千五百四十一話 武術街の自宅に帰還し<蒼聖義遊・螺旋弐剣>の獲得
義遊暗行剣槍を<握吸>で引き寄せて握る。
神槍ガンジスと魔槍杖バルドークを仕舞いながら真下の瓦礫に着地。
「お弟子ちゃん、中々の戦いだったわ――」
「はい」
とシュリ師匠から雷炎槍エフィルマゾルを受け取ってからハイタッチ。
雷炎槍エフィルマゾルの上下鎌十文字の穂先を眺めてから、仕舞う。
シュリ師匠は、
「闇炎の串刺し公アルグロモアは強かったけど、ファーミリアって女帝も中々強いわよ、<血霊ノ血剣大貫刃>は強力で隙がない。使用した後の返し技もあるような動きだし、弟子と戦ったら良い勝負するかも?」
「ふふ、シュウヤ様の血は目映すぎますので、ご遠慮しますわ、それに相手を貫くような魔槍技? は豊富にあるようですし、あんなのは、絶対に、喰らいたくありませんから」
真面目に語るファーミリアが少し面白い。
そのファーミリアは、<龕喰篭手>と<血液魔防装具>を消す。衣装も軍服に近い朱色と黒色が基調の防護服に変化させた。
ヴァルマスク家の衣装だろうか。
結構多彩だな。
「ふふ、それはそうね、では、お弟子ちゃん帰る準備をして」
「はい」
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を再召喚。
瞬時に、<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>と腰にぶら下がっている魔軍夜行ノ槍業は魔線で繋がった。
「あ、お弟子ちゃん、グルドよりも<魔軍夜行ノ憑依>を予約よ?」
「分かりました」
「うふふ――」
とシュリ師匠は頬にチュッとキスしてくれた。
嬉しさを覚えた直後、シュリ師匠は魔軍夜行ノ槍業に戻っていた。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を消す。
同時に、周囲に浮かぶ蒼聖の魔剣タナトスと義遊暗行師ミルヴァの短剣を仕舞った。
「シュリ師匠よりも、主の魔槍の扱いは凄まじいぜ」
「おう、褒め言葉か?」
「ハッ、当たり前だろうが」
と笑顔を見せているアドゥムブラリ。
<魔弓魔霊・レポンヌクス>を消していた。
にしても、義遊暗行剣槍の剣槍は、かなり良い。
剣と槍のスキルも使えるし――。
義遊暗行剣槍を突き出して、<黒呪仙剣突>を繰り出した。
良し――。
魔槍ラーガマウダーといい魔槍杖バルドークに神槍ガンジスなど、候補がありすぎる。<悪夢・烈雷抜穿>が強力な金漠の悪夢槍もあるしなぁ。
「――シュウヤ様、周囲の警邏を強めます」
「了解」
フィナプルスは大きい瓦礫を黄金のレイピアで細断してから翼を羽ばたかせて空を飛ぶ。
常闇の水精霊ヘルメと闇雷精霊グィヴァは破壊された家屋の瓦礫を細かく細断しては大通り沿いに運んでいた。
地味だが偉い。シキが造り上げていた漆黒の異空間の結界は消えている。
アドゥムブラリは俺の近くで皆を見ていた。
しかし、逃げられた女の大騎士は、ここには居ない第三王子クリムが救ったのだろうか。
クリムは大魔術師のような能力を持つとナロミヴァスは語っていた。
クリムは、俺たちを見張らせていた二人の大騎士の危機を知り、遠くからの転移魔法で二人の大騎士を撤退させようとした?
