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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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1555/2023

千五百五十四話 サラの猫耳

 屋根の上にキサラと黒猫(ロロ)も上がってきた。


 〝知記憶の王樹の器〟を取り出して<血魔力>を込める。

 直ぐに液体が〝知記憶の王樹の器〟に溜まる。

 指を入れて、俺の記憶を操作し、今までの経緯を直ぐに理解するように、


「ヴェロニカ、これを」

「うん、ありがと、魔人レグ・ソールトとコジロウ・オガミは直ぐに分かるけどね――」

 

 と〝知記憶の王樹の器〟の液体を飲んだヴェロニカは、ぼうっと呆けてから恍惚気味な表情となったが、数回頷いて、エラリエースに〝知記憶の王樹の器〟を渡していた。


「なるほど~いい買い物! メリッサたちも加入は【天凛の月】にとって大きすぎ!」

「おう」

「硝子容器に入っているハティア・バーミリオン魔導生命体:生命維持装置が、非常に気になるんだけど、皆の予想も分かるし、魔人レグ・ソールトの両腕と、コジロウ・オガミの左腕の能力を見たい!」


 ヴェロニカの言葉に頷いた。


 エラリエースは〝知記憶の王樹の器〟も飲んで直ぐに、


「あぁ……」


 と倒れそうになったから体を寄せて支えた。

 〝知記憶の王樹の器〟を片手で受け取りつつ、それを隣に居る<従者長>サラに渡す。

 エラリエースは、


「地下オークションの雰囲気は、何か、別種ノ熱気に溢れてましたね、最初の雷神ラ・ドオラ神殿の大神官ルアラン様の演奏が素敵すぎました」

「おう」

「サラとアメリたちの守りをありがとうな、で、サラも、この神秘な液体を飲んでくれ、記憶を共有すれば、地下オークションの経過を理解できる、キーラたちの【御九星集団】最高幹部と【髑髏鬼】の最高幹部も丸わかりだ。エラリエースが言ったが、雷神ラ・ドオラ神殿の大神官ルアラン様も会ったことがないと思うし、演奏は見物だ」

「うん! 楽しみに――」


 と、サラも〝知記憶の王樹の器〟を両手で掴むと、口を縁に付けて、中身の神秘的な液体を飲んだ。


 小さい唇にキラキラ輝く液体が付着している。

 少し、エロっぽいが気にせず。

 一口二口、飲み終わると、サラは恍惚な表情を浮かべて、「ぁ……」と色っぽい声を発した。

 〝知記憶の王樹の器〟を落としかけた。

 それを拾い戦闘型デバイスに仕舞う。


 そして、胸を貸すようにサラ抱きしめて、


「シュウヤ、大丈夫――だけど、ふふふ――」


 と、背に両手を回してギュッと抱きしてくる。

 左の猫耳の付け根の二重部分の耳袋、『縁皮嚢(えんぴのう)』の可愛い穴っぽいところがピクピク動いて頬に連続的に当たる。感触が可愛かったが、少し擽ったい。

 そんなネコ耳の上側にキスすると、「ぁん」と感じたサラが可愛かった。

 唇に残るざらつき感が可愛い。

 サラの肩を軽く叩いてから離れた。


「もう! シュウヤ……」

「ごめん、つい」

「ふふ、うん」


 と、そこに、

 

『シュウヤさん、紅馬騎士団と共に東に向かってます』


 ルマルディの血文字が上がる。

 サラも親指でグッジョップしながら


「ナロミヴァスたちを助けて紅馬騎士団も無事のようね」

「あぁ」


 続いて、


『ご主人様、帝国のグリフォン部隊と戦闘状態だったナロミヴァスとアンブルサンとアポルアを見つけ、そこに乱入し、敵グリフォン部隊を駆逐し、そのまま公爵家の武のアロサンジュ公爵が率いる紅馬騎士団本体の救援にも成功した次第です』


