔力の噴水~〟、〝浴びるべよ~〟〝おら、おっかあを連れてくるぅ〟〝おいらも〟〝うふふ、髑髏騎士様の煙~〟と、喜んでいたさ」


 その鈍った言葉がリアリティありすぎて面白い。

 俺も「はは」と笑って、膝から崩れるように柔道の受け身をやりたくなった。


 ……光魔沸夜叉将軍ゼメタスとアドモスの兜の前立ては日の出のような旭日だからな。


 そう言えば、宗教街には、煙を焚かれている香炉と石灯籠が多く設置されいたな。


 そして、お香を焼いて、その煙を体に浴びて煩悩を消すとか穢れを払う、御利益を得るみたいなノリか?

 浅草寺の常香炉は有名だったな。

 足下と星屑のマントは月虹に輝くし、甲冑から蒸気のような魔力が噴出する、神秘すぎるから仕方ない。


「……光魔沸夜叉将軍のゴツいさが、逆に生きたか。あの頭部の旭のような明るさといい、烏賊耳のように兜の横に出るのは、分かるような氣がする」


 ベネットと()()(テン)たちは頷き合い、


「面白かったが、少し異様もあったぞ、ゼメタスとアドモスは、わたしたちに大丈夫ですぞっと伝えていた」 


 ()の言葉に頷く。()(テン)も頷いた。


 ベネットは、


「更に、ゼメタスとアドモスの四方を囲むように修験者たちが集まっては、焚き火のような物が多数設置され始めては、その焚き火の前に修験者たちが居座り、そこで何かの儀式が始まったさ。何かの文字が刻まれた小さい板を、その焚き火に投げ込みながら呪文を唱えられていた。呪文の効果が不明だが、ゼメタスとアドモスは時折嬉しそうに吼えていたさ。すると、老若男女の一部がゼメタスとアドモスを拝みながら両足の膝を地面に突けて両手を合わせて祈り始めていたさ」


 護摩焚き? 不動明王ならゼメタスとアドモスの印象に合う。

 一部は魔界の存在と思われて、お祓いを受けたんじゃないだろうな。

 なんか面白い。


「……マジか」

「マジさ」

「「ふふ」」

「はは、しかし、ゼメタスとアドモスらしいか?」


 と、笑っていたアドゥムブラリの言葉に皆が頷く。

 ゼメタスとアドモスは宗教街で新たな神に成ろうとしている?

 ベネットも思い出し、可笑しかったらしく、笑って、


「ふふふ、ゼメタスとアドモスの強さと見た目から、信奉者を得たようだね。声を掛けにくい状況だったから遠くから見るだけに止めたさ、あ、イヴァンカさんと挨拶したよ、シュウヤさんに救われたと、ベネットさんもありがとうございます、と言われたさ、すると空からアーバーグードローブ・ブーの神界戦士が降りてきて、〝壁画を見るといい〟って言われてねぇ、そこの壁画に、【天凛の月】の名と総長と神獣ロロディーヌの絵柄が刻まれてあったさ、〝神界セウロスに居られる正義の守獣モゴジダ様〟も喜んでおられるだろうと言っていたさ」

「へぇ」

「にゃ~」


 黒猫(ロロ)も納得するように返事をしていた。

 そのタイミングでレグ・ソールトとコジロウ・オガミを見た。

 

 と、レザライサたちが、


「あぁ、すまん、槍使い、わたしたち【白鯨の血長耳】は、この新築の魔塔か櫓か、この建物を利用させてもらうぞ」

「おう」

「先ほども言ったが魔人キュベラスなどの討伐に向かうなら付き合うからな」

「了解した」

「密偵と偵察の人員に周辺を守りと、【血星海月雷吸宵・大連盟】の調印やグッズ販売などの細かなことは軍曹たちに任せてある。メルも軍曹と連絡を密に頼むぞ」


 グッズって。冗談か、あぁ、暗殺用語か?