まぁ、どちらにせよ、脅威はかなり減ったことは確実だ。
シキとファーミリアも常闇の水精霊ヘルメと闇雷精霊グィヴァと同じく、周囲の瓦礫を細断し、塵にしてから通り沿いに吹き飛ばしていた。
粉塵も風の魔法やスキルなどを使用したのか、上昇気流に乗って日の光の反射を受けてキラキラと輝きながら見えなくなった。
空気が前よりも清々しくなる。
そのファーミリアとシキは、闇炎の串刺し公アルグロモアと魔公ディフェルを仕留めた証拠の品を幾つか浮かばせていた。
アイテムボックスと闇炎を発している魔槍と鞘入りの魔剣と魔刀を持っている。
そのシキとファーミリアが近くに着地。
「入手したアイテムですが、また先ほどと同じくもらっても?」
「おう、ゲットしてくれていい」
「ふふ、ありがとう♪」
「では、遠慮無く――」
二人は入手したアイテムを仕舞っていた。
そこにゼクスの肩に乗ったミスティがやってきた。
ミスティはゼクスの肩から跳び降りて瓦礫の下に着地。
この瓦礫の山は少し多い。
建物は公会堂かモスクのような建物だったのかも知れない。
まだ中央に大きい柱が残っている。
魔導人形のゼクスは、俺たちから離れて周囲の見回りを開始していた。
そのミスティが、
「マスター、ロロちゃんの正義の神獣猫仮面の光が、隠れていた敵の隠蔽を看破したのよね?」
「そうだと思う、<無影歩>のような優れた隠蔽術を看破するとは俺もまさかだった。相棒が得た正義の神獣猫仮面は素直に凄い。そして、正義の神シャファ様に感謝だ」
「うん、ロロちゃんの黒豹の頭部と合うように変形していたし、猫の時の仮面は可愛かったけど、黒豹の姿に合う仮面は渋くて格好いい」
と語る。その相棒はどこだろ。
シキとファーミリアも、
「はい、あの時は驚きました。私でさえ見破れなかった魔人と大騎士の隠蔽を見破った!」
「ですね、正義の神獣猫仮面を得たばかりだと言うのに、戦いも頼もしかったです。そして、やはり、正義の神シャファとシュウヤ様たちは繋がりあるのですね」
ファーミリアとシキの言葉に頷いた。
「あぁ、繋がりは色々とな、義遊暗行師会に入会したし」
「はい」
「ンン」
相棒もくぐもった声で返事をしていた。
相棒の声は下か?
「ンンン――」
と今度は大きくなった。
黒豹さん、瓦礫の下か?
何してんだ。
「ンン――」
その黒豹が瓦礫を吹き飛ばす。と、ここほれワンワンではないが、そんな勢いで両前足を前後に動かして一生懸命に瓦礫と板を削っていた。
分厚い板は直ぐに爪で斬り裂かれるが、分厚いか。
まさか、うんちタイムか。
ここで、黒豹の生ウンチをしてしまうのか?
お尻に、うんちがこびり付いていたら、うんちを取ろうと、尻を地面に擦りつつ後ろ脚を左右に広げながら、両前足を前に出して、器用に前に歩くといった面白い芸のようなことをしてしまうのか?!
と、そんな姿を想像して笑ってしまう。
その黒豹は俺の笑った声に「ンン」と喉声を響かせて尻尾で床を叩いて返事をするのみ。
かなり底が厚い頑丈な板を爪で削っている。
すると、そこに金剛樹のような見た目の地下室の扉が現れた。
核シェルターを連想したが、まさか地下室とは。
急いでミスティたちと、その黒豹の近くに駆け寄った。
その扉を黒豹は、
「ロロ待った、俺が開けよう」
「鍵開けが必要なら、自宅に居るエトアを連れてくるか?」
アドゥムブラリの言葉に頷こうとしたら、
「あぁ、罠はありませんわよ」
とシキが指摘。
シキの片目には片眼鏡が出現していた。双眸の魔眼は今までにない色合いに光っている魔眼で、首のチョークも宵闇の女王レブラの紋章が光を帯びていた。
「ならば、俺が普通に回してみる」
「おう」
「はい」
「ンン」
地下室用の分厚い金属扉に付いた丸いハンドルを回す。
鍵穴もあるが、ガチャッと向こう側の施錠が外れた音が響く。
分厚い金属扉は持ち上がって普通開けられた。
すると、
「「おぉ」」
「助かりました!」
「はい! ありがとう!」
地下室に避難していた方々だ。