 ママニの血文字も浮かぶ。

 正門の上に居る皆が笑顔と成った。


 メルも、


「やりましたね! ただ、第三王子に国王ルークも関わっている陰謀に、アロサンジュ公爵も関わっていたら……」

「あぁ」

「それはナロミヴァスが辛い立場になるので、さすがに無いと思いたいですね。今は、素直に、第二王子派の戦力が増強したと喜びましょう」


 と、ヴィーネの言葉に皆が頷いた。

 だが、皆の顔色には様々な思考が渦巻いていると分かる。

 王族たちの権力欲に、そこに闇神リヴォグラフなどが関わっていれば、家族さえも殺そうと動く判断がな……。


『――主、我らの勝利! ナロミヴァスたちを救出したぞ』


 キスマリの血文字を見て頷いた。


『盟主、援軍成功さ、ナロミヴァスと闇の悪夢アンブルサンと流觴(りゅうしょう)の神狩手アポルアに父の公爵ベイス・アロサンジュは生きている。が、帝国兵との戦いで紅馬騎士団は三割減さね、馬を失った歩兵も多い』


 クレインの血文字もヴィーネとユイとメルとヴェロニカたちがハイタッチ。


 紅馬騎士団は何名か不明だが、行軍速度は落ちるか。


『皆よく戦ってくれた、そのままナロミヴァスたちを頼む』

『『はい』』

『まかせな』

『主、ラドフォード帝国の漆黒のグリフォン部隊を指揮してたい特殊部隊は中々の強者だった』

『ほぉ、〝蜘蛛鴉ノ魔傭兵〟よりも強かったか』

『うむ、タフだった。レヴァンとか言う大騎士は、悪夢のボルガードと言っていたな、〝グリフォンの悪夢〟という渾名もあるようだった』

『ほぉ』


 魔界の神の眷族か、恩恵を得ている人族は確実かな。

 ラドフォード帝国も人材は豊富のようだ。

 皆に向け、


『こちらは地下オークション第一部を終えて、魔人レグ・ソールトと魔族or魔人のコジロウ・オガミと、硝子容器に入っているハティア・バーミリオン魔導生命体:生命維持装置を得た』

『新しい戦力を三人得られたのですね、了解しました』

『新人か、主、そいつらも眷族にするのか』

『何れはするかも知れない』

『ふむ』

『魔導生命体とは、暁の文明の何かかい?』

『そうかも知れないと皆で色々と語っていた。見た目は可愛いエルフだ。もしかしたら、ビーサのような存在の可能性もある』

『あぁ、銀河戦士(カリーム)のビーサと同じなら、宇宙人系のエルフか!』

『あくまでも可能性。治療中の可能性もあるとか、色々と皆で相談していた。そんな心配もあるが、後で、ハティアを出してみるかもしれない。あ、それと、今の武術街の自宅には、盗賊ギルド【ベルガット】のディノとメリッサと【血星海月雷連盟】の最高幹部たちと、公爵シャルドネたちも集まっている。その関係で、【血星海月雷吸宵・大連盟】を組むことにした』