 メルは、


「はい、魔通貝は渡されていますので」

「うむ、ふふ」


 レザライサは笑みを浮かべてからファーミリアとキサラとヴィーネとメルにも視線を向け会釈後、背後に居る軍曹メリチェグに、

 

「軍曹、下にいる皆を連れてこい」


 軍曹メリチェグは胸元に手を当て、


「ハッ」


 レザライサは先に魔塔のような宿に入る。

 メリチェグは皆に一礼をしてから反転し、正門の屋根の上から跳び降りた。

 庭に着地した軍曹メリチェグは、石畳と芝生の居る皆のところに近付いた。

 

 そこにはテーブルと椅子が用意されている。

 アンナとイザベルとクリチワにキッチンメイドたちが色々と用意してくれたか。


 そこでは皆が、飲み食いしながら談笑している。


 ファルス殿下とシャルドネとサメとキーキとリヒターと【ゴリアテの戦旗】の面々。

 オセべリア王国大騎士レムロナと盗賊ギルド【幽魔の門】フラン。

 【ベルガット】のディノとメリッサ。


 聖鎖騎士団の重騎士たちと団長ハミヤ。

 パーミロ司祭とキンライ助祭。

 ボンとザガとルビア。

 光魔ルシヴァル<従者長>ルシェルとフーとブッチとサザー。

 クナとハンカイとラムーとシャナとエトアとラファエルとエマサッド。


 ヴァルマスク家の<筆頭従者>アルナードとルンスと名の知らぬ<従者長>の強者たち。

 黄黒猫(アーレイ)白黒猫(ヒュレミ)と遊んでいる戦闘妖精クリドスス。

 血雨ファスと鉄鎖エキュサルに【星海月雷吸宵】のギュルブンとブルーの盟主と最高幹部たち。

 メリチェグは、庭の建てたばかりの体育館のような宿と此方の正門の屋根の魔塔のような家屋に腕を上げて差している。

 

 さて、


「では、レグからスキルを頼む」


 レグは頷き<魔闘術>系統を強める。

 

「はい、まずは基本の<魔肉鋼・左腕>、<魔肉鋼・右腕>です」

 

 レグは鋼鉄と生身を活かした両腕を生成する。

 両肩の付け根と三角筋は魔法の繊維質で生成されていた。

 骨が一瞬見えた、その上に上腕二頭筋と三頭筋なども一瞬で生成される。

 が、二の腕と肘の間に僅かな空間があった。

 そこの僅かな空間に稲妻のような無数の魔線が迸っている。


「<魔肉鋼・左腕>、<魔肉鋼・右腕>は、二の腕の空間があるように離すことも可能で、<導魔術>のように腕を飛ばすこともできます。また、腰ベルトは〝風精霊ヴィレド・ニクスラ〟のアイテムボックスと連動し、両手に風剣ヴィレドと風剣ニクスラを生み出せる――」


 と金と銀の魔力粒子と半透明な風の魔力を発している長剣を<魔肉鋼・左腕>の手と<魔肉鋼・右腕>の手に召喚していた。

 風剣ヴィレドと風剣ニクスラか。


「「「おぉ」」」


 風剣ヴィレドと風剣ニクスラを消したレグ・ソールト。

 そのレグ・ソールトは


「続いて、<烈風迅・右腕念>、<烈風迅・左腕念>――」


 額のアーモンドのような第三の目に光を帯びると、松果体のような立体的な半透明な魔力の幻影が一瞬浮かんでいたが、直ぐに消える。

 

 すると、鋼鉄と肉で構成されている<魔肉鋼・左腕>、<魔肉鋼・右腕>の左右の腕は一瞬で、白銀と黒と赤の色合いの魔力で構成された両腕に変化を遂げた。風も帯びている。


「スキルは、<西マハハイム口語法>、<魔禅ノ心>、<烈風迅闘術>、<魔闘術>、<三眼真体>、<三眼風霊速>、<三眼ノ読唇>、<風ノ斬り払い>、<風霊ノ読>、<風霊ノ魔刃>、<風剋・壱斬り>、<風剋・弐斬り>、<風剋・連続突き>、<風魔舞剣>、<魔禅・組み手>、<風柳組み手>、<風霊投げ>、<風鋼蹴刀>、<魔鋼・烈拳>、<魔鋼風迅>などが使えます」

「「「「おぉ」」」」



続きは明日。

HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1~20」発売中。

コミックス1巻~3巻発売中。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アドゥムブラリは荒神反魂香嬉しそう!(当然だろうが)  後々とはいえ、まさかレザライサもルシヴァルにとは。実質血長耳が傘下に入るみたいなもんだぞ(そして、女としては反対な皆w) [一言]…
[気になる点] ルシヴァルの血液が光属性帯びているのなら、(ピー)はどうなんだろう。シュウヤさんファーミリア喰っちゃって大丈夫なのか、わたし、気になります!
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