皆、此方を見上げている。
魔素を遮断する仕掛けでもあったんだろうか。
今の今まで、魔素を察知できなかった――。
神獣猫仮面を得た黒豹には見えていたのか。
「この手を利用してください」
と言いながら、その地下室に居た手前の方に手を伸ばす――。
「「はい!」」
俺の手を掴んだ男性を持ち上げて一人、また一人と救っていく。
下のほうに居た方々も梯子に手足を乗せて上がって登ってきた。
下に居た方々は、
「「「助かったァァ」」」
「外は朝か!」
「朝だ!」
「しかし、ポトトと、ポトトの家が……」
「あぁ、俺たちのために……〝衛兵の仕事だ〟と最後に残ったのもおかしかったんだ」
「あぁ、やけに笑顔が多いなと、俺たちを励ましていたし」
「だな、ポトトの野郎は、俺たちを庇って……」
「「「あぁ……」」」
「あの馬鹿野郎……俺たちを助けるつもりで〝俺の言うことを聞け〟と……あいつは真正直過ぎるんだよ」
「うぅ……だから最後に私に……」
「……最後の扉を閉める時ね……ポトトは、リラを見つめながら〝リラ、笑ってくれないか〟って……あの馬鹿……外から回すことで完全に閉まる仕組みらしかったけど……」
「……うん……ポトト……」
「ポトトは、通りに飛び出てポトトが、魔人たちに何かを叫ぶ声が聞こえた……」
「ポトトは衛兵ってよりは、俺たちのために……」
ポトトと言う名の衛兵が、自らの命を囮にして皆を救ったのか。
英雄だな、皆で涙を流している。
つられて泣けてきた。すると、ポトトの死を悼むように、
「神々よペルネーテをお救いください……」
「お救いください……」
と、神々に祈る方も居る。
静かに心を痛める方々に悪いが、
「魔人たちと帝国兵の襲来に備えての地下室に?」
「はい、そうです」
「衛兵だったポトトが任務を放棄して戻ってきては、皆をここに……魔素を遮断する仕掛けが施されてありました」
任務を放棄か。
国なんかよりも家族のほうが大事だからな。
「ポトトが言うに、魔人と帝国兵に紛れた犯罪者たちが屋敷に押し入って強盗殺人を繰り返しているとか……」
「なるほど、だから皆を安全のために」
「「はい」」
と、まだ地下室に魔素が二つあった。
跳び下りて地下室に入った。
暗いが、角灯一つの明るさか。
防空壕を思わせる室内には赤ん坊を抱えている女性が居た。
「その子を一時預かります、手も貸しますから、上がりましょう」
「はい、ありがとうございます」
と布に包まれた赤ん坊を抱く。
心配そうな女性に<導想魔手>に乗ってもらって跳んで地下室から出た。
女性に赤ちゃんを渡した。
「――ありがとう」
「はい」
女性は赤ちゃんを大事そうに抱きしめる。
と頬にキス。赤ちゃんを囲う布には魔力が宿っていた。赤ちゃんはすやすやと寝ている。
良かった、生きていて。
女性は、赤ちゃんの頬に付いた毛糸を指で払って、その指で赤ちゃんの頬を優しく撫でていた。
赤ちゃんを見る目が心にくる。
と、その優しそうな女性だったが急にハッとした表情を浮かべて俺を見る。
「あの! 通りに居た魔人たちと帝国兵を倒されたのですか」
「ある程度は倒したと思いますが、まだ油断はしないほうがいいかと」
「はい、でも家族はこの子だけではないのです。カエサル! マリン! どこなの!」
と赤ちゃんを抱えながら家族か親戚の名を叫びながら走り去った。
ミスティは「あ」と女性を止めようとしたが、女性は速い。
他の助かった方々も、
「どなたか存じませんが、俺も逸れた仲間と合流したい、ポトトのように人々を助ける! では――」
「「「ありがとうございました!」」」
と助けた方々全員が外に出た。
大通りを走る皆に――。
「武術街では互助会などが機能してますから、できれば、そこに一時的に避難してください――」
と叫ぶが冷静に聞いている人はいないか。
無事を祈ろう――。
正義の神シャファ様にすべての神々よ、あの方々を守りください。
と、黒豹を見る。
「相棒、よく見つけたて助けたな、偉いぞ」
「ンン、にゃ~」