『『おぉ』』

『了解したが、凄まじい面子だねぇ、一日で歴史が動きすぎと言いたいが、ふふ、盟主のシュウヤは、そんな出来事も日常に過ぎない男の中の漢だからねぇ、ふふ』

『はい、ヴァルマスク家とシキと聖鎖騎士団と【白鯨の血長耳】のレザライサと【星の集い】のアドリアンヌたちがそこに……凄い……』

『カルードたちが居ないが、それを省いたら南マハハイムの最強戦力が武術街に集結している?』

『おう、そうなるか、では、皆、無理せずと言いたいが、軍の動きはそちら側の判断に任せよう、無事を祈る』

『ふふ、了解さ』

『『はい!』』

『うむ! 我は紅馬騎士団の殿を努めているからな、任せろ!』

『……シュウヤ、キスマリはオセべリア大平原に残って帝国兵を潰す! と、言っていましたが、クレインの説得で、退いてくれました』


 ルマルディの血文字に思わず笑う。


『そっか、キスマリらしい、そして、アルルカンの把神書にも、よくやった。と伝えておいてくれ』

『はい!』


 皆との血文字を終わらせる。

 すると、黒猫(ロロ)が、


「ンン――」

「ロロちゃん~」


 ヴェロニカは胸に跳んできた黒猫(ロロ)を抱きしめながら、


「総長、聖鎖騎士団たちにアメリのことを報告してくる。あ、ユイ、魔人キュベラスは?」


 と途中でユイに聞いていた。

 ユイは、


「まだ西の大門の周辺、シュウヤ、魔人キュベラスたちを潰しに動くならハミヤにも知らせたほうが良いかも、心配しているはず」


 ユイは、ヴェロニカと俺を見て、そう喋りながら、周りに居る面子に視線を巡らせる。

 メルとヴィーネは頷いた。

 レザライサはあまり理解していないか。


「あぁ、そうだな」

「うん、知らせてくる」


 ユイは屋根から降りた。

 ヴェロニカは、


「シュウヤ、魔人キュベラスの誘導に?」

「あぁ、そうなるか、第二部まで時間があるし、アシュラー教団も思った以上に守りを固めているから、俺たちも自由に動ける」

「なら、わたしも一緒に行く、メル、ザープの動きは追えてないわよね」


 メルは頷いた。


「魔人キュベラスたちを追っているか、裏武術会と【セブドラ信仰】などの強者と戦っているはず、意外だけど、紅のアサシンは地下オークションに出ていたから」

「うん、シュウヤの記憶で見たし、【髑髏鬼】の盟主、アルカルと紅のアサシンに、【御九星集団】の最高幹部たちに、最高幹部の盾使いコンマレも。あ、皆、ここで待っててね」

「おう」


 ヴェロニカは黒猫(ロロ)を床に置いて頭部を撫でてから、正門の端から跳躍し、地面に着地――。


 先に降りたユイと話をしていた聖鎖騎士団たちに駆けよってアメリのことを伝えていく。


 ヴェロニカはなんだかんだいって優しい。


 そこに、ベネットと()()(テン)が武術街の左の通りから飛翔してくるのが見えた。


「――器! 地下オークションは終わったか!」

「器様! ゼメタスとアドモスの宗教街は無事です!」

「器様、魔人たちの小隊を倒しました!」


 ()()(テン)も見回りから帰ってきた。


「おう、第一部終了、第二部は今日の夜だ。(テン)、小隊とは、宗教街に現れたのか?」

「はい、宗教街の左の通り偵察しているような印象でした。近付いたら、いきなり攻撃を受けたので、すべて斬り伏せました」

「了解した。()()(テン)とベネットも、地下オークションの第一部の状況を理解してもらおう」


 と〝知記憶の王樹の器〟をまた取り出して<血魔力>を込める。即座に〝知記憶の王樹の器〟に神秘的な液体が溜まる。そこに指を入れて<血魔力>を注ぎ、神秘的な液体と連動するように記憶の操作を開始した。


 少しだけアンニュイ感があるが――。

 即座に地下オークションに至る少し前の記憶と、今までの記憶を入れた。

 その〝知記憶の王樹の器〟を()に渡す。


「うむ!」


 と()()(テン)とベネットに〝知記憶の王樹の器〟の液体を飲んでもらい記憶の共有を果たす。


 下からユイとヴェロニカが皆と話をしていた魔人レグ・ソールトとコジロウを抱えて上がってきた。

 正門の上に<邪王の樹>で簡易建物を素早く建設。

 そうしてから、


「レグとコジロウ、今、覚えているスキルなどを見せてくれ」

 

続きは明日。HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1~20」発売中。

コミックス1巻~3巻発売中。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第二部までの空いた時間で魔人キュベラス討伐か? [一言] >紅馬騎士団は三割減 普通なら完全に負けレベルの被害。 >『……シュウヤ、キスマリはオセべリア大平原に残って帝国兵を潰す! と、…
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