上向いた黒豹は神獣猫仮面を消すと体勢を少し屈める。
四肢に力を入れた黒豹は、真上に跳躍していた。
宙空で身を捻ると、旭が、その黒豹の体に当たる。黒天鵞絨のような体毛が輝いて見えた。
艶があるし非常に美しい。
その黒豹は体から橙色の炎の魔力を発して〝アメロロの猫魔服〟を装着していた。
猫versionだと〝アメロロの猫魔服〟は可愛いが、黒豹に成ると、神獣猫仮面と同様に、渋くなるのが良い。
相棒の黒豹タイプは映えるな。
すると、宙空に居た常闇の水精霊ヘルメと闇雷精霊グィヴァが黒豹を祝福するように黒豹に触ろうとしている。
黒豹は華麗に宙空でバレルロール。
二人の精霊の両手に捕まらず、崩壊せずにまだ残っていた太い柱の上に着地した。
そこから俺たちを黒い瞳で見据えて、
「にゃおおお~」
と叫ぶ、勝利の宣言か。
神獣猫仮面を嵌めるように出現させている。
格好良い!
「神獣は雌だが、黒豹とか大きくなると、かなり渋いんだよなぁ!」
アドゥムブラリの言葉に自然と頷いた。
「ロロ様、素敵……」
ファーミリアも黒豹に惚れたか。
すると、シキが、
「シュウヤさん、大騎士が使っていた槍は拾わないのですか」
「あぁ、拾っとくか、神獣猫仮面が似合う黒豹に魅了されてしまった」
「ふふ」
「うん。魅惑的すぎる~」
ミスティの言葉に頷きながら、大騎士が使用していた槍を――。
瓦礫と一緒に細断してしまった?
魔槍杖バルドークの<紅蓮嵐穿>でぶち抜いて破壊? お、あったあった。
路地の端に石突側が刺さっていた。
穂先の銀杏穂槍から淡い龍の幻影が出現していた。
スレーは<龍追風穿>を使う際に、龍の幻影を出現させていたな――。
掴み引き抜いた。
穂先の中心の溝は龍のデザインか。
――かなり渋い。握った柄の表面に緑が基調のキラキラとした鱗が現れていた。
お洒落だ。柄は銀と鋼の色合い。
手を放すと銀と鋼の色合いに戻る。
指を当てると、そこだけが龍の鱗が再現される?
螻蛄首や逆輪には龍の装飾が施されてあった。
「大騎士スレーの品で間違いないだろうな、神界くせぇぞ」
「あぁ」
と、アドゥムブラリの言葉に頷いた。
神槍か聖槍だろう。
それを戦闘型デバイスに回収した。
:ル・クルンの魔杖×1
:蛇神チャスラの魔槍×1
:ゲルダーノ咆哮×1
:幻魔ノ腕輪ボックス×1
:幻獣アゲロンの腰ベルト×1
:魔造小箱×1
:爆弾ポーション×5
new:鋼魔革ヴィム・ループボックス×1
new:神槍ケルフィル×1
神槍ケルフィルを入手できた。
パリマリルの腰のベルトとベルトループと小箱の名は鋼魔革ヴィム・ループボックスか。アイテムボックスの中にはどんなアイテムが入っているやらだ。
すると、シキが、
「シュウヤさん、皆さんが強いお陰で、魔公ディフェルと闇炎の串刺し公アルグロモアをスムーズに倒せましたわ。ありがとう」
「おう」
闇炎の串刺し公アルグロモアか。
闇炎を扱う魔槍使いで強そうだったから正々堂々と戦ってみたかった。
だが、悲しいけどこれ戦争なのよね。
「ふふ、お陰で眷属の仇を取れました」
頷いた。
ファーミリアは、
「しかし、女の大騎士は転移陣に吸収されるように逃がしてしまいました」
「あぁ、その女の大騎士は、たぶん、ナロミヴァスの情報通りなら第三王子クリムの補佐の一人だろうな」
ミスティとシキとファーミリアとフィナプルスが頷く。
ミスティが、
「古代竜は居なかったのは、大騎士たちはわたしたちの戦力把握と偵察が任務だったから?」
「たぶん、そうだろう。襲撃を仕掛けるタイミングを計るための情報取得の任務が最優先だった可能性がある。<無影歩>級の隠蔽を過信し過ぎたか」
「過信ではないと思うわよ、偵察なら一人でも十分だし、闇炎の串刺し公アルグロモアなどが一緒だったのは襲撃しようとしていたからだと思うし」
「そうだな」
ミスティの言葉に皆が頷いた。
「……わたしたちを追った炎極ベルハラディは居なかったですね」
シキの言葉に頷いた。
魔人キュベラス側に回ったか?
ファーミリアも思案げに、
「そうですわね……」
と呟く。
「相手がどんな手を打ってくるか、対策は必要だが、とりあえずは勝利ってことで、皆、一旦武術街の家に戻ろうか」
「「はい――」」
俺たちの上空に居た常闇の水精霊ヘルメと闇雷精霊グィヴァは通りに出た。
「「はい!」」
「了解~」
ゼクスの肩に乗ったミスティは通りに出る。
「にゃおお~」
黒豹も先に大通りに出た。
「シュウヤ様~」
フィナプルスが戻ってきた。
跳躍し<武行氣>を意識し発動しつつフィナプルスの横に付けた。
フィナプルスは黄金のレイピアを仕舞う。
「周囲では戦いは起きてないようです、戦いは沈静したようですね」
「了解した。フィナプルスの夜会に戻ってきてくれ」
「はい――」
フィナプルスは頭から腰のフィナプルスの夜会に突入し、フィナプルスの夜会に入った。
大通りに沿いに出ていたヘルメとグィヴァにも、
「ヘルメとグィヴァも両目に戻ってくれ」
「「はい!」」
と二人は一瞬で、俺の両目に突入。
両目に格納した。
すると黒豹が「ンン――」と喉声を発して、跳躍すると大通りを飛翔していく。
皆で大通りに出た。
近くの武術街の正門を潜らず上空から向かう。
八槍神王第七位の魔槍リコ・マドリコスが多数の門徒を従えながら通りを歩いているが見えた。
――武術街互助会って、結構な戦力なんじゃ?
挨拶したいが、門徒たちから白い目の嵐の予感――。
止めておこう。
先を飛翔している黒豹を見ながらミスティたちと自宅の大門を目指す。
直ぐに大門の上にいたヴィーネが見えた。
そのヴィーネに近付いた。
ファーミリアとシキとアドゥムブラリとミスティは先に庭に向かう。
「ご主人様、お帰りなさいませ、ミライたちはまだです」
「あぁ、あの坂で分かれた後、どうなったか」
「ンン――」
「――あっロロ様――」
と黒豹に飛びつかれたヴィーネは大門の上に着地している。
「あ! 仮面が!」
「おう、それは神獣猫仮面だ。正義の神シャファ様の神像に嵌まっていた二十面相の聖魔術師の仮面の、〝義遊剣槍師レドマルコの仮面〟を褒美の一つでもらった際に、相棒も得た」
と<義遊暗行装具>似合う〝義遊剣槍師レドマルコの仮面〟を装着。
「まぁ! ここで……あ、なるほど、聖魔術師の仮面は正義の神シャファ様と繋がりはある。隠天魔の聖秘録などにも書かれていましたね――」
喋るヴィーネに黒豹が抱っこを要求している。
可愛い。
ヴィーネも応えて黒豹を抱きしめていた。
隠天魔の聖秘録は、光と魔、揃う、逢魔時、黄金の夜の縁となりて閃光と霊珠魔印だったかな。
さて、大門の上を離れて庭に着地。
イザベルたちはファルス殿下たちのところにいた。
ファルス殿下は外に居る。そして、徹夜か。
ユイはメルとヴェロニカと会話している。
聖鎖騎士団団長ハミヤとエラリエースと<筆頭従者長>ビュシエと<筆頭従者長>キッカとハンカイにベネットが来た。
エラリエースたちが、
「「「お帰りなさいませ」」」
「ただいま」
「戦場のナロミヴァスのところには、時間的に今は無理か」
ハンカイの言葉に頷いて、
「あぁ、もうじき地下オークションだ」
「ふむ」
「宗教街を守り抜いた戦いのことは聞きました」
「おう、色々とアイテムも入手したし、蒼聖の魔剣タナトスなどの技術も伸ばせるかもだ、少し試す」
「はい」
「おぉ、楽しみです」
傍に居るキッカと普通にタッチして少しギュッと握る。
そのキッカの腕を少し引っ張る遊びをしてからキッカから「ぁ」と小声で淋しそうな声を発したキッカと離れた。
そして、長剣の蒼聖の魔剣タナトスと短剣の義遊暗行師ミルヴァの短剣を召喚。
両手はフリーのまま<義遊暗行・想念>を活かす。
蒼聖の魔剣タナトスと義遊暗行師ミルヴァの短剣の剣身を上向かせて螺旋状に回転させていく。
蒼聖の魔剣タナトスと短剣の義遊暗行師ミルヴァの短剣が螺旋回転しながら凄まじい速度で回りながら前進し――。
<姫魔鬼魔神武術>を意識、発動。
そして、左右の腕で<血仙拳>を連続的に突き出した。
蒼聖の魔剣タナトスと義遊暗行師ミルヴァの短剣も螺旋状に回転させながら前方の敵を想定し、蒼聖の魔剣タナトスと義遊暗行師ミルヴァの短剣を突き出す。
その操作を数回した刹那――。
ピコーン※<蒼聖義遊・螺旋弐剣>※スキル獲得※
おお、蒼聖の魔剣タナトスと義遊暗行師ミルヴァの短剣の新スキルか。
「<蒼聖義遊・螺旋弐剣>を覚えた――」
「「「おぉ」」」
「演舞からいきなり!」
「うあ~総長いきなり~」
「総長の剣師versionも渋いねぇ」
「おぉ、シュウヤは剣術も伸びているからな」
ハンカイの言葉に頷いた。
「宗主は、<脳魔脊髄革命>の<天賦の魔才>持ちですからね」
「はい、でも槍に比重が傾いていると冗談で聞いてますが、剣術も相当ですね……」
皆の言葉を聞きながら、ミライが来るまで訓練しよう。
<蒼聖義遊・螺旋弐剣>を数十使う。
更に<魔経舞踊・蹴殺回し>を行った。宙空で回し蹴りを連発させる。
同時に蒼聖の魔剣タナトスと義遊暗行師ミルヴァの短剣を上向かせる。
<義遊暗行剣槍>を意識し、義遊暗行剣槍を右手に召喚。
――右の掌の中で義遊暗行剣槍を回転させた。
義遊暗行剣槍を掌で回しながら上下に手首を返すように義遊暗行剣槍を動かし、左手を背に回しつつ義遊暗行剣槍を持つ右手を背に回した。
そのまま爪先半回転で横に体を回転させながら左手に義遊暗行剣槍を移して、<義遊ノ移身>を実行し、前方に敵が居ると想定。
右足の踏み込みから――。
左腕ごと一つの槍に成る如くの<断罪刺罪>の義遊暗行剣槍を繰り出した。
即座に右に跳ねる機動で跳躍。
宙空から上向いたままの蒼聖の魔剣タナトスと義遊暗行師ミルヴァの短剣を義遊暗行剣槍に沿わせる。
アキレス師匠の<導魔術>系統とは異なるが、同じように運用は可能。
これが戦闘職業<義遊暗行師>の能力か――。
と、着地。
<義遊暗行・想念>も<導魔術>系統や<血想剣>の<血魔力>とは違うコントール方法か。
と、そこに大門の下にミライたちが顕れた。
アシュラー教団は無事、そして、地下オークションは開催だな。
続きは明日。
HJノベルス様から書籍「槍使いと、黒猫。1~20」発売中。
コミックス1巻~3巻発売中。




